瓔珞の音

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zoom RSS 呪縛

<<   作成日時 : 2010/11/26 23:08   >>

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初演からずっと観続けているこのミュージカル。
私の大好きなミュージカルの一つです。
でも、今回。
私にとって一つ大きな変化がありました。

アッキー(中川晃教くん)が、出演しないこと。

今回の公演のキャストが発表された時、ああ、やっぱり、と思いました。
そして、その事実を淋しいと感じると同時に、納得していた―――その、はずでした。



「モーツァルト!」

2010.11.21 マチネ 帝国劇場 1階E列一桁台

出演:井上芳雄、高橋由美子、島袋寛子、涼風真世、山口祐一郎、市村正親、阿知波悟美、武岡惇一、
    吉野圭吾、坂口湧久 ほか


観劇から、ずいぶん日があいてしまいました。
仕事が忙しかったのもあるけれど、ちょっと自分の中で上手く折り合いを付けられなかったことが、
なかなか観劇記録を書けなかった理由だったりします。
その理由はたった一つ。

アッキーの不在―――

九月の井上くんのコンサートで、そのことを改めて納得したはずなのに、
実際の舞台を観たら、その不在に、思いっきり動揺してしまいました。

だってね。
舞台の上でヴォルフガングを生きる井上くんに少しずれて重なるように、
私にはアッキーのヴォルフが見えてしまったんです。

ああ、彼はここではあんな風に笑っていた。
ここでは、あんな風に歌声を響かせていた―――

私の記憶力ではもちろん細かな記憶はないはずなので、
多分に私の思い込みが入っているのは確か。
でも、井上くんの突き抜けるような歌声に、奔放な演技に、私はアッキーの存在を感じてしまった。
井上くんのコンサートの時に、微かに感じたアッキーヴォルフの気配。
それと同じものを、更に強く感じてしまったんです。

それは、似ている、ということでは決してありません。
井上くんのヴォルフガングは、当たり前だけど井上くん自身のもので、
ただ、前回の公演の時の印象とは、ふとした瞬間の肌触りが違っていた。
それは、もちろん彼自身のこの3年間の成長や変化なのでしょう。
でも、その中にアッキーと創り上げたこれまでの公演の記憶も、きっとあると思う。
それが、私には"アッキーの気配"に感じられたのかもしれません。

そう感じることは、もしかしたら井上くんにとっても失礼なことなのかもしれない。
新生ヴォルフの山崎くんにとっても、そしてアッキーにとっても、失礼なのかもしれない。
けれど、井上くんとアッキー、二人のヴォルフガングを中心に創り上げられたこのミュージカルは、
これからも、井上くんがどんどん深化させ、
山崎くんや、未来のヴォルフガングたちが進化させていく可能性を秘めている。
同時に、このミュージカルから新しい翼を得て飛び立っていくヴォルフガングもいるでしょう。
そして、その一人一人のヴォルフガングの"存在の記憶"が、
降り積もる雪のように、このミュージカルに深く浸透していく―――
それは、なんだかとても素敵なことのように感じてしまいました。


もちろん、舞台そのものはとっても楽しめたのですよ!

井上くんのヴォルフガングは、やっぱりとっても大人びた真面目な印象で、
はじけてバカをやっていても、それすらもなんだか余裕の感じられるところが魅力的v
でも、だからこそ、1幕後半、大司教に啖呵をきって追い出された後、
あの箱をアマデに取り上げられて(?)、
しゅんとしたように、拗ねたように下を向いてアマデの後をついていく様子がなんだか可愛くて・・・
そして、アマデという存在へしだいに向けられる疑念や恐怖が、とてもリアルに感じられました。
コンスタンツェとの関係も、今回は二人が恋に落ちる瞬間が、凄く分かりやすかったし、
彼女と再会した時のおどけっぷりと必死さが、かなり微笑ましかったです。
(そして、彼の股関節の柔らかさに感嘆!/笑)
でも、なんといっても秀逸だったのが、パパが亡くなってからの変化。
2幕後半は、なんだかもう息をするのも忘れてしまうくらい、真剣に見入ってしまいました。

そんなこんなでちょっと動揺してしまって、
まっさらな気持ちでよっしーヴォルフと向き合うことができなかったのが、
なんだかとっても残念!
次の観劇では、もっと沢山のことを、彼の生き様から受け取りたいな、と思います。


アマデ役は、坂口湧久くん。
いやー、めちゃくちゃ可愛かったです!
最初にピアノを弾くシーンで、椅子に座るときに必ず赤いコートの裾を直すのがツボでした(笑)。
動揺引きずりで(汗)、ヴォルフとの関係をクリアに見ることはできませんでしたが、
余り黒さの感じられない、ある意味清らかな存在だったなあ、と思います。
清らかで無邪気だからこその怖さもあるんですけどね。


