瓔珞の音

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zoom RSS 死者のみる夢

<<   作成日時 : 2009/07/01 21:52   >>

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順調に観劇記録三夜目に突入いたしました。
あ、昼間はちゃんと仕事してるし、旅行準備もしてますよー(頭のなかでは/笑)。
してないのは掃除ぐらいですかね・・・(え)

が、この記録はちょーっと順調にはいかなそう。
とても楽しめたのに、なんというか凄く理解しがたくて、
沢山考えればいろんなことが見えてくるのだろうけれど、
見えることが決して正しくも幸せでもないと感じてしまうような舞台でした。
ので、いつにもまして解かりにくい記録になるかと思いますが、
ご興味のある方はどうぞv



「桜姫 〜清玄阿闍梨改始於南米版」

2009.6.27 ソワレ シアターコクーン Z−20番台

原作:四世 鶴屋南北
脚本:長塚圭史
演出:串田和美
出演:秋山菜津子、大竹しのぶ、笹野高史、白井晃、中村勘三郎、古田新太 他


シアターコクーンにて、初のベンチシート、そして初の最前列!!
変形舞台だったので、上手側面からの観劇になりました。
ので、ちょっと全体が見えにくくて悔しいなあ、という場面もありましたが、
その他のお楽しみ(笑)が多くて、舞台とはまた別の意味で楽しんじゃった感じです。
だって、いきなり足元から人は出てくるし、
直線距離2メートルないくらいで秋山さんの鬼気迫る横顔が見えちゃうし、
隣にいたお友達は古田さんからパンをもらっちゃうし・・・(るーくさん、美味しかった?/笑)
おおー! 膝の触れそうな距離に古田さんが!!
と見事にミーハー化していました(笑)。
でも、あんまり近くだと、かえって目を逸らしちゃうのは小心者ゆえですかね〜(涙)。

物語そのものは・・・歌舞伎の「桜姫東文章」を見たことがないので、
どんな風に翻案したのか、きちんと理解することはできませんでしたが、
時空の垣根を取り払ってしまったような、不思議な感覚の物語でした。
たぶん、見る人、見る場所、見る視点によって、いろんな受け取り方のできる物語なのだと思います。

私は、この物語はジョゼとの心中で死に切れなかったセルゲイが、
瞬間立ち止まった死の淵で見た夢なのかなあ、と見終わってから思いました。
マリアも、イルモも、ココも、イヴァも、
彼らが織り成す愛憎も、みんなみんなセルゲイの夢。
物語の流れの唐突さも、
遠近感を無視したかのような小道具も、
不意に鳴り響く音楽も、
無軌道な夢であると思えば、なんだか納得がいってしまうのです。

そしてこれは、ゴンザの夢でもある。

幸せと不幸せを分かち合う自分の分身の存在、というのが、
この舞台のキーワードだったのだと思うのですが、
セルゲイとゴンザの対比はまさにそれに尽きるのだろうな、と思う。
聖職者であろうとしながら、恋慕の情を断ち切ることのできないセルゲイと、
殺しも盗みもなんとも思わない悪党でありながら、どこか強欲さとは無縁なゴンザ。
ひたすらに死を求めながら、一人でいることのできないセルゲイと、
あくまで生きることに執着しながら、他者を必要としないようなゴンザ。

その二人が、最後に舞台の奥ですれ違い、そしてふっと振り返る瞬間が、
なんだかとても印象的でした。
これの物語が二人の夢であるならば、
死と生の狭間で背中合わせに立った二人が、それぞれ最後にたどり着いたのは何処だったのでしょうか・・・?


白井晃さん演じるセルゲイ、個人的にはどうにも受け入れがたく・・・(え)
久々に後ろからどつきたくなるような役柄でした(笑)。
うわー、この役うざい!と思ったのですが(酷)、
そのうざさが、物語が進むにつれて悪夢のような凄味に変わっていくんですね。
特に、殺された後の笑んでいるのに凄惨に見える表情には、ちょっとぞっとしました。
でも、その表情が、最後に浄化されるかのようにすーっと穏やかになるんですね。
あの時、マリアであった一人の女の表情に、彼が見たものはなんだったのかな?
マリア自身は、その直前に暴かれた、愛する男が父を殺した、という事実のあとにもかかわらず、
ただ穏やかに微笑むだけで、受容も否定もその表情にはなかったと思う。
そのマリアの顔を観ることができたのはよかったけど、
このシーンは正面から観たかったなあ、と思ってしまいました。

セルゲイと対になっていたゴンザレスを演じた中村勘三郎さん。
現代劇で観るのはもちろん初めてなのですが、
喋り方とかちょーっと歌舞伎っぽくて、舞台の中に馴染むのに、個人的にちょっと時間がかかりました。
思いっきり悪役のはずなのに、なんだかさらっとした水のような印象。
命以外の何物にも執着しないゴンザは、
粘着質なセルゲイとはまさに正反対で、やっぱりこの対比はおもしろいなあ、と思いました。
マリアとのラブシーンも、体形は中年太り(失礼)なおじさんなのに、あの色気はなんなんでしょう?!
うわー、これはマリアも忘れられないよ、とか素で思っちゃいました。
何物にも執着しないけど、自分の手の中にあるものはとことん大事に愛してる、という感じが、
あの色気に繋がってるのかなあ・・・?

