瓔珞の音

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<<   作成日時 : 2012/05/09 22:05   >>

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その店の中央には、磨きたてられた小さな舞台。
その奥には、やっぱり小さなバーカウンターと、柔らかな灯を灯す鏡台。
そして、不思議な目をした一人の男の写真。
慈愛と同時に、底の見えない暗さを感じさせる、彼の目。
笑みのようにも、歪みのようにも見える口元。
この店を、この空間を作った、伝説の男。

そして今夜、彼が歩んだ100年が結実する―――


「Delicious」

2012.5.4 ソワレ クレイドホール L列10番台

出演:新上裕也、YETSUHARU、中島周、蔡暁強、吉本真悟、大野幸人、風間無限、宮垣祐也


基本的に私は人の"声"がとても好きです。
だから、舞台を観るときも、その人の"声"が紡ぐ歌や言葉が私の中では大きなポイントになっていました。
去年、大貫勇輔くんのダンスによろめいて(笑)から、ダンスという身体表現の雄弁さにも何度も感嘆しましたが、
純粋なダンス公演というのは、やっぱりちょっとハードルが高くて。
なので、勢いでチケットをとったこの公演も、席に座ったときにはちょっと不安がありました。
この舞台を、私は心の底から楽しむことができるかな?って。
でも、そんな心配は全くの杞憂でした!

物語の舞台は、アメリカの片田舎にある小さなクラブ「Delicious」。
ナチス占領下のパリからアメリカに脱出したドゥニ・金之助・クレマンが開いた店。
彼は、ダンサーであり、振り付け師であり、音楽家。
パリで多くの芸術家たちと親交を深めていた彼が開いたその店は、
彼の徹底した美意識のもとに多くの人たちから愛されました。
彼の死後も、彼の遺志を継いだものたちが店の名と、そしてクオリティを引き継ぎ―――
そして今夜、D.Kクレマンの生誕100周年の記念公演が開かれることになりました。
公演のメンバーは8人。

デリシャスのショーを取り仕切るセザール・宮城(新上裕也)。
デリシャスのマネージャーであるT.M(TETSUHARU)。
クレマンの孫でデリシャスのトップスターであるシュー・クレマン(中島周)。
店の料理人であるピーター・チャン(蔡暁強)。
デリシャスのショーでダンスに魅了され、今夜憧れの舞台に初めて立つロジャー・シンゴ・ヨシモト(吉本慎悟)。
デリシャスの衣裳係でありダンサーでもあるベニー・ユキーデ(大野幸人)。
いつか故郷にデリシャスのような店を開くことを夢見るボーイ、バン・パオ(風間無限)。
デリシャスのバーテンのトム・コリンズ(宮垣裕也)。

記念すべき日に、彼らが作り出す一夜限りのショー。
軽やかに、華麗に、力強く繰り広げられる様々なダンス。
そして、垣間見える彼らの感情、彼らの関係―――


舞台は三方を客席に囲まれていて、客席の間に3ヶ所テーブルと椅子がありました。
舞台の上にいないときの彼らは、その椅子に座ったり、奥のバーカウンターでお酒を飲んでいたり。
本当に最初から最後まで、彼らはデリシャスで働く―――デリシャスに魅了されたもう一人の彼らでした。
決して大きくはない舞台、そして客席まで使って表現されるその世界は、
一人一人が細部にわたって役を演じてらっしゃるので、
ほんとにもうどこを見たら良いのやら!!状態となりました(笑)。

更に、最初はとても和やかで楽しい雰囲気だったのが、だんだん不穏さを増してくるのです。
セザールとシューの間に流れるぴりぴりした空気。
そんな二人を見つめるチャンの瞳に浮かんだ優しさと切なさ。
舞台の興奮が最高潮に達したとき、不意に倒れるシュー。
全てから遮断された世界で、シューが向き合う祖父の写真。

