瓔珞の音

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zoom RSS あわいの桜

<<   作成日時 : 2009/09/13 23:25   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 4

一つの劇団の、始まりの公演を観てきました。
小劇場系には手を出さないでいようと決めている私にとって(生活の基盤が危うくなります・・・)、
たぶん、この演目でなければ出会うことのなかった劇団です。
たぶん、手探りの状態で、一から創り上げられたこの舞台。
原作への愛情、演じることへの熱情、そしてこの舞台の創造への切情が溢れた、
素晴らしい舞台でした。


風ノ環〜fu-rong〜 第一回公演
「狐笛のかなた」

2009.9.13 マチネ 中野ザ・ポケット
原作:上橋菜穂子
脚色」桂木琴子
出演:樹元オリエ、都筑大輔、狩谷孔聖、阿部岳明、おぐらひとみ、山形匠、文秉泰、中根大、マミヤリン
    草野元紀、羽音、坂本和代、茂木かずい、上原健太、丸山哲司、北岸良子、吉田大地、橋本浩人、]V、
    大野由紀子


大好きな上橋菜穂子先生の「狐笛のかなた」。
人の心の声を聴くことのできる少女・小夜と、
呪者に命を握られた霊狐・野火、
そして、10年もの間、幽閉されていた少年・小春丸。
憎み、争い、報復の連鎖に巻き込まれた二つの国の狭間で、
自らの過去を、自由を、広い世界を求め続けた彼らを描いた物語。

観劇に先立って改めてこの物語を読み、
鮮やかな色彩のイメージが舞台向きだなあ、と思う反面、
呪術や〈あわい〉といった要素の扱いの難しい物語だな、と思っていました。
正直、あまり期待はせずに見に行ったのが本当のところです。
が!
そんな風に思っていたのが申し訳ないくらい、よく練りこまれた見ごたえある舞台でした。

まず、凄いな、と思ったのが、舞台美術。
小さな舞台の上には、様々な植物が絡み合い、複雑に枝を伸ばした1本の大木。
その樹に照明の色合いだけで、作り出す陰の揺らぎだけで、
そこは夜名の森になり、森陰屋敷の木立になり、
若桜野の健やかな木々になり、〈あわい〉に在る霊狐ノ宿り樹となり・・・
そして最後には、淡い色合いの満開の桜の花となった。
そんな1本の樹が作り出す様々な空間で、
狭さすら武器にして、複雑な物語が紡がれていきました。
舞台の前後を黒い幕で仕切り、それを透かすことで、
場所や時間を越えた演出が入ったのも解かりやすかったです。

脚本も、とても良くできているなあ、と思いました。
この長い物語を、ファンがはずして欲しくないと思うシーンをきちんと入れて、
2時間半の舞台に纏め上げたのは、ほんとに凄い!
もちろん、その分物語の流れはかなりアップテンポで、
緩急というより急急という感じではありましたが、
間に舞や歌、ヴァイオリンの生演奏が入ることで、上手く雰囲気をコントロールしていたと思います。
それでも、役者さんたちの台詞以外のやり取りの間が殆どないのは、
お芝居そのものが良かっただけにちょっと残念だなあ、と思いましたが。
もっと長い公演期間だったら、そういうところももっとこなれていったのかなあ・・・
数日の短い公演なのが、ほんともったいない。

役者さんたちも、知らない方ばかりでしたが、とてもお上手でした。

小夜役、樹元オリエさん。
とても綺麗な声で、16歳という年齢の小夜を無理なく演じてらっしゃいました。
1幕、若桜野で闇ノ戸を繕うときの舞のシーンがとても印象的。
あのシーン、舞台奥で舞う記憶の中の花乃さんとの動きがきちんと一致していて、
間の鈴の動きとの対比がとても美しかったです。
そして、花乃と小夜のつながりが無理なく感じられて、実はちょっとうるうるしてしまいました。
でもって、2幕の野火とのらぶらぶっぷりがもう微笑ましくってねー(笑)。
野火に心惹かれて行く様子が凄く良くわかって、
狐笛を玉緒から受け取るときの笑顔とその後の行動に、説得力があったように思います。

