瓔珞の音

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zoom RSS 春になってしまうまえに・・・

<<   作成日時 : 2009/03/30 22:13   >>

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というか、もうすっかり春ですが(汗)、
書きかけでそのままになっていた「冬物語」の感想、
途中ですがせっかくなので上げておこうと思います。
さすがに3ヶ月以上経ってしまうと、同じテンションで書き足すこともできず・・・(涙)
中途半端ではありますが、大好きな舞台だったので。
DVD化が待ち遠しいです!

というわけで、以下2月中旬に書いた文章です。

*******************************************


今日も風の強い一日でした。
それでも、その風はちょっと柔らかくて、なんとなく春の兆しを感じました。
私の住むあたりの冬は、決して厳しいものではないけれど、
梅の花が咲いたり、空の色が少し濃くなったり、
風の中に春の気配を感じると、ふっと気持ちが華やぐようです。

冬の寒さに閉ざされた城での、抑圧された感情の熱。
穏やかに晴れわたった春の野での、芽生えたばかりの初々しい恋。

蜷川さんの描く「冬物語」は、
それだけではなく、たくさんの鮮やかな”対比”に満ちていました。



彩の国シェイクスピア・シリーズ 第21弾 
「冬物語」

2009.1.18 マチネ さいたま芸術劇場  1階O列10番台

出演:唐沢寿明、田中裕子、横田栄司、長谷川博己、藤田弓子、六平直政、大石継太、瑳川哲朗 他



なんだかんだでずいぶん観てから時間がたってしまいました。
細かな感想は、だから書くことができませんが、
これだけ時間がたっても、私の中に強い印象を残した舞台でした。

暖炉の中の熾火のような、暗い赤で象徴される、シチリア。
そこで育まれた嫉妬と疑心と嘆きと諦念は、
その赤のように静かに、けれど生半可なことでは消し去ることのできない根深さが感じられました。

唐沢さん演じるレオンティーズ。
傍から見れば理不尽としかいえないその嫉妬。
けれど、自分の中の疑心に抵抗し、それでも引きずられるように嫉妬を増していく彼には、
その理不尽さを笑うことのできない必死さがあったように思います。
だからかな、1幕最後の彼の嘆きは、胸に痛いほど響きました。

そんなレオンティーズの激情を全て受け止め、
けれど、決して屈することなく凛と立ち続けた田中さんのハーマイオニ。
困惑の中でも、絶望の中でも、大きく乱れることのない強い存在感でした。
でも、彼女の強さや、逆境の中で自分を制するだけの冷静さは、
激情に駆られたレオンティーズには、きっと心変わりの証にしか見えなかったんだろうなあ・・・

そして、豹変した王にただ狼狽する家臣たちの中で、
唯一真正面から立ち向かった藤田さんのポーライナは、
「オセロー」のエミリアに通じるかっこよさがありました。
違うのは、ポーライナの中には、王に対する敬愛の情があったことかな。
今この瞬間の王の罪を告発しても、その根底には元の王にもどることを願う気持ちがあった。
そういう彼女の”正義”も、”強さ”も、ハーマイオニと同じで、
あの状況のレオンティーズには届かなかった。
でも、それって仕方のないことなのかなあ、とも思う。
あの時のレオンティーズって、きっと嫉妬に狂いながらも、
どこか心の一部分で自分自身に疑念を持っていたと思う。
その疑念を、真正面からクリアに突きつけられたら、
やはりその全てをシャットアウトして自分を鎧うしかなかったのかもしれないなあ、と。

周りの言葉も視線も全てを拒絶した状態から、
ぽんっと真実の世界に放りだされたとき・・・自分の間違いも弱さも狂気も、
全てを受け入れたレオンティーズが流した涙は、本当に痛いくらいで・・・私も一緒に泣いてしまいました。


そんな赤いシチリアと正反対の、
爽やかな春の青空と、萌えいずる草木の緑に溢れたボヘミア。
そこで一人、若き日の友情と、たぶん自由の証であった紙飛行機を飛ばす、ポリクシニーズ。
その姿はとても寂しげで・・・
だからなのかな、春の日差しに溢れているはずのボヘミアでの物語は、
喜びと祝福に溢れていると同時に、なんだかとても寂寥感に溢れているようにも思いました。
青い空の彼方から彼らを見下ろすアポロン(かな?)はとても若々しく力に溢れているけれど、
もう一人の女神の顔は月日に洗われたのかとても不明瞭・・・
ボヘミアとシチリアだけでなく、ボヘミアの中にも、鮮やかな対比は描かれていたのだと思います。

