瓔珞の音

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<<   作成日時 : 2009/08/24 22:42   >>

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「RENT」を初めて観たのは、5年前の来日公演。
内容をしっかり理解できたわけでなく、ただただそのパワーに圧倒されたことだけを覚えてる。
去年は、クリエ版の「RENT」も観て、もともとの演出をほとんど覚えていなかった私は、
間近で聴く「Seasons of Love」に大満足。
その後繰り返しオリジナルキャストのCDを聴きました。
今回の観劇の前に、映画版のDVDも観て。

だから、それで、私は「RENT」を知っているつもりでいた。
ジョナサン・ラーソンという男の生きた時間も、
その男が創り上げた「RENT」というミュージカルの歴史も、
このミュージカルを愛し続けている人々の存在も、
理解できていると思っていた。

でも、今回の舞台を観て、私は初めて本当の「RENT」を観た、と思った。

それは、これまでみた「RENT」が、「RENT」でなかった、という意味ではなく。
今回の公演に、オリジナルキャストが出演していたからでもなく。

「RENT」というミュージカルをただ外側からみていた私が、
「RENT」をこよなく愛する人たちの中で、
その人たちの創り上げる切望と熱情のさなかで、
頭ではなく、肌で、身体で、魂で、「RENT」を感じた。
そういうことなのだと思う。

それは、本当に奇跡のような時間でした。



RENT  The Broadway Tour

2009.8.22 ソワレ 赤坂ACTシアター 1階N列30番台

出演:アダム・パスカル、アンソニー・ラップ、グウェン・スチュアート、レクシー・ローソン、
    マイケル・マックエルロイ、ジャスティン・ジョンストン、二コレット・ハート、ハニーファ・ウッド、
    ジャック・C・スミス、 他


劇場は、最初からテンションが上がっていました。
客席中が、わくわくして、そして、たぶんほんの少し怖がっていた。

待ち望んだ時間。
でも、その始まりは、終わりの始まりでもある。

そんな風に感じたのは、私だけかもしれないけれど・・・
でも、始まる前から舞台に強い意識が向かっている客席の緊張感は、なんだか私をとても戸惑わせました。
その戸惑いは、バンドメンバーが舞台に現れ、
ロジャーが、そしてマークが現れたときの、客席からの歓声や拍手を聞いてさらに強まりました。

こんなにも、強く、深く「RENT」を愛している人たちの中に、私はいてもいいのかな?

なんだかそんな風に感じてしまって・・・
でも、そんな戸惑いは、マークが話し出し、そして音楽が始まった途端にどこかに吹き飛んでしまいました。

ただ、この声を聴けばいい。
ただ、この音楽に身を委ねればいい。
そして、ただ、この空間にいればいい。

素直に、そう思うことができました。
それが、とても嬉しくて、とてもとても幸せでした。


ロジャー役、アダム・パスカルさん。
ロジャーという役は、凄くかっこいいけど、私の中ではなんとも中途半端で、
これまでなんとなく近寄りがたい印象がありました。
正直、「RENT」という物語は、私には受け止めきれない部分も大きいです。
その最もたるものが、ロジャーとミミの関係で・・・
彼らが何故あんなにも臆病で、寄り添うことでなく別れることを選んでしまったのか、
クリエ版を観ても、映画版を観ても、私には理解できなかった。
最後にそれがあっさり覆されることも、なんというか納得いかなくて。

でも、今回、彼の歌う♪One Song Gloryを聴いて、
ロジャーの持つ繊細さとか、抱え込んだ疵とか、情の深さとか、
そういう部分が理屈でなく感じられて、初っ端から泣けてしまいました。
ああ、この人なら、あんなにも臆病になってしまうかもしれない・・・そういう風にも思えて、
で、少年のような真っ直ぐさを残したロジャーが、なんだか凄く可愛く感じられてしまったのね。
それは、他のキャスト、というか役柄もそうなんじゃないかな、と思った。
だって、予想していた以上にいじられキャラなんだもん、ロジャーって(笑)。
みんなが彼をちょっとしたところでかまってるの。
きっと末っ子だよね、彼。で、マークは長男なの(笑)。
それが凄く微笑ましくて、そういう風に愛されている自分を、
ロジャーは独りになったことで初めて感じることができたんじゃないかな、と思う。



