瓔珞の音

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zoom RSS 怒涛の長月・・・

<<   作成日時 : 2013/09/11 21:40   >>

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いつになく追い詰められた日々を送っております恭穂です(笑)。
仕事自体はそんなにめちゃくちゃ数が多いわけではないのですが、
1個1個の仕事がけっこう思いというか、苦手なものというか・・・でもやらなくちゃ、という状況で。
私はこれをやりたい!という純粋な気持ちから始まったはずのことが、
なんだかいろんな人の利害とかが絡み合って、なんだか訳がわからなくなっています。
まあ、夏休み前は大抵こんな感じだから仕方ないよねー、と自分を慰めてみたり(笑)。
さすがにちょっとPCに向かう気持ち的な余裕もないのですが、
夏休みに入ると怒涛の観劇その他が待ってるし(え)、
今書いておかないと、たぶん書かないまま終わっちゃいそうなので、
とりあえず、覚書程度に観劇記録を書いておこうと思います。

というわけで、制限時間30分!


「ジャンヌ」

2013.9.6 世田谷パブリックシアター 2階A列20番台

作:バーナード・ショー
演出:鵜山仁
出演:笹本玲奈、今井朋彦、伊礼彼方、大沢健、浅野雅博、馬場徹、石母田史朗、金子由之、今井俊一、酒向芳、
    石田圭祐、新井康弘、小林勝也、中嶋しゅう、村井國男


これまで、私は舞台の上の3人のジャンヌ・ダルクに出会いました。

その身体を流れる血の熱さと眩いまでの聖性を纏った松たか子さんのジャンヌ

生々しい感情を持つ"魔女"として描かれた大竹しのぶさんのジャンヌ

凛とした強さと透き通るような儚さを持ち合わせた堀北真希ちゃんのジャンヌ

全く違う色合いの、けれどそれぞれに魅力的なジャンヌ・ダルク。
そして今回。
私がであった4人目の笹本玲奈ちゃんのジャンヌは、少女の純粋さと傲慢さを併せ持った、
ありのままの普通の少女に見えました。


物語は、ジャンヌが領主に兵士として王の下に旅立つ許しを請うときから、処刑されるまでの物語と、
そして、その後の長いエピローグで構成されていました。
2階席から見下ろす形で観たせいか、そこに生きる人たちの生々しい感情というよりは、
古い物語の本を読んでいるような感覚でした。
鵜山さんの演出は、いつも光の差し込み方と、その光に照らされる場所の質感が印象的なのですが、今回もそう。
特に、ロレーヌ河のほとりでデュノアとジャンヌが出逢うシーン。
ジャンヌが現れたことで待ちに待った西風が吹いたその瞬間、
砦の上にたてられた旗が翻る、その大きな影。
全体的にモノトーンな色彩で綴られた舞台の中で、
柔らかな光に浮かぶその影は、想像を超える大きな力と、そしてその先に待つ大きな不安を暗示するようで、
突然湧き上がった感情に慄くジャンヌの姿と相まって、
なんだかとても落ち着かない気持ちになりました。


笹本玲奈ちゃんのジャンヌは、本当に普通の女の子。
やるべきことがあるならばやらなくちゃ。
そんな気持ちを持ち、純粋と無知ゆえの強引さで突き進み、
ふと自分のいる場所の意味を感じて戸惑う未熟さを持ち、
けれど、少女ゆえの無意識の傲慢さも持っている・・・そんな女の子。
なんというか、常にありのまま、等身大のジャンヌだったように思うのです。
なので、チラシの写真のような"かっこいい戦う乙女"というイメージとはちょっと違う雰囲気だったかな。
でも、こういう等身大のジャンヌもありだなあ、となんだかすんなり思えてしまいました。

で、そんな彼女を取り巻く大人の男たちが、
彼女の行動を深読みし、彼女の存在を利用しようとし、彼女を必要以上に崇め、
それぞれの思惑の中でしか、彼女と向きあおうとしなかった。
そんな風に感じました。

最後のエピローグは、ジャンヌの処刑から25年後のシャルル七世の寝室。
雷の鳴り響く夜、シャルルの前に死したはずのジャンヌが現れます。
そして、彼女の存在に導かれるように、彼女に関わった人たちが・・・
既に死んでしまった人も、遠く離れた城で眠っているはずの人も、
どこかの荒野を彷徨っているはずの人も、
そして、数百年の時を越えて彼女を聖女に列した人までもが集います。
全然予備知識なしでの観劇だったので、正直何がはじまったのかわからなくて、
ちょっと呆然としてしまいました(笑)。
これって、もしかしてホラーに分類されるの?って一瞬思ってしまったり(笑)。
で、それぞれの思惑でジャンヌに対峙した人たちが、そのときの気持ちを赤裸々に語り、
ジャンヌの"処刑"に対する自分のスタンスを正当化しようとするんですよねー。
その様は、観ていてなんだか凄く滑稽だなあ、と思ってしまいました。
ジャンヌもなんだかどこか超越したような、そんな彼らを面白がるような表情をしてて。
その表情が皮肉さもありつつ、でもありのままな彼女のありのままな表情にも見えて、
なんだか思わず微笑んでしまいました。

幻の夜に集った人々は、けれど最後にはやはり彼女の傍に寄り添うことなく去っていきます。
無機質な灰色の舞台の中央で、一人さばさばと笑うジャンヌ。
そこにいるのは、光り輝くような聖性を纏った聖女でも、
決してくじけることのない強い意志を持った戦士でもなく、
素直で真っ直ぐな自身の生き方と同じように、
周りの人たちの生き方を穿つことなく受け止める、
そんな素直な・・・素直すぎる女の子だったように思います。


