瓔珞の音

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<<   作成日時 : 2009/08/06 22:48   >>

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私は英語が大の苦手です。
嫌いじゃないけど、ほんとに苦手。
もう、才能がないんでしょうねー(涙)。
でも、英語圏の物語は大好きで、翻訳だけど、よく読みます。
大好きな作家さんの本を原語で読むのが老後の夢だったり(笑)。

そんな大好きな物語の一つ、「大草原の小さな家」で、
主人公の女の子が学校でスペルの暗唱をするシーンがありました。
まだ英語を習い始めたばかりのころの私には、
その描写が凄く印象的で・・・
その時の気持ちを、このミュージカルを見てふっと思い出してしまいました。


「スペリング・ビー」

2009.7.26 マチネ 天王洲銀河劇場 1階G列30番台
2009.8.2  マチネ 天王洲銀河劇場 2階ボックス2

出演:藤井隆、新妻聖子、梶原善、高田聖子、坂本健児、風花舞、安寿ミラ、今井清隆、村井国夫


子供たちが口頭で英単語のつづりを言う、というスペリング・ビー。
出題された単語の意味や成り立ちを聞いたり、発音を確認したりはできるけど、
一度言ったつづりを言い直すことはできないという、かなりシビアなこの競技。
アメリカではとてもポピュラーなのだとか。
実際、私の英会話の先生も、参加こそはしなかったけれど(田舎なので、と/笑)、
「アメリカの人はみんな知ってるわ」と(たぶん)言っていました。

物語は、パットナム郡の第25回スペリング・ビーの会場で繰り広げられます。
劇場全体を会場の体育館に見立てたセットには、
舞台の奥と2階席の前にバスケットのゴール。
子供たちを励ます垂れ幕もかかり、
私たち観客は、まさに大会の観客であり、出場者の家族であり、そして出場者自身である、というコンセプト。
そう!
観客参加型のこの舞台では、観客の数人がスペラーの一人として舞台に上がり、
実際に問題に答え、子供たちと笑いあい、間違えればカウンセラーに抱きしめられ、
あまつさえ、舞台の上から今井さんの素晴らしく朗々とした声でお名前を呼ばれちゃったりするのです!!
観客への質問は、ブーイングが起きるような簡単なものから、
聞いたことないよ!なものまで様々。
そして、司会のロナ役の安寿さんのコメントが秀逸!
出題者のパンチ校長役村井さんの例文も微妙なぬるさで爆笑!
たぶん、細かく設定や流れが決まっているのだと思いますが、
観ている最中は、もう一緒になって笑ったりどきどきしたり・・・
私も駄目もとで応募すればよかったなあ、とちょっと思いました。

そんな楽しいスペリング・ビーも、一人、また一人と脱落者が出るに連れて雰囲気が変わってきます。
スペラーは、一人一人が何かしらの”理由(わけ)”を持っている、まさに訳ありな子供たち。
たった一つのつづりのいい間違いで、無情にも失格になってしまうという、
とてもストレスフルな状況の中で、少しずつ明らかになっていく、
彼らの悩み、葛藤、夢、諦め、切望、絶望―――そして、その先の未来。

こどもの純粋さや可愛らしさだけではなく、
ずるさも、したたかさも、弱さもある一人の人間として描き、
そして、最後に、自分自身の力で成長していく強さを見せてくれたこの舞台。
演じたのはもちろん"大人"で、最初はどうにも"こども"に見えず、
まあ、これも笑える要素でいいのかなあ、なんて思っていたのですが、
物語が進むにつれて、その虚構のリアルさに、ただただ引き込まれました。
"かつてこどもだった"大人たちが演じることで、
こどもの心の深い部分まで、クリアに見ることができのかも、と思います。

もちろん、子供が演じれば、別の魅力や見えてくるものがあったと思う。
でも、子供が演じると、全てが嘘っぽくなってしまう危険もあるのかなあ、と。
そういう意味では、このキャストは本当にベストだったんだろうな。