高橋由美子さんのナンネールはさすがの安定感!
というか、最初のシーンのあの可愛らしさはなんなんですか?!
まさに10代の少女、という感じで、ちょっと目を疑いました(笑)。
でも、あのにぎやかで華やかなあのシーンで、
一瞬ふっとナンネールが無表情に遠くを見るところがあったんですね。
2幕最後、あの箱から流れ出る音楽を聴いた時のの表情に、最初の表情が思い浮んで、
中央で冷たくなっていく二人に重なるように、あの華やかな空間が思い出されて、
なんだかちょっと鳥肌が立っちゃいました。
「SHIROH」の時といい、こういう表情のできる高橋さんって凄いと思う・・・!


コンスタンツェは島袋寛子さん。
今回一番の成長を見せてくれたと思います。
歌声はもちろんですが、お芝居自体が凄く深みが出てきた感じ。
ちゃんと彼女の背景が見えてくるように感じました。
♪ダンスは止められない も、歌詞ではなく、きちんとコンスタンツェの"ことば"に聴こえました。
でもって、一番好きだったのは、
狂乱した後のヴォルフガングを抱きしめる時の手だったりします。
細い手が、時にすがるように、時に母のような優しさでヴォルフの背中をさすり抱きしめる―――
そこには確かに彼への愛情があって。
だからこそ、その手を振り切るように出て行くヴォルフと、残されるコンスタンツェが、
どちらも哀しくて、切なくて仕方ありませんでした。


ヴァルトシュテッテン男爵夫人は涼風さん。
前回は"母性"を感じられる男爵夫人だったのですが、
今回はちょっと怖い男爵夫人だなあ、と思ってしまった。
どうしてかなあ・・・?
優しさよりも、強さとか、したたかさとか・・・
ヴォルフの才能を認め愛しているけれど、ヴォルフ自身はどうでもいいというか・・・
彼を取り囲む"世間"の代表のように感じられました。
もう一度観たらその理由がわかるかな?


山口さんのコロレド大司教は、相変わらず素晴らしいマント捌きでした!
あの長さのマントをあれだけ軽やかに華やかに翻せるのは凄い!(笑)
山口さんを拝見するのは久々だったのですが、
あの歌声はやっぱり格別だなあ、と思いました。


でもって、もう一人格別!と思ったのが、吉野さんのシカネーダー。
相変わらずかっこよくって、細かい芝居が秀逸でした。
革命を知って、カバンから「魔笛」の台本を取り出すときのあの表情、
真正面で見るとほんとに複雑に意味深で素敵でしたv
最初の自己紹介(?)の時のへんな節回しにも受けてしまった(笑)。
今回一緒に行った友人は、前の公演のときも一緒に見て吉野さんに思いっきり落ちた人なんですが、
今回も見事に吉野さんにメロメロになっていました(笑)。
隣に座っていて、二人で観ている先が違うのが丸分かりだったり・・・


そして、市村さんのレオポルト。
ヴォルフガングに向けられる深い愛情と、分かり合えない辛さのギャップが哀しかったです。
市村さんのこういう抑えた演技、本当に伝わってくるものが多いと思う。
でもって今回思ったのは、アマデを作り出したのは、レオポルトだったのかなあ、ということ。
最初のシーンで、「こどものままなら」という歌詞があって、
そのことばが呪縛となって、アマデを形作ってしまったのかも・・・と。
そんな風に思ってしまうくらい、この言葉が胸に深く落ちてきました。
これまではそんなことなかったのに・・・

この呪縛が創り上げた、レオポルトが理想とする息子であるアマデ。
そして、彼の理想を飛び越えて成長していくヴォルフ。
そのどちらをもレオポルトが抱きしめていたら、受け入れていたら、
呪縛を解かれたヴォルフとアマデは本当の意味で一つになって、
別の人生を歩んでいたのだろうか―――と。
そして、そのあとで、こんな風に思ったのです。

私が最初にアッキーを知ったこの舞台。
その歌声に、描き出される生き様に、衝撃を受け、魅了され、
それからずっと彼を追い続けてきた私は、
"アッキーのヴォルフガング"に、たぶん知らず強く強く呪縛されていた。
その呪縛を、今回の観劇で初めて私は認識して、
認識することで、その呪縛から解き放たれたのかもしれない。

次にこのミュージカルと向き合う時、
私はまだ呪縛の名残を引きずっているかもしれない。
でも、もしかしたら、まったく新しい気持ちで向き合うことができるかもしれない。
―――その日が、とても楽しみです。

