瓔珞の音

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<<   作成日時 : 2010/08/27 19:35   >>

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研修に絡めたプチ夏休みで、昨日から観劇な休日を過ごしています。
昨日は「エリザベート」と「宝塚BOYS」。
今日は、「ガラスの仮面」を観てきました。
もうね、観劇が好きなことを、心から感謝したくなるくらいいい舞台でした!
ので、この気持ちが色あせないうちに観劇記録を書こうと、ホテルでPCを借りました。
ちょっとまだ気持ちがふわふわしているので、きちんとは書けないかもしれないけれど・・・
どうぞお付き合いくださいませ。


彩の国ファミリーシアター
音楽劇「ガラスの仮面 〜二人のヘレン〜」

2010.8.27 マチネ 埼玉芸術劇場大ホール 1階D列10番台

原作:美内すずえ
脚本:青木豪
演出:蜷川幸雄
音楽:寺島民哉
出演:大和田美帆、奥村佳恵、細田よしひこ、新納慎也、原康義、月川悠貴、岡田正、黒木マリナ、立石涼子、
    香寿たつき、夏木マリ  他


2年前の1作目はタイミングが合わなくて見損ねた私。
今回は、取り上げられるのが好きなエピソードだったことと、
新納くんの真澄さまが観たくて、チケットを取りました。
席は、なんと3列目の真ん中!!
通路で繰り広げられる演技や、客席に普通に座るキャストの方々は見難かったですが、
マヤの戸惑いを、亜弓さんの決意を、真澄さまの苦悩を、姫川歌子さんの切望を、
そして月影先生の想いを、彼らの表情の細かなひとつひとつを、間近で見ることができました。

劇場に入ると、空っぽな大きな舞台。
その奥は白いライトで霞んで、たぶん実際の大きさ以上を感じさせる不思議な空間になっていました。
その舞台の上、客席から三々五々集まってくる役者さんたち。
そういう演出だということは知っていたし、
私はおぼつかない原作の記憶を埋めるために、とりあえずプログラムを熟読していたわけですが、
目の前で柔軟体操をする女性のしなやかな筋肉の美しさに知らず目を奪われているうちに発声練習が始まり、
その女性-----遠藤瑠美子さんを中心にダンスのレッスンが始まりました。
徐々にリズムを早め、徐々に躍動感を強めていくそのダンス。
楽しそうに、真剣に、一生懸命・・・それぞれの表情で踊り続ける役者たち。
その迫力に、まず圧倒されました。

そして始まった物語は、あの広大な原作のダイジェストではなく、
原作をそのまま形にしただけでもなく、
舞台という空間に魅せられ、演じるという業を自ら背負うたくさんの人たちが、
私たち観客に向けて放つ大きなエネルギーの塊でした。


北島マヤ役、大和田美帆さん。
「ウーマン・イン・ホワイト」での強いローラが印象的だった美帆さん。
ビジュアル的にもマヤのイメージだな、とは思っていましたが、
想像以上のとり憑かれ度の(褒めてます!)、本当に本当に素晴らしいマヤでした!
マヤとしての演技はもちろん、マヤが演じるいろいろな役柄、
その役柄を通して彼女が気づく”自覚”、そして選び取る道-----

私にとってマヤとは、無自覚な天才少女が、無自覚なまま周りを巻き込み、
無自覚であるがゆえに本能に導かれるように芝居への道を歩み始める、という認識でした。
それはある意味とても非現実的で、二次元でならいざ知らず、
生身の人間が演じたときに、それがどれだけ説得力のあるものになるのか?
しかも、編集のできる映像ではなく、舞台という生の空間のなかで・・・?
そんな不安が、この舞台を見る前には確かにあったのです。
けれど、美帆さんのマヤは、無自覚な少女が、自覚を持って、自分でその道を選び取る過程を、
体温の感じられる演技で見せてくれたように思うのです。

圧巻だったのは、やっぱり「ヘレン・ケラー」のシーン。
そして、そのあとの♪あなたに というミュージカルナンバー。
上気した頬で、真っ赤な目で、時に嗚咽に声をかすれさせながら、歌われる「届いたかしら」という言葉。
ヘレンとサリバン先生のシーンで既に泣いていた私ですが、
このマヤの歌は、それ以上に深く私の中の何かを揺らしました。
こんなにも熱い役者さんの"想い"を受け取りたいから、私は劇場に通うのだと、そう思いました。

