瓔珞の音

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zoom RSS 深淵

<<   作成日時 : 2011/02/08 22:36   >>

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このブログを始めてから、いろいろな方と出会いました。
その方たちを介して、いろいろな舞台に、いろいろな役者さんに、いろいろな音楽に、
いろいろなたくさんのものに出会いました。
それって、私にとってもの凄い財産だなあ、と思う今日この頃。

最近の私のはまりものの一つが、flumpool。
天邪鬼な私は、紅白に出るようなメジャーなアーティストには普段見向きもしないのですが(え)、
flumpoolには思いっきりはまりました!
教えてくれたのは、卯月さん。(ありがとう!)
きっかけはちょっと不純(笑)でしたが、
いまでは彼らの創る音楽の世界がとても心地よく・・・日々励まされています。

そして、このお芝居も、たぶんきっかけがなければ観にいかなかった舞台。
正直なことを言ってしまえば、最初は誘ってくださったみずたましまうまさんに会うことがメインで。
失礼を承知で言ってしまえば、興味はあっても期待はしていなかった。
(ごめんなさい!)

なのに。
観終わった後、上手くしゃべれないくらい感情を揺り動かされた自分がいました。



「柳生十兵衛」

2011.1.29 マチネ 六行会ホール F列15番

出演:脇太平、重住リョウ、夕貴まお、神田恭兵、小林大介、杉浦功兼、木原ゆり、次賀慎一郎、慈五郎、
    平山佳延、小野瀬侑子、月登、槇由紀子、側見民雄  他


時は三代将軍家光の世。
将軍の剣術指南役である柳生十兵衛(重住リョウ)は、家光(平山佳延)を仕えるべき主とは思えず、
剣術指南役を返上し、父・柳生但馬守(脇太平)とも縁を切った上で出奔した。
彼の無礼を許せない家光・・・というよりその背後の松平伊豆守(月登)と春日局(槇由紀子)は、
十兵衛が察した家光の出生の秘密を彼ごと抹消するために、追っ手を放つ。
その追っ手を悉く斬り伏せながら江戸を出た十兵衛は、迷い込んだ山里である一族に出会う。
彼らは大阪夏の陣で滅亡した真田の末裔。
幸村の遺した姉弟―――由利(夕貴まお)と四郎(杉浦功兼)を旗頭に、お家再興を目指していた。
彼らの悲願を、けれど十兵衛は夢物語と一刀両断する。
徳川の世を知る十兵衛にとって、彼らの悲願は現実不可能としか思えなかった。
けれど、長老・幽鬼斎(側見民雄)に引き止められ、里に滞在するうちに、
その願いを胸に明るく真摯に生きる彼らの想いに、十兵衛は寄り添い始める。
そして、彼らの願いが成就目前となったとき、
幕府に狙われる自分の存在がその願いを阻むことを知る十兵衛は、
彼を師と慕うきじ丸(神田恭兵)と共に、彼らに別れを告げた。
しかし、十兵衛が発ったあとの里に忍び寄っていたのは、
真田の末裔の存在を消すために放たれた幕府の刺客たちだった。
伊豆守の、春日局の、そして但馬守の、それぞれの思惑の犠牲となる多くの命。
不穏な気配を察し、里へ戻った十兵衛が目にしたものは―――


という、ばりばりの時代劇でした!
柳生といえば「吉原御免状」、十兵衛といえば「SHIROH」、
真田幸村といえば城田優、という偏った知識(笑)の私的には、
最初、ちょっとハードルが高いかなあ、と思っていたのですが、
多少時代背景や人物関係がわかりにくかったものの、
最初から最後まで思いっきり楽しむことができました。

何より凄かったのが、その殺陣!
次々と現れる刺客(黒鍬者)を次々と斬り伏せる十兵衛の動き、
そして照明に浮かぶ刀の残像がめちゃくちゃ綺麗で、
殺伐とした場面なのに思わず見とれてしまいました。
黒鍬者も、斬られてはけてはまた現れて斬られて・・・という感じだったようで、
実際の人数よりもずっとたくさんの人がいるように見えました。
カーテンコールで十兵衛の重住さんが、「(延べ)80人くらい斬ってる」とおっしゃってましたが、
それだけ何回も、更にはそれぞれの動きで斬られていくわけですから、
演じてらっしゃる方たちは、ほんとに大変だったと思います。
新感線のように派手な効果音はありませんでしたが、まったく薄っぺらい印象はなくて、
むしろ、生の息遣いや気迫が感じられるような殺陣でした。


