瓔珞の音

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zoom RSS 九輪の華

<<   作成日時 : 2009/12/30 15:56   >>

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映画は殆ど観ない私ですが、最近、ちょっと気になる映画監督さんがいます。
といっても、新人監督とか今ヒット作を出している方ではなくて、
たぶん巨匠と言われてもおかしくないような方。

一人は、熊井啓監督。
「天平の甍」や「深い河」などを撮られた方。
どちらも原作は知っていますが、映画を観たことはなく、もちろん監督のお名前も聞いたことがあるくらいでした。
ひょんなことから奥様のご著書を読む機会があり、今とても気になっています。
最近TVで放映される映画の録画にはまっている父のコレクションの中にないか、
このお正月休み中に探してみようと思っています。

そして、もう一人はフェデリコ・フェリーニ監督。
フィギュアの高橋大輔選手(五輪出場おめでとう!!)のフリーの曲、「道」。
その曲を検索していたときに、これが映画であることを知りました(・・・ほんと無知/汗)。
高橋選手の表現する道化師の哀愁は、彼の演技を観るだけでも十分に伝わってくるけれど、
映画を観るとまた違うのかなあ、と思っていました。

そんなフェリーニ監督の名前を、まったく別のところで発見。
監督自身を髣髴とさせる映画「8 2/1」。
その映画を原作としたミュージカル、そのプログラムの中で。



「Nine The Musical」

2009.12.26 ソワレ ル・テアトル銀座 9列10番台

演出:G2
出演:松岡充、貴城けい、新妻聖子、シルビア・グラブ、樹里咲穂、入絵加奈子、浦嶋りんこ、今陽子、
    寿ひずる、紫吹淳、加藤幹夫


以前、デヴィッド・ルヴォーさんが演出したというこのミュージカル。
沢山の方が絶賛されていて、観ていない私はとても残念に思っていました。
今回はG2さんの演出で、きっといろいろ違うんだろうなあ、と思いつつも、
実はかなり期待して観にいったのです。
だって、G2さんの演出は結構好きだし、出演者もお気に入りな女優さんが多いし。

が。

期待しすぎたのがちょっとまずかったのかなあ・・・
なんだかちょっとしっくりこない舞台だなあ、と感じてしまったのです。
9人の女優さんたちはみなさん個性的且つ華麗且つ美声だし、
松岡さんは初めて見るのですが(SOPHIAも聴かないしね)、かなりいい声していたし、
子役の加藤くんの歌も演技もしっかりしていたし、
舞台の四隅をくりぬくようにしてバンドを配置しているのもいい感じだったし、
照明も結構きれいだったし、
アンサンブルなしで、役者さんたちが何役もやる、という形式もそれほど違和感無かったし、
なにより曲が素敵で聴き応えがあったし・・・
ひとつひとつの要素はとても良かったのに、何故か薄っぺらい印象だったのです。

最初に女優さんたちが出てきて、思い思いの動きをしながらも、
台詞の中ではすでに物語は始まっていて・・・でも、物語の設定と微妙に違う、という始まり方も、
どこに焦点を置けばいいのかを、最初の次点で掴み損ねてしまった原因かもしれません。
結局そのまま、それぞれの女優さんに目を引かれて、だから印象が散漫になってしまったのかな。

あと、もしかしたら、そもそも物語が好みではなかったのかも。
身勝手で、自信過剰で、女好きで、甘えたな落ち目の映画監督が、
自分を取り囲む女たちを傷つけながら、結局全てを失って自殺する―――そういう話・・・ですよね?
というか、私はそう思ってしまったのです。
で、グイドという男が、私的にはなんとも許容しがたく・・・
彼がそういう男になった理由、子どものころに受けた心の疵のようなものが、
もっとはっきりわかったら違った印象だったのかもしれませんが、その辺もちょっと曖昧で。
なので、私的にはグイドは全然魅力的な男ではなかったんですね。
うん、たぶんそれが敗因だなあ・・・


グイド役の松岡さんは、甘い歌声も良く響いたし、とてもかっこよくて、
これで映画監督だったら、それはもてるだろう!という説得力はありました。
でも、40歳には見えなかったんですよね。
実年齢も38歳、とのことですが、どうみても20代!
それはそれで凄いことだと思いますが、
20台の若者の苦悩、という意味では、ちょっと説得力が薄れちゃったのかもしれません。
だから、彼が自分の私生活をそのままに映画を作るということも、
追い詰められた果て、というよりは若者の甘えと浅慮に見えちゃったの。
まあ、9歳のときのトラウマ(なのかな?)を引きずったまま、
大人になりきれていない男、という意味では合っていたのかもしれませんが。


グイドの妻・ルイーザ役は新妻聖子さん。
こちらもとても可愛らしくて、グイドと並ぶとなんとも若々しいご夫婦でした。
ので、彼女があそこまで耐える理由がちょっとわかりかねたりもしました。
愛人に服を送ったり、作品のインスピレーションを与えるために、愛人その2を呼び寄せたり、
そういう大人な(なのかな?)行動をするようにはちょっと見えなかったんですね。
でも最後、グイドが妻と愛人たちとの、たぶん限りなくプライベートな心の交流を、
そのまま映画の中で使う様子を見ているときの、
あの表情の変化と、爆発するような歌声はさすがだなあ、と思いました。
でも、結局彼女はグイドを見捨てられないのかな。


