瓔珞の音

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<<   作成日時 : 2012/09/26 21:35   >>

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そこはかとなく憧れを持ちながら、なかなか近づけないものの一つに、文楽がありました。
観てみたいなあ、という気持ちと、
難しそうだなあ、という気持ちと、
観ても好きになれなかったらどうしよう、という気持ちと・・・
いろんな気持ちがブレーキをかけてて。

でも、今年の夏休み中盤の、観劇な二日間(笑)で、
思い切って文楽鑑賞デビューしてみましたv



第180回文楽公演

2012.9.20 第一部 国立劇場 小劇場 16列20番台

私の中の"文楽"のイメージは、ほとんどが漫画や小説から受け取ったものだったりします。
波津彬子さんの「雨柳堂夢噺」の中のお話の一つ。
小野不由美さんの「東亰異聞」。
そして、三浦しをんさんの「仏果を得ず」は、私に文楽のリアルな魅力を教えてくれました。
エッセイの「あやつられ文楽鑑賞」も、文楽とは手の届く伝統芸能なのだと感じさせてくれて・・・
たぶん、この2冊があったから、文楽を観にいく勇気がもてたのだと思います。
なので、初めて行った国立劇場の売店で、この2冊が売られているのを観た時は、
なんだか嬉しくて且つほっとしてしまいました。

というわけで、私の始めての文楽。
最初の演目は、「粂千人吉野花王  吉野山の段」。
粗筋を読んでいて、どこかで観たことのある話・・・?と思ったら、
歌舞伎の「雷神不動北山桜」を踏襲したものと思われる、と解説にありました。
文楽の演目が歌舞伎になるのは聞いたことがありますが、逆もあるんだ、とちょっとびっくり。
でもって、歌舞伎のこの演目、私が複数回観たことのある数少ない演目だったりします。
登場人物の名前は変わっていましたが、物語を知っている分、内容を理解しやすかったのはちょっとラッキーv
しかも、その登場人物が、前日まで行っていた奈良に縁の人物になっているのも、
ちょっと縁を感じてみたりv

更にラッキー!と思ったのが、この演目は太夫が6人、三味線が5人という体制で演じられるものだったこと。
私の中にあった文楽のハードルの一つに、全てを一人の太夫が語る、ということがありました。
なんというか、お一人で演じるのだと、役を聞き分けにくいんじゃないかとか、
もしその方の語りや声が苦手だったら目も当てられないんじゃ、とか、ネガティブなイメージがあったんですね。
もちろん、そのイメージは次の演目で払拭されたわけですが、
とりあえず、一番最初のとっかかりの演目が、
役ごとに太夫さんが違う、という形だったのは、私の中のハードルを大きく下げてくれたように思います。

で、始まった初めての文楽。

いやー、可愛かった!
この演目では、とにかく人形が人形らしく可愛らしい、と感じました。
大伴坊と安曇坊の動きとかすっごく細かくて!
二人が目を見合わせたり、修行中にそれぞれの形で居眠りしちゃったり、
夜の山道を怖がりつつ駆け下りたり、とか、とっても可愛いの。
花ますも、とにかく綺麗だし、粂仙人はとってもかっこよくv
花ますが艶かしい話をしているのも、ひたすら可愛らしくv
粂仙人が花ますの色香に惑って庵から転げ落ちるのも、なんだかとっても微笑ましくってv
上記の本で、三浦さんが人形可愛いー!!とテンション上がってましたが、
その気持ちがとっても良くわかりました。
遠くから観ていた、というのもあるのだと思いますが、
歌舞伎の演目よりも、当然のことながら生々しさがなくて、コミカルさが際立っていたように思います。

あと、文楽では、電光掲示板に義太夫が映されるのですね?!
ちょっとどこを見たら良いのやら・・・的な混乱に陥りましたが、
その役の太夫さんが、その役にかかわる地の文も謡い、台詞も言い、ということもあり、
かなりわかりやすかったです。
あ、もちろん、イヤホンガイドのお世話にもなりましたv
大人数で謡われる義太夫や、三味線の合奏(?)はとても迫力でしたしね。


のっけから、人形の可愛らしさにくらくらした私ですが、
次の「夏祭浪花鑑」では、人形が人形のまま人形以上の存在になる瞬間を観たような気持ちになりました。
この演目も、歌舞伎でよく見かけますが、今までご縁がなく、見ることができませんでした。
ので、今回初の観劇なのですが、事前に鑑賞ガイドを読んでいて、
おお!このお話も三好くんが書いたのか!とちょっとテンションが上がってしまいました。
いやだって、三浦さんの「あやつられ文楽鑑賞」の三好松洛の描写って、とっても面白いんですものv
彼が参加しているということは、非常に荒唐無稽な面白いお話なのかしら・・・と思っていたら、
荒唐無稽だけれど(個人的には、ですが)、登場人物の気持ちをとても繊細に描いた物語で、
驚いたり、笑ったり、首をかしげたり、感動したり・・・とっても大忙しな鑑賞になりました。

