瓔珞の音

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<<   作成日時 : 2008/11/09 18:17   >>

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大きな舞台の中、その人が立つだけで無意識に目が、心が引き寄せられる。
舞台を観ていると、稀にそういう瞬間に出会うことがあります。
昨日は、久々にその感覚を味わうことができました。


「エリザベート」

2008.11.8 ソワレ 帝国劇場 1階G列20番台

出演:涼風真世、武田真治、石川禅、高嶋政宏、村井国夫、初風諄、伊礼彼方、田川颯眞 他


「エリザベート」というミュージカルに、実はあまり強い魅力を感じていませんでした。
魅力的な楽曲。魅力的な登場人物。それは良くわかる。
だけど、私にはエリザベートの生き様が、どうにも納得ができないんですね。
抑圧された人生の中で、自由を求めてもがき続けたエリザベート。
その強さや苦しみや闘志や、外見だけでない美しさはわかる。
でも、彼女の自由の探索の陰で、見捨てられ、拒絶され、傷つけられてきた人たちはどうなんだろう。
そう、思ってしまうのです。
正直、私は皇太后ゾフィーの気持ちのほうが寄り添えるというか(笑)。
今回の舞台も観終わった後にすっきりさっぱり、とは行きませんでした。
が、そんな気持ちを上回るくらいの”ドラマ”が感じられたんです!


その”ドラマ”の中心、エリザベート役涼風真世さん。
もうね、めちゃくちゃ綺麗だったんです!
広い舞台の上にその人が立つだけで、目も心も引き寄せられる・・・そういうことが稀にありますが、
昨日の涼風さんはまさにそうでした!
照明効果だけでないオーラを感じてしまいましたよ。
その存在感も、美しさも、確かな歌唱力ももちろんなんですが、
とにかく”生身のエリザベート”がそこにいる、という感じでした。
純真で勝気な10代の少女から、ひたすらに迷い惑い求め続けた皇后時代、
そして、全てを諦めた晩年まで、一人の女の一生を見せていただいたように思います。

印象に残ったのは、フランツとの「あなたが側にいれば」のシーン。
フランツへの淡い憧れと恋心、未来への希望が、
フランツに首飾りを掛けてもらった瞬間に、ふっと翳る。
その表情の変化にはっとしました。
というか、このシーン、禅さんのフランツも素晴らしかったんですよねー。
責任と義務の前に、自分自身を抑圧し続けてきた彼が、
パワーの塊のようなエリザベートに心惹かれるのが、理屈でなくわかってしまった。
でも、この最初のシーンから、二人の道が寄り添うことはあっても交じり合うことはないと、
そう予測できてしまうような空気がありました。
この二人、あんなに惹かれあっているのに、どうして歩み寄ることができなかったんだろう・・・?
まあ、全てを共に諦めてしまうようなエリザベートなら、フランツもあそこまで執着しなかったでしょうし、
フランツがもっと押しが強かったら、エリザベートはもっとあからさまに反発したんでしょうけど(笑)。
でも、「私だけに」の前も、「最後通牒」のあとも、
「一人にしてください」の台詞の後、その言葉に従って立ち去るフランツ背中(気配)に、
エリザベートは一瞬すがるような表情を見せるんですよね。
その一瞬が共有できたなら、この二人の悲劇はなかったのかなあ、とも思いました。

その「私だけに」も、圧巻でした。
しゃくりあげながらの(でも歌声は乱れないの。凄い!!)序盤の頼りなげな表情。
そこから、自分の望む姿を一つ一つ確認していく過程、
何も知らない少女時代への別れと、それに伴う寂しさ、
そして、その寂しさすら振り捨てて、自分の存在意義をかけた闘いを誓う強い眼差し・・・
あの瞬間は、エリザベートの生き方が理解できないとか納得できないとか、
そんな気持ちは全部霧散してしまいました。
エリザベートは、”こう”なんだ、と。
フランツが、トートが手に入れたいと望んだエリザベートの魅力は”これ”なんだ、と。
そう、素直に思えてしまったんですね。
溢れるばかりの生命力・・・それが、彼女自身なのだと。

その後の彼女は、たぶんいろんな意味で誤算の連続だったと思う。
闘い勝ち取ったものが、決して自分の望んだものではなかったこと。
自由を求める旅路が、むしろ他者の束縛を強めてしまったこと。
手にした何かと引き換えのように、零れ落ちていったもの・・・
それでも、その人生は決して不幸ではなかったと。
後悔だけの人生ではなかったと。
最後の「愛のテーマ」で彼女は高らかに歌い上げます。
それがなんだか妙に嬉しくて、これでいいのかも、と思ってしまいました。


