瓔珞の音

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zoom RSS 女子力アップなミュージカル?!

<<   作成日時 : 2010/05/24 22:14   >>

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最近(でもないか)、よく"女子力"という言葉を目にします。
おしゃれにも恋にも一生懸命な女の子、というイメージのこの言葉。
そういう女の子はとっても微笑ましくて、頑張れ!と応援したくなります。
が、自分に女子力があるかといわれれば、胸を張って「ないです」と答えてしまうかも(え)。
可愛いものも好きだし、綺麗な服も好きだし、きらきらなアクセサリーも好きだし、美味しいケーキも大好きv
でも、そういうものがなくても、きっと私は生きていけちゃうんだろうなあ、って、そう思うんです。

が、このミュージカルを観ながら、ヒロインと同じように、
ドキドキして、ビクビクして、ワクワクしている自分がいました。
ヒロインと一緒になって、悩んで、笑って、泣いて、高揚する自分がいた。
それはなんだかとても新鮮で、そしてちょっと驚きな時間でした。
私にも、まだ"女子力"が隠れているのかな?
そんな風に感じることのできる自分が、ちょっと愛しく思えたり(笑)。

そんな、観ていて幸せになるミュージカルでした。


ダンス・ミュージカル「絹の靴下」

2010.5.22 ソワレ 青山劇場 2階B列30番台

出演:湖月わたる、今村ねずみ、渡部豪太、戸井勝海、伊礼彼方、神田恭兵、小宮健吾、ひのあらた、笹木重人、
    長内正樹、高原紳輔、小南竜平、池谷京子、金城尚美、小嶋亜衣、園田弥生、高橋千佳



物語の舞台は、東西冷戦のさなかのパリ。
公演のためにパリを訪れたまま、なかなか帰国しないロシア人作曲家ボロフ(渡部豪太)を連れ戻すため、
ソ連は3人の使者、ビビンスキー(伊礼彼方)、イワノフ(戸井勝海)、ブランコフ(神田恭兵)を派遣します。
けれど、ボロフのマネージメントを買って出たアメリカ人プロデューサー・キャンフィールド(今村ねずみ)に、
3人はあっという間に懐柔(?)され、パリでの生活を満喫してしまいます。
キャンフィールドの狙いは、ボロフの音楽を映画に使うこと。
そのためには、ボロフの"父"をでっち上げるのも、
その映画で主役を張るハリウッドの人気女優ジャニス(樹里咲穂)をけしかけて、
ボロフを誘惑させることも厭いません。
まったく帰国しないボロフたちに業を煮やしたソビエト政府は、
"最強の模範共産党員"ニノチカ(湖月わたる)を派遣します。
ボロフたちが滞在するホテルに訪れたニノチカとであったキャンフィールドは、
彼女の美しさに一気に恋に落ちてしまいます。
そして、あの手この手で彼女にアプローチ!
最初はキャンフィールドの示す様々な事柄を、"堕落した資本主義の象徴!"と拒絶し続けるニノチカも、
キャンフィールドが恥ずかしげもなく示す愛情と、
偶然垣間見たジャニスの女性的な魅力に溢れた姿に触発され、
鎧のような制服を脱ぎ、たおやかなドレスを身にまとって、キャンフィールドとの恋に一歩を踏み出します。
国も、思想も、育った環境も、全て違う二人が、心の絆でよりそったそのとき、
彼らの間の深い溝を実感させる事件が起きます。
それは、映画に使われたボロフの音楽。
トルストイの名作を映画化するはずだった最初の話から大きく外れ、
ナポレオン妃ジョセフィーヌの奔放な姿を描いたミュージカルのその曲は、
ボロフの創りだした音楽を踏みにじり、まるで違うものにしてしまっていたのです。
それが、どれだけボロフを冒涜し、ニノチカの愛国心を傷つけたのか、キャンフィールドには全く理解できず・・・
互いの想いを見失ったまま、二人は別れ、ニノチカたちはソ連へと帰国し―――