また、野火役の都筑大輔くんが、一見無表情なんだけど凄く素直な感じで、
要所要所で凄く良い表情をするんですよ。
特に、終わり間近、〈あわい〉で小夜に膝枕してもらってる時とか、
すごーく満足そうな穏やかな顔をしてるの。
自分の意思で小夜を守ることができて、ほんとに幸せだったんだろうな、と思う。
木縄坊とのやり取りのときの、無邪気な笑顔も可愛かったですv
動きも滑らかで切れがあったし、台詞も聞き取りやすかったし・・・要チェック?(笑)

その木縄坊役、上原健太さん。
もの凄く舞台慣れしてる印象でした。
凄くメリハリのある動きと台詞回しで、野火や小夜や蔦の女房さん(笑)との絡みもとても自然でした。
客席中央の階段を駆け抜けるスピードも素晴らしく・・・
またどこかの舞台で拝見できたら嬉しいなあ、と思いました。

盛惟役、山形匠さんも印象的でした。
あの盛惟の気弱さや余裕のなさを見事に表現されていました。
それにしても、あの着物の着崩れ方はわざとですか・・・?

盛惟の兄貴分(え)な久那役、文秉泰さん。
いやー、かっこよかったです。
〈あわい〉での覆面状態(おい)での目線の鋭さとか、ちょっと退廃的な喋り方とか、
気力のあんまりなさそうなところとか、微妙に好みでしたv(笑)
もうちょっと色気があると完璧だったんだけどなー(え)。
私の胸キュンポイントはここだったみたいだよ、ななさん!
いや、キュンはしてないけどさ(さすがに若さが足りません・・・)
それにしても、久那の最後は自業自得とはいえ哀れだなあ。

声がとーっても素敵だったのが、大朗役、草野元紀さん。
すらっとしたかっこいい方で、術を施す時の手の動きも綺麗でしたが、
あの朗々と響く声にちょっとよろめきました。
もっと大きい舞台でも映えるだろうなあ。
影矢にやられたあとの苦しみ方もリアルでしたが、
その後の野火への態度が、私には「花嫁の父」に見えて仕方がありませんでした(笑)。

春望役、阿部岳明さん。
やはりとてもかっこいいかたでしたが、微妙に台詞が聞き取りにくいのがちょっと残念。
小春丸とのご飯のシーンでの、あのいたたまれない雰囲気が素晴らしかったです(笑)。

で、その小春丸役、狩谷孔聖さん。
2幕冒頭の苦悩する様子を体当たりで演じてらっしゃいました。
若、ご乱心!!という感じ?(え)
でも、少年に見えなかったのは、なんでかなあ・・・
というか、小春丸については、あの衣装がちょっと残念な感じ。
着物の袖のところで切って、袖は別の布で肩の部分の下から繋がってるんですが、
その張り出した肩のところが、どうにも肩上げに見えてしまって・・・
裃風にしたかったのかもしれませんが、子供の着物の印象になってしまっていたような。
この舞台、全体的に綺麗な色合いの衣装で素敵だったのですが、これだけが残念。
霊弧の衣装とか、それぞれの特徴が出ていて、尻尾も可愛くて良かったんですけどねー。

その霊狐の一人、影矢役、中根大さん。
ビジュアル系な影矢でした(笑)。
終演後、外の喫煙所で普通に煙草を吸ってる姿が違和感なく(え)。
出番そのものも多くはなかったのですが、影矢の強さがあまり見えなかったのが残念かな。
1幕で、久那に張り倒されて倒れこんできた野火を、ぺッとばかりに払いのけたのがツボでした。
影矢はこうでなくっちゃ!(笑)

そして、霊狐で最強なのでは?と思ったのが玉緒役、マミヤリンさん。
この劇団の主催者のお一人なんですね。
とても綺麗で色っぽい玉緒でしたv
彼女の情の深さも、ずるがしこさも、残忍さも、きちんと見せていただきました。

もう一人、とてもかっこいい女性だったのが、羽音さんの演じた鈴。
決して派手な動きをしているわけではないのですが、
鈴の心情が細やかに伝わってきました。

終演後、カーテンコールがない分、役者さんたちが客席に出てきてくださいました。
身内の方やお友達とお話したりして、アットホームな雰囲気。
たまたま私の座った後ろの列に、野火のご家族が座ってらしたのですが、
おじいちゃんと一緒に記念撮影したりしていて微笑ましかったです。
で、私も調子に乗って、鈴さんと大朗さんにお声をかけてしまいました(笑)。
いや、ほんとに鈴さん、かっこよかったんだもの。