今回は、「住吉鳥居前の段」と「内本町道具屋の段」、「釣船三婦内の段」、「長町裏の段」の上演でしたが、
私がその瞬間を観た!と思ったのは、「釣船三婦内の段」、
自分に磯之丞を預けられない理由を語る三婦にむけた、お辰の動きと眼差しでした。
もともとお辰は出てきたときからその動きの滑らかさと細やかさに感嘆していたのですが、
とうとうと語る三婦に手を伸ばし、すっと顔を上げて見つめるお辰の姿は、
その瞬間、私の目には強い意志を発する存在となり、自ら動き出したかのように見えました。
彼女を扱う人形さんの姿は見えているのに、その存在が感じられないというか・・・
いや、感じられないのではなくて、たぶん人形さんの存在と人形の存在が全く一つに重なったんだと思います。
なので、その後お辰がとる驚きの行動も、なんだか凄く自然に受け入れちゃいました。
というか、このとき私、このシーンを一人の太夫さんが語っているのだということが、
すっかり頭の中から抜け落ちていて・・・ふっとそれに思い至ったとき、もの凄く驚いてしまいました。
このときの太夫さんは、病気休演の竹本住太夫さんに代わっての、竹本文字久太夫さん(だったと思う・・・)。
なんとも渋いお声で、多彩ではあるけれど、役柄によって別人のような声を出しているわけではないのに、
その役の性根が感じられるような気がして、混乱するということはまったくありませんでした。
もちろん、それは人形の動きもあってなのかもしれませんが・・・

そして、もう一人、なんて生き生きとしているんだろう!と思ったのが、「長町裏の段」の義平次。
お金のために人を騙したり、かどわかしたりする小悪人で、
それを邪魔した娘婿の九郎兵衛を、義父であることを立てに殴り蹴り侮辱し、
結局堪忍袋の緒が切れた九郎兵衛に殺されてしまう、という役なのですが、
その鮮やかで豊かな表情といったら!!
もちろん、人形の表情が変わるわけではないのですが、
義太夫の表現と相まって、なんとも魅力的な存在感を見せてくれました。
いや、これはちょっと九郎兵衛も我慢しきれないよね・・・と思っちゃうような嫌らしさ!(褒めてます/笑)
そして、それだけではない、凄味のようなものを感じました。
このシーン、人形が舞台の上をかなり大きく動き回り、
挙句の果てには義平次は池(?)に落とされて沈められちゃうのですが(ほんと凄い話だ・・・)、
時に人形よりも舞台側に来てしまう人形さん方の姿が全然気にならず、
二人の緊迫したやり取りを、息を詰めて見つめてしまいました。

ちなみに、その後確認したところ、お辰を操っていたのは吉田蓑助さん、
義平次を操っていたのは桐竹勘十郎さんでした。
いずれも、三浦さんのご本に名前の出ていた方で、なんだかちょっと嬉しくなっちゃいましたv

そんなこんなで、なんだかとにかくあれもこれもいっぱいいっぱいな感じではありましたが、
非常に楽しく観ることができました。
・・・まあ、ちょっとα波が出そうになっちゃったときもありましたけどね(笑)。
でも、人形と、義太夫と、三味線と・・・その三つが分けがたく一体となって組み上げた仮初の空間は、
現実とかけ離れた異空間のような暗さと、そして鮮やかさを内包していて、
なんとも不思議な感覚で私を魅了しました。

可愛らしい"人形"が、凄味や色気を持った存在へと変貌する瞬間。

それを、また是非観てみたいなあ、と思いました。
そしていつか、私のお気に入りの太夫さんや三味線さん、人形さんを見つけられるといいなあ。
でも、なかなかチケットが取れず(涙)、道は遠そうなので、
とりあえず、「東亰異聞」を読み直そうと思います(笑)。



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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
恭穂さま
文楽初体験のアップ、興味深く楽しく読ませていただきました。
そうそう、文楽のお人形って、場面によって表情が違って
見えたりしますよね。本当に不思議です。

「夏祭浪花鑑」は私は歌舞伎でも文楽でも観たことが
あるのですが、同じように感じるところ、人形浄瑠璃
ならではと思えるところ、いろいろな表情が楽しめて
興味はつきることがありません。

大阪の国立文楽劇場では11月は「仮名手本忠臣蔵」の通し上演。
文楽でこの演目を通しで観るのは初めてで、体力がもつのか(笑)
ちょっと心配ですが、通しで楽しみたいと思っています。

三浦しをんさんの「仏果を得ず」今読んでいます。
スキップ
2012/09/29 18:35
スキップさん、こんばんは!
文楽、とっても興味深い空間でした。
まだほんのちょっと触れることができただけですが、
これからも機会があれば観にいきたいです。
「夏祭浪花鑑」は、歌舞伎でも観てみたいなあ、と思います。

そういえば、「仮名手本忠臣蔵」通し上演の情報も見ました。
三浦しをんさんの「あやつられ文楽鑑賞」でも、
通し上演を見た時のことが書かれてますが、
観る方も演じる方も大変そうですね・・・!
でも、私もいつか体験してみたいなあ、と思います。
腰に気をつけつつ(笑)楽しんできてくださいねv
「仏果を得ず」の感想も、また是非聞かせていただきたいです!
恭穂
2012/09/30 20:49

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