瓔珞の音

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<<   作成日時 : 2012/10/18 22:14   >>

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一人は、白い光の水面の下、悲しみの闇に沈み、
一人は、白い光の中、何かを求めるようにその手を伸ばした。

闇と光。
黒と白。
経験と若さ。
外と内。
そして、思慕と祈り―――

二人の類稀なダンサーが、真っ向から向かい合ったステージを観てきました。



「XY2」

2012.10.13 マチネ クロスシアター H列10番台
2012.10.14 ソワレ クロスシアター B列一桁台


新上裕也さんと大貫勇輔くん。
どちらも、ミュージカルの舞台で、その存在を知りました。

新上さんを最初に知ったのは、「ダンス・オブ・ヴァンパイア」
その後、東山さん目当てでいったダンス公演でかなり気持ちを持っていかれたダンスがあって、
こっそりファンになってました(え)。

大貫くんを初めて観たのは、「UNDER GROUND PARADE」
その、重力を感じさせない跳躍に目を奪われました。
そして、「ロミオ&ジュリエット」の死のダンサーで、転げ落ちるようにファンになりました(笑)。

そんなお気に入りのお二人の、本当に二人だけのダンス公演。
これは観にいかなくちゃ!と予定を二つばかり変更して観にいったのですが・・・本当に素晴らしかったです!

舞台は、両サイドにいろんな額縁や物がかかった壁とソファがあるのですが、
上手が黒、下手が白で統一されていて、シンプルだけど、とても意味深な感じでした。

構成としては大きく3つぐらいに分けられていたかな。
最初は、それぞれが交互にソロを2曲。
次に、二人が同じ曲を別々に踊り、
最後に、二人で踊る、という感じでした。
その切り替えの時に映像が入るのですが、それもかなり凝ったつくりのPVだったり(ですよね?)、
ラフマニノフの説明だったり、二人の対談だったり、と楽しませていただきましたv

最初のソロ。
新上さんのダンスは、思いがけない動きをしてくるので、ほんとに目が離せませんでした。
1曲目は"stretching"と題されていましたが、まさにストレッチな動きといわゆるダンスが、
つなぎ目を感じさせないスムーズさで、でももの凄いコントラストをつけて演じられていました。
対談の映像で、大貫くんが「想像を超えてくる」と言っていましたが、まさにその通り!
表情も変えず、息も乱さず(に見えた)、淡々と、でももの凄いエネルギーを秘めていて、
それが瞬間的にマックスになる感じ。

もう一つのソロは♪Cry me a river 。
これは、まず照明に惹かれました。
舞台の上方を斜めに横切る白い光。
その光の下の闇の中で踊る新上さんは、
1曲目と同じポテンシャルを持ちながら、1曲目とは対照的に情感に溢れていました。
上方の光に焦がれながら、自らの涙の河に沈んでいく男―――
もともと好きな曲なのですが、このダンスを見せていただいて、更に好きになりましたv
というか、新上さんの2曲は、どちらも光の"外側"にいるのですよね。
1曲目でも、小さな幾つものスポットライトの外側から、その空間を乱し揺らがせる感じだったし。
そういう演出なのだと思いますが、個人的にはとても好きな照明でした。

それは、大貫くんのときも同じで。
映像の後の暗闇に、舞台奥から真っ直ぐに客席中央に伸びる青い光。
その光の先で、真っ直ぐに舞台を見つめる大貫くんに気付いた瞬間の気持ちは、ちょっと言葉にできないかも。
その後、上からの白い光の円錐の中に立つ大貫くんを観た時も、わーっとなりました。
なんかね、アンパレの中の大好きなワンシーンが思い浮んだのです。
♪Again and Again という曲で、シンガーが作る輪の中央、上方から降り注ぐ光の中で踊る大貫くんが、
なんだか一気に脳裏に甦った感じで、ちょっと涙してしまいそうになりました。

1曲目のstoretchingは、新上さんとは間逆の雰囲気。
ヒップホップ・・・なのかな?
凄い明るい笑顔で踊っていて、なんだか見ていてこっちまで楽しくなっちゃいました♪

でもって、もう一つのソロの♪Life―――
大貫くんのダンスって、一つ一つの動きが綺麗だし、アクロバティックな動きも迫力だし、
そういう一連の動きをとても滑らかに柔らかく見せてくれるのも魅力的なのだけど、
私的には、更にその先の感情を見せてくれる雄弁さが、本当に大好きなのです。
彼の中にあるストーリーというか世界が、ふっとその場を支配するというか・・・
この♪Life はまさにそんな感じでした。
観ていて、大貫くんって、なんて"綺麗な存在"なんだろう、って思ってしまった・・・
動きはもちろんだけれど、静かなのに凛とした眼差しとか、柔らかく浮かぶ笑みとか、
それら全てが伝える感情とか・・・全てが、澄んだ光に包まれているように感じました。
大貫くんはこの曲に『祈り』という副題をつけていたけれど、
私は、観ていて、ふっと"祝福"という言葉が思い浮かびました。

