瓔珞の音

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<<   作成日時 : 2011/04/29 21:00   >>

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地下鉄の階段を降りるとき、吹き上げる風に立ち止まることがあります。
人気の少ない地下鉄のホームに立つとき、どこからか吹く風に振り返ることがあります。

地上とは違う、いつも少しだけ湿度の高い、いつも少しだけひんやりとした、地下の風。
地上とは隔絶された、別の世界のような不思議な感覚。

けれど、その風はいつだって地上のどこかから始まっているはず。
いつだって、その風は地上の何処かへ吹き抜けていくはず。



SHOW-ismU −Sketches with Body and Music−
「Underground Parade」

2011.4.23 ソワレ シアタークリエ 17列一桁台
2011.4.24 千秋楽 シアタークリエ 4列10番台

構成・演出・訳詞:小林香
振付:原田薫、港ゆりか、YOSHIE
出演:中川晃教、彩吹真央、藤岡正明、岡千絵、原田薫、YOSHIE,港ゆりか、大貫勇輔、佐藤洋介


舞台は、ニューヨークの地下鉄。
たくさんの人が足早に通り過ぎ、たくさんの人がそこに集い、そして離れていく―――常に流れ行く場所。
ある時そこで、4人の男女が顔見知りになります。

ある事情で、1万人と言葉を交わすまでこの場所でピアノの弾き語りをしている作詞家D.D.(中川晃教)。
ある事情で、世界中の音を集める仕事をやめ、地下鉄構内のポスター張り職人をしているニコ(彩吹真央)。
ある事情で、この場所でギターの弾き語りをしている地下鉄ミュージシャンジューン(藤岡正明)。
ある事情で、売れない服を抱えながら毎日地下鉄を行き来しているファッション・デザイナー ジーヘイ(岡千絵)。

春の気配はまだ遠い3月に出合った彼らが、
春を迎えるまでの1ヶ月弱でかわした心、受け取った言葉。
一つ一つは大きな出来事ではなくて。
でも、その小さな出会いや出来事が、少しずつ彼らを変えていく―――その様子を、
ダンスと、歌と、芝居で、丁寧に見せてくれました。


スケッチ1 New York 冬 2011.3
      地下鉄ミュージシャン

まだ冬の風が吹く3月。
厚いコートを着て足早に目的にむかって歩くニューヨーカーたちが、
Santanaの♪Let Me にのって描かれます。
ダンスメンバーの5人が演じるニューヨーカーたちの動きがとにかくかっこいい!!
それぞれの動きがちゃんと"その人"を演じていて、
すれ違った瞬間の交流ともいえないかかわりや、もっと深い感情の行き来を、
その動きだけで表現されていたように思います。
ダンスって雄弁!って思っちゃった。

アッキーは最初から舞台上手に設置されたキーボードのところにいて、
ハイトーンヴォイスをしっかり聞かせてくれましたv
ライブには行ったことがないので、彼のピアノ演奏を生で聴くのは殆ど初めてなのですが、
すごくさりげなくいろんなアレンジを加えてるのかな?という印象。
でもって、めちゃくちゃ楽しそうでしたv

途中、周りの動きが止まってアッキーが自分の過去を歌います。
人間愛を描いた曲は書けるけれど、たった一人への愛の歌を書けないD.D.。
自分の知らないその想いを知るために、1万人と言葉を交わすことを自分に課したD.D.。
青い照明の中で、それまでの楽しそうな表情から一転して、
思いつめたような目で遠くを見るD.D.が印象的でした。
そして、その間ずっと不自然な姿勢で微動だにしないダンサーさんたちに拍手!(笑)

もう一度動き出した時間の中で、
ギターを抱えたジューンが自分の現状を語ります(Glen Hansard ♪Say It To Me Now)。
地上で歌うことは、選択肢が多すぎる。
ここで歌い、日銭を稼ぐことでいいんだ・・・というまるで自分に言い聞かせるような歌声。
シンガーとしての藤岡くんの歌をじっくり聴くのは初めてなのですが、
マリウスやクリスとは全然違いますねー。凄く骨太!
そしてその後のD.D.とはもりでまたびっくりしちゃいました!
アッキーと藤岡くんの歌声って、凄く相性がいいんですねー。
アッキーの歌声って、奔放で感情的で、なんというか凄く自由なイメージ。
一方の藤岡くんは、どちらかというと、安定感のある歌声で、まったくタイプは違うと思うのですが、
はもると全然違和感がないんです。
互いに相殺するのではなく、すごくナチュラルに溶け合っている感じで、聴いてて嬉しくなりましたv