というようなお話でした。
歴史的なことや、ソ連とアメリカの関係とかを踏まえてはいますが、たぶんこれはもの凄いファンタジー。
それも、アメリカが作った、アメリカのためのファンタジー。
なので、ロシア人たちの描き方が、凄く偏ってるなあ、と感じたのは確かなのです。
が、これはファンタジーなんだ、と思ってしまえば、
あの翻り続ける人の心も、あの力技なクライマックスも、まあありかな、と思えてしまうから素敵v(笑)
そういう難しいことは全部どこかへ追いやって、
抑圧された(でもそのことに自分では気づいていない)一人の女性と、
彼女の中に仕舞いこまれた魅力に気づき、それを引き出そうとする一人の男性のラブコメディなんです、これは。

この舞台、とにかく全部がおしゃれ!
衣裳も、照明も(2階席からだととにかく綺麗!)、セットも、
繰り広げられる沢山のダンスも、音楽も、演出の荻田浩一さんの訳詞も、
観ていて、身体の奥底から幸せな気分が湧き上がってくるような雰囲気があるのです。
冷静に考えれば、それってどうなの?!という部分も沢山あるのだけれど、
観ている最中は、そういう不可解な部分すらもこのミュージカルのスパイスのように感じました。


その雰囲気を更にクリアにしていたのが、ニノチカ役の湖月わたるさん。
拝見するのは初めてだと思うのですが、なんとも健康的な美貌と細かな演技に、思いっきり魅了されました。
最初に登場したときの、背中に板を入れたような、なんとも余裕のない歩き方や紋切り型の喋り方が、
キャンフィールドの言葉や手に触れるごとに徐々にぶれを生じ、そのぶれに戸惑いながらも、
彼が差し出す無駄な―――けれど美しく柔らかく魅力的な様々なものに心惹かれ受け入れていく様子が、
なんとも可愛らしく、そして説得力がありました。
歌声も、どんどん変わっていくのです!
特に、ジャニスの姿に触発された彼女が、
そのくらい色の制服を脱ぎ捨て、ひっつめた髪を解き、
白いキャミソールで裸足で踊るシーンは、とにかく素晴らしかったです!
彼女の中で抑圧されていた、いい意味での奔放さや美しさが一気に花開く瞬間。
そして、タイトルでもある絹のストッキングをはくときの、一瞬の逡巡―――
このときに、既に彼女の中では、自分を育ててきた祖国の教育と、
自分の中にある新しい世界への希求の想いは、なんらかの形で重なっていたのではないかな、と思う。
だからこその、2幕のあの怒り、絶望、そして変貌だったのだと思うのです。

そんな彼女の変化の端緒となりながら、けれどその変化の全てを理解してはいなかったのが、
今村ねずみさん演じたキャンフィールド。
なんというか、姿と声のイメージにギャップのある方ですねー。
滑るように優雅なダンスと、ちょっと高めのなんとなく子どものような声に、最初ちょっと違和感がありました。
が、歌のシーンでは、その不思議な声が、なんとも色っぽく聞こえました。
ニノチカにキスするときにちょっと背伸びをしたり、何気に一段上に立ったりするのも微笑ましくv
でも、キャンフィールドという役柄そのものは、私的にちょっと苦手なタイプでした。
凄く自身に溢れてて、自分の思い通りにことを進めることが当然と思っていて・・・
もちろんそれも彼の魅力ではあるのでしょうけれど、
相手を思い通りに動かそうとする姿は、私にはなんとも傲慢で冷たく感じられてしまったんですね。
相手の想いを尊重することを知らないキャンフィールド。
彼自身が変わらなければ、しなやかに自分の変化を受け入れたニノチカとは、
たぶん決して分かり合えることはないのではないか・・・
撮影所での訣別のシーンを観た時に、なんだかそんな風に思ってしまったのです。
最後、ソ連までのニノチカを迎えに来たキャンフィールドは、変わっているようには見えませんでした。
強引で、策略家のままの彼。
でも、そんな彼を受け止めるだけの大きさが、ニノチカにはあるのかも知れないですね。