トート役、武田真治さん。
前回観損ねたので、今回は是非!と思った武田さんのトート。
うーん、フェロモン系? っていうか、身悶え系?(え)
線の細さがいい意味でも悪い意味でも際立っていたように思います。
あ、このトート、きっと新米だ、というか(笑)。
以前見た山口さんのトートは、とても安定感があって、
エリザベートの抵抗すら、「可愛いものだ」と思って楽しんでる余裕があったんですが(あくまで古い記憶です)、
武田さんのトートは、エリザベートに拒絶されて、どんどん我を失っていく、という印象。
彼女に拒絶されるたびに、余裕をなくしてくんですよねー。
なので、彼女が最後に選ぶのは自分だ、という旨の台詞が、全て強がりに聞こえちゃうの。
エリザベートに執着する余りに、トート自身も何かを狂わせていったんだろうな、と思いました。
歌声も、甘えるようなかすれ声が魅力的ではありましたが、
ちょっと別の意味でドキドキする部分もあったりして(笑)。
でも、あの手の動きは素敵だなあ、と思いました。
武田さんのトートって、とても中性的な作り方をしていますよね。
衣装もメイクもそんな感じ。
ルドルフに対するときって、(チビ相手でも)ちょっと女性っぽい仕草も入っていたし。
「マイヤーリンク」のシーンとか、ルドルフに押し倒されちゃうんじゃないかと思いましたよ(え)。
でも、キスをといた後のちょっと嫌そうな顔(に私は見えた)は、
あくまで彼の目的はエリザベート、ということなのかなあ。
絶対的な存在でない、惑うトートも有りかな、と思ってみたり。


フランツ・ヨーゼフ役、石川禅さん。
この方の歌声は、どうしてこんなに優しくて切ないんでしょう(涙)。
そして、フランツも、舞台の上できちんと年をとっていました。
最初に出てきたとき、若っ!!と思っちゃいましたよ。
まさに青年皇帝。
皇帝という立場にありながら、既に諦念を身につけてしまった彼フランツ。
彼にとって、エリザベートの生命力はまさに眩い光だったのだろうな、と思います。
義務と責務の中で、自分を殺して国を、民を生かそうとした皇帝。
もしかしたら、彼が強く望みさえすれば、エリザベートと共に全てを棄てて飛び立つこともできたかもしれない。
でも、その先には、きっと翼を休める場所もない嵐の海しかないことも彼には解かっていて・・・
せめて彼女がその翼を休める場でありたいと、
つかの間の休息でも、その彼女に寄り添っていたいと、
そう望み、エリザベートの部屋の扉の前で懇願するフランツは、もう切なくて仕方ありませんでした。
悪夢のシーンで、トートに翻弄されたフランツは、
一気に別人のように老け込んだ虚ろな目で前を見つめます。
その視線の先にあったのは、帝国の滅亡だったのか・・・
最後、死者たちが退場する薄い闇の中で、ただ一人フランツだけが振り返り、しばし佇みます。
その背中に、エリザベートへの深い愛情と渇望を見て、一人涙してしまった私なのでした。


ルキーニ役、高嶋政宏さん。
ほんとに当たり役ですよねー。
プログラムのルキーニの写真と瓜二つ、とか思っちゃった。
この舞台は、ルキーニが死者たちにエリザベートの真実を語らせる、という形なので、
いろんなシーンにいろんな姿で登場します。
どのシーンも表情が凄く豊かで、エリザベートとは別の意味で生命力を感じました。
高嶋さんご自身も楽しんでやってらっしゃるんでしょうね。
ちょっと歌詞が聞き取りにくいところもありますが、この方がいないとこの舞台は成り立たないな、と思いました。


ゾフィー皇太后役、初風諄さん。
「宝塚BOYS」とは別人のような厳格な存在感。女優さんって凄いなあ・・・
でも、厳格なだけではなくて、きちんと息子にも孫にも愛情があるんですよね。
懇願するチビルドルフを前に、ふっと表情が揺らいだ感じがしたように思います。
彼女の中にはきっと歴然とした優先順位があって、
彼女自身も国のため、皇帝のため、ハプスブルグ家のために何かを諦めてきたのかな。
亡くなるシーンは、本当に哀しくなってしまいました。
この物語では悪役風味ではありますが、
個人的に、ゾフィーの物語も見てみたいように思います。


青年ルドルフ役、伊礼彼方さん。
立ち姿とか、振る舞いは凄く王子様な感じで素敵でした。
ダンスも凄くお上手ですねー。
あのすっと伸びた長い足・・・おお!とか思っちゃった(笑)。
・・・が、いかんせん歌が(涙)。
席の関係か、音響の関係か、声質の関係か、あんまり声が届いてこなかったんですよねー。
トートとのデュエットとか、武田さんに負けてる、というより、
二人そろってオケに負けてる、というか・・・(汗)
とりあえず、この先に期待かな。