自分が在る世界。
そこに生きる命。
喜び。
哀しみ。
苦悩。
痛み。
希求。
踊るということ。
―――生きるということ。

その全てに対する、"祝福"。
その"祝福"を生み出す、彼の中にある沢山の"愛情"。
観ていて、胸が引き絞られるように痛いのに、でも、何故かとてもとても幸せな気持ちになりました。


二人が別々に踊った同じ曲は、ラフマニノフの♪前奏曲嬰ハ短調 作品3−2 鐘 。
同じ曲なのに、こんなにも伝えてくるものが違うのかと、本当に驚きました。

大貫くんの♪鐘 は、とてもとても内向的に感じました。
自分にまとわりつく何かを払うかのような動き。
激しい動きの中に見える焦燥。
でも、それは内へ内へとどんどん降り積もっていって―――
彼の闘う相手は、最終的には自分自身なのだと思った。
だからかな。
後半、彼の口元に浮かんだ淡い笑みに、なんだかすっと背筋が冷たくなるような気がしました。
ソロの時と同じように柔らかく綺麗な笑みなのに、その笑みはもの凄く孤独に見えました。

一方で、新上さんの♪鐘 は、彼が向かい合う"誰か"が見えた。
二つのソファーを動かして座る、という演出ということもあるのかもですが、
彼の気持ちが、外へ、外へと向かっていたように思うのです。
こちらの気持ちまで苛むような彼の焦燥。
細かな、道化的な動きの中に潜む怯え。
そして、その根本にある強い"想い"。
彼の置かれた状況はどんなものなのか。
彼が向かい合う相手は、憎む相手なのか、愛する相手なのか。
最後に、彼は全てを手にしたのか、全てを捨てたのか―――
そんな風に感じさせる深いストーリー性があったように思います。


そして、後半の二人が一緒に踊るパート。
1曲目の♪Personality confrontation は、まさに二人のバトル!という感じでした。
二人が鋭い視線を合わせた瞬間に、空気が熱と緊迫感を持ったような気がしました。
前方に立つ新上さんの影に重なるように大貫くんが立つ、という最初の方にあった構図での、
新上さんの浮かべる笑みと、大貫くんの射抜くような視線が、もの凄く象徴的。
遠くから威嚇しあったかと思うと、次の瞬間には互いの喉笛に喰らいつくかのように挑みあい、
近づき、離れ、受け止め、かわし―――
きちんと決められた振り付けで踊っているのだとはわかっていても、
僅かな隙間や一瞬の動きを重ねていくようなその緊迫感に、
まるで、二匹の野生の獣をみているような気持ちになりました。
凄くかっこいいし、一瞬でも目を離したくなくて瞬きも忘れるぐらい見入っちゃったけど、
二日目の前方席の時は、正直、ちょっと怖かったです(特に新上さんが・・・/え)。
その鋭い視線はそのままに、だんだん二人の表情に笑みが浮かぶんですよね。
それが、なんだか凄い満足感というか、恍惚、と表現しても良いような表情なのに、
もの凄く物騒な印象があって・・・かなりどきどきしてしまいました。

2曲目にして最後の♪Embrace bolero は、ニュアンスを変えながら繰り返される旋律にのって、
二人が同じ振付を踊る、という形で始まりました。
同じ振り付けなのですが、これまた印象が全く違うの!
新上さんは、すっと切れるような鋭さと畳み掛けるようなスピード感があって、
大貫くんは、滑らかな輪郭とふっと空間を抱きしめるような一瞬がある感じ。
テンポとしてはきちんと合っているはずなのに、
二つの別々の映像が重なり合っているような不思議な感覚がありました。
でも、その"違う"二人のダンスが、その異なる色を保ったまま、徐々に一つになっていくようにも感じたのです。

静かな音楽に重なるような、二人の荒い息づかい。
相手の存在を全身で感じながら、同じ時を生きる二人。
渾身の力で互いを支える瞬間。

最後のほうで、新上さんが笑いながら壁に掛かった幾つもの額縁を外し、落としていきます。
それは、限りなく挑発的であると同時に、
一度創り上げた世界を壊して、その先へと進んでいく意思のようにも思えました。
新上さんを見つめる大貫くんの背中も、なんだか喜びに溢れているような気がして・・・
その空間が、なんだかとても満ち足りたもののように感じました。

"+(プラス)"ではなく、"×(クロス)"

それが、このステージのコンセプトだと言います。
その意図を、私は正確に受け止められてはいないとは思うけれど。

違う色の二人が、交じり合って新しい色を作るのではなく、
時に遠くから相手を見つめ、
時に相手に向ける強い感情に翻弄され、
時に触れるほどの近くでその熱を感じ、
時にその異なる想いと動きを重ねて、
互いに新しい"何か"を受け取って離れていく―――

私は、ダンスのことは全然わからなくて、
だから、どうしても主観的にしか受け止められないし、表現できません。
でも、この75分という時間の中で、お二人が見せてくれた世界はまさにそんな感じだったなあ、と思うのです。
その世界は、私にとってとてもとても魅力的な世界でしたv

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