カーテンコールで、やっぱりちょっと泣き顔だった美帆さんに、
もうちょっと勇気があれば、心からの「ブラボー」と「届いたよ!」という言葉を伝えたかった。
心から、そう思いました。

でもって、美帆さんのマヤはめちゃくちゃキュートでもありましたv
大きな目と、くるくる変わる表情が本当に魅力的ですね。
特に「おんな河」のシーン、人形の首が客席まで落っこっちゃった時のあの表情!(笑)
あれって、演出として落ちたんですかねー。
袖のスタッフ役の方がすかさず拾い上げてましたけど、
あのちょっと長めの間に、どうしよう!と思っちゃいました(笑)。
真澄さまへのつっかかりかたと、
桜小路くんを前にしたときの普通のちょっと鈍い女の子なギャップも、実は何気につぼでしたv
でも、男性陣はどちらも各々等しく哀れな感じでしたねー(え)。


でも、新納さんの真澄さんは、こちらも予想以上にはまっていました!
ちょっと細っこいかな、とも思いましたが、
いろんな人から「あなたにはわからない」と拒絶される真澄さまの苦悩とか、葛藤とか、
マヤに惹かれていく戸惑いとかを、まっすぐに演じられていたように思います。
特に2幕の真澄さまのソロ曲♪どこに行く は、ちょっとうるうるしてしまいましたよ。
歌声は文句なしだし、イロモノな役も、こういう正統派な役も、
きちんと新納色を出しながら違和感なく演じられる・・・いい役者さんだな、と改めて思いました。


歌声で言ったら、姫川歌子役の香寿さんは、もうめちゃくちゃ素晴らしかったです!
マヤと対峙することで、一人の役者としての熱を燃え上がらせた時のあのナンバー。
その焦燥と切望と歓喜が伝わってきて・・・その美貌とあいまって、光り輝くようでした。
劇中劇でのサリバン先生も、ほんとに見ごたえあり!
原作ではたしかマヤにキスするのはカーテンコールだったと思うのですあ(違うかな?)、
サリバンとしてヘレンにキスするときのあの歓喜と慈愛に満ちた表情と、
その後のヘレンの花が綻びるような笑顔の流れは、最高のシーンだったと思います。
これは亜弓さん嫉妬するって!(え)
「M!」のヴァルトシュテッテン男爵夫人が、今からほんとに楽しみですv


で、亜弓さん役の奥村佳恵さん。
1作目を観ていないので、初見になりますが、思っていた以上に歌がお上手でびっくりしました!
今回の物語は、亜弓さんよりもマヤに焦点があたっていたのかな?
ヘレンの役作りの時の感電シーンがなくなっていたのが残念!
でも、歌子さんがマヤにキスしたことへの嫉妬、そしてマヤへのライバル心を露ににたときの、
あの細かく唇を震わせた、険しい表情がめちゃくちゃ美しくて、ちょっと目が離せませんでした。
それだけ高ぶり、傷ついていながらも、それを小野寺には見せないプライドの高さもまさに亜弓さん!
劇中劇やオーディションシーンでのダンスや演技にも魅せられました。
そういえば、「王子とこじき」のシーンで、私の前をトムが通り過ぎたのですが、
そのシーンで隣の席の方がすかさずお菓子を取り出したのにびっくりしました。
もしかして、関係者の方だったのかしら?
いろんなシーンで遠慮なく笑ってらしたので、なんだかちょっと安心してしまって、
私も遠慮なく素直に笑ったり泣いたりできました。
ありがとうございました・・・って絶対ここ見てないけど(笑)。


二ノ宮恵子役の黒木マリナさん。
「森は生きている」の女王さま役以来でしたが、この役の方がイメージにあってるかな。
紅一点の情が深くて気風のいい女性を、かっこよく演じてました。
ダンスもめちゃくちゃかっこよくって、劇団一角獣が出てくると自然に体が動いちゃう感じでした。
2幕の最初の説明を彼らにさせるところも上手いなあ・・・と。


桜小路くん役は細田くん。
えーっと、がんばってたよね。
でも、この役柄自体が、このお芝居の中でちょっと添え物的な感じなのかと。
なんだかちょっと可哀想になっちゃった・・・
とりあえず、普通の、報われない恋をしている男の子でした。
桜小路くんも役者なのだから、もっとそういう意味を加味した上での揺らぎが見たかったな、と思うのは、
私の勝手な希望ではありますが。


