瓔珞の音

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zoom RSS 諦めが大切な時もある

<<   作成日時 : 2012/10/03 20:53   >>

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10月に入ってから、昼間晴れ間が見えても、夜になると雨が降る毎日。
毎年10月ってこうでしたっけ?
今年はやっぱり変な気候だなあ、と思ってしまいます。
そのせいか、今年は彼岸花も咲きはじめは遅いのに、去年よりもずっと沢山咲いている気がします。
通勤途中の田圃の畦道が、一面真っ赤になってしまうくらい・・・
それはそれでとても綺麗なのだけれど、なんだかちょっと不安になってしまうのは、
私自身が不安定だからなのかなあ・・・?

とりあえず、気を取り直して観劇記録に。


ロック・ミュージカル
騒音歌舞伎
「ボクの四谷怪談」

2012.9.21 ソワレ 1階D列一桁台

脚本・作詞:橋本治
演出:蜷川幸雄
音楽:鈴木慶一
出演:佐藤隆太、小出恵介、勝地涼、栗山千明、三浦涼介、谷村美月、尾上松也、
    麻実れい、勝村政信、瑳川哲朗、青山達三、梅沢昌代、市川夏江、大石継太、明星真由美、峯村リエ、
    新谷真弓、清家栄一、塚本幸男、新川將人、佐野あい、隼太、松田慎也、周本絵梨香、内田健司


橋本治さんの本を、実はあまりじっくり読んだことがありません。
「窯変 源氏物語」は初版の頃に装丁に惹かれて何冊か読んだくらいかな。
学生にはちょっと高い値段設定だったので、結局途中で挫折してしまいました。
かなり好きな雰囲気だったので、これはいつか読破しようと思っているのですが・・・

で、そんなあまりなじみのない橋本さんが、「四谷怪談」を元に、若かりし頃一晩で書き上げたというこの作品。
実は私、歌舞伎の「東海道四谷怪談」は観たことがなくて。
京極夏彦さんの「嗤う伊右衛門」は読んだし(名作!)、
それを蜷川さんが映画化したのも、DVDで見たことがあるので、内容はなんとなくわかってはいたのですが・・・
いやでもそういう過去の曖昧な知識なんて、
この混沌としてるのにとんでもない勢いのある舞台の前では、あっという間に吹き飛んじゃった感じでした(笑)。

そもそも物語の舞台が混沌・・・
この戯曲が書かれた昭和51年と、
「東海道四谷怪談」が初演された文政8年、
元禄赤穂事件が起きた元禄14年、
そして、「仮名手本忠臣蔵」の舞台である南北朝時代が、
なんの垣根もなく、何の違和感もなく、でも決して溶け合うことなく、
マーブル模様や寄木細工みたいに混沌と交じり合っているのです。
私はどの時代の知識も浅いので、1幕はもう何がなんだかわからなくて、
「ちょっとこれはどういうことー!!」と客席の隅っこで内心叫んでおりました。
知識があれば、人物の造形や、細かな部分まできっととっても興味深く楽しめたのだろうけど、
今の私にはそれは無理!
しかも目の前ではTシャツにジーンズ姿で帯刀した伊右衛門が地べたに座って傘を売ったり、
お袖がセーラー服で夜学に走っていったり、
スーツ姿の与茂七が、いきなりロックに歌い出しちゃったりするし・・・

で、あっさり諦めました(笑)。

物語の背景とかもとの話の知識とか、細かいことはおいといて、
とりあえず、目の前で繰り広げられる世界を楽しめば良いや、と開き直ったわけですね。
そしたら、とっても楽しむことができました!

そもそも、これだけの豪華キャストを、とーっても贅沢な配分で使っていて、
且つお芝居も、歌も(それもロックからオペラまで!)、歌舞伎的要素も真正面から向かってくるんですから、
それは楽しめないわけないですよねー。
そもそも、橋本さんが情熱と勢いで書きあげた物語なのだから、
その情熱と勢いを感じられれば全然オッケー!なんだと思います(笑)。

というわけで、物語の整合性とか人間関係とかはあんまり深く考えず、役者さんの色々を楽しませていただきました。


伊右衛門(当世蒼白青年)役、佐藤隆太さん。
映像では良く見ますが、舞台で拝見するのは初めて。
なんというか、凄く不思議な佇まいの方ですね。
周りの個性的過ぎるくらい個性的でエネルギーに溢れる人たちの中で、
その存在は自然体過ぎるくらい自然体なのに、舞台の上で紛れることがないの。
伊右衛門というあくまで受身な男を、すんなり見せてくれたように思います。
最後の長台詞も、こちらの気持ちを逸らさずに聞かせてくれました。
まあ、言ってることは、ちょっと後ろから蹴りを入れてやりたくなるような内容でしたけどねー(え)。
主にお岩の幽霊に対して「俺がお前に何をした?」と何度も問いかけるのだけど、
この男の場合は、"何もしない"ことがそもそもの元凶だったように思います。
周りにわーって押されると、まあ、そんなもんかなあ、って感じで流されるし、
しかも、流されるなら流されきればいいのに、途中でふっと脇にそれちゃうんですよね。
で、結局どうにもならなくなるの。
もっと若い頃に観たら、伊右衛門のどこかに共感できるところもあったのかもですが、
今回はひたすら内心突っ込みを入れておりました(笑)。
うん、でもまあ、それはそれで楽しかったかな。

因みに、役名の後ろの()は、主要若者キャスト7人にそれぞれついているのですが、
(しかも7人は"七人の侍"ってなってた/笑)
それぞれ非常に端的に役柄を示していて、この辺の言葉のセンスは橋本さんだなあ、と思いました。

