瓔珞の音

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zoom RSS 異界の重なり

<<   作成日時 : 2012/06/17 19:14   >>

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今朝の通勤時、明るさの増した雲から急に降り出した雨。
さーっという雨音が爽やかで、夏の雨だなあ、としばし佇んでしまいました。
直ぐに止んでしまったのですが、こういう雨を驟雨と言うのでしょうか?

帰り際に通った道でも、ヤマボウシや夾竹桃の白い花が満開で、ちょっと嬉しくなりましたv
子どもの頃読んだ「クレヨン王国の花ウサギ」の影響で、
私的にはヤマボウシの花は小さなうさぎのように見えてしまいます。
読むと号泣必至で、且つけっこう後を引くのでなかなか読み返さないのですが、
久々にあの世界に行ってみたくなりました。

子どもの頃に読んだ本で印象的なシリーズは沢山ありますが、
やっぱりクレヨン王国シリーズとコロボックルシリーズは個人的に双璧だったりします。
どちらも微笑ましく柔らかい印象のファンタジーではありますが、
前者にはその世界の中に、厳しい現実に生きることの意味が容赦なく描かれており、
後者には私たちの日常の隣に在る異界の"日常"が、説得力をもって描かれていました。
そのことに、こんな表現を当てはめたのは大人になってからだけれど、
初めて読んだときの子どもの私にも、その"異界"と"現実"の重なりと境界は感じられていたのだと思います。


そして。
一鉢の花が作り出す"異界"を描いたこのミュージカルも、
ホラーであると同時に"現実"との重なりと境界を描いたファンタジーだったのかもしれません。


「リトルショップ・オブ・ホラーズ」

2012.6.10 マチネ 本多劇場 I列20番台

出演:相葉裕樹、フランク莉奈、新納慎也、池田有希子、麻生かほ里、歌山ゆき、千代田信一、矢沢誠、
    深沢敦、尾藤イサオ、吉田さとる(演奏)


物語の舞台は、N.Y.のダウンタウン スキッド・ロウ。
シーモア(相葉裕樹)とオードリー(フランク莉奈が勤めるムシュニク花店は、今日も閑古鳥が鳴いています。
荒んだ町ではみんな生きることに精一杯で、花を買うことも稀。
仕方ないから店を閉めようとするムシュニク(尾藤イサオ)を何とか思いとどまらせようと、
シーモアは日食の日に市場でなじみの中国人から買った不思議な花を見せます。
どの本にも載っていない、もしかしたら新種かもしれないこの花を店先に置けば、
ものめずらしさにお客さんが来てくれるかもしれない、と。
そして、その言葉通り、花を飾った途端にお客さんが!
シーモアが密かに思いを寄せるオードリーにちなんでオードリーUと名づけたこの花は、
いつしか町中の評判になり、同時に店もどんどん繁盛していきました。
忙しい店の仕事とラジオ出演などの宣伝に翻弄されるシーモアは、けれど秘密を抱えていました。
それは、オードリーUに必要なのは人の血であること、
そして、オードリーUが人の言葉を喋ること!
店の存続がオードリーUにかかってしまった今、
シーモアはオードリーUが求めるままに自らの指を切りその血を与えていました。
けれどオードリーUが育つにつれて、その要求はどんどんエスカレートし、
いつしかオードリーUは「人の生血がほしい、血の滴る肉がほしい」と言い出すようになります。
一方のオードリーも、恋人の歯科医オリン(新納慎也)からのDVに生傷が絶えない状況。
周りからは別れるように言われても、暗い過去を持つ自分に相応しいのはオリンのような男で、
シーモアのような優しく真っ当な男には似合わない、と頑なにオリンに従います。
ある日、花屋を訪れたオリンがオードリーを酷く扱う様を目の当たりにしたシーモアは、
強い憤りと自分の無力さに打ちのめされます。
そんな彼の耳に届いたオードリーUの囁きは―――


