瓔珞の音

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zoom RSS 笑顔の威力

<<   作成日時 : 2010/09/01 22:10   >>

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今朝のニュース番組で、日本人は笑顔が下手だといっていました。
確かに、外国の方のような全開の笑顔よりも、
はにかむような控えめな笑顔に出会うことの方が多いかもしれません。
でも、素敵な笑顔は誰だって持っているはずで・・・

笑顔に出会うと自分も笑顔になる。
笑顔になると元気が出る。
だから、時々は元気になるために笑顔になる。
たとえ、辛くて辛くて、笑顔になんて絶対なれない!と思うときでも。
この笑顔に接した人が元気になれるように―――



「宝塚BOYS」

2010.8.26 ソワレ シアタークリエ 11列10番台

出演:浦井健治、杉浦太陽、黄川田将也、東山義久、藤岡正明、瀧川英次、石井一彰、初風諄、山路和弘



今日東京千秋楽を迎えたこの舞台。
観るたびに切なさと暖かさと元気をもらえるこの舞台を、この夏私は2回観ることができました。
1回目は前方席だったこともあり、ついつい星野に目が行ってしまいましたが(笑)、
今回は全体が観やすいセンター席で、BOYSたちのいろいろな表情を見ることができました。

今回目を惹かれたのが、太田川を演じる瀧川さん。
冒頭、周りが戦時中のことを語っているときの、
ちょっと情けなさそうな、ちょっと困ったような、あの表情に、
彼の"戦時中"を知っている身としては、なんとも切ない気持ちになりました。
2幕で吐露される、自分はずっと中途半端だった、という気持ち、
そして、「お前、できるやろ? 歌えるやろ? 踊れるやろ?」という言葉を聞くたびに、
よろけながら踊る彼を抱きとめて、抱きしめて泣きたくなります。

戦争に行けなかった。
友達が、団員仲間が、次々と過酷な戦場に赴く時に、自分は安穏な暮らしをしていた。
自分は、何もできなかった―――

戦争に行けなかったことは、決して彼のせいではない。
戦争に行けなかったとしても、太田川はきっと自分を冗談に紛らわせながら、自分のできることをしていたはず。
なのに、こんなふうに思ってしまう彼が、
彼にこんなふうに思わせてしまうあの時代が、
なんともやるせなく、切なくなってしまうのです。

6月に亡くなった祖父の遺品を整理していたとき、祖父の軍隊手帳が出てきました。
私よりも若かった祖父の署名が入っていたこともあり、記念に持ち帰ったその手帳には、
その兵種と住所氏名以外のことは何も書き込まれていませんでした。
祖父も、太田川と同じように、結核を患っていました。
後方部隊として、地元の工場で技術者として働いていたという祖父。
でも、そのことすら、私は祖父の死後、伯父の口から聞きました。
そして、その手帳に書かれていた兵種は、調べると、当時とても冷遇された部署であったとのことでした。

生前、祖父は、戦争中のことは、何も話しませんでした。
祖父は、どんな思いでこの手帳を仕舞いこんでいたのだろう。
病のために、友を、家族を戦争に送り出すことしかできなかった自分と、
祖父はどんなふうに折り合いをつけたのだろうか―――?

今回の公演で、太田川を観たとき、私は否応なく祖父を思い出しました。
戦争に行けなかった自分を責め、何もかも中途半端だと咽び泣く彼に、
私は自分の知らなかった祖父の時間を感じました。
それは、もちろん私の思い込みかもしれません。むしろ、その可能性のほうが高いでしょう。
でも、この芝居の最初から終わりまで、
いろいろなところでその心の傷を垣間見せてくれた太田川を、
その傷を調子の良い口調と笑いで紛らわせていた太田川を、
やっぱり私は抱きしめたくなってしまうのです。
君のせいじゃないよ、と。
君のできることは必ずあるよ、と。
そして、君もいつか祖父のように、優しい穏やかな笑顔を手に入れられるはずだよ、と。


そしてもう一人、その笑顔の威力に圧倒された人がいます。
それは、上原さんを演じた浦井くん。
前回観たとき、上原さんの印象は、あのくしゃっとなった困った顔でした。
彼の笑顔の印象が、あまりなかったのです。
けれど、今回。
最後のレビューのシーンでの彼の晴れやかな笑顔を見たとき、
上原がずっと笑顔でいたことに、今更ながらに気づきました。
もちろん、仲間たちも一緒に笑顔でいたときには、彼も笑顔でした。
でも、それ以外の時の彼の笑顔が、わーっと脳裏に浮かんできたのです。

冒頭、終戦の日の蝉の声に紛れるように彼の耳に柔らかな歌声が届いた時。
衝突ばかりの仲間を送り出した後、自分を気遣う君原さんを見る時。
宝塚を止めるという星野に向かい合った時。
そして、宝塚男子部の解散を伝えられた時―――

誰もが衝撃を受け、誰もが自分を否定しそうになっていたあの時、
泣き崩れる竹内の肩を抱きながら、
宝塚での時間を、胸を張って戦友の墓前に報告できる、と言った上原の笑顔。
あの笑顔は、決して無理に作られたものではなかった。
けれど、あの状況で、あの笑顔でいるために、
リーダーとしての彼は、どれだけの懊悩を、どれだけの悲嘆を超えてきたのだろう。
そして、あの瞬間、彼の笑顔がどれだけ周りを元気付けただろう。

レビューのシーン、誰よりもにこやかに、誰よりも軽やかに、
あの"夢の時間"を心から楽しんでいた上原。
変わらぬ笑顔は、たぶん彼の成長の証、強さの証、そしてリーダーの証。
そう思ったら、私も思いっきり笑顔なのに、やっぱり泣けてしまいました。