そういう意味で満足だったのが、青木麗役の月川さん。
いやもうまさに性別不詳年齢不詳な感じ(笑)。
原作の麗とはちょっとイメージが違ったのですが、
マヤや月影先生に向ける表情の中に、麗としての葛藤が仄かに見える感じがして、
なんというか、とても印象深い役になっていたように思います。
彼女も一人の役者で、演じるという業を背負った者なんですよね。


そして、月影先生役の夏木マリさん。
TVドラマの野際さんもまさに月影先生!という感じでしたが、
夏木さんの月影先生の凄みといったら・・・!
社会の底辺を経験し、プラスもマイナスもあらゆる感情を飲み込んで咀嚼して、
だからこそ持てる強さと、覚悟と、慈愛と、厳しさ-----
この人を前にしたら、萎縮してしまうか、心酔してしまうか、どちらかじゃないかと思う。
そして、そのどちらにもならなかったのが、マヤであり、亜弓であり、かつての姫川歌子だったんだろうなあ。
でもって、車椅子をこぐ早さもすごかったです(笑)。


でもって、実は個人的にかなりヒットだったのが、岡田正さんの源造さん。
舞台の奥から、客席の通路から、月影先生やマヤを見守るその視線が控えめなのにすごく優しくて、
源造さんが出てくると、ふっと息がつけるような感じでした。
彼がいるから、月影千草は月影"先生"でいられるのかもしれないな、とも思ったり。
あ、冒頭で書いた遠藤さん演じる水城さんもイメージどおりで良かったですv


そんなこんなで、個人個人の役者さんも素晴らしかったですが、
もちろんひとつの舞台としての迫力にも圧倒されました。
オープニングの全員での歌の発するエネルギーには、舞台への期待が一気に膨らみました。
あの漫画の絵の動くパネルも、その動きとかが意味深に計算されてるなあ、と思ったのは、
ちょっと深読みしすぎでしょうか?(笑)
それに、最後のあのフライングもすごい!!
紅天女のフライングもすごく効果的印象的でしたが、
最後のマヤと亜弓さんのフライングにはもうびっくり・・・口あけて見上げちゃいました(笑)。
だってものすごい高速でものすごい高さを行き来するんだよ!!
あの状況で、きちんと笑顔と姿勢を保てるお二人に拍手です!

千秋楽だったので、カーテンコールには蜷川さん登場!
そして、舞台上から花火も!
その花火に喜ぶ美帆さんの後姿が、その前の泣き笑いの表情とともに、
なんだかとても心に残っています。


劇場を出ると、通り雨があったのか、開演前にはなかった水溜りに空の青が映っていました。
雨が降ったことにも気づかない、外界と遮断された劇場という空間。
そこで繰り広げられるのは、さまざまな人物の虚構の感情、虚構の生。
けれど、その虚構の中には、確かに真実がある。
そしてその虚構に、その真実に共鳴する私の想いが、私の生きてきた時間がある。
その共鳴を感じることで、私はたぶん何かを確かめている。
確かめながら、私自身の想いを再構築している。
だから私は劇場に通うことを止められないのだ。
この空間に生きる役者の虚構に、真実に、想いに触れるために。

湿度の高い雨の後の空気と、ごくわずか紅色に染まった夏の終わりの雲を見上げながら、
そんな風に、思いました。

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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
恭穂さん、こんにちは!

流石、恭穂さん。毎度のことながら素晴らしい感想に感動しました!(>_<)
うんうん頷きながら読ませて頂きましたv

私も「ガラスの仮面」観ましたが、役者さん達の素晴らしい演技と蜷川さんの演出、
舞台の面白さを感じる楽しい作品で、私も本当観劇が好きで良かった〜って観ていて思いましたo(^-^)o

美帆ちゃんのマヤ、すごく良かったですよね!
私、前作の「ガラスの仮面」で彼女を好きになったのですが、その時もまさにマヤにぴったりでびっくりしました。
ヘレンのシーン、素晴らしかったですね!
最後のヘレンとサリバン先生のシーンは私も泣きました(;_;)

美帆ちゃんの歌声も心に響いて…やはり私は彼女の歌う姿がすごく好きだなぁと感じました♪
心が伝わってくる感じでv


さて、今日は「ロックンロール」ですね!
お会い出来るのを楽しみにしてます♪

ではでは〜。


卯月
2010/08/28 10:56
ご無沙汰しております。ずっとおじゃましてはいたのですが
コメントなかなか残せなくてすみません。

今回も素敵な感想をありがとうございます。
読みながら胸が熱くなり、いつものことなんですが
うちがもう少し近かったらなぁ、私も出会ってみたかったなぁと思いました(笑)
私もようやく、蜷川さん初挑戦の決心がつきまして
秋にじゃじゃ馬馴らしを見ることにしました。楽しみです。

