瓔珞の音

アクセスカウンタ

zoom RSS 歪んだ影

<<   作成日時 : 2013/06/18 21:52   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

このブログを始めたのが、7年前、2006年の1月。
そして、最初の観劇記録が、野田地図の「贋作・罪と罰」でした。
というか、この感想を書きたいがために、ブログを始めたといっても過言ではないかもしれない・・・
衝動的に2回目のチケットをとってしまったのも、あの頃の私にはとっても珍しいことで。
もうずいぶん記憶は曖昧なのに、今でも松さんの英の台詞が、その響きのまま私の中に残っています。

「待つの、私が」

寄る辺ない子どものようなその響き。
そして、その響きをそのままに受け止めた古田さんの才谷。
今でも、このお芝居の記憶は、私にとって特別なものだったりします。

そんな「贋作・罪と罰」をミュージカル化した舞台、「天翔ける風に」を観てきました。



ミュージカル「天翔ける風に」

2013.6.16 マチネ シアタークリエ 15列10番台

原作:ドストエフスキー
脚色:野田秀樹(「贋作・罪と罰」より)
演出・振付:謝珠栄
音楽:玉麻尚一
出演:朝海ひかる、石井一孝、彩乃かなみ、伊東弘美、岸祐二、吉野圭吾、浜畑賢吉、青山航士、笠嶋俊秀、
    加藤貴彦、千田真司、俵和也、照井裕隆、平野亙、福永吉洋、渡辺大輔


ドストエフスキーの「罪と罰」を、時代を幕末の日本に置き換えて翻案した野田さんの「贋作・罪と罰」。
実は、ロシア文学はどうにも苦手で(名前で挫折するんです・・・)「罪と罰」を読んだこともない私(汗)。
なので、観ながら脳裏に浮かんだのは、やっぱり「贋作・罪と罰」で・・・
ここまで違う物語になるのか!とびっくりしてしまいました。
最初は、あれ?こんな話だったっけ?と自分の中の記憶との齟齬に戸惑いもしましたが、
光の当たっている面が全然違うんだ、ということに思い至ったとき、
別物として楽しもう、と思えたような気がします。

とはいえ、やっぱりちょっと素直には見れなかったので、
今回はさらっと役者さんの感想メインで。

舞台セットは、大きく上下に分けられていて、
それぞれに赤い流水紋が描かれた襖のようなものが、回転扉みたいになって役者さんが出入りする感じ。
斜めになったときに僅かに見えるその奥の暗闇とか、
その暗闇からそっとそとを見つめる紫の人影(笑)とか、
凄くシンプルなのに、動きがあって面白いなあ、と思いました。

冒頭、その舞台の上の段をゆっくりと歩いていく朝海さんの英の、
真っ直ぐなのにどこか歪んで見えるシルエットが、私的にはこの舞台の象徴のように感じました。
朝海さんの英は、とても強くて綺麗。
でも、その綺麗さが痛々しく感じてしまうほど、どうしようもないくらい頑なで矮小。
そして、その矮小さや弱さを、英が自分のものとして受け入れる、という物語なのかなあ、と思いました。


石井さんの才谷は、なんとも陽性でおおらかな印象。
いろいろ企んで動き回っているんですが、それが全然陰謀に見えないのは何故なんだろう・・・(笑)
歌声もとても明るくて、地に足が着いてる力強さがあって、
英を支えるのはこの男なんだなあ、となんだか納得してしまいました。


彩乃さんの智は、めちゃくちゃ可愛らしくて、でもって歌声もとっても素敵でしたv
自分の在り方を、英以上にきちんと考えている女性に見えました。
溜水に出会ったことで、その在り方は違うのだ、と気付いた瞬間も鮮やかで・・・
私的には、英よりもしなやかな強さを感じました。


清とおみつ役は伊東さん。
緩急自在な芸達者なお芝居をとても楽しませていただきました。
聞太左衛門とのらぶらぶっぷりとか、英への過剰な期待がわりとやんわりとしか描かれていなかったので、
その分英の病理がわかりにくくなっちゃったかな、とも思いました。
英との別れのシーン、あの時清は正気だったのかなあ・・・?


岸さんの聞太左衛門は・・・流れとしてちょっと理解しきれない部分はあったのですが、
あの「生きたい」という歌は、凄い良かったなあ、と思いました。
志士たちに混じって赤い旗を操るシーンは、思わず手に汗握ってしまいましたよ(笑)。
いやだって、周りがめちゃくちゃダンス畑な人たちっぽかったので。
投げ上げた旗、なんとかキャッチできてよかったv(笑)


吉野さんの溜水は、わかりやすいようなわかりにくいような・・・(笑)
登場シーンにはちょっとびっくりしたし、
直立不動で右手の鯛だけ元気に動いているのを観た時には、ちょっと呆然としてしまいましたが(笑)、
あの紫と金の衣裳とあの髪型がお似合いになるところが凄いなあ、と思いました。
ロックなナンバーもかっこよかったですしねーv
智への気持ちは本当だったんだろうなあ。
でも、彼女に救われたいけれど、彼女を救おうとは思わない男なあたり、始末に終えないな、とも思ったり。


浜畑さんの都刑事は、とてもソフトな雰囲気。
でも目は笑ってないぞ、的な?(笑)
もの凄くとらえどころのない感じが、逆にちょっと怖かったかな。
そういう雰囲気なので、英も追い詰められるよりも自滅する感じだったかなあ。



アンサンブルのみなさんは、アンサンブルと言ってはいけないくらい大活躍!
というか、TSの場合はアンサンブルではないですよね、既に。
それぞれ3役ぐらいやってたようですが、見分けが付かないのがほんとに申し訳ないです・・・
瓦版屋のお二人と照井さんと笠島さん(かな?)の演じる志士が、狂言回し的なのかしら?
ええじゃないかのシーンも、志士たちの赤い旗のシーンも、大迫力!
そういえば、ええじゃないかの歌の時、吉野さんの声も混じってたような気がするのですが、
もしや溜水も一緒に踊ってたんでしょうか・・・?
あ、英が自分の中の壊れていく音に翻弄されるときの、蛍光塗料を塗った棒を使ったダンスもかっこよかったな。
ちょっと某銀英伝舞台を思い出しました(笑)。

学生や志士の描き方は・・・うーん、前日に「レ・ミゼラブル」を観たこともあって、
なんというか、舞台の上の彼らを腕組みして見据えちゃいました。
言葉で言うばかりで、自ら実行しようとしないことと、
志を言い訳に(と言ってしまったら駄目かな)、踏み越えてしまう自分を許してしまうことと、
どちらが罪深いのかなあ、となんだかしみじみ考えてみたり。


うーん、こうやって書いてみると、やっぱり「贋作・罪と罰」とは、
私自身が受け取ったものも大きく違うなあ、と思います。
これを全くの初見で観たかった、という気持ちもありますが、
それよりも今は「贋作・罪と罰」をまた観てみたいかな。
たぶん、7年前とは違う見方ができるような気がします。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
歪んだ影 瓔珞の音/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる