瓔珞の音

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<<   作成日時 : 2012/06/28 22:39   >>

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なんだかすっかりブログ放置が日常となってますが、恭穂は元気にしております!
昨日一昨日と日付が変わるまで仕事だったので、寝不足でちょっと理性が飛んでおりますが(笑)。
まあ、こういうときもあります・・・
とりあえず、ずっと書きたかった観劇記録を。
もう、前振りを考えるだけの気力もなく、眠気で理性が飛んでいるので、
いつも以上に散漫な記録になりそうですが・・・ある意味正直な記録になるかもしれません(笑)。


劇団☆新感線 いのうえ歌舞伎 
「シレンとラギ」

2012.6.9 ソワレ 青山劇場 1階B列20番台
2012.6.23 マチネ 青山劇場 1階S列20番台

出演:藤原竜也、永作博美、高橋克実、三宅弘城、北村有起哉、石橋安奈、橋本じゅん、高田聖子、粟根まこと、
    古田新太、右近健一、河野まさと、逆木圭一郎、村木よし子、インディ高橋、山本カナコ、礒野慎吾、吉田メタル、
    中谷さとみ、保坂エマ、村木仁、川原正嗣 他


物語の舞台は、かつて一つだった、二つの対立する国。
亡きソンシの息子であるギセン将軍(三宅弘城)を戴く北の国と、
ゴダイ大師(高橋克実)を教祖と仰ぐゴダイ教が支配する南の国。
20年前、ゴダイが病死した後、この二つの国は危うい均衡を保ってきました。
けれど、北が南へ放った密偵が持ち帰った事実が、その均衡を揺るがし始めていました。
―――ゴダイが、生きていた。
その情報を得た武士所の長(だったかな?)キョウゴク(古田新太)は、一人の暗殺者を呼び戻します。
暗殺集団である狼蘭族の薬使いであるその女、シレン(永作博美)は、
20年前教団に入り込み、ゴダイの寵愛を受けながら、その身体に毒を与え死へと導いた張本人でした。
その事実を知るものたちからは"英雄"と讃えられながらも、暗殺者であることを徹底し、
決して表舞台には立たず、20年の間密かに北に叛旗を翻す可能性のある国を潰してきたシレン。
ゴダイの生存を知らされたシレンは、キョウゴクと北の重臣モロナオ(粟根まこと)から、
20年前に遂行できなかったゴダイ暗殺を再度命じられます。
子どもの頃、垣間見た彼女にずっと憧れ続けていたキョウゴクの息子ラギ(藤原竜也)は、
彼女を守るために、自ら志願してシレンと共に南へと旅立ちます。
南へとたどり着いた二人を待ち受ける、秘密と裏切り。
そして、絡みあった血の縁の果てに、二人が目指すものは―――


というような物語でした。
久々のいのうえ歌舞伎でしたが、今回の舞台、とても見ごたえがありました!
物語としては、ちょっと理解し切れなかったり、物足りない感じもあったりはしたのですが、
個人的には、これぞ新感線!と掛け声を掛けたくなっちゃうぐらいの満足感でした。
美しさとかっこよさを追求した演出。
それを支える舞台美術と、マジカルな原田さんの照明。
そして、その舞台の上で繰り広げられる、役者さんたちの鮮やかさ!

今回は、とにかく客演の役者さんたちが素晴らしかったと思います。

タイトルロールの一人、永作さんのシレンは、可愛らしさとかっこよさと冷酷さのバランスが絶妙v
設定的に、実年齢に即した役柄なのだと思うのですが、
ラギが彼女に向かって言う「綺麗で、華奢で、可愛らしくて・・・」という形容詞や、
ゴダイが語った「柔らかいのに一本芯が通っている」という表現がぴったり!と思ってしまいました。

暗殺者、しかも自らの使い方で人を殺しも救いもする"薬使い"という彼女の背負った業―――
対象に気付かれないために心の底から相手を愛し、相手を抱きしめるのと同じ手で、少しずつ毒を盛り続ける、矛盾。
それはきっと彼女自身の心にも毒を注ぎ込んでいて・・・
暗殺者として生きる場所と理由を与えてくれていたキョウゴクに裏切られた彼女が、
殺すためではなく、愛するために愛することを教えようとしたラギの、
自分に向けられる真っ直ぐな想いの強さに縋る瞬間の自嘲が、見ていてとても哀しかったです。