羽音さんもこの劇団の団員の方なのですね。
他の方たちは、他の劇団からの客演、という感じなのでしょうか?
この劇団がどういう劇団なのかまだ理解できていませんが、
セットや音楽だけでなく、表現の方法のこだわり方がとても好感が持てました。
今後どんな舞台を創られるのか、とても楽しみです。
・・・こうして小劇場系もはまっていくのかなあ(汗)。


そんなこんなで、予想以上に楽しめた舞台でした。
ちょっと辛口な感想になってしまいましたが、
演劇ファンの戯言+期待の現われ、ということで許していただけると・・・
って、きっと劇団の方がここを見ることはないでしょう(笑)。


終演後は、ご一緒したななさん繋がりで、
たけのこさん、ユバさん、東子さん、のぶさんたちとお茶させていただきました。
まったくの初対面はたけのこさんだけでしたが、
他の方たちとも1度お会いしたことがあるくらいだったので、
最初は思いっきり人見知りを発動していました・・・挙動不審ですみません(汗)。
でも、カフェに落ち着いてからは、本当に楽しくおしゃべりさせていただきました。
ありがとうございましたv

更に、劇場では、いらしていた上橋先生にもご挨拶できました!!
「獣の奏者V・W」の感想を少しでも伝えたかったのですが、
なんだか胸が一杯になってしまって、ろくなことが言えませんでした。
でも、上橋先生が「すぐに受け止められる物語ではないから」と言ってくださって、
凄く気持ちが楽になりました。
時間をかけて、ゆっくりこの物語と向き合っていければと思います。

そして、最後にななさんともじっくりお話ができました。
ななさんとお話した中で、私がこの物語を受け止め切れない理由が少しわかったような気がします。
エリンが選んだ結末は、私には凄く重くて辛いもので、
でも、エリンがこの道を選んだ理由はとても良くわかるし、他の道がなかったこともわかっている。
だからこそ、この結末へのやるせなさや怒りを何処にぶつけたらいいのかわからない。
何処にもぶつけられないから、自分の中だけで消化(昇華?)していくしかない。
それが、とてもとても辛いのだと思います。
・・・なんだか弱っちいですね、私(苦笑)。
でも、こういう風に言葉にして話すことができるのって、とても大事だな、と思いました。
ななさん、どうもありがとう! また是非遊んでくださいねv

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
「狐笛のかなた」見てきましたね!!
恭穂さんの感想読んだら、行かなかったことを後悔しました(苦笑)
・・・まぁ週末は体空かないのですが。

上橋さんに会えてよかったですね!
獣の奏者の感想、私もちーーーーっとも纏まりません。
恭穂さんと語れたらいいなぁ。
青海
2009/09/14 01:29
昨日は長い時間ありがとうございました!
(真夜中にメル気づいてしまって;←携帯放り出していたバカです…)
さすが、恭穂さんの感想は要所要所を見てらして「あ!そうだったそうだった!」と思い出すところがたくさん!むう、恭穂さんの感想をふまえてもう一度見たらまたおもしろさが出てくるのに!(すごく短い期間の上演ですよね;)

そしてアフターはあわただしくてすいませんでした;でもアフターのアフターで久々にしっかり「目的」(笑)のお話もできてとても嬉しかったでございます!
また機会ありましたらぜひっ!!
なな
2009/09/14 07:39
青海さん、こんばんは!
期待以上に、原作を大事に作られた舞台だったと思います。
青海さんとご一緒できたら嬉しかったなあ・・・
「獣の奏者」のお話も是非したかったです。
というか、いつか絶対にしましょう!!
その機会を虎視眈々と狙っておりますねv
恭穂
2009/09/14 21:34
ななさん、こんばんは!
昨日はありがとうございましたv
いやー、ちょっとミーハーに傾いた感想になっちゃいました。
若い人たちに刺激されたかも?(笑)
でも、本当にいい舞台でしたね。
沢山お話もできて幸せでしたv
次のチャンスも楽しみにしております!
恭穂
2009/09/14 21:35

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