場面は変わってテディベアを持ったホームレスの青年と、ジーヘイの小さな諍いが描かれます。
それぞれがそれぞれの場所で、不満や不安を抱えながら生きている二人。
その状況は全然違っていて、時にその違いが諍いの種となる。
でも―――二人が、懸命にもがきながら生きているのは一緒で。
二人の様子を見て、D.D.が歌いだした歌(Kirk Franklin ♪Afterwhile)。
優しいメロディと、優しい歌詞。

あなたの痛みを知ることはできないけれど、あなたの痛みを想像することはできる。

うん。そうだよね。
人は想像できる生き物だから。
自分が知らない痛みでも、自分が知らない辛さでも、そして自分が知らない喜びや幸せも、
人は想像し、共感し、そして気持ちをかわすことが出来る。
誰もがそうできれば、諍いなんて起きないはずなのに―――そう思ってしまうのは私がまだまだ甘いからなのかな?
彼らの歌を聴きながら、青年(佐藤洋平さん)の表情が、少しずつ変わっていくのがとても良くわかりました。
怒りから戸惑い、後悔、葛藤、そして最後にまだ戸惑いながらも凄く優しい表情になる。
これはもちろんお芝居なのだけれど、歌には実際にそういう力があるに違いない!と思いました。

この曲で、ニコが歌に加わるんですが、これまたD.D.とジューンとの相性がいい!
彩吹さんの声って、ちょっと硬質なイメージで、高音がアッキーに重なるんですね。
他のスケッチでジーヘイな岡さんも歌われるのですが、
岡さんの歌声は凄くキュートでまろやか。
それぞれ個性の違う歌声なのに、綺麗に重なってぶつからないところが、素敵でしたv

ジーヘイとテディベアな彼が和解して、そして4人が互いに名乗りあいます。
4人の衣裳は、HPにあったスチールをほぼ踏襲している感じかな。
アッキーの帽子の白い鳩も、小さくなって帽子のくぼみにちょこんと座る感じでいましたv
23日は「小鳩のぴーちゃん」、24日は「伝書鳩のぴーちゃん」ってD.D.が紹介してた(笑)。
もしかして、飾りじゃなくて本物な設定?! 


スケッチ2 MOTHER

一人ギターを弾くジューンと、通りすがりの赤ちゃんを抱いた若い母親を描いたこのシーン。
ジューンの弾き語る子守唄(Stevie Wonder ♪Part-Time Lover)を聞きながら、
港さん演じる母親の表情が徐々に変わっていきます。
こわばり、見開いた目に浮かぶのは、殺意。
赤ちゃんを愛しげに抱きしめる左手と、その赤ちゃんに向かって爪を立てようとする右手。
その右手をなんとか押さえようとする自我―――愛憎のせめぎあいが、
決して派手ではない動きの中で、怖いくらいに伝わってきました。
新聞で絶賛されたくらいの、ダンサーだったという彼女。
こどもを授かったことで、その地位を喪ったのか。
その妊娠は望むものではなかったのか?
ジューンが見たその赤ちゃんの顔が、後ろに大きく映し出されます。
あれは、人形だったのかな?
最初に後方席で観たときは、もしかしてこの赤ちゃんはもう死んでいるの?と、
ちょっと怖いことを思ってしまいました。
赤ちゃんの顔を見た瞬間のジューンの凍りついた表情も、そんなふうに思わせたのかも。
この母親との交流が、ジューンになにをもたらしたのか―――私にはちょっと受け止め切れなかった感じです。


スケッチ3 Why am I here?

D.D.とニコとの交流。
人通りの少ない時間、なのかな?
ゆっくりと確かめるようにD.D.が弾く単音のメロディー。
たった一人、誰かへの想いだけを乗せた曲を書くことができないD.D.。
それは、その想いを自分は知らないから。
だから、その想いを知っている誰かに出会いたい。
あ、自分がそういう想いを経験したいわけじゃないんだ?とちょっとそのとき思いました。
もしかして、恋愛に対してD.D.ってもの凄く臆病なのかなあと思ってみたり。
疵が皮膚にもどるのを待つために、N.Y.にもどってきたというニコは、
もしかしたらその想いをしっているのかも?とこのときD.D.は感じたのかな?
奥の壁にポスターを貼るニコと、歌詞を書き留めるD.D.。
D.D.がニコを見つめるとき、ニコは気づかず、ニコが見つめるときD.D.は気づかない。
大貫さんとYOSHIEさん演じるHIPHOPの男女の嘲りの後(二人の動きがまた凄かった!)
二人が歌う曲が凄く綺麗でした(Glen Hansard ♪Leave)。