伝説となるような一人の男の死後、その志を継いだ彼ら。
けれど、きっと彼らの中にはいろいろな想いがあった。
男への憧憬、男への心酔、そして男への反発を胸に秘める者。
自分の中に流れる男の血に呪縛される者。
死してなお彼らを繋ぎとめる男の腕から旅立とうとする者。
写真でしか男を知らない若者たちの囚われない笑顔―――

台詞のまったくないこの舞台で、彼らの関係や過去をきちんと知ることはできません。
だから、私が感じたのは私だけの「Delicious」の歴史と彼らであって、
もしかしたら彼らの間にはそんな葛藤はなかったのかもしれません。
でも、私はあの2時間弱のショーの中で生きる彼らの"声"を聞いた気がしました。

100年。

たくさんの美しいものを詰め込んだ「Delicious」という箱。
その箱の中で生き、その箱に憧れ、その箱を望み、その箱に囚われた彼ら。

ショーの終わり、彼らはD.Kクレマンの写真の前のスタンドに華やかなポンチョと帽子を着せかけ、
その前に大きなケーキを置き、乾杯し、写真を撮り、笑いあいます。
彼らは、D.Kクレマンの残したこの箱を壊したのだろうか?
この箱の中にこれまでと変わらずいることを選んだのか?
この箱を、新しい色で塗り、新しい宝石を入れることにしたのだろうか?
その答えは、きっと観た人それぞれにあるんだろうな、と思いました。



セザール役、新上さん。
この方のダンスは本当に切れるような鋭さとしなやかさが、絶妙な配合だなあと思います。
伯爵の化身の時とは全く違う雰囲気。
ちょっとコミカルなところや、全員で踊るときの軽やかな雰囲気も好きでしたが、
シューと絡む♪Rose とか♪The Game とかかなり好きでしたv


TETSUHARUさんは、ソロよりも何人かで踊るシーンが多くて、
しかも私がちょっとよろめいてる(笑)人と一緒のことが多いので、
実はあまり印象に残っていなかったり・・・すみません!


シュー役の中島周さん。
生で拝見するのはR&J以来ですが、やっぱり"人外"な存在感でした(笑)。
最初のソロの♪Birth of Beauty は、人外の言葉そのまま!
多分蛹から羽化する蝶、というような感じだと思うのですが、
金色(?)の布が蠢いて、そこからすっと伸びる腕や、
布から出た後の軽やかなのにどこか生々しい湿度を感じさせる動きとか、おおお!と思いました。
♪Rose の時の裾の長い衣裳を自在に使って、赤い薔薇を踏みしだきながらのダンスも独特の雰囲気でした。
♪The Game の時は、ただ座っているだけなのに、
その虚ろな目とか脱力した四肢がなんだかそれだけで意味深で、
後ろで激しく踊るセザールとの関係も同じくらい意味深に感じてしまいました。
中盤、倒れたあとに暗闇の中一人踊るときは、伸ばした手の先から何か出てくるような気がしたし(え)。
あの存在感と雰囲気は、ちょっと筆舌に尽くしがたい・・・!
でもって、シューが戯れにバーカウンター内にいるシーンを観て、
おお!"死"だ!と思ったR&Jファンは私だけではないはず(笑)。
・・・そういえば、D.Kクレマンの写真って、中島さんの写真を加工したものですか?(え)


蔡暁強さんは、「ファンタスティックス」でその笑顔に癒されたのですが、今回も非常に癒し系な役柄でした。
料理人、という役柄なのですが、それ以上にデリシャスの面々の繋ぎ役のように感じました。
トム・コリンズと一緒に踊る♪TEMPTATION も、とっても楽しかったのですが、
後半の♪MY LIFE の時の、彼の眼差しがとても印象的。
チャンがD.Kクレマンに対して、デリシャスに対して、そして共に働く彼らに対して、
どんな想いを持っているのか、ちょっと想像(妄想?/笑)しちゃいました。
そして、ダンスもほんとに素晴らしかった!
あの滞空時間の長さというか、いきなり凄く高くジャンプして、しかも指の先まで雄弁な様子、
更にはやっぱりあの笑顔と豊かな表情に魅了されましたv