でもって、そのマリアを演じた大竹しのぶさん。
16歳のマリアと、墓守2という不思議な存在を、鮮やかに演じ分けていました。
そして、マリア自身の不可解さや変遷も。
笹野さん演じる墓守と共に、セルゲイの夢を操る不思議な存在の墓守2。
無邪気なのに計算高く、下世話なのにどこか神聖。
墓守という存在こそが、この物語の輪郭をクリアにしてる・・・いや、ぼやけさせてるのかな?
彼らが神の使いなのか、悪魔の使いなのか、それらを超越した存在なのか、それともただの人なのか。
その答えは出ないけれど、とても不思議な存在感でした。

その笹野高史さん。
沢山の役柄を演じていて、まさに狂言回し的なポジション!
トランペットも吹いちゃうし、動きや表情もとても雄弁。
「幼獣マメシバ」のお父さんとは違った、底のしれなさのようなものを感じました。
個人的には、最後のシーンで墓守2を怒らせちゃったかなあ、と
ちょっとしょぼくれるところがツボでした(笑)。

イヴァを演じた秋山菜津子さん。
相変わらずとーてもお綺麗で、色っぽくて、そしてめちゃくちゃ健気でした。
イヴァというのは、マリアの不可解さとは対極にいるような大人の、
けれどとても素直で、その欲望も絶望もとても解かりやすい女。
ココを心から愛していて、彼に褒められるととても嬉しくて、
彼を満足させられることがとても誇らしくて・・・だから、彼の愛を疑った時、即座に死を選べるような女。
立ち上がり、自分とは違う女を抱いているココを見たときの、あの表情の切なさ・・・
本当に可愛い女性だなあ、と思いました。
で、その一方でドーナツを頬張りながら見事な滑舌で台詞を言う技に感嘆したり、
マングース女(笑)の体当たりな演技に圧倒されたりもしました。
ほんとに凄かったよ、マングース女・・・

そのイヴァに心から愛される、ココージオ役の古田新太さん。
台詞回しも小ネタも顔芸も間合いも人物の深さも、古田さんの魅力全開!という感じで、
凄く見ごたえがあって大満足でしたv
どこまでが台本どおりで、どこからがアドリブなのか全く解からないところが素晴らしい(笑)。
立てないほどに肥満して、言葉一つでイヴァをいいように操りながら、
墓守2の演じる老婆の言葉に惑わされて破滅へと向かうココ。
そして、自分が破滅の淵にいることを知った瞬間の、
あっけにとられたような表情が魅力的でした。
あのシーン、衣装の感じとか、ちょっと「リチャード三世」な感じだったかなあ・・・
でも、それよりも思い浮んだのは、「エレンディラ」のおばあちゃんでした。
風船のような身体に、青トカゲの毒(・・・おばあちゃんの青い血)、そして死が、そう思わせたのかも。

そもそもこの物語、南米が舞台なためか、いろんなところで「エレンディラ」が思い浮びました。
縦に差し込む白い光も、人力で動くトラックも、
不意に現れる陽気で、でもどこか物悲しい音楽隊も・・・
マリアとエレンディラ。
この二人の在り方も、もしかしたら似通ったところがあるのかもしれないなあ。
今、ちょっとそんな風に思いました。

人形のような存在感だったマリオ×2の豊永伸一郎さんと斉藤悠さんや、
冷静沈着な男前のルカ(井之上隆志さん)、
ナイスなコンビネーションの次女のお二人(内田紳一郎さんと片岡正二郎さん)も、
この物語の中で独特な光を放っていて、見ごたえがありました。


昨日が千秋楽だった現代版「桜姫」。
あと1週間で歌舞伎版「桜姫」の幕もあがりますが、
勘三郎さんと笹野さんはこちらにもご出演なのですよね。
きっと休む間もなくお稽古なのだと思いますが、
お体には気をつけて欲しいなあ、と思います。

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09/06/30 好きになれなかった現代版「桜姫」千穐楽
{/m_0216/} 午後から中野に出かけて数年来の溜飲の下がる大仕事ができ、四ツ谷の職場に戻り、夜の部ぎりぎりに渋谷のシアターコクーンへ滑り込み。 コクーン歌舞伎初体験が2005年の福助主演の「桜姫」。面白かったのだが、幕切れに違和感を感じたのがひっかかる。今回は現代劇版と歌舞伎版で6・7月に連続上演する企画だが、どうだろうと思っていたが・・・・・・。 【桜姫 清玄阿闍梨改始於南米版】 作・鶴屋南北 脚本・長塚圭史 演出・串田和美 今回の主な配役は以下の通り。( )内は歌舞伎で相当する役名。 ... ...続きを見る
ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記
2009/07/04 03:31

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
千穐楽にこの現代版「桜姫」を観ました。けれども串田さんの桜姫の人物造詣が物足りなぁと、2005年のコクーン歌舞伎の「桜姫」の幕切れへの不満も思い出していました。7月の歌舞伎版の方は2005年を踏襲するのか気になっています。やっぱり原作通り、最後には仇を討って立ち直って毅然と御家再興する桜姫が好きですねぇ。またそちらも書いたらTBさせていただきます(^O^)/
ぴかちゅう
2009/07/02 00:27
ぴかちゅうさん、こんばんは!
千秋楽をご覧になったんですね。
人物造詣・・・そうですね〜。
なんというか、いろんな意味で揺らぎのある舞台だったなあ、と思いました。
歌舞伎版も来週観にいく予定です。
現代版とどんな風にリンクして、どんな風に違うのか、
今からとても楽しみですv
恭穂
2009/07/02 20:48

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