スケッチ4 蜃気楼

描かれるのはニコの過去。
砂漠の民族の歌と踊り。
砂漠を渡る風のような藤岡くんの歌声が凄く印象的でした。
でもって、民族舞踊団の踊りも! 岡さんの柔らかな笑顔と踊りが素敵だったなあ・・・
ここで、ニコは大貫さん演じるハッサンに出会うわけですが、
ニコに踊りを教えるハッサンが、ニコにどんどん心惹かれて行くのが、
台詞ではなく、動きで、そしてその視線でありありとわかりました。
一緒になってドキドキしちゃいましたよv(笑)
ハッサンと、佐藤さん演じる強盗の攻防も凄かった。
ダンスなんだけど、まさに真に迫った格闘、という感じ。
男性お二人のダンスって、やっぱりそれぞれ個性があって、
佐藤さんは地面に近い印象で、大貫さんは重力かかってないんじゃないかという印象(え)。
あの青い衣裳で、大きく足を振り上げる形のジャンプ(なんていうんだろう・・・?)が、
とにかくめちゃくちゃかっこよくって、
緊迫感溢れるシーンなのに、その美しさにちょっと見惚れてしまいました。

ハッサンを亡くし、また旅に出るニコが歌うのはAmalia Rodriguesの♪Solidao。
私はサラ・ブライトマンがカバーした♪HAREM しか知らなかったので、
あまりの雰囲気の違いに、暫くその曲だとはわかりませんでした。
レコーダーに吹き込まれた彼の声。
自分の名前を呼ぶ声。
その声は、もうそれ以上の何かを自分に語りかけることはない―――
ニコが体中で歌う嘆きの声が本当に切なくて、
彼女の動きとシンクロするように、後ろの闇の中で踊るハッサンの想いが決してニコには届かないことが哀しくて。
そして、そんな彼女をそっと見つめるD.D.の姿。
彼は、彼女の"疵"を想像することができたのでしょうか。


スケッチ5 売れない服

デザインした服が売れなかった、と嘆くジーヘイを励ますために、
彼女が作ったロリポップを題材にした服を他の3人が来て励ますシーン(MIKA(ミーカ) ♪Lollipop)。
めちゃくちゃ可愛くて、楽しくて、嬉しくなりました!
着ぐるみみたいなジーヘイの服を、ジューンがD.D.に手渡すときの小さな攻防がまた楽しくv
パステルカラーのとっても可愛い服だけど、着るのは大変そうだったかなあ。
あたふたしながら何とか着込んだニコが微笑ましかったですv
ジーヘイの笑顔もめちゃくちゃキュート!
岡さんを拝見するのはこの舞台が初めてなのかもですが、
とにかく最初から最後まで、岡さんの笑顔に癒されていた感じですv
でもって、アッキーも藤岡くんもすごい頑張って踊ってた!!
「宝塚BOYS」のDVDの東山さんのコメントを見た私としては、
もうとにかく藤岡くん、頑張ったねえ、と思いっきり褒めてあげたい感じです(笑)。
ミュージシャンって基本リズム感がいいから、きっともっとどんどん踊れるようになるよね。


スケッチ6 ジューンの悪夢

ギターを抱えるジューンの背後から忍び寄り、翻弄する二つの黒い影。
男性ダンサーお二人の、無機的で得体の知れない(褒めてます!)ダンスがとても怖かったです。
あの出て来方は凄いなあと(前楽のカーテンコールでニコとジーヘイがあれに乗って舞台後方を横切りました!/笑)。
悪夢の原因もギター=音楽で、そして、その悪夢をはらうのもギター。
ジューンにとって、ギターが、そして音楽がどんな存在であるのかを象徴するシーンなのかな、と思いました。