グイドとW不倫中の人妻・カルラ役はシルビア・グラブさん。
なんとも色っぽいのですが、それが嫌らしくなくてとてもチャーミングなカルラでした。
自分に正直で、ある意味凄く純情な女性なのかな。
グイドの裏切り(だと思う)を知って、舞台の奥に一人佇むあの背中が、とても印象的でした。


グイドのミューズ・クラウディア役・貴城けいさん。
とても綺麗で、まさにミューズ、という感じでしたが、
一方でとても普通の女性なのだな、と思いました。
非生産的な恋よりも、女優であることを選んだ、とても賢い女性。
彼女はたぶん自力で幸せになると思います(笑)。


スパレディ役、樹里咲穂さん。
相変わらず素晴らしいスタイルの良さ!
そして響きのいい歌声も聴いていてとても気持ちよかったですv
スパレディというのは、なんともミステリアスな役柄だなあ、と。
なんというか掴みどころがなくて、グイドにとっては天使でもあり悪魔でもある、というような。


グイドのお気に入りの女優・マリア役、入絵加奈子さん。
マリア役そのものより、マスコミ役の方が印象が強かったです(笑)。
でも、アクティブな動きとか、よく通る声とか、コメディエンヌ的な要素とか、
舞台の上でとても目を引く存在でした。


サラギーナ役、浦嶋りんこさん。
9歳のグイドに、女のこと、恋のこと、いろんなことを教えた娼婦の役。
サラギーナと話をしていたことで、小さなグイドは叱られてしまうわけなのですが・・・
イタリアってカソリックでしたっけ?
その上で神父を目指そうという子が娼婦と会っていたら、
それは確かに問題なのかもしれないけど・・・
そこから何がどうしてああいうグイドになったのか・・・? 私の理解力が悪いのかな?
サラギーナ自身は、とてもアイデンティティの確立した、
妖しくもかっこいい女性だなあ、と思いました。


グイドの母役、今陽子さん。
とても優しくて、でも厳格なお母さんなのかな?
歌声も優しいのに、なんだかちょっと一方的な頑なさを感じました。
グイドと母の関係にもいろいろありそうですが、これもちょっと良くわからず。
小さな可愛いグイドが道を外した時、
彼女は彼の全てを否定してしまったのかな、とちょっと思いました。


映画評論家・ネクロフォラス役、寿ひずるさん。
いや、めちゃくちゃかっこよかったです!
あの無表情さと冷淡さが、この舞台の上では逆に生々しく見えました。


リリアン役、紫吹淳さん。
たぶん初めて拝見します。
凄い細いウエストと足にまず目が行きました(笑)。だってほんとに細いんだよ!!
グイドのプロデューサー、というか映画の資金源で、
彼にミュージカルを撮るようにと迫り、
彼が挫折するとあっさり捨ててしまう・・・なんとも怖い女性でした。
私的には、彼女の中にグイドへの愛は感じられなかったなあ。
自分を一番愛している女性だと思います。
ミュージカルを薦めるときに、彼女の見せ場があるのですが、
客席へ降りてお客さんをいじる様子とか、
「ラ・カージュ・オ・フォール」のザザに似てるなあ、と思ってしまった。
「ライトがないと・・・」という台詞も似てたし。
もしかしてわざと?!


少年グイド役、加藤幹夫くん。
いやー、素晴らしいボーイソプラノでした!!
でもって、演技も大人に全然負けてない!
この子でガブローシュが観てみたいなあ、と思いました。


うーん、微妙な舞台だったので、微妙な感想になっちゃいましたねー。
女性陣のコーラスはもの凄く綺麗で聴き応えもあったし、
決して嫌いな舞台ではないのですが・・・とりあえず、機会があったら映画も観てみようと思います。
というか、「8 2/1」が観てみたいかも。

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コメント(7件)

内 容 ニックネーム/日時
どうぞ今年もよろしくお願いします。

感想、いつも興味深く読ませていただいています。今回も非常に面白かったです。

グイードとルイーザ二人の見た目の若さはキャスティングされた時点で
役に・ナインの世界に合うのかな、と私も危惧していた部分でした。
見た目も声も中年で、自信家で女にだらしなくて色男、でも人を引き付ける魅力と映画の才能はある…って役だと思ってましたから。


>身勝手で、自信過剰で、女好きで、甘えたな落ち目の映画監督が、
>自分を取り囲む女たちを傷つけながら、結局全てを失って自殺する―――そういう話・・・ですよね?
>というか、私はそう思ってしまったのです。

G2版のナイン、そういう解釈も可能だったのですね!?
この一節が感想を読ませていただいて一番衝撃的でした。それがG2さんの結論だったのかな???