6人の子供たちは、訳ありなだけでなくひたすら個性的!
彼らの心が見えてくるうちに、一人一人を抱きしめてあげたくなるくらい、なんだか愛おしくなりました。
その中で、特に私の心に響いたのは、実は梶原善さん演じるリーフだったりするのです。

沢山の兄弟たちと、学校に行かず自宅で両親からの教育を受けている、ホーム・スチューデントのリーフ。
お手製の突拍子のない(でも実はめちゃくちゃ可愛いv)服に、一瞬もじっとしていないリーフ。
地域の大会で3位だったのに、1位と2位がおたふくかぜで出れなくなり、繰り上げ出場となったリーフ。
いつも笑顔で元気一杯に見えるけど、家族の中では"ダメな子"といつも言われているリーフ。
"ダメな子"ということばは、きっと家族にとっては"可愛い子"とにたニュアンスの、
愛情の込められた言葉なんだと思う。
でも、彼にとって、"ダメな子"という言葉は、彼自身の自信を失わせるものでしかなかった。

それでも、彼はこの大会に出てきた。
―――周りはチャンピオンで、僕はチャンピオンじゃない。
それでも、彼はこの大会でベストを尽くした。
―――初めての体育館、初めて合うチャンピオンなスペラーたち。
そして、過酷な状況の中で、失格となったその時、彼は何かを掴んでいた。
―――自分は"できる子"かもしれない・・・!

梶原さんの歌は、ミュージカル風ではありません。
音も外れるし、伸ばすところでは声はかすれるし・・・
なのに、失格になったリーフが、晴れ晴れとした笑顔で「できる子かも!」と歌うシーンに、
なんだか凄く感動してしまったのです。
ほんとに、まさかあの歌で泣かされるとはおもっていませんでした(おい)。
ミュージカルの歌というのは、やはり歌であると同時に、彼らの言葉であるのだと、
改めて感じることができました。

梶原さんはリーフ以外にもシュワージーの二人のパパの一人を演じてらしたのですが、
それがまた味のあるゲイでv(笑)
今井さん演じるパートナーとのやり取りも楽しませていただきました。


そのシュワージーを演じたのは、高田聖子さん。
なんと7歳の女の子の役!
二人のパパに育てられた、ちょっと大人びた女の子を、無理なく(と私は思った)演じてらっしゃいました!
歌も沢山あったのですが、高田さんも梶原さんと同じように、
歌のなかの台詞としての比重が高い印象。
更に、動作の一つ一つが無駄がなく、且つ客席からのスペラーにもきちんと気を使い・・・
素晴らしいなあ、と思いました。大好きですv
二人のパパとの生活と、学校での生活の狭間で揺れ動き、
パパたちを愛しているからこそ、強がってしまう少女の切なさが伝わってきました。
7歳という年齢以上に大人びることを要求する環境の中で、
でも、自分の中の譲れない部分を守る強さと、不屈の精神を持った素敵な女の子でした。


(たぶん)出場者の最年長なチップは坂元さん。
まさに思春期!な感じでしたねー(笑)。
客席にいるリーフのお姉さんに(体が?)一目惚れしてしまい、
そのために2年連続の優勝を、些細なミスで逃してしまったチップ。
1幕で出番終わり?!と思ったら、
2幕最初に、スナック売りをしながら、何故ミスったかを切々と訴えてくれました(笑)。
毎回、前方席センターブロックにいる観客の一人をお姉さんに見立ててるみたいで、
1幕からずっと、舞台の上からその人に熱い視線を送っていました・・・うーん、細かい!