重住さん演じる十兵衛は、年齢設定的には、20代くらいなのかなあ、と思ってみたり。
達観しているようだけど、若いというか青いというか・・・成長途中の頭でっかちな印象が最初ありました。
斜に構えているというよりも、拗ねてるというか(笑)。
そんな彼が、真田の残党と共に過ごすうちに、
真っ直ぐに自分に向かってくる彼らと接するうちに、
強がりながら懸命に一族を支えようとする由利姫の眼差しを受け止めるうちに、
荒んだ雰囲気がどんどんクリアに明るくなっていくように感じました。

けれど、自分が発った後に里を襲った悲劇―――
心をかわした人たちが全て息絶え、その悲劇をもたらしたのが幕府であることを知ったとき、
彼の雰囲気は一変しました。
一気に奈落へ堕ちたかのような、暗い眼差し。
暗闇の中、魂が引き裂かれるかのようなきじ丸の慟哭と、
無言でその表情と雰囲気に怒りと嘆きと殺気を纏っていく十兵衛・・・
この対比がもの凄くて、このシーンでは、泣くよりもちょっと鳥肌がたってしまいました。

そして、江戸城へ立ち戻った十兵衛。
彼を待っていたのは、この悲劇をもたらした伊豆守、春日局、そして父・但馬守―――
真田の再興に関係する紀州の台頭を阻むことを狙った伊豆守と春日局。
柳生家の存続のために伊豆守の思惑にのり、けれどその裏で十兵衛の自由を願った但馬守。
それぞれの思惑を理解しながら、けれど決して受け入れることはせず、刀を持って彼らに対峙した十兵衛。
父と共に自分の自由と無事を願った弟たちを斬り、伊豆守を斬った十兵衛の前に立ちはだかったのは、
師であり、父である但馬守でした。

・・・この二人の殺陣が、本当に素晴らしかったんです!
演出だとは思うのですが、波立つ感情そのままに荒い息遣いの十兵衛と、
息一つ乱さず、感情を消した表情で十兵衛を追い詰めていく但馬守。
最終的に、但馬守はきじ丸の銃弾に倒れるのですが、
息子にとって最後まで越えられない存在であり続けようとした父の想いが、
そして、その父にとどめをさした瞬間の十兵衛の表情がめちゃくちゃ切なくて・・・
実はこの時点でかなり涙腺がやばかったんですが、
本格的に決壊したのは、最後のシーンでした。

舞台奥の扉から射し込む光。
その扉に向かっていく、満身創痍の十兵衛が、扉の前で一度膝を着きます。

自分が浴びた血の重さに耐え切れないように。
自分に向けられた想いの重さに耐え切れないように―――

心配そうに見つめるきじ丸に背を向けたまま、一人ゆっくりと十兵衛は立ち上がりました。
逆光の中、彼の表情は見えませんでした。
彼は、これからその重さを背負って生きていくんだ。
きじ丸と共に在っても、これからどんな出会いがあっても、
十兵衛が一人背負った重みは消えることはない。
救えなかった生命、奪った生命、受け取れなかった想い。
その全ての重みと共に、歴史の深淵へと沈み込んでいく―――
そんな彼の覚悟を、その壮絶さを思ったら、何故だかどうしても涙を止めることができませんでした。

最後の僅かなシーンから、ちょっと妄想過多な受け取り方をしてしまいましたが、
そのくらい深いシーンだったと思うし、
台詞でも表情でもなく、その背中で、その佇まいでこれだけのものを伝えてくれた重住さん、
そしてこの演出をつけた脇さんに、ほんとにやられた!と思いました。


真田の末裔、由利姫を演じたのは夕貴さん。
父を誇りに思い、一族を愛し、弟を支え一族を守るために、
自分を殺し、自分の能力以上に一生懸命頑張って頑張って里を支え続けた気丈なお姫様、という印象でした。
長刀の扱いとか、十兵衛へ立ち向かっていくシーンとかが、
あんまり強そうに見えなかったので(え)、余計にそんなふうに感じたのかも。
でも、その強がりがとても健気に見えました。