で、そんな男性陣。
シャルル七世は浅井さん。
以前観た二人芝居「モジョ ミキボー」がとても好きで、いつかまた観てみたい役者さんだったので、
プログラムに名前を見つけたときは、一人で喜んじゃいましたv
そして、その期待を超えるシャルルの存在感にまたまた一人で喜んでいたり(笑)。
基本シリアスな舞台の上で、ちょっと異質な笑いを取っておりました。

デュノア役は伊礼くん。
うーん、ビジュアルの濃さに存在感が伴ってなかったかなあ。
まあ、これは個人的な意見ですが。
彼の背景とか、あんまり詳しくは述べられていないので、私の理解が及ばなかったのかも。
というか、彼がジャンヌとの関係をどんな風に捉えていたのを、もっとちゃんと受け取れたらよかったな。

そうそう、上記の河のほとりのシーン、デュノアの小姓の声と動き、いいなあ、と思っていたら、
蜷川さんの「ヘンリー六世」でちょっと心惹かれていた石母田さんでしたv
好みってそうそう変わらないですね(笑)。

ジル・ド・レエ役は馬場くん。
えーと、ビジュアル系?(え)
斜に構えてるけどそれは虚勢で結構若いんだよー、という感じで微笑ましかったです。
ジャンヌへの向き合い方も、凄くストレートで面白かったかな。

逆に、最初から最後までジャンヌへの向き合い方がわからなかったのが、村井さん演じるコーション司教。
特に審問会のシーンは、この人はジャンヌをどうしたいのかなあ、って。
「ひばり」で益岡さんが演じたコーションとは違って、ものすごく揺らぎがあるなあ、と思いました。
だからこそ、最後のシーンのあり方もなんとなく納得しちゃったんですけどね。

審問会でジャンヌに対して真っ向から向き合っているように思ったのが、
中嶋さん演じる審問官ジョン・ルメートル。
彼の中には、ジャンヌをこうしたい、という強い意志と、
そんな自分の意思をジャンヌが越えてくるのであれば、それを尊重しよう、というような、
凄く深く彼女を理解しようとする気持ちがあったように思います。
その向き合い方が、私的には凄く好みだったのでした。

修道士マルタン(ラドヴニュー)は、ジャンヌを救おうという気持ちが最初からわかりやすくて・・・
でも彼の思う"救い"が、ジャンヌにとっては死よりも辛いものであることが、なんだか切なかったです。
ジャンヌの選択は、マルタンが信じてきたものをひっくり返してしまったんだろうな。
審問会では真っ白だった彼の衣裳が、エピローグでぼろぼろになっていて・・・
それが、彼の内面をも表しているようで、なんだか哀しくなっちゃいました。
というか、このエピローグでは彼はジャンヌに会えてなかったような・・・???

そうそう、この舞台の聖職者の方々の衣裳、真っ白なのは同じですが、
デザインやレースの模様(かな?)がそれぞれ違っていて素敵でしたv
冒頭のジャンヌの赤いドレスも、玲奈ちゃんのすらっとした姿に良く似合ってたなあ。

ウォリック伯は今井さん。
いやー、この方こそ何を考えてるのか良くわからない感じで、
でもあのいい声と曖昧な微笑で全て流されてしまうような説得力がありました(笑)。
「ヘンリー六世」を見たりして、イギリスとフランスの関係はある程度理解しているつもりなのだけど、
このウォリック伯は、ほんとにあくまでイギリスのために動いていて、そのぶれなさがかっこよかったです。


というか、この舞台を観ながら、「ひばり」の記憶がどんどん甦ってきて、ちょっとびっくりしちゃいました。
ずいぶん前に観た舞台なのにねー。
山崎さんのシャルルはジャンヌとの追いかけっこが微笑ましかったな、とか、
壌さんの審問官は慈愛の欠片もなくってめちゃくちゃ怖かったなあ、とか、
横田さんのラドヴニュ師はとにかく優しくて、だからこその迷いが辛かったなあ、とか、
橋本さんのウォリック伯は薔薇を持ってたなあ、とか(そこか)・・・
うん、それだけ印象的な舞台だったのだと思います。
いつかまた再演されるといいなあ。

って、話がそれましたね。
そんなこんなで、なんとなく想像していたのとは全然違う方向性の物語でしたが楽しめました。
ちょっと混乱している部分や見切れていない部分もあるのが残念。
また機会があれば、この"ジャンヌ"と、彼女を取り囲む人たちのあり方を見てみたいなあ、と思います。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
恭穂さま
台詞の海に溺れてしまいそうでしたが、聴き応えのある作品でしたね。
ジャンヌが純粋すぎる故に無意識のうちに周囲から浮いてしまったり、反感を買ってしまうというあたり、今も変わらず現実の世界にあることで、そういう意味でこの物語は一人の聖女ヒロインを扱ってはいますが普遍性のある物語だと感じました。

中嶋しゅうさんの審問官、よかったですよね。
そうそう、私は村井さんコーションと今井さんウォリックの印象が強すぎて、自分の感想で中嶋しゅうさんについて触れていないことに、恭穂さんのご感想を読んで気づきました(笑)。
スキップ
2013/10/03 09:22
スキップさん、こんばんは!

台詞の海に溺れる・・・まさにそんな感じでしたねー。
どの役者さんの台詞回しもとても聴き応えがあったので、
余計にそう感じてしまったかもしれません。

玲奈ちゃんのジャンヌの等身大さも良かったですし、
彼女を取り囲むおじさま方(笑)も素晴らしかったですねv
恭穂
2013/10/03 21:26

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