でもって、更にはマーシーの心の中に現れるジーザスも演じてました!
ほんと、マッチョなジーザス!
かなり冗談っぽい軽いジーザスだったのですが、
その言葉にはけっこうな重みがありました。

「きみが失敗しても失望しないし、正解しても失望しない。それは自分にとってはたいしたことじゃないんだから」

その言葉に、一つの壁を蹴り破ったのが、風花さん演じるマーシー。
6ヶ国語を操り、学校も飛び級し、スポーツは何でも得意で、ピアノだってお手の物な才色兼備な女の子。
でも、1日3時間しか眠ることができず、人前で泣くことも許されず、戸棚に閉じこもる癖がある―――
なまじ才能があるだけに、大人からの期待に窒息しそうだった彼女が、
期待に沿わないことが人生の終わりでも、絶望でもないことに気づいて、
思いっきり明るくスペルを間違えて、踊りながら退場するのは、とても清々しかったです。
こどもって、ほんとに周りの期待に応えようとしちゃうんですよね。
応えなければ、嫌われる―――そういうふうに思ってしまうの。
こどもとしても、おとなとしても身に覚えがあって・・・
だからこそ、突き抜けていったマーシーが、とても素敵に見えました。
で、風花さん。
「回転木馬」での妖艶な役とは打って変わって、クールでちょっとこまっしゃくれた、
でも憎めない女の子を可愛く演じてらっしゃいました。
2幕のソロは、ダンスも動きも演技も目一杯で、凄く大変そうだけど、見ごたえがありました!


ウィリアム役の藤井隆さん。
とても細かく演じてらっしゃるのですが、個人的にはちょっと印象が薄かったかな。
いや、周りが濃かったのか(笑)。
彼自身の葛藤が、周りに比べるとちょっと解かりにくかったこともあるのかも。
まあ、ピーナッツアレルギーは、ほんと命にかかわりますからね・・・
去年、なぜかピーナッツの入ったお菓子を食べてしまって棄権した彼が、
リベンジを誓って参加したこの大会。
足でスペルをかき、それを視覚的に捉えて正解する、という「魔法の足」をもつ彼が、
その足に頼らずに正解を得、そして、一人の女の子に心惹かれて行く・・・
その過程をとても丁寧に表現されていたように思います。


その女の子、オリーブを演じていたのが新妻聖子さん。
いやー、ぴっくりするくらい可愛くて華奢な女の子でした!!
もともととても華奢な方なのですが、淡いピンクのオーバーオールや、
ツインテールにした栗色の髪、ピンクのほっぺ、ちょっと尖らせた口など、
まさに可愛い女の子!!

でも、仕事ばかりのパパと、インドにスピリチュアルな旅に出てしまったママを待ち、
一人家で、ひたすら辞書を友達にしている孤独なオリーブ。
2幕では、chimerical(空想的な、ありえない)という言葉に喚起されて、
パパとママとの関係が描かれます。
愛しい子、完璧な子、そして淋しい子、と言いながら、彼女をおいていくママ。
その妻への不満を娘に悟られている父。
「oliveの最初と2番目の母音を入れ替えると”I love”になるの」というオリーブにとって、
けれど、両親の愛の言葉は、決して彼女が本当に欲しいものではなかったのだと思う。

彼女が欲しかったのは、たぶん優しく頬を撫でる手、そして毎日のキス。

大人が考えるこどもにとって必要なものと、
こどもが本当に必要としているものは、こんなにも異なってしまうのか―――
顔中くしゃくしゃにして泣きながら、「ママ! ママ! ママ!!」と歌い上げるオリーブを見て、
なんだかとても辛くなりました。

もちろん、オリーブは、この大会に出たことで、
家の、家族の外の世界へと戸惑いながらも飛び出していきます。
それだけの強さを、彼女は持っていた。
それはとても嬉しいことだけど、でも、もっと彼女の欲しいものを手渡してあげたい、そうも思ってしまいました。


そんな、愛すべき子供たちを見守る3人の大人も個性的!
かつてのこの大会のチャンピオンでもあるロナ役の安寿さん、
めちゃくちゃお綺麗でした!!
歌も聴き応えがありましたし、オリーブのママに、ショール一枚で早替りしちゃうのはさすが!
校長役の村井さんに、こまめにつっこみもいれていて、いいコンビだなあ、と思いました。

そして、失格となった子供たちを抱きしめてジュースを渡すカウンセラー役の今井さん!
まずその衣装がすごい!!
黒いTシャツにジーンズに、チェーンのアクセサリーにサングラス!!
落ち着かない子供たちにすごんで見せたり、
勝ち残っちゃいそうな観客からのスペラーに、答える前からジュースを持ってプレッシャーかけたりしてました(笑)。
でもって、校長の隣の席で、校長の言う例文にずっこけたりにらみを利かせたり・・・
面白かったですv


