瓔珞の音

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zoom RSS 閉ざされた世界

<<   作成日時 : 2012/02/21 22:34   >>

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未だ「CHESS in Concert」の余韻にどっぷりつかっている恭穂です(笑)。
大阪公演の記録をしようと思うと仕事が忙しかったり、残業になったり、予想外のことがおきたり、気持ちがそれたり・・・
なんだかんだでもう10日も経ってしまいました。
これはきっとまだまだ余韻に浸ってて良いってことなんだわvと勝手に解釈してましたが、
さすがに私の記憶力も限界・・・というか、脳内妄想捏造が増えてきそうな気配なので(既に遅いかも/汗)、
気持ちの切り替えも兼ねて向き合ってみようと思います。


「CHESS in Concert」

2012.2.11 マチネ 梅田芸術劇場 メインホール 1階11列20番台
2012.2.11 ソワレ 梅田芸術劇場 メインホール 1階21列40番台

作曲:ベニー・アンダーソン、ビョルン・ウルヴァース
原案・作詞:ティム・ライス
演出・訳詞:荻田浩一
音楽監督・Piano:島健
出演:安蘭けい、石井一孝、浦井健治、中川晃教、
    AKANE LIV、池谷京子、横関咲栄、大野幸人、角川裕明、田村雄一、ひのあらた


というわけで、久々の大阪行きは、突発的な観劇になりました。
いやー、やっぱり大阪大好き!
ちょっと怖いな、と思う瞬間もあるのですが、
歩く人の早さとか、お店の人たちの話すテンポとか、凄く馴染むんですよねー。
でもって、今回はマチネとソワレの間にスキップさんとお会いしましたv
2年前から気になっていたカフェに連れて行っていただいて、たくさんお話して、ほんとに幸せでした!
お忙しい中、お時間を割いてくださって、ありがとうございました。
マチネ直後でテンションがおかしかったと思うのですが・・・呆れないでまたお喋りしてくださると嬉しいなあ・・・(弱気)

でも、そんなテンションになってしまうくらい、やっぱり素晴らしい舞台だったのです。

基本的な感想は東京公演の時と同じなのですが、
劇場が違うせいか、キャストやオケのみなさんが更に熟成されたのか、演出のマイナーチェンジがあったのか、
ちょっと受ける印象が違う部分もあったり。
あ、私がほんの少し冷静に舞台と向き合うことが出来たのもあるかも?
・・・って、全然冷静じゃなかったですけどね(笑)。
でも、物語を知った上で臨んだので、物語そのものや人間関係などにちょっと疑問が浮かんだりもしたかな。


東京と大阪で一番印象が変わったのが、実は石井さんのアナトリーだったりします。
いやもうこの人こんなに臆面なくフローレンスを口説いてたんだ?!と(笑)。
♪Mountain Duet のらぶらぶっぷりには、ちょっとどうしようかと思いましたよ・・・
というか、そもそも東京で観た時は、
どうしてアナトリーがこんなにもフローレンスに心惹かれたのか、私にはわからなかったのですね。
だって、その前に、あんなに思いっきり指差されて罵られてたじゃないですか。
でも、今回この二人の歌う姿を観て、もしかしてアナトリーは錯覚したのかな、と感じました。

真っ直ぐに相手を見つめ、自分の信じるものや守る者のために、
細い身体から迸るようなエネルギーを放つ彼女の美しさ。
そんな風に強い言葉を放つことができる彼女がいる"まだ見ぬ世界"の美しさ。
その二つを、彼は錯覚したのかもしれない、そんな風に思ったのです。

もちろん、フローレンス自身に惹かれた気持ちも確かにあったでしょう。
けれど、同じ"東側"に生まれたはずのフローレンスが、あんなにもはっきりと"東側"を糾弾するその姿の向こうに、
彼女が在る世界を、彼が憧れて止まない世界を、アナトリーが見なかったはずがない。
彼はその想いを、フローレンスへの恋慕へ摩り替えて自分を正当化したんじゃないか―――
でも、そんな風に考えたら、アナトリーという男の生き方がとても欺瞞に満ちたものに思えてしまって・・・
感動的であるはずの♪Anthem まで、ちょっと空々しく聞こえてしまったり(汗)。