ルヴォー版再演を見た時は、私にはそういう解釈はまったく思い浮かばなくて。
全てを失い自殺しそうになって、そこで初めてグイードは過去の自分自身と正面から向かい合い、
ルイーザと正面から向かい合うべく、もう一度歩きだすのだと思っていました。
この舞台はすべての女性への、そして生きることへの賛歌だと…
初めて見た時、理屈抜きにそう感じた作品だったんです。だから大好きで、ずっと忘れられなかった。

あ、でも螺旋階段から女性たちが「ラララララ…」と歌いながら下りてくるのは、天国からの迎えだという解釈も可能か…
目から鱗の気分です。
両方をご覧になっている花梨さんのご意見を伺ってみたくなりました。
あけましておめでとうございます。
2010/01/01 02:08
あけましておめてどうございます。
今年もよろしくお願いします。

みずたましまうまさんに導かれて、やって来て、グイードが死んだって解釈に私も衝撃を受けました。
自分のBLOGにも書きましたが、ラスト近くでリトルグイードが歌う曲のタイトルは「Getting Tall」。
前回のCDを聞き返したら「大人になる時」と訳してます。
その後のグイドの歌も「あの愛を忘れてた」(妻に対して)と「お互い一人で大丈夫」(リトルグイードに対して)という歌詞が出てきます。
83年に日生で上演された、トミー・チューン演出版も、ラストは妻と抱き合って終わってます。

G2版は訳詞があれ?という事もありましたし、どういう意図だったのでしょうね。
私は怒りでラストはまともに見ていなかったので(苦笑)
花梨
2010/01/02 01:18
みずたましまうまさん、花梨さん、明けましておめでとうございます!
年明け早々、私の言葉不足で衝撃を与えてしまったようで、
申し訳ありません・・・

グイドの自殺が未遂だったのか完遂だったのかは、
私も良くわからなかったのです。
ピストルを頭にあてて倒れたので、
ああ、彼はこんなにも簡単に死を選んでしまうんだ、
と思ったのは確かなのですが。
この舞台はグイドの現実と幻想が、
そして女優さんたちの生身と幻影が、
物語の最初から複雑に入り組んでいる感じで、
あの最後のシーンが彼の現実だったのかが判断できなくて。
小さなグイドが、「ともだちの作り方を教えてあげる」、
と最後に出てきて、起き上がったグイドがルイーザと向かい合って物語は終わっていたと思うのですが、
その時も、ルイーザはグイドと最終的には目を合わせていなくて、
二人が同じ次元にいるのかどうかも曖昧に感じてしまいましたし、
そもそも「友達の作り方」という言葉自体が、
私の中では彼のトラウマと上手く繋がらなくて・・・
これが「人との関係の作り方」とかだったら、
もっと前向きにこの最後を受け止められたのかな、とも思うのですが。
少なくともこの舞台を観た私には、
みずたましまうまさんが感じられた、
女性や生への賛歌、というニュアンスを受け取ることができませんでした。
うーん、なんだかかなり悔しい感じ・・・
これは映画も観ないとですかね?

そんなこんなで、相変わらず独断に満ちた観劇記録ですが、
今年も呆れずお付き合いいただけると嬉しいですv
どうぞよろしくお願いいたします。
恭穂
2010/01/02 21:23
恭穂さんの感想は恭穂さんのものです。
(他の方の感想を読んでも、今回のG2ナインはどちらとも解釈できるような演出がされているようですし)。

まして、私の感想はあくまでルヴォー版に関してのものですし
今回のG2ナインを見ていないで勝手に言っていることなので
どうぞお気になさらないでくださいね。ごめんなさい。

いえいえ!とんでもないです!
2010/01/02 22:44
たびたびすみません。
私、どうも毎回ニックネーム欄に間違えてタイトル入れてたみたいですね…
今気づきました。ごめんなさーい!次から気をつけます。
みずたましまうま
2010/01/02 22:45
恭穂さん、こんばんは。
却って落ち込ませてしまったようで申し訳無いです!
私の言葉が足りなかったようで…。

みずたましまうまさんの言うとおり、恭穂さんの感想は恭穂さんのものです。
どんな感想を抱こうと、それは観劇した観客の自由なのですし。
私は過去観劇した印象で、グイードが自殺して終わるというラストは、あり得ないという先入観で見てますから。

G2版がどういう演出意図だったかは、パンフも買ってないし、何とも言えません。
好き嫌いで言ったら、私は嫌いというか受け入れられない…。心の狭い観客で申し訳ありません。
懲りずに私の方こそ今後もお付き合いして頂けると嬉しいです。
花梨
2010/01/03 00:22
みずたましまうまさん
花梨さん

こんばんは。
いえいえ、落ち込んでないですから大丈夫ですよー。
お芝居も本も、1曲の歌でも、
人によって感じ方が違うのは当然で、
思い入れの場所もそれぞれで、
だからこそこうしてブログなどでお話できるのが、
とても素敵で嬉しいことなのだな、と思います。
今回は改めてそのことを感じることができました。
ありがとうございましたv

CDも、情報ありがとうございますv
(ここでのお返事ですみません)
生活が落ち着いたら(しばらく住所があちこち行くので/笑)、
CDの購入を検討してみようと思います。
恭穂
2010/01/03 22:42

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