瓔珞の音

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<<   作成日時 : 2011/09/23 22:33   >>

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先日の台風、見事に関東を横切っていきましたが、みなさま、大丈夫でしたか?
私の住むあたりは、一時的に雨風が強かったですが、特に大きな被害はなく、
増水した川を見て、凄かったんだなあ、と改めて思うくらいでした。
が!
昨夜から実家に帰って、今日は亡き祖父のお墓参りと、
両親が祖父から引き継いだ畑の秋野菜の収穫をしてきたのですが、
台風の大雨の名残のぬかるみに見事に足を取られ、思いっきり転んでしまいました(汗)。
まさかこんなところで台風の被害にあうとは・・・!
つまずくのはしょっちゅうなんですが、こんなに見事に転んだのは本当に久しぶり!
しばし子どもみたいに呆然として、その後思わず笑ってしまいました。
だって、自分でもびっくりするくらい見事な転びっぷりだったのですもの!(笑)
今頃になって打った左肩がだるい感じがありますが、
まあ、あの土手で転んでこの程度で済んだのはラッキーだったかな。
一緒にいた両親にも幸い気付かれなくて、心配をかけずにすんだし。
もともと粗忽モノではあるのですが、もう若くないので、これからはもっと慎重に歩こうと思います(笑)。


で、ちょこっと肩はだるいのですが、PCを打つのには特に問題なさそうなので、軽く観劇記録を!



こまつ座九十五回公演
「キネマの天地」

2011.9.9 ソワレ 紀伊國屋サザンシアター 6列10番台
2011.9.10 マチネ 紀伊國屋サザンシアター 19列10番台

作:井上ひさし
演出:栗山民也
出演:麻実れい、三田和代、秋山菜津子、大和田美帆、木場勝己、古河耕史、浅野和之



とっても久々にこまつ座の公演を観て来ました。
観たい公演は幾つもあったのですが、なかなかチケットとめぐり合えず・・・(涙)
今回は、大好きな役者さんがそろっているので、絶対観よう!と思い気合を入れたら、
間違って2公演分取れてしまいました(笑)。
でも、そのことを感謝したくなるくらい、素敵なお芝居でした。

お芝居の舞台は1953年(昭和10年)3月下旬の築地東京劇場の裸舞台。
一人黙々と椅子の位置やスポットライトを整える助監督(なのかな?)の島田健二郎(古河耕史)。
そこに、娘シリーズで人気を博している若手女優、田中小春(大和田美帆)を筆頭に、
次々と映画会社に所属するスタア女優たちが現れます。
雨の毒婦シリーズで切れのいい殺陣と妖艶な魅力を見せる滝沢菊江(秋山菜津子)。
お母さんシリーズで日本の良き母を演じる徳川駒子(三田和代)。
そして、女優の草分けの一人として映画界をリードしてきた日本の全男性の恋人、立花かず子(麻実れい)。
4人を集めたのは、沢山のヒット作を生むコメディ映画監督、小倉虎吉郎(浅野和之)。
監督の次の作品、「既に成功が約束された」「超大作」への出演を4人へ依頼するためでした。
けれど、それは表向きの理由。
彼は映画の出演を餌に、亡き妻チエ子の追悼公演として、
彼女が死んだときに演じていた「豚草物語」を、この4人で演じることを依頼します。
実は、監督は1年前にこの舞台の上で急死した妻の死は、
その場に居合わせたこの4人の女優の誰かが、チエ子に毒を盛ったのではないかと疑っていたのです。
歌舞伎・新劇・映画と転々としてきた売れない役者尾上竹之助(木場勝己)に、偽の刑事を演じさせ、
島田が調べた4人それぞれが持つチエ子への殺意を彼女たちに突きつけます。
尾上の厳しい追求の中、"女優"という生き物の生態が次々と暴かれていき―――


というような物語でした。
1幕は女優たちの軽快で意味深な会話を興味深く楽しんだと思ったら、
尾上さんの偽刑事登場でぴんと張り詰めた空気で幕。
2幕は、その最後のシーンを再現した後、次々と明かされる女優たちの真実に驚いたり呆れたり笑ったり・・・
そして、後半は怒涛のどんでん返しの連続に翻弄され―――ほんとうに盛りだくさんな物語でした。

女優さんたちの生態(ほんとに生態としかいいようがない・・・)は、
きっとかなりデフォルメされて、且つ皮肉描かれているのですが、
その中に、女優という生き物に対する井上さんの愛情、というのかな、暖かな視線が感じられて、
描かれていることは結構えげつないのに、
なんだかこの4人が愛しくて仕方なくなってしまいました。
というか、4人の女優を演じた役者さんたちがとにかく凄いの!