そんな中で、1幕からくらべてちょっと偏屈なおじさまに成長(?)した横田さんのポリクシニーズ。
シチリアでの経験は、きっと彼の中にも深い傷と影を残したのだろうな、と思います。
でも、その憂いもとてもかっこよくv

個人的な印象なのですが、
幼少期からレオンティーズよりもポリクシニーズの方が華やかさを持っていて、
そしてなんでも器用にこなす少年だったんじゃないのかなあ、と思うのです。
ポリクシニーズがレオンティーズを友とも兄とも慕うのは、
もちろんレオンティーズにそれだけのものがあったわけだけど、
レオンティーズ自身はそんな生まれながらの王族というようなポリクシニーズから、
素直な敬愛を捧げられるたびに、そんな自分を誇りに思うと同時に、
常に一歩退いてしまうような感覚もあったのかもしれない・・・
それが、愛する妻が関わることにより、あの嫉妬へと変換してしまったのかなあ、と。
・・・いつもの通り妄想大爆発ですね(笑)。

そんな憂いと若干の理不尽さのある大人組と好対照なのが、
長谷川さんのフロリゼルと田中さんのパーディタ!
いやー、田中さん、なんであんなに可愛らしいんですか?!
長谷川さんと恋人同士の役、というのに、全然違和感ありませんでした!
女優さんって凄いなあ・・・



******************************************


と、ここまで書いて力尽きてます(笑)。
ほんとは、瑳川さんの技あり!なオートリカスのこととか、
善良さとずるさがとても微笑ましい六平さんと大石さんの羊飼い親子のこととか、
マミリアスが被っていた魚の着ぐるみ(?)の意味は何だったのかなあ、とか、
”時”の演出と演技の見事さとか、
田中さんの早替りの鮮やかさとか、
一杯書きたいことはあったのですが、今から書くと全て作り事になってしまいそうで・・・
なので、あえてここで終了しておこうと思います。

でも、本当に本当に、役者さんの力と、舞台という生の息使いの感じられる素晴らしい舞台でした。

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タイトル (本文) ブログ名/日時
09/02/01 さい芸「冬物語」千穐楽で心が融けた
{/kuma_fly/} 千穐楽の簡単報告はこちら 【彩の国シェイクスピア・シリーズ第21弾「冬物語」】 以下、あらすじは公式サイトを踏まえつつ訂正補筆。 「シチリア王レオンティーズは、長期滞在の幼馴染ボヘミア王ポリクシニーズの帰国の申し出を引き止めるため、妻のハーマイオニの助力を頼むが、自分の言葉には気持ちを変えないのに妻の言葉で帰国を延ばしたことから、ふたりの仲を疑い始める。嫉妬心を抑えられないレオンティーズは臣下のカミローにポリクシニーズを殺すよう命じる。カミローはポリクシニーズに打ち明け... ...続きを見る
ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記
2009/03/30 23:22

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時

インフルエンザの恭穂さんに代って千穐楽をみせていただきました。本当に恐縮でまた感謝しておりますm(_ _)m
レオンティーズのポリクシニーズへの嫉妬の考察は私も同様にポリクシニーズの魅力の大きさがあったと思っています。横田さんのポリクシニーズはそれにふさわしいもので、理不尽になりそうな場面を乗り切ってくれていました。
田中さんのハーマイオニも母娘の二役を大きな無理なくいったりきたりできてしまう年齢不詳の女優さんぶりがぴったりでした。
今回は戯曲を読み込んでいかなかったので、二幕冒頭の「時」の演出についてなんとなくしか観ていなかったのが悔やまれます(台詞のない場面ってけっこう気を抜いてしまうところがあります(^^ゞ)。
私もこの舞台を思い出すと、「明けない夜はない」というシェイクスピアが晩年にたどりついた心境に私もたどりつけるといいなぁという気持ちになってしまいます。
明日は3月の晦日、尊敬する女性の上司を定年で送り出す会の幹事を頑張ってきます。
ぴかちゅう
2009/03/30 23:39
ぴかちゅうさん、こんばんは!
送別会の幹事、お疲れ様です。
私は今年の年度末、新年度を当直で過ごしました(笑)。

こちらこそ、千秋楽に空席を作らなくて、本当に良かったです。
ありがとうございました。
時の演出は、台詞というより動きやどんどん変わる仮面が印象的でした。
りゅーとぴあの”時”の演出も素晴らしくて、
この物語の核の一つなんだろうな、と思います。
恭穂
2009/04/01 20:52

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