で、チビルドルフ役の田川颯眞くん。
いやー、見事なボーイソプラノでした!
最初のシーンの歌声からして、まっすぐに突き抜けるような綺麗さ。
ダンスも上手だし、演技もきちんとしてるし。
帝劇に出てくる子役さんって、どうしてこんなにレベルが高いんでしょう・・・!
カーテンコールで、隣の伊礼くんと同じようにちょっと足を組んだ立ち姿なのが可愛らしかったですv
カーテンコールといえば、武田さんの手の振り方が面白かったです(笑)。
すっごきぎこちないかと思えば、めちゃくちゃ高速だったりするの。
基本お茶目な人なんだろうなあ。


アンサンブルの方々は、やっぱりとっても凄かったです。
このミュージカルで好きなナンバー、というと、実は「Mirch」なんですよねー。
あの地響きがくるようなダンスとか、迫力の歌声とか・・・ミュージカルの醍醐味だなあ、と思います。
中山昇さん演じるエルマーをはじめとした革命の面々も、しっかり革命家していました。
下手側の席だったので、フランツがルーマニア国王になったあと、
彼らが真剣な顔で話し合っている姿が良く見えて、ちょっと凝視しちゃいました(笑)。
トートダンサーも、久々に見るとちょとぎょっとしますが(笑)、
あのダンスと肉体美と、舞台を進める黒子的な働きは素晴らしいと思います。
「マイヤーリンク」の後だったかな、紫の照明の中に浮かび上がるダンスは幻想的でした。


ハプスブルグ家の斜陽の時代背景を知っていると、
この舞台はいろんなツボがあるだろうな、と思います。
私は世界史苦手だったので、きちんとした知識はないのですが・・・
とりあえず観劇記録を書いたので、これから「天上の愛 地上の恋」を読み直そうと思います。
また号泣しそうだな・・・(笑)

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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
読んで感動しました。もちろん、涼風さんのファンだからなのですが、涼風さんのエリザベートは、最後の「泣いた、笑った、強く生きた・・・」が納得できるエリザベートだと涙したので。
勝手に、自分のブログに貼らせてもらいました。
ありがとうございました。
数吉
2008/11/09 19:45
数吉さま、はじめまして!
涼風さんのエリザベート、
本当に本当に素晴らしかったです!
「マリー・アントワネット」でも、
王妃として、母として生きたアントワネットを、
体当たりで演じてらしたのが印象的でしたが、
今回の舞台を観て、改めて素晴らしい役者さんだと感じました。
その気持ちを素直に書いたのですが、
涼風さんのファンの方に共感していただけて、
とても嬉しいですv
もしよろしければ、数吉さんのブログも教えてくださいね。
恭穂
2008/11/09 22:01
失礼しました。
貼るなら、自分のブログもですよね。
一般的には語れなくて自分と照らし合わせて書いています。よろしければ来てください。
今日の朝、帝劇に向けて離陸します。とても楽しみ!http://blogs.yahoo.co.jp/an2mo1day/56471685.html
数吉
2008/11/10 01:42
数吉さま、こんばんは。
わざわざありがとうございます。
催促しちゃったみたいで申し訳なく・・・
でも、嬉しいです!
早速これからお邪魔しに行きますね。
今日は「エリザベート」堪能されましたか?
道中、どうぞお気をつけて!
恭穂
2008/11/10 21:13
帰ってきました。
盛りだくさんの旅行が終わったばかりなのに、今日、大阪行きの飛行機を予約しました。
マイレージで飛行機代はただですが、涼風さんに、はまりきっています。
http://www17.big.or.jp/~katuo/anthologys/anthologys.cgi
に妄想物語を書くくらい。よければ読んでください。もちろん、読まなくてもいいんですよ。長いし、退屈だし・・・素人ですから。
ただ、書いている本人だけが楽しんでいる趣味です。
本当に、はまりすぎでしょう?
数吉
2008/11/14 22:00
数吉さん、おかえりなさいませ!
盛りだくさんの楽しい旅行だったようですね。
私は明日母と朝海さんのシシィを観にいってきます。
もう1回涼風さんが観たくなっちゃいそうな予感・・・
大阪もいいですね!

おおお!
素敵なページを教えていただき、ありがとうございます!
涼風さんファンとしては新参者ですが、
(舞台は昔から拝見してるのですが・・・)
楽しみにゆっくり読ませていただきますねv
私の場合、感想そのものが妄想爆発ですから(笑)。
そのくらいはまれる役者さんがいるのって、
とてもとても幸せですねv
恭穂
2008/11/14 23:35

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