スケッチ7 盲目の女

かつて挫折した恋の歌を、一生懸命作ろうとするD.D.。
そこに現れたのは、一人の盲目の女(原田さん)。
彼女にプレゼントしたのかな? D.D.が♪The Second star to the right を歌いだします。
彼の歌が地下の空間で喚起する、満点の星空。
柔らかい、包み込むようなピアニッシモはとても優しくて、
見えるはずのない空の、小さな星の瞬きすら感じられるくらいなのに、私は聴いていて何故か切なかった。
それは、その歌が結局手の届かないものへの希求だからなのかと思ったのですが、
女がD.D.に言った言葉で納得がいってしまいました。
彼の歌は、淋しいんだ。
どんなに幸せな人生でも、どんなにその手にするものが大きくても、
人は必ず何か欠けている部分がある。常に求めている何かがある。どこかに孤独を隠してる。
それでも。
「人生ってそんなに淋しいものじゃないわよ」
その言葉を聞いた瞬間のD.D.の、途方にくれたような表情がとても印象的でした。


スケッチ8 メトロ・バーレスク

地下鉄に乗っているD.D.が、乗り合わせた女性(YOSHIEさん)に誘われて踊りだすのですが、
ポールを使ったYOSHIEさんのダンスがかっこよかったですv
というか、YOSHIEさんのダンス、とにかく最初から最後まで凄く目を惹かれました!
でもって、いきなり始まるメトロ・バーレスク!(Christina Aguilera ♪Express)
何事?!と思いましたが、とにかくかっこいいナンバーでした。
ニコというか彩吹さん、あのヒールで踊れるのが凄い!!
白や黒を基調とした女性ダンサーさんの衣裳も、アニマルな感じの男性ダンサーさんたちの衣裳も良かったなあ。
大貫さんの背筋がきれいでしたv(おい)
それにしても、このスケッチの脈絡は・・・? D.D.の妄想だったのかな?(爆)


スケッチ9 Soul of New York

ジューンのギターとその奥で踊るSoul Dancer(YOSHIEさん)。
すみません。ジューンの真正面にいたのに、YOSHIEさんに目が釘付けでした。
いや、だってとにかく凄いんですもの!
どうしてあんなに細かくばらばらに体が動かせるのかな?!
最初少しぎこちない雰囲気のギターと歌とダンスが、
だんだんと絡み合い、細かなニュアンスを伝えられるようになり・・・
ジューンの心の動きが、もしかするとこのスケッチで見られたのかも知れませんね。


スケッチ10 私を泣かせてください

未亡人(原田さん)の一人芝居(パントマイム?)から始まるこのスケッチ。
この辺りから、私の涙腺は思いっきり崩壊しました。
愛する人を強盗に殺された、という同じ過去を持つ二人の女。
そのことを知っているのはニコ一人だけれど。
殺された夫がとったオペラのチケットを、今見るのは辛いと通りすがりのニコに渡す未亡人。
オペラは「リナルド」。その中のアリア、♪私を泣かせてください を、
ニコが語りかけるように歌います。

泣きたいだけ泣くことを自分に許すこと。
一人きりになって泣く場所をつくること。

大切な人を亡くしたら、そんなにすぐに立ち直れるはずも、忘れられるはずもない。
それが、ほんとに突然の別れだったら、なおさら。
蹲る自分を、過去に囚われる自分を、けれど許容する時間は必要で。
流しつくした涙に洗われて、自分の中にキラキラとした愛情―――思い出が残る。
その想いは、ずっと自分の中にあって、一緒に生きていくものなのだと。

最後、ニコと未亡人が別の場所で、そろって愛する人の形見である白いスツールを愛しそうに羽織るシーンが、
静かな愛情に満ち溢れていて、とてもとても素敵でした。


スケッチ11 車内ライブ

大雪で地下鉄の電車の中に閉じ込められてしまった4人と居合わせた人たちが、
一緒になって歌い踊る♪Sing!Sing!Sing!
いやー、とにかくめちゃくちゃ楽しそうでした!!
目の前で繰り広げられるダンスと、元気一杯の歌声を堪能v
彩吹さんのリフトされるときの姿勢がめちゃくちゃ綺麗でした。
でもって、ダンサーさんたちの絡みやちょっとした攻防が楽しかったですv
電車が止まっただけでなく、停電もしちゃった車内で、
ケーキを持った女性(YOSHIEさんかな?)がみんなに渡した蝋燭。
暗い空間で揺らめく9本の小さな蝋燭の灯りと、交わされる「ありがとう」の言葉がとても温かくて、
歌われる♪Let it Snow がとても優しくて、なんだか気持ちがほっこりしました。
千秋楽、アッキーとニコの蝋燭が上手く点かなかったのも、
それを周りがちゃんとフォローしたのも、なんだか自然でよかったなあ。