という物語。
いわゆるB級ホラーという分類になるらしく、物語の結末はTDVに通じるものもあったりしましたが、
鮮やかな色彩に溢れる舞台の上で繰り広げられる物語は、
ブラックな笑いと、シーモアとオードリー、オードリーとオリン、シーモアとムシュニクの結構切実な人間関係や、
オードリーUの存在が暴き立てる感情がいい感じに融合していたなあ、と思います。
なによりオードリーUが秀逸!
最初は小さな鉢植えに植わった蓮の蕾みたいな蕾とヘロヘロした弱々しい葉っぱなのですが、
それが動き出し(多分中で手で動かしてた)、話し始めた瞬間、もの凄い存在感になるのです。
で、最終的には花屋の壁一面を覆う大きさに育つわけなのですが、
その姿での動きが素晴らしいんです!
オードリーUの声は深沢敦さん、中に入っての操演は矢沢誠さんだそうですが、
その動きと声が作り出すオードリーUの生き生きとした様子といったら!
ただ緑の蕾がパカっと大きく開いて口のようになるだけなのですが、
とにかく雄弁で、怖いのにめちゃくちゃキュートなんですv
シーモアに血をねだって「血ーがほーしーいー!」と繰り返すところとか、
シーモアに諭されて不満気に下唇(?)を突き出すところとか、なんだか小さな子どもみたい(笑)。
現実感のない光景なのに、オードリーUの人間的な佇まいが妙に現実的で、
その不思議な空間に魅了されました。

もちろん、人間のみなさん(笑)も頑張ってましたよー!

シーモア役の相葉くんは、去年の「CLUB SEVEN 7th」以来かな。
いつもどじばかりで気弱で、でも自分が守りたいもののために一生懸命なシーモアを、
とってもリアルに演じていました。
歌ももちろんですが、表情とか見せ方とか、「SAMURAI7」の時よりも格段にレベルアップしていて、
かなり嬉しくなってしまいましたv ・・・って、普通にファンですね、私(笑)。
(因みに彼のブログには、彼の愛猫の写真がたくさんで、猫好きとしてたまりませんv)
早口でとっても難しそうな歌も、莉奈ちゃんと一緒に表情豊かに歌ってくれたし、
オリンとのシーンも、パワー全開な新納オリンを前に、シーモアとしてしっかり対峙してくれていました。
ムシュニクの打算にはまったく気付かず、孤児だった自分を引き取って育ててくれて、仕事を与えてくれて、
養子にまでしてくれたムシュニクさんとこの店を守りたい、と願うシーモア。
こんな自分に優しくしてくれる美しいオードリーには、相応しい幸せを掴んでほしい、と願うシーモア。
それは本当に純粋な想いであったはずなのに、
オードリーUの存在は、その純粋さの影に潜む暗い想いを巧妙に引き出していきます。
オードリーを救いたいシーモアと血がほしいオードリーUの利害の一致の末に行われた、オリンの殺害をきっかけに、
彼の人生はどんどん狂っていきます。

そうじゃないのに。
僕が望んだ未来は、そんなものじゃないのに。

オードリーUに導かれるまま、ムシュニクを殺し、オードリーを失い、
そして最後にはオードリーUに自らも喰われてしまうシーモア。
オードリーと互いの恋心を確かめ合った幸せな瞬間があっただけに、
彼の行動が彼自身を追い詰めていく様は、観ていてちょっと辛かったな。


オードリー役のフランク莉奈ちゃんもとっても素敵でしたv
出てきた瞬間、背が高い!とちょっとびっくり。
去年のR&Jの時は、そんなに背が高い印象はなかったのですが、もともとモデルさんですものねー。
そのスタイルの良さに、ちょっと見惚れてしまいました(笑)。
(というか、この舞台の主要3役の三人は、どなたも日本人離れした腰の高さだと思う・・・!)
鮮やかな色彩の衣裳もとってもお似合いで、
登場したときに、オリンに殴られた痣を隠すために、すすすっと横歩きする姿とか、
とにかくとっても可愛らしくて微笑ましくて、コメディも似合うなあ、と思いました。
歌も、去年よりずっとパワーアップ!
ジュリエットの歌は、今CDで聴きなおしても、感情の昂ぶりをコントロールしきれていない感じですが、
(でも、あの役柄では、逆にそれが魅力だったと思いますv)
今回は、夢見る未来を歌う曲も、シーモアを想って歌う曲も、
高音までとても安定していて、且つしっかりオードリーの感情も感じられたり。
オードリーUに食べられかけてシーモアに助けられ、シーモアの腕の中で息絶えるシーンも、
思いっきりコメディな演出なんですが、笑いもとりつつ彼女の切なさも届けてくれました。
相葉くんといい、若者の進化ってほんとにすごい!
次の舞台の情報はまだ出ていないようですが、また舞台の上の莉奈ちゃんを観れるのがとっても楽しみですv