最初に出てきた田中小春役の大和田美帆ちゃんは、
純情可憐な役柄を日常でも演じている、江戸っ子できっぷのいい、ちょっとしたたかな、
先輩女優たちに「最近の子は!」と言われてしまうような若い女優さんを生き生きと演じられていました。
もうね、出てきた瞬間に、可愛い!と内心叫んでしまいました。
衣装や髪型ももちろん可愛くてお似合いなのですが、
たまたま当たったスポットライトの中で思わずポーズをとっちゃうところとか、
島田青年を何気に手玉に取ってるところとか、
お姉さま方との会話の中で、くるくる変わる表情とか・・・
そして、そんな"現代っ子"な彼女の中にある、
演技すること、あるいは女優であることに対する真摯な想いが感じられて、
観ていてほんとに微笑ましくて、応援したくなりました。

滝沢菊江役の秋山菜津子さん。
もともと大好きな女優さんなのですが、今回もとっても素敵でしたv
妖艶な魅力で人気を博し、私生活でも艶やかな噂の絶えない菊江。
はすっぱな物言いをしていても、
駒子に「桃色サービス」と揶揄されても、
貢がせた男が撮影所で問題を起こしても、
それでも、彼女の会話の端々に、そして劇中劇を演じるときの姿に、
彼女の本質は、台本に集中していてぶつかった電柱に謝っちゃうような、
芝居に真面目に誠実に向き合う部分なのだと感じさせてくれました。

徳川駒子を演じたのは三田和代さん。
いのうえさんの「リチャード三世」に出演されていて、
そのときのリチャードの母親の凄まじさが印象的でしたが、
今回も"日本のお母さん"な女優さんでした(笑)。
上品な着物姿の中に、激しい野心と鬱屈を持っていて、
でも何故かそれが陽性のものに見えてしまうのは、三田さんの役作りなのか井上マジックなのか?(笑)
キーッとハンカチを引き裂く姿も何故か憎めず・・・
"日本のお母さん"と言われていても、実は4人の中で一番母親は似合わない人なのかも、と思いました。

そして、立花かず子役の麻実れいさん。
久々に拝見しましたが、あの存在感はやっぱり凄いですねー。
総レース(かな?)の真っ白なドレスと帽子がとてもお似合いで、
すらっとした長身と鋭い眼光、そして真っ赤なルージュに、"スタア"という言葉がしっくりきました。
若者たちにその存在を徐々に脅かされながらも、"スタア"であることを有無を言わさず納得させてしまう感じ。
女優という仕事、いや、女優である自分自身に強い矜持があって、
女優であるためにはどんな困難も辛酸も厭わない―――そんな覚悟を、
コミカルな演技の中でしっかりと感じさせてくれたように思います。
二日続けて見たので、最初からしっかり目についての演技もされていることに気付きました。
(一日目は老眼なのかと思ったけど、老眼だったら遠くにするよね/笑)

4人のやり取りだけでも、役者さんの魅力がとても素敵だなあ、と思ったのですが、
木場さん演じる尾上の存在で、"役者という性"を背負った―――自ら背負おうとする人たちへの愛しさが、
わーっと身体の中にあふれ出したような気持ちになりました。

共演者にも顔を覚えてもらえない売れない役者の尾上。
人の足りない戦時中の劇団で、端役の全てを演じた変装術の名人の尾上。
実は1年前の「豚草物語」にも出演した彼を女優の誰かが覚えているのでは、と心配した監督に見せるため、
彼は本来依頼された刑事役として登場する前に、
掃除のおじいさんや演劇評論家として6人の前に現れます。
それは、いつも4人が演技について衝突しているとき。
映画と舞台での演技の違い。
リアリティと現実の違い。
演じるということの素晴らしさ―――
彼が語る言葉は、意図せず女優たち(時には監督)の心を揺さぶり、"芝居"というものへの姿勢を正させました。
けれどこれは、脚本のない、アドリブとしての尾上の言葉。
万年下積み生活を送ってきた役者である彼が持つ"演劇論"。
ちょっと理屈っぽくも、頭でっかちにも聞こえるその言葉と、
大袈裟な尾上の演技に1幕はなるほどなあ、と思いつつも大笑いしていたのですが・・・
二幕。
偽刑事が尾上であることが判明し、実は尾上がチエ子を殺害した真犯人であるとわかった後、
服毒自殺を謀ろうとして阻まれた尾上が、島田に連れられて警察に向かうため、
劇場を去るときの言葉―――劇場への、自分が演じることのなかった役への別れの台詞が、
なんとも切なくてやるせなくて、思わず涙してしまいました。
後姿の4人の女優さんたちも涙していましたが、
これはあながち役の上だけではないんじゃないかなあ、なんて思っていたのです。