そんな真っ直ぐな藤原くんのラギ。
新感線の中の藤原くんって、実はちょっと想像がつかなかったのですが、
あの劇団の強烈な個性にいい意味で馴染まないというか、ちょっと際立った異質感がとってもいい感じでした(笑)。
とにかく、ラギはもう微笑ましいくらいに最初っからシレンに一直線!
幼い頃に垣間見てから憧れ続けた、強く美しい"英雄"シレン。
そして今、共に旅する中で見えてくる彼女自身―――彼女の、過去。
ラギの中のシレンが、憧れの存在から、共に在り自らの手で守り抱きしめたい存在へと変わっていく様が、
ふとした短い台詞の中にも感じられて、さすがだなあ、と思いました。
とにかく、藤原くんの台詞回しは秀逸!
冒頭の、シレンを前にしたときの熱に浮かされたような言葉も、
キョウゴクに裏切られたときの激しい台詞も、
ロクダイとして信者たちを導くときの声音も、
どれも言葉以上の感情を伝えてくれると感じましたが、
私が一番すごい!と思ったのは、2幕、シレンと再開したとき。
シレンの「変えてくれるって言ってくれた人がいたんだけどね」という台詞に返した、
「へえ、そうなんだ」という短い言葉でした。

心の底から愛した女が、自分を産み落とした女であったことを知ったラギ。
「愛することは殺すこと」という、彼女の生き方をなぞることで、
シレンと自分の間に流れる血の縁を断とうしたラギ。
その果てにシレンと対峙し、互いに刃を構えながら彼が言ったこの言葉は、
囁くように静かで、切ないくらい優しくて、そして、嵐の海の底のように凪いでいた。
たった一言。
その短い言葉に込められた感情の密度に圧倒されました。

初回、この言葉を聞いたとき、ああ、ラギはもう全てを捨ててしまうつもりなんだ、と思いました。
シレンと過ごした時間も、シレンを愛した自分の心も、その命と共に全てなかったことにしてしまったのだと。
けれど。
2回目に観た時、何故かまったく逆のことを感じました。
ラギは、全てを受け入れたのだ、と。
シレンを求める男である自分自身も、自分の中に流れるシレンの血も、知らず犯した過ちも、
その思いも、業も、罪も、全てを受け入れた上でなお、彼はシレンを愛することを諦めてはいないのだと。
そして、シレンもそれを解かった上で、真っ直ぐに彼に向き合っているのだと。

刃を構え向き合う二人の、まさに彼ら自身がむき出しの刃であるような研ぎ澄まされた緊張感。
そして、ぴんと張った空気の根底を流れる甘やかな情。
刀を合わせる彼らの、真剣で、真摯で、そしてどこか恍惚とした表情。
そのどれもがとてもとても綺麗で、一瞬も目を離すことができませんでした。

そしてラストシーン。
暖かな南の国に降るはずのない真っ白な雪のように、絶え間なく降り積もる死を導く毒薬。
キョウゴクの放った、その真っ白な死の中で、彼らは再び旅立ちます。
毒消しの力を持つ二人の血で、その死を阻むために―――

幼い頃から毒を身体に取り込んだが故に、毒消しの力を得たシレンの血と、
彼女の血を分けて生まれ、そして彼女と交わったが故に毒消しの力を得たラギの血。
二人を繋ぎ、二人を引き裂き、二人を翻弄した、血。
その血で、この国に降り注ぐ"死"を排するために旅立つ二人。
それは、常に彼らの"血の縁"を二人に突きつける旅で―――その容赦のなさに、胸が引き絞られるようでした。

冒頭、暗闇の中、命を奪うために旅立つ二人の顔は、ぞっとするほど似て見えた。
けれど、ラストシーンで旅立つ二人の凛とした後姿には、その類似は欠片も見えませんでした。
降り注ぐ真っ白な毒の中、歩む彼らを追うように吹き上げる真っ赤な紙吹雪。
その先の、闇。
「IZO」では、闇の先に光がありました。
でも、きっとこの二人を待つのは、暗闇。
そして、暗闇しかないことを知っていてなお、彼らは共に歩んでいく。
それは、なんて哀しくて、なんて幸せな未来なのだろう―――そう、思いました。