オリン役の新納さん。
はまり役!との評判はめちゃくちゃ高いこの役ですが・・・ほんとにはまってました(笑)。
いやもうあの衣裳、あの髪型、あの小道具にまったく負けない濃さの個性ってとんでもないと思う!
出てきた瞬間に拍手が起こるのも納得です(笑)。
そして何より、新納さん自身がもの凄く楽しんでやっているのが伝わってきて、
オードリーUに匹敵する生き生きさ加減だったと思います!
役柄そのものについては・・・まあねえ、やってることはめちゃくちゃ凶悪なんですが、
それを納得させちゃう存在感と、憎めない雰囲気はさすがだなあ、と。
2幕に出てきた二つの役柄も、でもとってもお似合いでしたよ。
まあ、最後のオチを担うマーティン(でいいのかな?)が、オリンの髪型というのも、かなりブラックで、
オリンとは違う朗らかさに、オリンと同じような歪んだ笑みを浮かべるところにちょっとぞっとしましたが。


ムシュニク役の尾藤イサオさん。
舞台で拝見するのは初めてなのですが、歌声の艶やかさが素晴らしかったですv
この役ってけっこう腹黒くて悪役っぽいと思うのですが、
その小市民的な小悪党さ(日本語変?)がなんだかしっくりはまっていて、
とっても味のある雰囲気だったと思います。


この舞台を歌で支え、物語を進めていった三人娘は、
クリスタル役の池田さん、ロネット役の麻生さん、そしてシフォン役の歌山さん。
とにかく素晴らしくパワフルで、且つ絶妙なハーモニーの歌声に圧倒されました。
音響の関係か席の関係か私の耳が慣れてなかったのか、最初の歌は歌詞がほとんど聞き取れなかったのが残念!
舞台の隅っこに座っているだけでも、その雰囲気がこの町の雰囲気を作り出し、
要所要所でシーモアたちと絡みながら、決して馴れ合わないシビアを感じさせ、
時には小道具やセットを運び―――とっても大活躍でした!
衣裳もとってもかっこよかったですv


千代田さんは、物語の始まりを告げる浮浪者や、
シーモアに花を売る中国人、シーモアにインタビューするラジオのDJなどを演じてらっしゃいました。
何気に物語の根底に関わる役柄?
朗々とした歌声がとっても素敵でしたv
でもって、幕間に流れる千代田さんのDJと矢沢さんのアシスタント(かな?)のラジオ番組(笑)も
とっても面白かったですv
役者さんの個人ネタ満載で、相葉くんの過去の出演作品に関したものとか、
莉奈ちゃんの名前をもじったものとか・・・
そういえば、シーモアのラジオ出演の時にシーモアにする質問、日替わりのアドリブっぽかったです。
相葉くんは事前には知らされてないのかな?
すっごく真面目に答えていて微笑ましかったですv


前回の上演の時には、直前で仕事が入って見にいけなかったこの作品。
今回観れて、思いっきり楽しむことができましたv
楽曲も、初めて聴いてもついつい手拍子しちゃう感じだったり、しっとり聞かせてくれるものだったり。
再演されるとしたら、若者二人はまた違っちゃうのかもしれませんが、
機会があればまた観てみたいな、と思います。
そういえば、この舞台の演出の松村武さんって、
「ゲゲゲのゲ」の源二おじさんですね!
とても心に残る演技をされる方だったので、役者としての松村さんもまたいつか観たいなあ、と思います。

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