佐藤与茂七(悲愴公害青年)役は小出恵介くん。
この前に観た舞台の役が、真面目すぎるくらい真面目な青年だったので、
なんとも悪びれず捌けたこの役柄に、ちょっとびっくりしてしまいました(笑)。
でも、そういう行動とは裏腹に、彼の内面は"仇討ち"という大儀を前に、
もの凄くペシミスティックになってたのかもしれないなあ、と思います。
だからこそ、ああいう風に飄々と露悪的で挑発的な言動だったのかも。
どうせ自分は死ぬ身なのだから、という気持ちが、どこかにあったんじゃないかなあ・・・
まあ、伊右衛門や直助やお袖ちゃんにとっては迷惑な話ですけどね(え)。
歌声は、ちょっと聞き取りにくい感じもありましたが、
それは他の方も一緒だったので、たぶん席の関係なんじゃないかと・・・
(でも、瑳川さんと明星さんの歌声はめちゃくちゃはっきり聞こえました。さすが!)

直助権兵衛(無残薄倖少年)役は勝地涼くん。
いやー、とっても可愛らしかったです!
でもって、淡々とあまり表情の変わらない伊右衛門と絡むことが多いので、
そのくるくる変わる表情の豊かさが際立った感じ?
ひたすらに恋に一途な面も、
粋がりながら内心ではちょっとビクビクしてるところも、
目の前にある幸せを前に、自分の罪を告白する真っ直ぐなところも、
そして、幸せの絶頂に突きつけられた真実を前に、決して怯まない男気も、
とにかく溌剌と初々しく見せてくれました。
歌も、ミュージカルというより台詞と同じトーンの歌い方でしたが、
とても聞き取りやすかったし、この役には合っていたんじゃないかな、と思います。

お袖(可憐同棲少女)役は栗山千明ちゃん。
伊右衛門の義妹で、与茂七の許婚で、直助の思い人で、そして、実は直助の妹だった、という、
物語の中心にいるような、でもなんとも切ない役柄でした。
が、全然そういう湿っぽさがないのは、栗山さんの凛とした雰囲気がなせる業なんですかねー。
うじうじした男が多いこの物語の中で、
あのきっぷの良さは、清々しいくらいでした(笑)。
すらっとした手足と、真っ直ぐに相手を見つめる眼差しがとっても綺麗でした。
歌もお上手!と思ったら、歌手活動もされているのですね。

次郎吉(天晴淫乱少年)役は三浦涼介くん。
全然知らない子でしたが、本職がミュージシャンなのですね。
それも納得な歌声で、もっと歌って欲しいなあ、と思いました。
まあ、歌ってる内容はあれでしたけどねー(笑)。
もうとにかく思春期真っ盛り。
受験に、家族関係に、友人関係に・・・いろんな抑圧が一気に許されぬ恋に向かっちゃった感じ?
彼が自分に向ける粘度の高い恋情をさらっと流せる伊右衛門って、実は大物なのかしら・・・?

お梅(恐怖早熟少女)は谷村美月ちゃん。
TVや映画で良く見かけますが、もっと年上だと思ってました。
まだ22歳なんですねー。
ロリータを通り越したとんでもない服を、見事に着こなしてらっしゃいましたv(笑)
()内の役名が一番ぴったりだったのは、この子なんじゃないかなあ・・・
出番はそれほど多くはありませんでしたが、
お父さんな勝村さんとともに、非常にインパクトがありました。

お岩(怪奇正体不明)役は、尾上松也くん。
正統派歌舞伎、という感じのお岩さんで、その所作の滑らかさと雄弁さが、
あの舞台の上では異質であるが上に、余計に美しく感じられました。
鏡を見てしまったあとのあの狂乱も凄かったなあ・・・
何が凄いって、あの裏声のままで一曲歌い、且つきちんとお岩さんなんですよ。
その後、地声(というか男の人の声)でも歌う曲があったのですが、
かなり好みな素敵な声で、場面は凄い状況なのに、ちょっとうっとりしてしまいましたv
とても素敵な曲だったので、この曲だけシングルカットしてくれないかなあ・・・
伊右衛門と幽霊のお岩の関係は、まあ、この流れだとそうだよね、という感じでしたが・・・


そして、大人組。
ちょっと時間切れなので、さらっと・・・

伊藤喜兵衛役の勝村さんは、とにかく相変わらず素晴らしい存在感!
どこまでが本気でどこまでが冗談なのか、
どこまでが善意でどこまでが悪意なのか・・・
混沌とする舞台の中で、なんというか揺るがない存在感だったと思います。
お熊役の麻実さんと小仏小平の母役の梅沢さんのやり取りも面白かったなあ・・・
二人とも、言葉に含ませた裏を、コミカルに見せてくださいましたv
宅悦役の大石さんは、お岩とのシーンがメインでしたが、
歌舞伎の雰囲気を残しつつ、蜷川テイスト満載な演技で、楽しませてくれました。
その後のおじいさん役も可愛かったなv
第二のお岩役の明星さんは、ミイラのように顔を包帯で巻かれていて表情はわかりませんでしたが、
あの声音の豊かさはほんとに素晴らしいと思う!
勝村さんと歌った♪ワルキューレの騎行 は、一瞬美声に聞き惚れましたが、
歌詞に気付いて爆笑してしまいました。
うーん、これから、この曲を聴くたびに笑ってしまいそうです・・・
仏野孫兵衛役の青山さんは、とにかくその佇まいがとっても好みでしたv


おおっと、そろそろ時間切れ!
そんなこんなで、非常にダークなのに、何故か観終わった後はカラッとした気持ちになる不思議な舞台でした。
いつか、本家本元の「東海道四谷怪談」も観たいなあ、と思います。
そのときも、尾上くんがお岩だったらいいなあv

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