うーん、この二人については、なんだかいろいろ考えてしまいます。
二人のことを語ってるだけで夜が明けちゃいそうなので(笑)、強制終了で他の役者さんのことを。


ゴダイ役の高橋さん。
なんというか、とにかくさすがな存在感でした。
やってることとか、教義とかとんでもないですし、ゴダイがやってることってちょっと理解しがたいのですが、
そのとんでもなさを有無を言わさず納得させてしまうだけの、強烈なカリスマ性があったように思います。
彼とソンシの間に何があったのか、どうしてキョウゴクやモロナオは彼と袂を分かったのか、
なぜシンデンはあそこまでゴダイを敬愛していたのか・・・
きちんとした答えは出ないのだけれど、そのどれもがゴダイだからこそなのかなあ、なんて。
底知れない怖さと魅力のある役をとても魅力的に演じてらっしゃいました。
1幕、シレンとラギが逃走した後の暗転前、キョウゴクの背を見つめる眼の一瞬の鋭さと、
花見の場で本来の姿を見せたときの、あの低い声の迫力に、圧倒されました。


ギセン将軍役の三宅さんも、その存在のぶれなさが素晴らしかったです。
最初は愚かな飾り物の王様、という感じで、笑い担当なのかなあ、と思っていたのですがとんでもない!
キョウゴクの言葉に唆されて、次々と人を殺めていくシーン、
「嫌いなやつを殺すときは嫌いなものを言え」と言われて、「王様!」というのは予測がつきましたが、
(なので、初回に観た時はちょっと笑っちゃいましたが)
「王様!」と叫びながら刃を振るう無邪気さは、とにかくめちゃくちゃ怖かった!!
「もっと強くなるために、愛するものを殺めろ」と言われて殺してしまった母(村木よし子)に縋って泣くのも、
その姿を虫と同じように標本にする、と言う言葉も、
もしそれが計算や何らかの打算の末の言葉であったなら、ここまで怖くはなかったと思うんです。
でも、ギセン将軍にはまったく計算がなかった。
それは、理性もないということ。
ただ、思うがままに、嫌いなものも愛するものも殺して、殺して、殺しつくした後、
屍の中でたった一人、血まみれの刀を掲げて笑うギセン王の姿が思い浮んじゃいました・・・
「王様」であることが、彼にとってどれだけの楔であったのか―――
キョウゴクの死後、「王様」でいることを強要されなくなった彼が生きる未来が、
知りたいような知りたくないような、ちょっと複雑な気持ちになりました(笑)。


シンデン役の北村さん。
地味な役柄ではありましたが、本人も言ってるように確かにシンデンが全ての元凶な気がする・・・(笑)
北村さんも、相手や状況によってとても多彩な声を使い分けてらっしゃって、
あの低音にはちょっとやられました(笑)。
シンデンの思い描いた未来―――頂点に立つゴダイの横にナナイ(シレン)とラギがいて、
彼らを守るように自分やキョウゴク、ダイナンがいる、という未来を語る彼の声の切実さは、
聞いていてかなり辛くなりました。
あれに絆されないラギって凄い!・・・って、絆されたから放逐したのか(笑)。
殺陣のシーンが少なかったのがちょっと残念かな。


キョウゴク役の古田さん。
日替わりねた(だったよう)の笑いも、めちゃくちゃかっこいい殺陣も、
冷酷で計算高い行動も、娘のミサギ(石橋安奈)に向けられる複雑な感情も、
ミサギに拒否られて振り切れちゃう危なさも、どれも古田さんの魅力にぴったり!という感じでした。
個人的には、キョウゴクの行動の目的がいろいろちょっと疑問が残ったりもしましたが・・・
ただ単に究極に自己中心的な男だったというだけなのかなあ?
やってることがどうにも小粒な感じで、この男では国は作れないなあ、と思っちゃいました。

ので、橋本さん演じるダイナンが、どうしてあそこまでキョウゴクに入れあげるのかがちょっと分からず・・・
まあ、恋は盲目、ということなんですかね?(え)
じゅんさん、乙女キャラが定着でしょうか?(笑)
冗談や笑いに紛れた真剣さや純情の細やかな表現は、さすがじゅんさん!という感じでしたv


