瓔珞の音

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zoom RSS 孤独の行く先

<<   作成日時 : 2009/03/20 19:23   >>

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25年という時間を、たったひとりで過ごすことは可能なのだろうか?
この舞台を観た時に、最初に思った疑問はこれでした。
村人から罵声や嘲笑を浴びることはあっても、
心のこもった言葉を交わすことはない。
人間としての最低限の生活すら送れずに、
そこにいなくてはならない理由すら明確ではなく、
それでも、一つの名前と、そこで待つという”約束”だけを胸に行き続けた25年。
その孤独に、なんだかとても胸が痛みました。


いのうえ歌舞伎・壊<Punk> 「蜉蝣峠」
2008.3.15 ソワレ 赤坂ACTシアター 1階O列30番台

作:宮藤官九郎
演出:いのうえひでのり
出演:古田新太、堤真一、高岡早紀、 勝地涼、木村了、梶原善、粟根まこと、高田聖子、橋本じゅん 他


昨年の夏以来の劇団☆新感線の舞台!
出演者は豪華だし、ポスターはかっこいいし、チケットも雰囲気あるし、照明は原田さんだしv(おい)、
あの蒼い照明と音楽に包まれると、がーっとテンション上がりますよねー(笑)。

が、今回はその上がったテンションを、のっけから躓かされました(え)。
私自身そんなに新感線の舞台を観ているわけではないのですが、
こういう始まり方をした演目ってありましたっけ?
もうね、すっごい微妙な間のコントの連続!!
それはそれで面白くて大笑いしたし、
堤さんのあの姿には驚愕しましたが(というか、再登場まで堤さんとはわからなかった・・・)、
一度ブレーキをかけられたテンションと、肩透かしを食らった情熱は、
その後も容易には戻ってこず・・・
1幕終盤から2幕へのシリアス路線へのギアチェンジにも上手く乗り切れずに、舞台が終わってしまいました(涙)。
ので、いつもの新感線後の満足度には達せず。
まあ、開幕直後ですので、これからどんどん良くなっていくのでしょうけどね。


闇太郎役、古田新太さん。
この方の存在感は、やっぱりぴか一ですねー。
立ってるだけで面白いし、背中にしっかり哀愁があるし、殺陣のシーンの緊迫した気迫も凄い。
前作に比べて、台詞も”自分のもの”にされてる感じで、なんだかとても滑らかないんしょうでした。
初めて真面目に歌う姿もみましたが、すっごいいい声ですね!!
あんな歌詞なのに、うっかり声に聞きほれちゃいましたよ(笑)。

闇太郎という人物は、その名前と相手の解からない”約束”だけを胸に一人生きてきた男。
銀之助という男と出会い、お泪という女と再会し、宿場町の闘争に巻き込まれることによって、
怒涛のように知らされる自らの過去、自らの記憶、そして”約束”の内容―――
でも、そこにあるのはぬぐうことのできない違和感で・・・
お泪は、彼にとって未だ違和感のある自分の”過去”と今の自分を繋げる架け橋であって、
だからこそ、彼女を手放すことはできなかった。
もちろん、そこに”愛”もあったと思う。
でも、それよりももっと強い”執着”があった。
女の情に縋り付くようにして抱きしめる時のあの切迫した表情が、とても切なかったです。


天晴役、堤真一さん。
いやー、めちゃくちゃかっこよかったです!
着流しと日本刀があんなに似合う方もそうはいないでしょうv
個人的にはプログラムの写真でも着ていらした着物が一番お似合いだったと思います。

天晴は極悪非道な男なんだけど、それは諦念と裏表だったのかなあ、と思いました。
父の望みのままに侍になるために行った人道にもとる行為。
その行為が、愛した女(だったと思う)の過去に直接関わる皮肉。
そして、闇太郎との再会とそこから動き出した時間。
彼自身が闘う理由が、私にはどうにも理解することが出来ませんでした。
もしかしたら、それは、天晴自身が自らの意思で闘うという意識が薄かったからなのかもしれません。
彼が軍鶏を嫌悪したのは、その生き様が自分に重なったから―――違うかな?