作曲がボロフ役は渡部豪太くん。
CMで観たことがあるくらいでしたが、最初思った以上に舞台栄えする方でした。
台詞はいまいち聞こえにくいし、ダンスも一生懸命が売り、という感じではあるのですが、
ボロフとしての立ち位置というか、在り方が凄く誠実でリアルだな、と思いました。
ロシアからの電報におろおろして意味不明(笑)の動きをするときも、
ジャニスに翻弄され、誘惑され、陥落してしまうときも、
あらあら大丈夫?と"ボロフ"に声をかけたくなってしまうような感じ。
特に、撮影所でジャニスが歌うナンバーを聞いているときのあの後姿の雄弁さに魅せられました。
中央で繰り広げられる華やかなダンスの脇で、
ただ俯き、拳を握り締めているボルフのその絶望、その悔恨―――ちょっともらい泣きしちゃいそうでした。
この時点で、私の中ではキャンフィールドは悪役に決定です(笑)。
まあ、この辛さすら糧にして、彼は新たな境地の作曲へと繋げていくわけですが(え)。
芸術家はやっぱり強いんですかねー。


そんな"強い芸術家"の最もたるのが樹里さん演じるジャニス!
これでもか!というおばかキャラな役作りだったのですが、
この物語の中である意味一番賢くて一番強いのはジャニスだったんじゃないかなあ・・・
だって、彼女は自分の欲しいもの、自分が一番大切なものを、きちんと理解していた。
その上で、それを手に入れるためにはどうしたら良いかを、
本能的にしろ(え)間違うことなく選び取っていた。
チャイコフスキーを知らなくたって、生きていくことに掛けては、彼女はとんでもなくしたたかで強い。
そしてそのしたたかさや強さに誇りをもっている―――そんなかっこいい男前な女性でした。
でもって、樹里さんご自身が、相変わらずめちゃくちゃかっこいい!
歌もダンスもスタイルのよさも、とにかく抜群ですv
樹里さんが出てくると、舞台の雰囲気がパッと明るくなる気がするの。
ほんとに大好きな女優さんですv
またアミッドのタイターニアが観たいなあ・・・


おばかキャラといえば、ロシア人三人組もそうなのかしら?
なんとも楽しい息の合った凸凹ぶりがとっても楽しかったですv
伊礼くんの小心者なビビンスキーも、
何気に策士な戸井さんのイワノフも、
天然は最強!な神田くんのブランコフも、
コミカルな動きと確かな歌唱力で、どのシーンも楽しく見ごたえありでした。
個人的には、若手二人に挟まれて、でも全然負けないテンションの戸井イワノフが印象深かったです(笑)。


印象的、といえば、ロシア人ホテルマンのアレキサンダー(違うかも)がなんとも美味しい役柄でしたv
ボロフに絡むときのテンションの高さと、
キャンフィールドに向ける優しさに溢れる心遣いも、
こんなホテルマンがいたら癒されるなあ、って思ってしまいました。
遠目で良くわからなかったのですが、プログラムを確認すると、ひのあらたさん、なのかな?
・・・って、「蜘蛛女のキス」で看守を演じられてた方ではないですか?!
ちょっとびっくりしてしまいました(笑)。

そういえば、演出も「蜘蛛女のキス」と同じ方なんですよね。「戯伝写楽」もか。
「蜘蛛女のキス」の闇を主体にした演出も、
「戯伝写楽」の幻想的で多層的な演出も、
今回の華やかな光に満ちた演出、どれもとても素敵でしたv

本編終了後(?)のダンスショーもすごい楽しかったです!
特に、湖月さんと樹里さんの二人のダンスは、めちゃくちゃ綺麗でかっこいい!!
これはやっぱり一度宝塚を観にいかなくちゃかなあ・・・(え)
ショーが終わった後、何度かカーテンコールに出てきた湖月さんと今村さんのやり取りも微笑ましかったですv
手の甲にキスされて、えええ?!という感じの湖月さんがチャーミングでした。