スケッチ12 Again and Again

この舞台で私が一番心揺さぶられたのがこのスケッチでした。
舞台上部に映し出される文字での会話。
一緒に踊ったホームレスの女性が電車に飛び込んだことをみんなに伝えるジューン。
何故、彼女は死を選んだのか。
命は助かったという彼女が、今後どうなっていくのか―――?
突然突きつけられた死。
そして気づく―――自分たちもまた、いつだって死の誘惑に屈してしまえる場所にいる、その事実。

けれど、暗闇の中、D.D.が歌いだします(Kirk Franklin ♪Hero)。
闇の中にいるのは、祈るため、見つめるため。
そして、生きていれば、歩き出せる。歌いだせる。始められる。また、出会える―――

上方から射し込む光の中、一人ずつそれぞれの表現で踊るダンサーたち。
その光を囲むように立ち、歌う人たち。

すみません。もう1週間近く経つのに、このシーンを思い出すと胸がつまって涙がでてきてしまいます。
受け取ったもの、感じたものが多すぎて、どんな風に言葉にしたらいいかわからない。
2回の観劇でも、このシーンではとにかくひたすら泣いていたように思います。
涙を拭く、という動作すらできず、ただただ自分自身の全てでこのシーンを受け止めようとしていた。
あの感覚は、ちょっと自分でもびっくりでした。

震災のあと、加えられたシーンがあるとプログラムにありましたが、
それはもしかしてこのシーンなのかな、と思った。
もしもともとあったシーンだったとしても、あの震災の前と後では、
きっと創り手たちの想いも、表現も違っていたと思う。

暗闇の中で立ち止まり、顔を上げることもできず、ただ蹲っているだけだとしても、
それは、今、必要なことなのかもしれない。
誰かのために祈り、自分を見つめなおし・・・
ううん、ただ、打ちのめされた心をただそっとしておくためだけだとしても。
けれど、今はそうだとしても、人の命はまた光を求める。
光の中で踊るダンサーさんたちからは、光への希求だけでなく、
ただ湧き上がる命の輝きに溢れていたように思いました。


スケッチ13 Not Garbage

あのホームレスの青年のテディベアを捨てようとした駅員に、ジーへイが物申すシーンから始まるスケッチ。
捨てられたテープの束を腰に巻きつけて、
他の誰にとって意味のないものでも、自分には、その人にとっては大切なもの!
それを胸を張って言えるジーヘイ。
自信をなくしていたジーヘイが、こんなふうに言い切れるようになったのも、変化の一つなのかも。
このシーン、「白鳥の湖」を大胆にアレンジしたSweetboxの♪Superstarが使われているのですが、
これももうとにかくかっこよかった!って私、かっこよかったしか言ってませんね(笑)。
新聞紙とか廃棄物で作られた衣裳を着たダンサーさんたちが踊るのですが、
その衣裳がかなりお気に入りでしたv
特にYOSHIEさんのオディールの黒い衣裳が素敵だったなあ。
下手で歌うD.D.、ニコ、ジューンの歌やパフォーマンスもじっくり見たかったんですが、
ついつい中央に目が行っちゃいました。


スケッチ14 春

暗転のあと、舞台の中央に一人立つのはジューン。
地上へ出て行くことを決めたジューン。
月の光すら突き刺さる―――そんな地上は、彼にとってとても怖いところなのかもしれない。
自分の音楽で挑戦することを回避し、地下鉄で歌っていた彼が、
けれど、誰に強制されたのでもなく、地上へでることを、歌い続けることを選ぶ。
それは無謀な賭けなのかもしれない。
もしかしたら、あの母親のように、望まない未来や挫折が待っているかもしれない。
でも、ジューンは大丈夫。
たとえいつか後悔することがあっても、自分自身が選んだという事実はある。
それは、きっと未来への力になる。

創り続けるあの歌に乗せる歌詞を書き留めるD.D.。
黒いコートを着てポーズをとり続けるパフォーマンスをしている人の前の缶にお金をいれて、通り過ぎる。
(前楽では覗き込んだりしてちょっとちょっかいかけてました/笑)
その後、ふと立ち止まるD.D.。
彼が感じたのは、地下の澱んだ空気の中でも、一瞬吹き抜けた風なのか。
その風にのった、春の暖かさ、春の匂い。
厚いコートを脱いで、ちょっと伸びをして歩き出すD.D.と同じタイミングで、
黒いコートを脱ぎ捨てたのは、真っ白な衣裳の地下天使(佐藤さん)。
静かなシーンの、とても穏やかで静かなダンスなのに、
何かが動き出し、何かが始まる予兆のような力強さを感じました。