お泪役、高岡早紀さん。
生で拝見するのは「TOMMY」以来でしょうか。
相変わらずの美しさで、幸薄く業の深い女を演じられていました。
愛した男と幸せな所帯をもったばかりなのに、
その男が親の敵であると知ってしまった悲劇。
それでも捨てられないその男への恋慕と、嫌悪と狭間で引き裂かれる悲哀。
それを乗り越えて、ただひたすらに”約束”を胸に待ち続けるときの笑顔・・・
素敵でしたv
最後になんで花魁の姿になるのかわからなかったけど(絶対逃げにくいと思うよ?)、
まあ綺麗だったので良いかなあ・・・と(え)。


銀之助役、勝地涼くん。
何気に今回の私的HITでしたv
若い子には食指が動かないはずなのに、おかしいなー(笑)。
闇太郎の物語が再び動くきっかけをつくった役なのに、
その後、闇太郎の物語と絡みながらも別々に進む銀之助の物語。
影の主役、というのはこういうことだったんだなあ、と納得。
始終飄々とした佇まいと、可愛らしい存在感、そして、お泪に匹敵する業の深さを見せてもらいました。
お泪は、自分の痛みごと愛した男を抱きしめ、待ち続けることで自分を保ち、
銀之助は、愛した相手をその手にかけ、譲れない自分の中の何かを守ることで自分を保った。
サルキジを殺した瞬間のあの表情は、なんだかとても綺麗でちょっとびっくりしてしまいました。
「カリギュラ」の時とはまた一皮向けた感じで、
これからもどんどん化けていってくれるに違いない、と期待大!だったりします。


立派の親分役、橋本じゅんさんは、またまた”ちっちゃい男”でございました(笑)。
見せ場も歌も多くて、一ファンとしては楽しませていただきましたv
あの3人組には爆笑いたしましたよ・・・
真面目な顔でプリティーな振付を踊る地味中年三人組(笑)。
そんな派手なパフォーミングに惑わされて、立派の親分の背景は上手く捉えることができませんでした。
というか、背景ないのか?!(え)


お寸役、高田聖子さん。
じゅんさん同様、素晴らしいパフォーミングでしたが、
やっぱりちょっとお寸という女を理解することができませんでした・・・
天晴との関係も、もう少し踏み込んでも良かったのかなあ、と。
でも、結局は立派を愛してたんでしょうか?


がめ吉役、梶原善さん。
なんというか、古田さんとはまた違った凄い存在感でした。
結局、”闇太郎”を作り出し、惨劇を再び繰り返す元凶となったのは、この男なんでしょうね。
不可抗力ではあっても、がめ吉さん自身がそれを骨身に沁みて理解していた。
だからこその最後の行動だったのだと思います。


他の役もそうですが、
この物語の主要な登場人物は、みんな何かを失っていた。
その自分の中の欠失した部分を埋めようと、それぞれがあがいていた。
でも、それを、互いに埋めようとはしていなかった。
闇太郎とお泪の関係すら、ある意味一方通行で・・・
ただ、ひたすらに、全員が孤独だったように思います。
孤独のままにあがいて、闘って、傷ついて、傷つけられて、そして死んでいく―――
そう思うと、なんだか凄く寂しい物語だったなあ、と思います。
観ている最中はあんなに笑ったのにね。
笑いに紛れて、でも消すことの出来ない”孤独”が、この物語のテーマだったのかなあ、と思いました。

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「蜉蝣峠」×3
金曜日 会社からの帰り路。地下鉄の駅まで歩く間に♪フフフンフンフーンフフーンと無意識に鼻歌を歌っていた私。 あれ、これ何の曲だっけ?と考えてみたら・・・ &amp;#63899;ヤクザ イン ヘブ~ン だった!もう、じゅんさんってばぁ&amp;#63893; 劇団☆新感線 いのうえ歌舞.. ...続きを見る
地獄ごくらくdiary
2009/05/11 23:08

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
恭穂さま
大阪の千秋楽も終わって、やっと感想アップしました(遅っ)。
改めて恭穂さんのご感想を読ませていただいて、やっぱり
この舞台が時間を経てすごく進化したのだと思いました。
2幕の息苦しいまでの切なさに、終わった後はシャモリ先輩の
ことも忘れてしまうほど(笑)。
最後にはきっちり持ってくるところ、さすがいのうえさんであり
さすが新感線という感じでした。
スキップ
2009/05/11 22:52
スキップさん、こんばんは!
「蜉蝣峠」どんどん進化していったのですね。
初日近くに見ても、
2幕後半の怒涛の展開は本当に胸に迫りましたが、
最後のほう、本当に見たかったなあ、と思います。
ゲキ×シネ化、待ち遠しいですv
恭穂
2009/05/13 21:21

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