ロジャーが可愛くて、ほっとけないのは、ミミも同じだったんじゃないかな。
ミミのほうが若くて世間知らずな部分もあるのかもしれないけど、
彼を愛したことで、ミミは急速に大人になっていったように思う。
ミミ役のレクシー・ローソンさんは、もうめちゃくちゃ可愛くて、めちゃくちゃセクシーで、歌もダンスも最高!
でも、一番印象に残ったのは、♪Goodbye,Loveで、ロジャーの背中を優しく抱きしめたシーン。
この別れが、私的にはずっと納得のいかないものだったんだけど、
二人を見て、何故かふっと納得できてしまったのね。
このシーンって、二人ともこんなにも泣いてるんだ、って、すごいびっくりしました。
憎しみでも、不信でも、諦念でもなくて、ただ互いが愛しいから離れるしかない。
それがどんなに辛くても、ともに在ることの方が相手を苛む。
だから離れる―――そういう愛もあるのかな、と思った。
ミミは、ほんとにもっと幼くて向こう見ずなイメージがあったので、それがとても新鮮でした。


新鮮といえば、エンジェル役、ジャスティン・ジョンストンさん!
なんというか、可愛いというよりかっこいい印象だったの。
母性もあるけど、父性もある、というか、人間的に凄く強い感じ。
エンジェル=キュートvというイメージだったので(それはたぶん田中ロウマさんの影響/笑)、
それが凄く新鮮でした。
亡くなった後、真っ白な布を引きながら光の中を去っていくシーンがとても好きでした。
後ろの方の席だったので、その時のエンジェルの表情まではわからなかったけれど、
映画のラストシーンのエンジェルの静かで優しい表情が思い浮びました。
そんな感じのエンジェルだったので、ジャック・C・スミスさんのコリンズとも、
とても大人でしっとりした雰囲気のカップルでした。


そんな大人な二人と対照的なのが、モーリーンとジョアンヌ!
いやー、体当たりで元気一杯なカップルでした(笑)。
モーリーン役の二コレット・ハートさんは、すばらしい存在感!!
♪Over the Moonなんて、もうほんとに独壇場ですよ。
仕草の一個一個も雄弁で面白くて・・・あれは目の前で観たらテンション上がるよねー。
「Moo with me!」と叫んだ後、客席が大きく答えたときの全開の笑顔が印象的でした。
ハニーファ・ウッドさんのジョアンヌとの掛け合いも大迫力!


そして、マーク役、アンソニー・ラップさん。
彼の立ち位置に、私はとても心惹かれます。
人生の中の大きな波、小さな波、沢山の変化に立ち向かい、押し流されていく友人たちの中で、
彼自身も必死にもがきながら、でも、彼らの傍で、彼らを見つめ、彼らを記録し続けたマーク。

I'm here, nowhere.

その言葉。
そのときの表情―――ちょっと困ったような、笑顔。
そして、その後、スポットライトの外側で、独り椅子に座りながら、ロジャーたちを見つめ続ける後姿。
舞台の上では、ロジャーたちの感情が大きく動いているのに、
私はどうしてもその静かな後姿から目を離すことができませんでした。
常に傍観者であることを選び、だからこそできることを知っている、マーク。
だからこそ、ここに在ろうとする強さ。
それは、ラップさんのマークだからこそなのかもしれない。
そう思ったら、この舞台を観ることができて、ほんとに良かった、と改めて思いました。



メインキャストのことばかり書いてしまいましたが、
出演されたお一人お一人、歌もダンスも素晴らしかったです!
それぞれの役柄まではきちんと理解できていないので、それがとても残念・・・

それにしても、♪Seasons of Loveのソリスト、グウェン・スチュアートさんの歌声の力には圧倒されました。
あの歌詞も、スチュアートさんが作られたのですね。
全然知らなくて、でも、とても好きな歌詞だったので、
それを作ったスチュアートさんの歌声を聴くことができてとても幸せでした。
高良結香さんも、ちっちゃい身体でパワフルなダンスとコミカルな歌、見ごたえばっちりでした!
アレクシー、最高!(笑)
窓ガラス拭きの役をやっていた方の歌声も好きだったなあ・・・顔と名前が一致しません(涙)。