この日、一緒に観劇した友人は「宝塚BOYS」は初見でした。
でも、彼女が観劇後に最初に言ったのが、やはり上原のレビューでの笑顔のことでした。
実は「薔薇とサムライ」も一緒に観ていて、シャルル王子の笑顔も観ている彼女。
でも、「全然違う笑顔だった!」と言っていました。
うん、確かにこの二人、得たものも失ったものも大きく異なるよね。
でもって、「歌もダンスも凄く上手!」と絶賛し、「別の舞台も観たいなあ・・・」と。
・・・浦井くん、確実にファンを一人増やしましたよ!(笑)

もう一つ彼女が言っていたのが、「どのへんがアドリブ?」ということ。
私は2回観ただけですが、アドリブ、と言い切れるところは多分そんなに多くないと思うのです。
プログラムに、「どこからどこまでがアドリブ?」という日常の空気を演出家に求められた、
という記述があったように思うのですが、
この舞台でのBOYSの関係は、本当に自然で違和感のないものだったなあ、と思います。
もうね、元気一杯、いつでも全力疾走!という感じがびしびし伝わってくるの。
斜に構えた星野ですら、仲間とじゃれあうときの表情はもう少年のようで(笑)。
もう微笑ましくて仕方ありませんでした。

・・・このときの彼らは、既に少年よりは青年と呼ぶ方が似合う年齢だったと思う。
でも、彼らは"少年"なんだよね。
戦争で奪われた"少年時代"を、彼らはある意味生きなおしている。
もちろん、これまでに過ごしてきた時間は確かに彼らの中に積み重なっていて、
だからこそ、ただ真摯に、純粋に、"少年時代"を生きている。
その時間は、どうしたって終わりを迎えなくてはならないのだけれど・・・
その終わりを、ああいうふうに受け止めることができたのは、
そういう経験を持った彼らだからこそなんだろうな、とも思います。


そんなこんなで、2回目も目一杯楽しんできました。
長谷川も1回目のときよりは元気に健康そうに見えたし(やっぱりあの憔悴は演技だったのかな?)、
竹内は歌声も立ち居振る舞いも更に力強くなっていたし、
山田は更に優しく深くなっていたし、
竹田は更に自信満々だし(え)、
星野の情は更に深くなっているし、
君原さんの癒しオーラは舞台上だけでなく客席も癒していたし、
池田さんは若者に引きずられるようにちょっと情熱的さが増していたし(横穴式住居、爆笑しました!)・・・
で、結局DVDを予約してしまいました(笑)。

今日が東京千秋楽だったこの舞台。
素敵な舞台を本当に本当にありがとうございました!
兵庫公演も、怪我などないように、頑張っていただきたいなあ、と思います。
そして、いつかまた、"彼ら"の笑顔に出会えることを心待ちにしておりますねv

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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
初演DVDは持ってるんですけど
今年の3回の感想を読ませていただいていたら
今回の舞台のDVDも買おうかな…と心が揺れております
(どっちも生で見てないのである意味公平に見られるのかもしれませんw)

>だから、時々は元気になるために笑顔になる。
>たとえ、辛くて辛くて、笑顔になんて絶対なれない!と思うときでも。
>この笑顔に接した人が元気になれるように―――

ああ、そうですよねー。
「カラ元気も元気」という言葉がありますが
まず外側の形から入ることで、中身もふさわしいものにできることもありますよね。私も、体力的に辛くなった時はできているか自信がないのですが
そうありたいと思いました。
みずたましまうま
2010/09/05 12:03
みずたましまうまさん、こんにちは!
新生BOYSもめちゃくちゃお薦めですよーv
初演の時と、脚本的には大きくは変わっていないと思うのですが、
演じる役者さんが変わるだけで、
こんなにも受ける印象が変わるのだとびっくりしました。
個人的には、DVDは買って損はないかなあ、と思います。
(決して東宝の回し者ではありません・・・!/笑)

「カラ元気も元気」
確かにそういうときはありますよね。
笑顔は作るものではなくなるもの、零れ落ちるものが理想だけれど、
必要なときに笑顔でいられる強さが欲しいな、と思います。
恭穂
2010/09/06 22:38
恭穂さま
新星BOYS、よかったです。
私も、同じ物語でも役者さんが変わると
こんなにも印象が違ってくるものなのか
と少し驚きました。
初演を観たのが3年前、というハンデ?
はあるのですが、今回のBOYSの方が
実年齢に近いせいもあって、感情の揺れ幅も
より活き活きと感じられました。

浦井くん、よかったですね。
私はミュージカルをほとんど観たことが
ないのですが、恭穂さんのお友だちと同じく、
浦井くんの他の舞台も観てみたいと
思いました。
これでファンが2人増えましたね(笑)。
スキップ
2010/09/07 01:50
スキップさん、こんばんは!
今回の公演もとても素敵でしたねv
あの感情の揺れ幅は、やっぱり若さ!なんでしょうか(笑)。

浦井くん、今年に入ってから個人的にかなりの注目度なのです。
ミュージカルでの歌声も、どんどん良くなってきていますので、
機会がありましたら、是非ご覧になってくださいねv
恭穂
2010/09/08 20:57
恭穂さま、こんばんは。
2010年版「宝塚BOYS」、本当に良い舞台でしたね!
笑って、泣いて、充実した舞台で、久々にチケットが増えました。
若いキャストだけに、1回目より2回目がより深くなっていて。
瀧川さん、私も大注目でした。


花梨
2010/09/13 00:02
花梨さん、こんばんは!
ほんとに観ていてほほえましいBOYSでしたねv
私もチケット増やしたくなっちゃいましたが・・・残念!
瀧川さん、とても誠実な演技をされるかただなあ、と思いました。
他の舞台でも拝見したいですね!
恭穂
2010/09/14 20:35

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