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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
「呪縛」......またもやタイトルにどっきりしましたが、すごく共感してしまいます。「モーツァルト!」でのアッキーとの出会いの衝撃は大きく、劇団☆新感線のいのうえひでのりさんが「SHIROH」の舞台を作り上げる原動力だったというエピソードにも共感しまくりでした。
私の最近の観劇の絞り込みの中で、ミュージカルは封印していく作品が多くなっていて、この作品もその一つという感じです。あと、子どもをありのままで受け入れるのに格闘してしまった私としては痛すぎるお話ということもあります。「エリザベート」も痛くて辛い部分があってダメなんですよ。城田優トートが熟成してきたら一度は観たいと思いつつ様子見中。
いい作品には人生の中で再び巡り合える機会があるといいなとは思ってます。
ぴかちゅう
2010/11/28 00:34
こんばんにゃっ!
ワタシはあっきーヴォルフを見そびれた人間なのですが
今期の芳雄ヴォルフを観て
「もしかしてあっきーが入ってる?」と感じました。
観たことないのにそう思うのも不思議なんですが
前期の芳雄くんにはなかった「天才っぽい雰囲気」というか
「神がかった感じ」が感じられたせいかな。
もちろん芳雄君が深くなったせいもあるかと思いますが
私はその時 舞台の神様が降りてきてあっきーとよっしーを
融合させているのでは?なんてー事を考えてしまったのです。
劇場というのは不思議な空間です
レミのエポが本田美奈子さんそのものみたいに見えたこともありました
そんな不思議体験もライブの楽しみとして感じていきたいなと思います♪
クミゴン
2010/11/28 00:51
ぴかちゅうさん、こんばんは!
体調はいかがですか?
「モーツァルト!」のアッキー、本当に衝撃でしたね。
私は市村さん目当てで、主役は全然気にしていなかったので(え)。
本当にびっくりして、その後一気にCDをそろえました。
あの時のヴォルフガングがもし井上くんだったら、
今の私のスタンスも違っていたのかもしれません。
やっぱりこれって運命でしょうか?(笑)
そして、アッキー見たさにとった「SHIROH」が、
私と新感線の出会いでした。
どちらも、今では私の観劇ライフに欠かせませんv

城田くんのトート、良かったですよ〜v
これからきっと更に熟成してくるのではないかと思います。
それもとても楽しみですねv
恭穂
2010/11/30 21:08
クミゴンさん、こんばんは!
クミゴンさんも、今期の井上くんにアッキーを感じましたか?!
アッキーの振り切れた天才っぽさが、
井上くんの繊細なヴォルフガングにプラスされるのかも。
舞台の神様が・・・というクミゴンさんの考え、
私もなんだか納得してしまいました。
まねをするとかではなくて、
役として生きるときに、そういう息遣いというか、
在り方が融合されることがあるのかもしれませんね。
そういう奇跡みたいなことを感じられるから、
私も観劇を止められないのだと思いますv
恭穂
2010/11/30 21:13
「アッキーの気配」ちょっとわかるような気がしました。
前回まではアッキ−ヴォルフの死は解放であり、アマデと一つになれる喜びを
井上ヴォルフの死には絶望と、力尽きて才能に喰われたような怖さを感じていたのですが
今季の井上ヴォルフの死は、喜びの方が勝って感じられて…
私も、少しアッキーヴォルフに似ていると感じました。
キャストが変わっても受け継がれていくものって、あるのかもしれませんね。

由美子ナンネールは、かなり役作りも変えてきて
弟に冷たくなっているので
ふとした表情にぞっとさせられることが多々ありました。
ヴォルフの死を見たときの何もかも無くしたような表情が忘れられないです。

hiroコンスも良かったですね!
「母性」や「癒し」のという側面をナンネールからコンスが担うようになった分、二人の間に確かに愛はあったのに、すれ違っていくのが切なくて。
私の中では再演の時の大塚ちひろコンスと双璧になりました。

市村パパは、今回は父親の愛情が色濃く感じられたように思いました。
(前回は愛情という名のエゴに思えたのですけれど)
みずたましまうま
2010/12/11 13:20
みずたましまうまさんも、"アッキーの気配"、
感じてくださいましたか・・・
プログラムの井上くんの言葉を読んで、
互いに影響しあって創り上げられたヴォルフという役の素晴らしさを、
改めて感じたように思います。

高橋さん、今回は弟への複雑な感情が分かりやすかったですね。
愛情があるからこその憎悪というか・・・
憎悪しているのに捨てられない愛情というか・・・
あの最後の表情は、私も忘れられません。

本当に、全ての役柄があっての「M!」ですねv
私も観劇2回目の記録、頑張って書こうと思います!
恭穂
2010/12/11 22:58

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