そんなこんなでとても楽しめたミュージカルでしたが、
土曜の夜にも関わらず、二階席はがらがらでした・・・ A列すら埋まっていないんですよ。
なんだか凄くもったいないなあ、と思いました。
力技ではあるけれど、観た人を幸せにしてくれるミュージカルだと思います。
もっと沢山の方に観てもらえるといいなあ。
そういう私も、観劇前にご一緒してくださったみずたましまうまさんとお会いしなければ、
たぶんこのミュージカルは観ずに通り過ぎちゃったんじゃないかな、と思います。
ので、最後にちょっと私信。

>みずたましまうまさん
このミュージカルに出会わせてくれたこと、
楽しいおしゃべりの時間を下さったこと、
どちらもとても感謝しております!
また是非機会がありましたら(というか機会を作りますので!)お話させてくださいねv

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
こんなに楽しんでいただけたんだ…と嬉しくて、
何度も何度も読み返していました。お誘いした甲斐がありました(笑)
こちらこそ、ご一緒できて嬉しかったです。
また、いっぱいお話してくださいね^^

突っ込みどころはいろいろあるものの、私この作品がものすごく好きです。
歌い上げる大ナンバーの感動巨編だけがミュージカルじゃないもんっ(笑)
いっぱい笑って泣いて、大人の恋の味わいや
それぞれの気持ちのやり取りをじっくり噛みしめられる素敵な作品でした。

訳詞も素敵だった。映画の時はあまりピンとこなかった音楽が、
日本語歌詞に乗ってすーっと入ってきたのには驚きました。帰ってからも頭の中を回ること回ること。

ニノチカが一人で踊るシーンは、私も毎回いつの間にか涙がこぼれてきました。
レースやサテンや、そういった美しいものの力を借りて
すべてのしがらみから解き放たれたように見えて…。
私にはダンスの良し悪しはわかりませんが、踊る姿も、生き生きとした表情も
とても美しいと感じましたし
たとえそれが束の間であったとしても、そういう時間を持てたということは
知らないままでいるよりずっと幸せなことのように思えます。

映画だとスティーヴは、モスクワ行きを試みるものの失敗するんですよ。映画と舞台じゃ結末の締め方が全然違っていて、舞台の方がよりファンタジー色が強くなっているように感じます。

舞台のスティーヴは不可能を何が何でも可能にしてしまうくらい、ニノチカを必要としてたんでしょうね。
いざ一緒になったら、多少スティーヴがかっこつけたところで、きっとニノチカの方がリードしていっちゃうんじゃないかな。劇中のラブシーンと一緒で(笑)そうやって少しずつ歩み寄って行くんじゃないでしょうか。
みずたましまうま
2010/05/26 21:45
みずたましまうまさん、こんばんは!
今回は本当にありがとうございました。
ニノチカの踊るシーンは、ほんとに素敵でしたね。
2幕のジョセフィーヌのシーンと共に、私のお気に入りですv
映画はそんな風に終わるんですね。
機会があったら、映画も観てみようと思います。

それでは、またご一緒できる日を楽しみにしております!
恭穂
2010/05/28 20:39
何度もすみません。
アレクシス(ホテルのドアマン)さんは、ひのあらたさんで間違いないと思います。
ドアマンさんや2幕頭の古本売りといい、ロシア人の警察官といい
シリアスとコミカルな場面のバランスが良く、芝居もダンスも素敵な方だなあと目がいきますね。
私もこの作品でお名前と顔を覚えました(^_^)v

ボロフやジャニスの考察も、ああそうだった…と思い出して頷いています。読ませていただくたびに、舞台が目の前に蘇ってくるようで、幸せになれます(笑)。

素敵な感想をありがとうございました。
みずたましまうま
2010/05/29 18:53
みずたましまうまさん、こんにちはv
ドアマンさんの名前、アレクシスだったんですね!
アレしか合っていませんでした(汗)。
ひのあらたさん、「蜘蛛女のキス」ではめちゃくちゃ怖い役柄だったんですよ・・・
なので、今回の癒し系な役柄はびっくりしました。
WIWと同じく、このミュージカルもいろんな方がいろんな役を
演じてらっしゃったんですね。
そういうところも観れれば、もっと楽しめたかな。
恭穂
2010/05/30 16:04

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