真田の若様、四郎は杉浦さん。
いやー、育ちのいい、守られて育った素直な若様オーラが満載でした!
小野瀬さんの篝火とのバカップルラブラブっぷりも微笑ましくv
真田家再興は彼らにとって絶対条件であるわけだけど、
由利にしても四郎にしても、真田を捨てた別の人生という選択肢があればよかったのに、と思いました。

きじ丸役の神田さん。
この舞台のなかでは、唯一これまでに見たことのある役者さんでしたが、
私の記憶のなかよりも格段に大人っぽくなっていてびっくり!
忍者の末裔も納得な身軽な動きも良かったですが、
やっぱり一番好きなのは、あの号泣シーンかなあ。
もの凄いいろんな感情を全てこめた慟哭・・・とても印象的でした。

個人的にとってもお気に入りだったのが、平山さんの家光だったり。
甘やかされて育った無能なばか殿、という以上の、
どこか得体の知れないエキセントリックさがとても魅力的でした(褒めてます!)。
家光にそんな印象を持ったから、彼の表面だけの無能さだけをみて、
その底知れなさを感じ取れず出奔した十兵衛が余計に青臭く見えたのかも(笑)。


そのほかにも、個性的で見ごたえのある役者さんが沢山いらっしゃいました。
この舞台を観なければ、WAKI組という劇団があることも、
これだけの見ごたえのある殺陣に触れることもなかったんだなあ、と思うと、
改めてこの舞台に誘ってくださったみずたましまうまさんに感謝!です。
前後のお喋りもめちゃくちゃ楽しかったですしv
またご一緒させていただける機会を、楽しみにしておりますね!

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
ご無沙汰してます。
実は先週、インフルエンザで1週間近く寝込みまして、すっかりコメントが遅くなってしまいました(笑)自分が結局体調不良で書けないままになってしまったので、書いてくださって嬉しかったです。読んでいるとあの日の舞台が目の前に蘇ってくるようで、何度も携帯で読み返して、思い出しておりました。

里全滅以降のシーンは、私も忘れられません。大好きなシーンでした。
これは完全リピーター目線の感想なんですが
十兵衛と但馬守の戦いは、日に日に二人の動と静のコントラストが強くなっていき(というか十兵衛が日に日に、後半のシーンでボロボロになっていったw)
ラストの膝をつくシーンも、最初の頃はなかったような記憶が(もう少しあっさり立ち去って行ってましたし、緞帳が下りるのが早かった)。

きじ丸がいても一人修羅の道を行く十兵衛、という印象は
後半の、恭穂さんがご覧になったころの方がより強く感じられました。
(きじ丸目線から行くと、もう少し照明あてて表情まで見たかったですけどねw)

役者さん一人一人の、ちょっとした視線やしぐさや表情が
日に日にどんどん変わっていって
十兵衛と里の人たちや、里の人同士の関係性が日に日に深く感じられるようになって
それ故に里全滅のシーンや、最後の対決シーンもより印象に残るものになって…芝居というのは育っていくもの、まさに生き物なんだなぁと感じさせられました。

正直に言いますと、私も期待はしていなかったんです。というより無事に終わってくれたらそれでいいと思っておりました。最初に観た日に、そんな自分の不遜さを恥じましたが。
ひとつの舞台を創るってほんとに命がけで、凄いことなのだと思い知らされて…だからこそ、その舞台に合ったやり方でまっすぐ向き合おうと改めて思わされたお芝居でした。
みずたましまうま
2011/02/15 13:11
みずたましまうまさん、こんばんは!
インフルエンザだったのですか?!
もう良くなられたのだとは思いますが、
病み上がりも大切です!
どうぞお大事にしてくださいね。

このお芝居、観ることができて本当に良かったです。
短い公演だったのがとても残念!
でも、きっと限られた公演期間だったからこそ、
一回一回を最高の舞台にしようと、
みなさん、頑張ったのでしょうね。
あの最後のシーンは、本当に印象的でした。
私の席からは、きじ丸の横顔が見えたのですが、
逆光の中、とてもシャープなラインがかっこよかったですv

また是非、お芝居やお喋り、ご一緒させてくださいねv
その機会を楽しみにしております!
恭穂
2011/02/17 20:58

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