劇場を出た後の最後の段落、深くうなずきながら読んでおりました。
私も劇場という空間が、舞台と言う表現方法に触れることが
自分が生きていくために必要な種類の人間なんだと思います。

つくりごとなのだけれど
物語の中の人たちの人生は
確かにその時間、そこに存在しているのですよね。

劇場という空間で舞台上と同じ時間を過ごし、共に泣き笑うことで
観客も自分の人生とは違う人生を一時生きることができる…
そして目に見える形には残らなくても、劇場できっと何かを見つけている。時には生き方すら変えてしまうほどの何かを。
自分の見つけた何かを何とかして残したいから
観劇後に感想を書かずにいられなくなるのかなと思いました。(といいつつ、先月末の舞台はまだ言葉にできずにいるのですが)


今日は待望の市村さんなのですね。素敵な観劇になりますように(^^)v
みずたましまうま
2010/08/28 12:18
卯月さん、こんばんは!
コメントいただいていたのですね。
PCを一晩しか借りなかったので、帰宅してから気づきました・・・
すみません(汗)。

「ガラスの仮面」、観劇ファンにとっては、凄く心に響く舞台でしたね。
美帆さんのマヤにはほんとに感動しました。
マヤの造形はもちろんですが、
マヤに込められた美帆さんの舞台への熱情が感じられました。
次の彼女の舞台も、是非観てみたいですv

でもって、昨日今日と楽しい時間をありがとうございました!
特に今日は沢山お話できてとっても嬉しかったですv
帰るとき、話し足りないー!!と内心で叫んでいました(笑)。
「ロックンロール」についてもいろいろお話できたので、
更に楽しめたように思います。
上山くん、私にとっても注目の役者さんになりましたv
こちらも次の舞台を拝見するのがとてもとても楽しみです。
その時には、またいろいろお話できると嬉しいです。

改めまして、今後ともよろしくお願いいたします!
恭穂
2010/08/29 22:10
みずたましまうまさん、こんばんは!
演劇というのは、命を繋ぐためだけなら必要はないけれど、
生きていくためには、私にとっては必要なもの・・・
前日に「宝塚BOYS」を観たこともあり、
「ガラスの仮面」の後、その想いがとても強くなりました。
そして、その気持ちをみずたましまうまさんが共有してくださったこと、
本当に嬉しいです!
こういうことも、またお話できるといいですねv

でもって、とうとう蜷川さんの舞台、観劇されるのですね!
今回の観劇でちらしをもらったのですが、
亀治郎さん、普通にとっても綺麗な女性でした!
「じゃじゃ馬ならし」は私も初めて観るのですが、
今からとっても楽しみですv
みずたましまうまさんが蜷川さんの舞台を気に入られたなら、
またお話したいことが増えちゃいますね(笑)。
でも、それもとっても楽しみです!
恭穂
2010/08/29 22:19
恭穂さま
「ガラスの仮面」すばらしかったですね。
ビッグネームが主演でなくても、こんなに上質の舞台を
つくり上げることができるんだって、改めて感じる作品でした。
そして、恭穂さんの細やかなレポも相変わらずすばらしいです。

あの亜弓さんの感電シーンがなかったのは私もちょっと
残念に思いました。
「おんな河」の赤ちゃんの首、客席まで落ちちゃったんですか!?
あの場面は、劇団の人たちが意地悪で仕掛けをすることに
なっているので、美帆ちゃんもわかっているとは思うのですが
まさか客席までは拾いに行けませんものね(笑)。
スキップ
2010/09/13 01:42
スキップさん、こんばんは!
スキップさんもそう思われましたか!>感電シーン
今回は、どちらかというとマヤの成長中心な内容に思えたので、
しかたないかな、と思いつつ、
亜弓さん役の奥村さんがとても素晴らしかったので、
やっぱりちょっと残念でした。

でもって、あの人形の首はやっぱりアクシデントだったんですね!
いや、もう見事にころころと落っこちたので、
そういう演出なのかなあ、と思ってしまいました(笑)。
でも、スタッフが拾い上げた首を手に、
何事もなく演技を続けた美帆さんに、マヤの真髄を見た気がします(え)。
恭穂
2010/09/14 20:42

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