でも、これって私が"冷戦"というものをきちんと理解していないからなんだろうな、と思います。
大好きな♪Where I Want To Be の彼の苦悩や怖れ、
そして、2幕、フレディからソ連側の"条件"を聞いた後の彼の惑いや、
あの"答え"を選ばざるを得ない自分自身への嫌悪の気持ち、
そしてフローレンスに向ける優しい視線は、
石井さんの歌声が紡ぎだすアナトリーの言葉は、紛うことなき真実だったと、そうも思うのです。


アナトリーをそんな風に見てしまったからか、
今回はAKANEさんのスヴェトラーナの歌声の余りの美しさと切なさに、東京公演の時以上に胸が痛みました。
スヴェトラーナは、ほんとに東京公演よりも格段に情感が増していたように思うのだけど、
これは私自身の感じ方の違いかなあ・・・

このコンサートでは、スヴェトラーナについては殆ど情報がなくて、
彼女とアナトリーがどんな家庭を築いていたのか、
アナトリーが去った後、彼女がどんな仕打ちを受け、どんな思いで子どもたちを護っていたのか、
アナトリーを待ち続けていたのか、
そして、彼女がどんな想いを抱えてバンコクへ降り立ったのか、
その全ては彼女の歌声と表情から、観客が推測するしかありません。
私の中の"スヴェトラーナ"は、耐えること、待つこと、信じること、赦すことのできる女性、というイメージ。
フローレンスとは違った意味で強く、しなやかに生きることのできる女性―――
もしかしたら、彼女のその優しさや懐の深さが、アナトリーの翼を更に大きく羽ばたかせ、
結果として彼女からアナトリーを奪ったのかもしれないけれど・・・
AKANEさんの美しい肩甲骨を見ながら、彼女自身は翼を無くしていて、
だからこそ、羽ばたいていくアナトリーをそのまま受け止められたのかも、とも思いました。


安蘭さんのフローレンスは、強さと脆さ、自立と甘え、成熟と幼さ・・・
そんな、ちょっと相反するものを感じました。
個人的には、フローレンスにもアナトリーと同じような打算があったように思うのですね。

彼女は、誰かと共に在る、あるいは誰かに必要とされ、その相手に尽くすことでのみ、
自分の存在を感じることができた。
だから、彼女には常に"誰か"が必要だった。
フレディとの訣別と、アナトリーとの出会いの瞬間が重なったのも、決して偶然ではなく、
意識的にしろ無意識にしろ、彼女がそれを選んだのではないか。
フレディが言い放った"パラサイト"という言葉は、もしかしたら図星だったのかなあ、なんて。
♪Heven Help My Heart を聴いて、そんな風に思ってしまいました。
この曲で歌われる"彼"と"あの人"が、フレディとアナトリーのことなのか、
両方ともフレディのことなのか、私には理解することができませんでした。
このコンサートの中で、この曲が私には一番の謎だったかも(笑)。
でも、"次の誰かを探す"という歌詞が、なんだか自嘲に満ちているように思えて・・・
そんな風に生きていくことしかできない彼女の足場の不確かさが、なんだかとっても辛かったです。
♪Nobody's Side も、そんな風な見方をすると、凄く孤独な歌だなあ。

とはいえ、安蘭さんの輝くような美しさと強さはやっぱり只者ではない!
歌声の力強さには、ほんとに圧倒されました。
スヴェトラーナのたおやかな美しさが月なら、フローレンスの輝きは太陽なのかも、と思ってみたり。
寄り添う男によって、あんなにも雰囲気が異なったフローレンス。
もしかしたら、この美しさはどこか作られたものだったのかもしれない。
アナトリーとの幸せな別れを経て、彼女が真実彼女らしく輝けるようになるといいな。


でも、やっぱり私はフレディびいきなので(笑)、
♪Mountain Duet のあの二人の歌詞はちょっと酷いと思うのよ。
アフタートークで浦井くんが「フレディかわいそう」って言ってたけど、ほんとにそう思う!
まあ、声を聞くのも苦痛になるくらい誰かを拒絶する瞬間も凄く良くわかるのだけど(え)。
でも、こんな風に感じちゃうのも、アッキーのフレディがほんとに魅力的だからなんだろうなあ、と思う。

アッキーのフレディは、大阪でも奔放でエキセントリックで、でも抱きしめたくなるほど繊細で孤独だった。

このコンサートの中で、♪The Arbiter 〜 Hymn To Chess 〜 Pity The Child 〜 Chess game という流れが、
私は本当に大好きでした。
なんというか、フレディのチェスに対する感情の変化が、凄くクリアに伝わってきた気がするのです。