ロジャー役の吉本さんは、新人ダンサーという役柄そのままの爽やかさと無邪気さが素敵でしたv(え)
バン・パオと踊る♪Playtime も、箒を小道具に使っていてとっても可愛らしかったですし、
後半のソロは、青空と吹きぬける風と降り注ぐ光が感じられるようでした。
ひたすらに柔らかく、優しく、穏やかで・・・
その前がちょっと個人的に辛い雰囲気だったので、なんだか見ていてとてもほっとしました。


ベニー役の大野さんは、「CHESS in consert」での不思議で不気味な雰囲気とはまた違った、
いろいろな表情を見せてくれました。
というか、大野さん顔小さい!足長い!!
衣裳やダンスでこんなに受ける印象が違うのですね・・・
私はダンスは全然詳しくないので、ひたすら感覚で見ているわけなのですが、
大野さんのダンスって、迫力!というよりも、すっと染み込んでくるような・・・透明な水のような印象、かな?
押し付けがましくなくて、とてもさりげないのに隙がないというか。
後半の♪I am は、ちょっとびっくりしましたが(笑)。
でも、あのヒールで踊れるところが素晴らしい・・・!
カジェルさんにもなれるよ、きっと!(え)


バン・パオ役の風間さんは、実は大貫くん目当てで買った「GQ」で、ちょっと気になっていた方でした。
そして、今回もやっぱり気になった!
みんなで踊っているときも、ふっと気持ちが引かれた先に風間さんがいることが多いのです。
うーん、上手く言えないのですが、溌剌とした動きの中に、
ちょっとした揺らぎというか不安定さみたいなものを感じるのですね。
指先とかのニュアンスが、いろんなものを内包しているというか・・・そこが多分私的にツボなのだと思います。
あとあの笑顔!
観ていて一緒に笑顔になっちゃうような、お日さまみたいな明るさがありました。
途中、私の席のすぐ傍の椅子に風間くんが座っているときがあって、
ちょっと舞台に集中できなくて困りました・・・って、普通にミーハーなファンですね(笑)。


トム・コリンズ役は宮垣さん。
バーテンという役柄なので、バーカウンターの中にいることが多いのですが、
チャンから発声の指導を受けていたり、一緒に踊っていたり・・・食べ物関係だから仲がいいのかしら?(笑)
チャンと一緒のシーンが多かったように思うのですが、
蔡暁強さんとは同じ振りを踊っていても、やっぱり受ける印象が違います。
軽やかではあるけれど、結構迫力だった印象があったような・・・


うーん、さすがに1週間経つと、結構記憶が曖昧です。
DVDが出るなら絶対買う!と思ったけど、今回は出ないらしいですね。
既存の曲をいろいろ使っているので、やっぱり大人の事情なのかしら?
でも、映像で観ても素敵だったろうとは思いますが、
この舞台はやっぱり生のダンスを間近で観れる、ということも大きな魅力だと思います。
筋肉の動きや、一瞬の呼吸まで感じられるような距離で観るって、滅多にないことですよね。
今回の出演者のみなさんはダンスの先生もされているとのことで、
客席にはたぶん生徒さんも沢山いらっしゃったのだと思います。
私の隣の席の男の子も、途中でリズムを取ったりしていて、ああ、ダンスをしてる人なんだなあ、と思いました。
私自身はダンスは本当にわからなくて、自分の感覚で観ることしかできないけれど、
ダンスをやっている人がこの舞台を観たら、きっと私とは違ういろいろなものを受け取るんだろうなあ・・・
さすがに今からダンスをやってみよう!とは思わないけれど、
これからも機会があったら、人の身体が作り出す"声"を感じに行ってみようと思います。
とりあえずは11月の再演かな!(笑)

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