瓔珞の音

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zoom RSS 楽園の果て

<<   作成日時 : 2012/11/15 22:31   >>

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今朝はずいぶん冷え込みましたね。
通勤路から見える浅間山が真っ白で、冬が来たなあ、としみじみ思ってしまいました。
北はちょっと雲が掛かっていたけれど、
南側は空気が澄んでいて、普段は青い影に見える遠い山並も、白くキラキラ輝いているのが見えました。
山の名前はわからないし、行ったことも、多分これから行くこともない場所なのだけれど、
だからこそ、あの遠くに見える山並は、私にとって実際には存在しない、
けれど憧れて止まない美しい場所なのかもしれません。

この物語に生きる彼らも、自分たちが生まれる前に失われた、見たこともない故郷に憧れ、
いつかその地に戻ることを願っていました。
けれどきっとそれは失われたからこそ彼らを駆り立てる、幻影の楽園。


TSミュージカル「客家」

2012.11.10 ソワレ 天王洲銀河劇場 1階G列30番台

企画・演出・振り付け・作詞・ミュージカル台本:謝珠栄
原作:斎藤栄作
作曲・音楽監督:玉麻尚一

出演:水夏希、吉野圭吾、坂元健児、伊礼彼方、未沙のえる、平澤智、今拓哉、畠中洋、照井裕隆、渡辺大輔、
    小林遼介、吉田朋弘、上口耕平、千田真司、松岡雅洋、脇田伸悟、王健軍、榎本成志、大竹尚、
    安田朋弘、藤巻立樹


物語は、現代の台湾から始まります。
祖父から受け継いだ会社の去就に悩む中国系アメリカ人ディビット(坂元健児)は、
仕事のために渡った台湾でであった一人の老婆(未沙のえる)から、
「客家」という一族に伝わる、龍の仮面にまつわる伝説を聞きます。
伝説の舞台は南宋時代末期。
モンゴル軍の席巻により、戦か和平かの選択を迫られた皇帝・理宗(坂元健児)。
その年の科挙を竜頭(トップ)で突破した文天祥(吉野圭吾)は、
国を守るためには今こそ戦の時、と進言します。
聡明で真っ直ぐな彼に、次代の国を担う力を見た皇帝は、彼を皇太子の教育係に任命します。
それを快く思わない、宰相カジドウ(今拓哉)。
そのとき、捕らえてあったモンゴルの使者である兵士が脱走したとの知らせが入ります。
直ちに捜索を命じつつ、モンゴルに秘密裏に接触を図ったカジドウは、
宮廷の情報を手に、モンゴル軍へ寝返ってしまいます。
一方脱走した兵士・バヤン(伊礼彼方)が辿り着いたのは、天祥の故郷でもある山間の村。
その村は、モンゴル軍によりかつて故郷である中原から追われた客家の一族が住む村でした。
家族の敵であるモンゴル軍の兵に武器を向けるシュアン(平澤智)。
しかし、天祥の妹である空祥(水夏希)は、シュアンを止め兵士を助けます。
「客家の戦いは守ること。客家に敵などいない。いるとすれば己に宿る卑しい心」
そう言い切る空祥。
土を耕し、風を感じ、武器を向けるのではなく守ることで生きて行こうとする彼女。
けれど、天祥とシュアン、そしてミン(畠中洋)は、迫り来るモンゴルの脅威に対し、国と民を守るため、
龍の仮面をつけた謎の勢力として、国境付近のモンゴル軍にゲリラ的な戦いを仕掛けていきます。
そのことを知った空祥が、彼らを止めようとしたそのとき、
バヤンを迎えに来たモンゴル軍が彼らを襲います。
バヤンこそが、モンゴル軍の首領フビライ・ハンだったのです。
混乱の中、モンゴル軍の放った矢から空祥を守るために飛び出した天祥は―――


というのが、1幕。
2幕は南宋の滅亡までを描いていました。

中国舞踊の色合いのあるダンスの迫力や華麗さ、衣裳の綺麗さ、素敵なセットに目を奪われ、
登場人物の行動や物語の内容にツッコミを入れていたら(え)、
あっという間に終幕になってしまいました(笑)。
TSらしい勢いのあるミュージカルでとても楽しめましたが、
うーん、ツッコミどころの多さは、私がこれまで観たTSの舞台では一番かも(笑)。
まあ、これは多分にこの時代の知識が乏しいことが原因なのだと思うのですが・・・
なんというか、どの登場人物も(一部を除いて)とっても前向きで真面目で理想が高くていい人なんだけど、
悩んで悩んで悩んで、結局辿り着いた答えがそれぞれ凄く利己的に感じちゃったんですね。
もの凄くいい言葉も沢山あったし、それぞれが目指す先もとてもクリアだったし、
どの役もほんとに愛しくなるくらい素敵だったのですが、
いかんせん、彼らの目指す未来のビジョンが私には見えてきませんでした。

「眠れぬ雪獅子」「タン・ビエットの唄」のように、
私の深いところを抉るように切り込んでくるようなものはあまりなくて、ちょっと残念。
でも、その分頭の中に?が浮かびつつも、素直に青春活劇みたいな感じで楽しめたように思います。