誰かと闘い打ちのめすことで、自分の存在を感じていたフレディ。
その手段であったチェス。
けれど、頂点に上り詰めたとき、彼は自分の立つ場所の冷たさに気付いた。
闘えば闘うだけ、打ちのめせば打ちのめすだけ、彼は何かを失っていた。
彼が本当に欲しい"何か"は、どんどん彼から遠ざかっていった。

登り詰めて握り締めた勝利も栄光も地位も空しささえも

そう歌うのはアナトリーだけれど、フレディもその気持ちは同じだったのかもしれない。
そのことに気付いたフレディは、その全てを放棄した。
その上で彼は、闘うのではなく寄り添うことで、打ちのめすのではなく抱きしめることで、
与えられるのではなく与えることで、何かを得ようとしたのではないか。
2幕、フレディが歌う♪Someone Else's Story は、そんな風に感じさせるのに十分な優しさに満ちていて、
けれど、同時にどれだけ切望しても手に入れられないものがあることを知っているようで、
なんだか泣けて泣けて仕方がありませんでした。
そして、そんな成長を見せてくれたアッキーのフレディが、本当に愛しくなりました。

どこかでこのミュージカルの粗筋を読んだとき、
フレディはアナトリーとフローレンスに強い復讐の念を抱く、というような記述を読んだように思います。
実際はどうなのか、ロンドン版のCDを聴いていても私の英語力では全然わからないのだけれど、
少なくともこのコンサートで形作られたアッキーのフレディからは、"復讐"という感情は感じられませんでした。
2幕の♪The Interview も、意趣返し的なニュアンスはあったかもしれないけれど、
それよりも強く、アナトリーという男を知りたい、という気持ちがあったように思います。

このコンサートでは、省かれている曲が合ったり、曲順が違っていたり、
歌い手が違っていたり、と日本版ならではの演出があったと聴いています。
もし、今後コンサートでなくミュージカルという形での上演があったとしても、
できれば、フレディの造形は、このままでいて欲しい。
復讐に燃えるのではなく、与える強さを持った―――強さを獲得していくフレディでいて欲しい。
そう、強く願います。


浦井くんのアービターは、大阪で観ても思いっきり好みでしたv
今回は少しでも"アービター"という存在を理解したくて、彼が出てくるたびガン見してたんですが、あえなく玉砕(涙)。
いや、やっぱり不思議な存在です。
超越してるようなことを言うかと思えば、凄く俗なことを言ったり、
神聖な微笑みと悪魔的な微笑がふっと入れ替わったり・・・うーん、難しい!(笑)
彼の低い声は、やっぱりほんとに素敵でしたv
個人的に♪Difficult And Dangerous Times の冒頭が凄く好きなのですが、
これってもともとはモロコフという役柄のパートなのかしら?
ミュージカル化されたら聞けなくなっちゃうのかなあ・・・(涙)

そんな中とても印象に残ったのが、2幕の♪Someone Else's Story の後。
舞台奥から現れたアービターが、右手で何かを掴むような仕草をして、
その"何か"を左手に持ち替えて、大事そうに持って階段を降りた後、
その"何か"を空に放つように左手を上に伸ばすと、その手に導かれるようにチェス盤が降りてくるのです。

彼が掴んだ"何か"―――それは、フレディの"想い"なのかな?
チェスの世界では、あらゆる感情が露になる、とアービターは言います。
64の升目の、閉ざされた世界の中で、渦巻き、蠢くたくさんの感情。
そして、その"世界"の外にも、チェスに―――チェスの世界の中にいる人たちに向けられた様々な感情が漂っている。
その想いを、アービターは拾い集めているのかなあ、なんて。
アービター自身も、もしかしたら、チェスの世界からは追放された存在なのかも。
だって、渦巻く感情の只中にいたら、ジャッジなんてできないですよね?
閉ざされた世界の"外"にいるからこそ、アービターは全てを俯瞰しジャッジすることができる・・・
だから、フレディとなんとなく通じる部分があるように感じたのかな。