が!
彼の残した言葉を胸に、いがみ合っていたのが嘘のように、
互いを思いやり和やかな雰囲気で女優たちが劇場を去った後、
もどってきたのは尾上竹之助!
チエ子は本当に病死で、今回のことは「超大作」の映画のために、4人を仲良くさせるため、
監督が仕組んだことだったのです!
で、その後。
刑事役が上手くできたら今度の役で刑事役をやる、と言われていたのに、
「大袈裟すぎて・・・」と出演を拒まれた尾上が、
「自然にやればいいんですね」(だったかな?)と言って言い始めたのは、さっきの別れの台詞。
最初はしんみりと、徐々に感情を乗せて語られるその言葉はやっぱり感動的で。
その言葉の合間に、ポケットから取り出した小瓶の中身を煽り倒れる尾上。
倒れ付した尾上を、じっと見つめる監督―――この時点でまたしても泣かされてたわけですが・・・
「はい、もう一回!」という監督の台詞に、尾上が「はい!」って立ち上がるんですよ!!
えええ?!って感じでしょう?
私の流した涙は一体?!ってちょっと思ってしまいましたよ(笑)。
でもね。
そうやって監督の声に立ち上がり、そしてまた台詞を言い始める尾上の姿に、
私はどうにも笑いと涙を止めることが出来なくなってしまったのです。

演じること。
その役の"言葉"を紡ぐこと。
舞台の上で、沢山の"生"を生きること。

そのことに魅了され、そのためにあがき苦しみ、けれどそれゆえに最上の幸せを得る。
だからこそ、そうやって生きていくことしか出来ない―――"役者"。
そんな"役者"という存在が愛しくて、愛しくて、愛しくて・・・しかたなくなってしまいました。
もしかしたら、この戯曲を書いた井上さんも、
"役者"が、そして"お芝居"が、本当に愛しくてしょうがなかったのかなあ。
そんな風に思ったら、更に涙が止まらなくなって、
役者さんたちが歌う蒲田行進曲に手拍子しながら、カーテンコールは笑いながら号泣しちゃいました。
前に「ロマンス」を観たときも同じような状態になったけど、
あれもやっぱりお芝居に関係する物語だったな、と思い出してみたり。
私は"演じる"ことはできない人間だけれど、
"役者"たちが、そして携わる全ての方が創り上げる"お芝居"が、
本当に大切で、本当に愛しくて、本当に必要なのだと、
改めて感じた瞬間でもありました。


監督役の浅野さんも、チャップリンのような付け髭(ほんとに!)を付けていて、
真意を悟らせないひょうひょうとした佇まいと、ところどころの芝居がかった(笑)珍妙な演技が、
とってもコミカルで、でもなんとなく空恐ろしさみたいなものが感じられました。

島田役の古河さんも好青年でしたv
小春ちゃんに振り回されている様子が微笑ましかったです。


最後ちょっととって付けたようになっちゃいましたが、
本当に素敵なお芝居でした。
東京公演は10月1日まで、大阪や岩手、山形でも公演があるようです。
もしこちらに迷い込まれて、このお芝居に興味をもたれた方がいらっしゃいましたら、
是非ご覧になることをお薦めします!
私も叶うことならもう1回観たいくらいです(笑)。

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
TB&コメントを有難うございますm(_ _)m
早速拝読したところ、一箇所お役の名前が違っていました。私の記事に戻って確認したら私の方も間違ってました(^^ゞプログラムでしっかり確認したら木場さんの役の名前は「尾上竹之助」でした。まずはそのご連絡。
井上作品は初期の作品から晩年の作品まで多彩ですよね。これからもいろいろな作品が上演されることでしょう。それらを観ていきながら井上ひさし作品の多面性も味わっていこうと思ってます。
明日の「雨」のオンエア情報も有難うございます。危うく忘れるところでした。さっそく録画予約入れました。恭穂さんもじっくり楽しんでくださいませ(^_^)/
ぴかちゅう
2011/09/24 00:16
ぴかちゅうさん、こんにちは!
あああ!ほんとだ!名前間違ってましたね(汗)。
虎吉郎は監督でした。あまりにも印象的な名前だったので(笑)。
ご指摘ありがとうございます。早速訂正しました。
井上さんの作品、まだまだ体感していないものがたくさんあります。
少しずつ、それらと触れる機会がこれからもあるといいなあ。
そして、またぴかちゅうさんとも語り合って、
いろいろ教えていただきたいですv
恭穂
2011/09/25 13:05
恭穂さま
ほんとにいいお芝居でしたね。
私は全く予備知識なしで観ましたので、
最後のどんでん返し(?)の連続には
もう「はぁ?」という感じでしたが
それも含めてすばらしかったです。

一つひとつの台詞に井上ひさしさんの
演劇へのオマージュがこめられている
ようで、私も改めて演劇ファンのはしくれ
でよかったなぁと思いました。
役者さんたちも皆すばらしかったですね。
スキップ
2011/10/06 12:56
スキップさん、こんばんは!
私もあのどんでん返しにはみごとに騙されました(笑)。
でも、一つ一つの台詞に井上さんの愛が感じられるような、
素敵なお芝居でしたね。
演劇が好きでほんとに良かった!
スキップさんともお知り合いになれましたしv
恭穂
2011/10/06 22:48

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