高田さん演じるモンレイがキョウゴクにシレンの首を要求するシーンでは、ずーっとその手が戦慄いていて、
でも表情とか台詞とかは凄くスムーズで、そのギャップが表す不安感と言うか焦燥感にちょっと目を奪われました。
ラギに迫る中谷さんのマシキの勢いも凄かったですねー(笑)。
最初に観た時は、ちょっと藤原くんが笑い落ちしてました。
あまりに一生懸命なので、2回目に観た時は、そこだ!いけ!と内心応援してしまったり(笑)。
公演中、1回くらいはラギの唇を奪えたのかしら?(え)
河野さんのヒトイヌオも素晴らしかったです!
場面転換の時のハードボイルドなあれこれ、お約束だけどついつい笑ってしまいました。
そのうち、暗転になるたびにヒトイヌオ出てくるかな?とついつい下手に目がいっちゃいました(笑)。

高田さんや村木さんはじめ、劇団員のみなさんは、いつもどおりのカラーでした。
とってもパワフルで、とっても体当たりで、でもってとても繊細な表現もされていて、
観ていて「ああ、新感線だなあ」という安心感がある反面、
もっと違う役柄やアプローチも見てみたいなあ、と思ってしまったり。


最初にも書きましたが、今回の舞台セットと照明、めちゃくちゃ好みでした。
いえ、原田さんの照明はいつも大好きなんですがv
特に、1幕のラストシーンは、まさに1枚の浮世絵のようで、とにかく綺麗でかっこよくて、ちょっと鳥肌たちました。
シレンとラギが短い蜜月を過ごした家から見える海の荒々しさや低い雲の暗さ、
シレンの悪夢の生々しさ、
そして、あのラストシーンの白と赤。
今回は前方席と後方席と両方から観れて、とても良かったなあ、と思います。
でもって、衣裳も素敵でした!
どれもそれぞれの役柄のイメージどおりの鮮やかな色合いの衣裳でした。
特にシレンの衣裳はどれもとっても可愛らしくv
基本の黒い衣裳もですが、南に入ったときの水色の衣裳も、その後の桜色の衣裳も、とてもお似合いでした。


実は、最初に観た時は、普通に面白い舞台だなあ、という印象でした。
前方席だったので、役者さんの表情に魅了されたりもしましたが、ちょっと受け入れがたい部分もあり。
でも、2回目に観た時、シレンとラギの研ぎ澄まされた存在感と、
一気に滅びと再生へ突き進むラストシーンの衝撃に、本当に気持ちを奪われました。
カーテンコール、役者さんたちが出てくるたびに、
その役柄が背負う業や、彼らが抱えた想い、彼らが選んだ未来が思い浮んで、
なんだか泣けて泣けて仕方なくて・・・
正直、こんなにも後を引く舞台になるとは思ってもみませんでした。
というわけで、今からDVD化がとっても楽しみですv

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
恭穂さま
続けてお邪魔いたします。
恭穂さんのご感想、とても興味深く読ませていただきました。
特にラギの「へぇ、そうなんだ」のくだりは、私も最初に
聞いた時から、あの声といい、話し方といい、あれを言う時
のラギの表情といい、とても好きな場面でしたので、
二度ご覧になって正反対の感覚を得られたことがとても
印象的です。
このあたり、恭穂さんとお目にかかって一度じっくり
語り合いたいです(笑)。

ともあれ、思った以上に(と言っては失礼ながら)後を
ひく舞台でしたね。
やはり、中島かずき侮りがたし、です。
スキップ
2012/07/08 23:13
スキップさん
こちらにもありがとうございます。
あの台詞は、ほんとに素晴らしかったですよね!
たった一言なのに、もの凄く想像力(妄想力?/笑)が喚起されました。
私もスキップさんと語り合いたいです!
そのうちきっと大阪に行くと思うので、
その際はまた遊んでくださいねv

思った以上に後をひく舞台、というのは本当にその通りだと思います。
観るたびに発見がありそうだなあ、と。
次の五右衛門ロックも楽しみですねv
チケットとれる気が全くしませんが(涙)。
恭穂
2012/07/10 23:32

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