ああ、でもそう考えちゃうと、大野さんのチェスの妖精の存在が、急に邪悪なものになるかも(笑)。
大野さんのチェスの妖精は、大阪でも自由自在にキャストと絡みながら、チェスの世界を紡いでいました。
改めてみると、その笑みも、動きも、とんでもなく意味深!
一幕の四角い枠(チェス盤?)を持ってのダンスなんて、
アービターよりも誰よりも、この世界を支配している!というような感じでした。
でもって、なんというか、その世界の中で蠢く人間を面白がって見ているような・・・?(笑)

個人的には、フレディとのマイクのやり取りがちょっとツボでした(笑)。
1幕のインタビューのシーンで、記者に殴りかかる前にとってもさりげなくマイクを受け取って、
その後、激昂の余韻が収まらないフレディに、なんでもない顔でマイクを差し出して、
それをフレディが奪い取るようにするところの間合いとか、
2幕、♪One Night In Bangkok の後、暗転の中でまたマイクを渡した大野さんに、
アッキーがどうも、という感じで頭を下げるシルエットが見えたところとか・・・ってピンポイント過ぎ?
でも、なんだか凄く微笑ましかったんですよv

あと、アナトリーとのチェスの勝負のシーンも、ちょっと不気味ささえ感じさせるような動きと佇まいで、
アナトリーが置かれた状況の困難さとか複雑さが感じられました。
彼が闘っているのは、本当は対戦相手(名前覚えられない!!)ではなく、
もっとずっと大きく不確かなものなのだ、というような・・・
いずれにしても、大野さんのチェスの妖精の存在って、このコンサートにはなくてはならないものだなあ、と思います。


うーん、ほんとに書いてるときりがないなあ・・・
他にも、
♪One Night In Bangkok で客席で歌うアッキーの背後からスポットライトが当たってアイドルみたいだった、とか(笑)、
このシーンで男性アンサンブルさんが派手になってる!とか、
♪Pity The Child での島さんのチェレスタとピアノが絶妙!とか、
ウッドベースの音がやっぱり好みvとか、
背後のチェス盤のようなセットと照明の効果がめちゃくちゃ意味深で綺麗!とか、
♪Endgame の「嘘!」と「違う!」のやり取りが歌舞伎の「さあ」「さあ」みたいだとか(え)、
チェス盤の枠組みが、アービターが乗る時ぐらついて、ちょっとドキドキしたとか、
(妖精さんが乗っかるときは全然動かなかったのになあ・・・/え)
最後の♪Anthem(reprise) でフレディが歌う「裏切りの〜」の歌詞の意味はなんなのか、とか、
カーテンコールの♪Nobody's Side でアッキーが出てきたとき、何故か無性に泣きたくなったとか、
天然と天才に囲まれて、安蘭さんは大変だったろうなあ、とか、
浦井くんは金髪な役柄が多くて髪の毛傷んでるのかなあ、とか、
アッキーと安蘭さんの未来は明るい(はず)!とか、
石井さんと浦井くんの仲良しっぷりに、ちょっと「蜘蛛女のキス」再演を期待してみたり、とか、
アフタートークの司会の方が、アッキーの扱い方を学んでる!とか、
いろいろいろいろ記録しておきたいことはあるのですが、さすがにちょっと限界かと(何が?/笑)。
でも、ほんとにいろんな意味で大満足な大阪のマチソワでしたv


ソワレの幕間。
もう直ぐこのコンサートが終わってしまうのが、
彼らの歌声を、感情を聴くことができなくなってしまうことが、
本当に本当に悲しくて仕方がありませんでした。
私はまだこの物語を、彼らの想いを受け止め切れていない。
もっともっと聴いていたい、この世界に浸っていたい、という想いが溢れそうだった。
でも。
見終わった後、そんな悲しみはどこかに行ってしまいました。

これだけの力のある舞台が、
これだけキャストにも、観客にも愛された舞台が、
ここで終わってしまうはずがない。

なんの根拠もないのだけれど、そんな風に感じて、なんだか凄く安心してしまったのです。

この舞台がまた上演されるかはわかりません。
もし上演されるとしても、コンサートなのか、ミュージカルなのか、
キャストはこのままなのか、演出や役の造形はそのままなのか―――わからないことばかりです。
もしかしたら、次に出逢ったとき、私は今ほど心惹かれることはないのかもしれません。
でも、それでも、今年、このコンサートに出逢い魅了された幸せは真実で。
この喜びは、多分ずっと私の胸の中で光り続けるのだろうな、と思います。

いつか、また出逢えることを信じて。

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なるほど(納得、参考になった、ヘー)

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