文空祥役の水さん。
以前別の舞台を観にいったときに、キャストの方が客席にいた水さんをご紹介されていて、
なんて綺麗でスタイルのいい人なんだ!と思ったのですが、
今回もほんとに綺麗でかっこよくて、そして可愛らしかったです。
力強い歌声も、澄んだ高音も素敵だったし、なによりダンスも含めたその動きの鮮やかさに目を奪われました。
二幕中盤の戦いのシーンは、ちょっと京劇風な振り付けで面白かったし、
新体操みたいに長い布を両手に持って踊る姿は、ほんとに風を感じるような優雅さと力強さがありました。
空祥は、戦いに向かう兄や幼馴染(だよね?)を諌めようとして、
けれど、自分を庇って怪我をした兄の代わりに龍の仮面を被って戦ううちに、
自分が守るべきものを見つけ、そしてその小さなかけがえのない命を守るために、
最終的に自ら戦いに身を投じていくのですが・・・
「客家の戦いは守ること」という、その"守る"の意味合いが、
登場人物それぞれで異なっていて、更には一人の人物の中でも変遷していくのですよね。
もしかしたら、それが、私的にこの物語で一番納得が行かない点だったのかもしれません。

文天祥役は吉野さん。
「AKURO」のアテルイに匹敵するぐらいかっこよかったですv
聡明で誠実で、でも内に熱い想いを持っていて、だからこそ惑い悩み続ける男、という印象。
天祥は、空祥を庇ったとき、モンゴル軍に捕らえられたのかな?
ぼろぼろの姿で天祥が歌う♪正気の歌 は、彼の心情の移り変わりを全て理解することはできなかったけれど、
とても綺麗なメロディで、なんだか染み渡るような感じでした。

というか、この兄妹、すばらしくそっくり!
2幕冒頭は、ダンスで1幕の最後と、そして妹が兄の身代わりをすることを示唆していたのですが、
(その演出が個人的にはとっても好きでした!)
2幕中盤、空祥が仮面を取るまで、天祥だとふつーに騙されてました(笑)。
身長が近いとはいえ男女でシルエットはもちろん違うのですが、
佇まいというかまとう雰囲気がとても似ていたのだと思います。

とはいえ、仮面をつけた空祥に助けられた理宗が、
「天祥を宰相に任命する」というのは、さすがにわかってて言ったのかなあ、と思いましたが。
坂元さんの理宗は、とても思慮深くて愛情深くて、
志半ばでというか、国の大変なときに命を落としてしまう悲哀が感じられました。
・・・その分、ディビットのノリにはどう対応していいのか悩みましたが(笑)。

でもって、皇帝に殉じてあっという間に自害しちゃった照井くんの塑文明にもびっくり!
いやこの危機的状況且つ遷都云々っていうなら、そういうことを全部クリアしてから殉じようよ!って思っちゃった。
まあ、そういうツッコミどころは結構沢山あって、
爽、あの状況で空祥を気絶させちゃったら、眼の見えない天祥と二人をミンが連れてがなきゃなんだよ?!とか、
ミン、戻ってくるの早すぎ、というかそんなに爽が大事なの?とか、
乳児を抱っこして嵐の海に飛び込むのはやめようよ!とか、
フビライ・ハン、結局君は何をしたかったんだ??とか、
南宋の宮廷は乳児の世話を兵士がするのか?(女官は姿もなかったですよね)とか・・・・

そんな中で、もの凄くクリアでしっかりしたものを見せてくれたのが、
カジドウ役の今さんと、空祥たちの母・曽徳慈役の未沙さんでした。
カジドウは、とにかくわかりやすい悪役で、南宋を裏切る理由も、
モンゴルでのし上がろうとする意図も、凄いクリア。
で、それを自信満々の押しの強さで見せてくれるので、見ていてなんだか爽快でした(笑)。
お母さんは、全てをわかっていて、その上で若者たちを見守っていて、
で、最終的にきちんと彼らをサポートするだけの強さがありました。
・・・ちょっと笑い担当な感じもあったのですが、それも嫌味でなくて良かったなv


うーん、まだ自分の中で落ち着かない演目なので、感想もあっちこっち飛んでるなあ・・・
多分、私的にはこの舞台、とても印象が散漫というか、フォーカスが定まらないのだと思います。
何度か観れば、もしかしたらちょっとはすっきり収まったのかもしれませんが・・・

かつてモンゴル軍に奪われた故郷に再び立つことを願った爽たち。
民を守るために、常に新天地を求める空祥たち。
前者はほとんどが命を落とし、後者は海を渡り憧れの地フォルモサ(台湾)に根を下ろした。
前者にとっては中原が失われた楽園であり、
後者にとってはフォルモサが果てに辿り着いた楽園だった。

この辺のことは、考えていてとても面白かったし、もっと突き詰めたい気もするのですが、
自分の中でまとまらない上に、これ以上書くと泥沼になりそうなので、強制終了!
いつか再演されたときに観たら、彼らの"楽園"の意味を知ることができるのかな。
そのときを楽しみにしていようと思いますv

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