瓔珞の音

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zoom RSS 荒野を越える声

<<   作成日時 : 2009/09/22 20:09   >>

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ジェーン・エア」という物語を知ったのは、小学生の頃だったと思います。
もちろん、原作を読んだわけではなくて、家にあった漫画版を読みました。
たぶん、母が買ったんだろうなあ。
私は、「ベルサイユのばら」も「キャンディ・キャンディ」も
「あさきゆめみし」も「天上の虹」も母から教わりましたから(笑)。
当時の流行だったのか、ちょっとアメコミ風の濃ゆ〜い作画のその漫画は、
可愛い絵柄の少女漫画しか知らなかった私には結構衝撃で。
詳しい内容は覚えていないのですが、
ぼろぼろのウェディングドレスを纏ったバーサがロチェスターの首筋に噛み付くところと、
ヒースの荒野に響き渡る「ジェェェェーーン」という呼び声の描写が、凄く印象的でした。

そんなわけで、私の中では恋愛小説というよりも、
どっちかというと恐怖小説(え)の部類に分類されていたこの物語、
今回ミュージカルで観て、あの漫画がとても忠実に物語を描いていたこと、
そして、これが恐怖小説でも単なる恋愛小説でもなく、
一人の女性の明確な成長物語であることを、改めて認識しました。


「ジェーン・エア」

2009.9.18 ソワレ 日生劇場 I列20番台

出演:松たか子、橋本さとし、幸田浩子、寿ひずる、旺なつき、伊東弘美、山崎直子、小西遼生、福井貴一、
    壌晴彦、小西のりゆき、鈴木智香子、さとう未知子、安室夏、谷口ゆうな、山中紗希、阿部よしつぐ、
    大鹿礼生、増田桜美、角田萌夏


客席に入ってまず目についたのが、舞台の上の大きな木でした。
複雑に枝が絡まりあった一本の木。
その伸びた枝が描く影は、何かを求めて伸ばされた腕のようにみえました。
小さく響く小鳥の声。
穏やかな色合いの空。
荒れた荒野と、そこに咲く白く可憐な花。
けれど、その木は、固く、冷たく、静かに、ただそこにある―――

物語は、荒野をゆっくりと歩くジェーンの姿から始まりました。

とにかくこの舞台、松たか子さんのジェーンが素晴らしい!
この物語の中で、ジェーンは身分もお金も美しさも才能もない女性として描かれます。
プログラムを読んだ時、あまりにも松さんとかけ離れた役柄にかなりびっくりしたのです。
だって、実際の松たか子さんは、その全てを持っているじゃないですか。
プログラムの写真だって、とてもお綺麗だったし・・・

けれど、幕が上がった時(幕はなかったけどね/笑)、
舞台の上にいたのは、聡明で、強情で、情の深が深くて、
大きな眼ばかり目立つやせっぽっちな、決して美人ではないジェーンという女性でした。
いえ、もちろん松さんはとってもお綺麗なんですよ。
でも、その佇まいというか、在り方というか、内面というか・・・
うーん、上手くいえないけど、ぱっとみて綺麗!という感じでは全然なかったのです。
ただ、その真っ直ぐ伸びた背筋と、じっと見つめる大きな眼が凄く印象的で、
不思議な吸引力と存在感のある女性で、とても魅力的だったのです!

もちろん歌も最高!
伸びやかに歌い上げる♪自由の地へ も、
複雑な葛藤をリアルに伝えた♪ふたりのポートレート も聴き応えばっちり!
久々にミュージカルでの松さんの歌声を堪能できましたv


そして、そんなジェーンが心惹かれて行くエドワード・ロチェスターは橋本さとしさん。
橋本さんも、高い知性とプライド、深い屈折と諦念、そして謎めいた秘密と闇を持った不安定な男を、
なんともシリアス且つコミカルに演じてらっしゃいました。
ジェーンより20は年上の大人の男のはずのロチェスターが、
これまで出逢ったことのない、真っ直ぐに自分を見つめるジェーンの強さと聡明さに心惹かれ、
そして姑息な手段(いや、あのジプシー女の演技は最高でしたが/笑)を用いたりもしながら、
すがりつくように彼女の愛を求めるさまは本当に切実で、
これはジェーンでなくてもほだされるよなあ、とちょっと思ってしまいました(笑)。