そんなこんなで、実は予想以上に楽しめてしまった「スペリング・ビー」。
地方公演も、明後日の福井で終わりのようですね。
大人にも、こどもにも観てもらいたい素敵な舞台だったので、
もう終わってしまうのがとても残念。
またいつか再演してくれたら、今度は勇気をだしてスペラーに応募してみようと思いますv

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タイトル (本文) ブログ名/日時
スペリング・ビー7/23マチネ(体験編、超ネタばれです)
容赦なくネタばれしております。 ...続きを見る
ひとりごと
2009/08/07 20:27

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
大草原の小さな家のエピソード覚えてる
人がいるなんて・・・・・
ミュージカルは残念ながら見ておりません。
ちょこっと・・・
2009/08/07 14:20
思い切り楽しめて、心に温かいものが残る素敵な舞台でしたね。

>少しずつ明らかになっていく、彼らの悩み、葛藤、夢、諦め、切望、絶望―――そして、その先の未来。
こどもの純粋さや可愛らしさだけではなく、
ずるさも、したたかさも、弱さもある一人の人間として描き、
そして、最後に、自分自身の力で成長していく強さを見せてくれたこの舞台。

この舞台の魅力はこの文章に言い尽くされていると思いました。
いっぱい笑えて、参加できて楽しいけど、それだけの作品じゃないんですよね!
私ももう一度このキャストで見たいです。

>彼らの心が見えてくるうちに、一人一人を抱きしめてあげたくなるくらい、なんだか愛おしくなりました。
お気持ちすごくわかります。
梶原リーフ&高田シュワージーの二人の退場時の歌は、たとえ音が外れていようと、かすれていようと心を動かされたし
間違えた時の風花マーシーの笑顔はすごく自由で魅力的だったし
坂本チップは大笑いさせてもらったし。
藤井バーフェイは近くで見ると表情や視線の変化がすごく良かったんですけど
確かに劇場全体まで届いたかどうかは微妙かもしれませんね…。

オリーブの「I Love You Song」、
私は、オリーブの両親が現実にはオリーブのことはほんとに無関心で、
彼女の空想の中でだけ彼女に優しくて、褒めてくれて「愛してる」と言ってくれるんだと…
勝つことで両親に少しでも自分を見てほしいから必死だったのだと思っていました。
バーフェイとオリーブが互いに心を開いていく様子や
大人になった彼女が「愛情深い母親になった」という一言に
すごくほっとして胸が熱くなりました。
ちょっと悲観的な解釈しすぎてたかも(汗)

新妻さんがクララ、キムに続いて
この作品でまた一つステップアップされたと思います。

みずたましまうま
2009/08/07 20:38
ちょこっと・・・さま、CMありがとうございます。
あのシーン、実はすっかり忘れていたのですが、
このミュージカルを見て思い出しました(笑)。
素敵な舞台なので、再演がありましたら、
是非ご覧になってみてくださいねv
恭穂
2009/08/07 20:48
みずたましまうまさん、こんばんは!!
それぞれの役者さんの魅力全開+新たな魅力発見!
な、見ごたえのある舞台でしたね。
オリーブの両親との邂逅は、
確かに彼女の空想なのかもしれませんね。
でも、あの時の彼女の泣き顔が本当に切なくて、
(新妻さん、グッジョブです!!)
彼女の望む形ではなかったとしても、
両親には彼女への愛情があった、と思いたくなりました。
愛情深い母親で、2位の価値を知っているスペラーで、
自分の手で新たな世界を掴んだこどもで・・・
きっと彼女は素敵な人生を歩んだのだろうな、
と思うと、私も幸せな気持ちになりました。
再演、切に希望です!!

みずたましまうまさんのブログへのTB、
上手くいかなかったみたいでやり直しました。
もし2回届いてしまっていたらごめんなさい(汗)。
恭穂
2009/08/07 20:53

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