そして。
D.D.はニコへ歌を送ります(♪Falling Slowly)。
吹き抜ける春の風の中、自分の飛び降り、そしてまた飛び立っていく小さな鳩。
小さな鳩が自分の胸に遺した想いを抱きしめて、飛び立っていくその手を離すD.D.。
傍観者だった自分ができること。

―――彼は、これをラブソングとして書いたのかな?
彼女が大切に持ち続けるハッサンへの想い。
その想いを抱きしめ続ける彼女だからこそ、D.D.は惹かれた。
そして、自分が持ち得ない熱い想いを持つ彼女を、D.D.は祝福した。
D.D.のニコへの想いは、きっとニコとハッサンの間にあったものとは違う。
もっとずっと穏やかなもの。
でも、たった一人へ向ける気持ちの深さとしては同じだった。
だから、この歌を聴いたニューヨーカー(1万人目!)は、これをラブソングだと言った。

誰かへ向ける、真摯な想い。
誰かを思いやる暖かな想い。
誰かを求める激しい想い。

D.D.が、見つけた"ラブソング"。

そして。
それぞれの未来へ旅立つ4人に言葉はありませんでした。
あったのは、笑顔と、そしてハグ。
離れていく4人の道。でもいつかまた交わるかもしれない。そう、生きていれば。
一人のこったDDの、柔らかな笑みが印象的。
そんな彼の背後で、10000の数字が0になりました
ここが、スタートライン。でも昨日の続きでもある。
それぞれの時間を、想いを抱いてまた最初の1歩を踏み出す―――爽やかなシーンでした。


スケッチ15 Underground Parade

まずは、ダンサーさんたち総出演のラヴェルの♪ボレロ。
もう、語彙がないとかそういうことはおいといて、とにかく凄い!かっこいい!と内心叫んでました(笑)。
全員で踊るシーンと、ソロのシーンがあったのですが、
ダンスを良く知らない私でも、それぞれの個性がわかる感じ。
港さん、小柄な身体で、はじけるようなパワーを感じる。
原田さん、ダイナミックなのにとても繊細。そして、とても雄弁な手の動きに目が離せませんでした。
YOSHIEさん、凄い独特の雰囲気に圧倒されました。
佐藤さん、真っ直ぐに上がる足と、大地を踏みしめている感じの安定感。
大貫さん、重力を感じさせない、あれだけ高く飛ぶのに、着地で音がしない!!
ダンサーさんたち全員が、凄く誇らしげな表情をしていたのが印象的でした。

そして、テーマ曲、なのかな?(♪Come on in from the outside)
全員で歌う歌。

悲しみの根っこには愛がある。
真っ直ぐな道だと誰にも出会えない。
曲がりくねった道を通ったからこそ、ここにたどり着いた。
誰かの人生と交わることができた。
その道はまた離れるけれど、あなたの言葉があったから、
生きていける、進んでいける。

そんな歌詞。
4人それぞれのソロがあって、4人の歌声が綺麗に重なり合う瞬間があって。
すごく、すごく元気をもらった。
生きていくことは前を見つめ続けることだけでも、前に進み続けることだけでもなくて、
後ろしか見れないことも、なにも見たくなくなる時だってある、
でも、それでも、人は生きていく。
誰かが決めることではなく、自分自身が選んで進んでいく―――
言葉にすると、なんだかお説教くさくて陳腐になっちゃうけれど、
そういうことを、とてもすんなりと届けてくれた舞台でした。
そして、たぶん、その時々、その人それぞれで受け取るものも、心に響くシーンも違う舞台だと思う。
できれば、ここで終わりではなく、
進化し続ける舞台として、また再演してくれることを心から祈りたいと思います。


覚書の意味も込めて、一つ一つのスケッチを書いてみました。・・・めちゃくちゃ長くなっちゃった(汗)
とにかく舞台に引き込まれてしまったので、
覚え違いや、思い込み、そして脳内変換されちゃっているところもあるかも・・・(汗)
とりあえず、恭穂が受け取ったもの、ということで、どうぞご容赦くださいね。
なお、各スケッチで使われた楽曲の原曲情報は、
hildaさんのブログToo Quiet Without Your Voiceからいただきました。
はぐれアッキーファンの私にとって、なくてはならない宝箱のようなブログですv
アッキーへの盲目的ではない溢れる愛情に、いつも感動していたり・・・ありがとうございます!

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