そういえば、バンドの中のお一人(ベース、かな?)が、
出てくるたびに客席に笑顔で会釈してくれるのが、なんだか妙にツボでした(笑)。
大迫力な演奏と、そしてパワフルなキャストの皆さんの歌声に、
自然に体が揺れて、そして自然に歓声を上げてしまいました。
スタンディングもすごい早くてびっくり!
終った瞬間に、周り中が立ち上がって、あわてて立ち上がりました。
でも、その気持ちはわかるかも・・・自分がどんなに感動したか、どれだけ力をもらったか、
客席から伝えるにはその手段しかないのだから。


満員の客席。
立ち見の人たちもいました。
こんなにも沢山の人たちに、こんなにも深く愛されている「RENT」。
「RENT」をこよなく愛する人たちと比べれば、
私は、たぶんまだこのミュージカルの持つ世界の入り口に立った程度だと思う。
入り口から、この世界に触れて、この世界を直に見て・・・喜びと、興奮と、そしえやっぱり恐怖がある。
これから、私が「RENT」というミュージカルに今以上に心惹かれるかどうかは解かりません。
今回の舞台が、本当に私の中で特別なものになってしまった気がする。
もしかしたら、これから何度、どんな「RENT」を観ても、
この日の舞台を越える「RENT」には出逢えないかもしれない。
でも、それでもいい、とも思える。
そのくらい、私にとっては奇跡の舞台でした。



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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
恭穂さんの感想読みながら思わず泣いちゃいました。(とくにマークのくだり)
たまらなくなって映画と舞台のDVDをリピート中です(笑)

私もこの目で見て、自分の体でその空気を感じたかったけど
本当に素晴らしい舞台だったんだって伝わってきました。
素敵な感想を読ませてくださって、ありがとうございます。

DVDでしか見てないけど、映画のウィルソン・A・へレディアさんがとにかくキュートで守ってあげたくなる柔らかい感じのエンジェルなのに対して、私もジャスティン・ジョンストンさんのエンジェルは男前で包容力にあふれたエンジェルだなあと思います。
どっちのエンジェル像も素敵ですね。
みずたましまうま
2009/08/26 22:33
みずたましまうまさん、こんばんは!
ジャスティン・ジョンストンさんのエンジェル、
包容力に溢れた、という表現、まさにその通りですね!
DVDのへレディアさんのエンジェルも、
私もどちらも大好きですv
同じくDVDリピートしてます(笑)。
舞台版も買おうかなあ・・・(真剣悩み中)
恭穂
2009/08/28 00:05
舞台版良いですよーv
損はないと思います。

映画はオリキャスが見られるのはいいけど
ベニーがただの悪人なのと
「Christmas Bells」や「Halloween」の全カットや
「Good Bye Love」後半のカットがやっぱりもったいなくて…
映像のある分はDVDの段階で再編集してほしかったな、と思います。
みずたましまうま
2009/08/28 22:37
私も、恭穂さんの書かれた感想、
特にマークに関してのコメントを拝見して
思わずうるうるしました…。

「RENT」って本当に不思議な作品ですよね。
見る度に、強く揺さぶられてしまいますもの。
どうして、こんなにまで
この作品に魅きつけられるのかわからないんですが…
本当にとてつもないパワーを秘めている作品だと思ってます。

今回は観に行くことができず、残念に思っていたのですが
恭穂さんの素敵な素敵なレポを拝見できて
まるで舞台が目に浮かぶようでとても嬉しくなりました。
ありがとうございました!
さつき
2009/08/29 21:58
みずたましまうまさん、こんばんは!
やはり、舞台版、買いですか・・・
確かに、映画はカットの部分も多いですものね。
特典映像を観ないとベニーも確かに悪人だし(笑)。
個人的には、ベニーはとてもいい人なように思うのですが。
日本版では泉見さんが演じてらしたんですよね。
うーん、観たかった!

話がそれましたが、舞台版DVD、
早速チェックしてみようと思います。
教えてくださってありがとうございましたv
恭穂
2009/08/29 22:51
さつきさん、こんばんは!
ほんとに「RENT」の持つ吸引力って凄いですよね。
見る人毎に、見た時期によっても、
感じるもの、受け取るものが違うように思います。
だからこそ、何度も見たくなってしまうのでしょうね。

マークは、初めて見たときから心惹かれる存在でした。
彼の静かな立ち位置が凄く印象的で。
今回オリジナルキャストで見れて、ほんとに幸せでした。
つたない記録ですが、さつきさんに喜んでいただけたなら何よりですv
またいつか来日してくれるといいですね。
恭穂
2009/08/29 22:56

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