10歳のジェーンを演じた増田桜美ちゃん。
虐げられ、頑なになった少女を、綺麗な歌声とともに繊細に演じていました。
やっぱり、大きな眼が印象的で、松さんのジェーンと上手くリンクしていたように思います。
伯母のリード夫人(伊東弘美)との再会のシーンで、
ジェーンは10歳の自分と向き合い、幼い自分が投じた悪意の種が、
まさに伯母を苦しめ、新たな憎しみを生んでいることを知ります。
そして、伯母を赦し、自分自身を赦そうとうする。
そのシーンでの、二人のジェーンの歌声がとても綺麗でした。


ジンジュン・リバースやジェーンの父を演じた小西遼生くん。
いやー、冒頭のジェーンの父の時の歌声にまずやられました!
母を演じた山崎直子さんの歌声や表情とあいまって、最初から見事に泣かされました。
彼は、一昨年見たレ・ミゼのへたれでおぼっちゃんなマリウスのイメージが強かったのですが、
歌もその頃に比べると本当にお上手になっていたし、
ちょっと癖のあるシンジュンという役柄を、確かな足場で演じていたように思います。
あああ、ちょっとマリウスを観たくなっちゃったなあ。
彼の出る回のチケットはとってないのですが、休みの具合でちょっと考えてみようかと思います。


ブランチ・イングラム役、幸田浩子さん。
どこかで見たことのある方だなあ、と思っていたら、
「キャンディード」に出ていたんですね。
あの歌は本当に素晴らしかったです!
ミュージカルの舞台の中で、ひとりオペラな雰囲気を振りまいていて、
その浮きっぷり(え)がブランチという役柄に上手くはまっていたように思います。
「こうもり」のアデーレとか見てみたいかも。


同じ名前のアデーレを演じた角田萌夏ちゃん。
訳ありでおしゃまでちょっと屈折したアデーレでした。
最後のシーンで、ロチェスターの足に抱きついているのが可愛らしかったですv


うーん、もっと物語のことについてもいろいろ書きたかったのですが、
なんだか纏まらなくって、結局役者さんのことだけになってしまいました。
ななだか散漫な記事になってしまってちょっと悔しい・・・
物語そのものについては、私的にちょっと納得のいかないところもあるんですよね。
ジェーンの心の動きとか、ロチェスターの行動とか・・・
キリスト教的な観念を理解していれば、もしかしたら違うのかなあ。
全体的には正統派ミュージカル、という感じでとても楽しめたし、
役者さんお一人お一人の魅力も満載で、また見たいな、と思わせる作品だったのは確かです。
今回の公演はもう見に行くことができないので、再演を期待したいな、と思います。

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私も小学生の頃にこの作品を知りました。少年少女世界の文学のシリーズでした。けれど私はブロンテ姉妹のもう一人の作品「嵐が丘」に比べてあまり魅力を感じなかった記憶があり、この作品のチラシはしっかりファイルに入れながらもあまり気がすすまないまま・・・。古本屋でハーレクイン世界の名作文庫シリーズで見つけて一応おさらいをしてみました。
>一人の女性の明確な成長物語であることを、改めて認識......確かに私も今回のおさらいでそれを再確認。この時代は孤児院で優秀に育った女性は家庭教師になるというのは「サウンド・オブ・ミュージック」のマリアにも共通していることも思い出しました。
ただやっぱりロチェスターの妻に対する扱いがどうにも受容できないのです。確かにこの作品が書かれた時代の制約だと思うのですが、狂人に対する描き方がやっぱりダメでした。
「荒野を越える声」的にはやっぱり「ヒースクリフ・・・・・・」って呼ぶ声の方に軍配ですかねぇ。
既存の作品については、その作品の相性を慎重に確認して観劇するようになってしまってます。蜷川幸雄演出で企画が上がっている「血は立ったまま眠っている」もそうで、今ちょうど寺山修司の戯曲を読んでいるところです。
明日は歌舞伎座昼の部に行ってシルバーウィークを締め括ります(^O^)/
ぴかちゅう
2009/09/23 02:29
ぴかちゅうさん、こんばんは!
ロチェスターの妻に対する扱い、私もいまいち納得いかないんです。
ジェーンががロチェスターを置いて出て行ってしまうのも。
でも、この舞台を観て、なんとなーくですが、
ちょっと納得できる部分もありました。
そういう意味でも、この舞台を観てよかったな、と思います。
実は私、「嵐が丘」は読んでいないのですよ・・・
ヒースクリフという名前は知っているのですが、
内容もわからず・・・
この姉妹の小説は、いつかきちんと読んでみたいです。
恭穂
2009/09/25 20:15

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