観劇の興奮のまま記録を毎日書き綴ろうと思っていたら、急に仕事が忙しくなってしまいました(涙)。 まあ、そんなもんなんですけどね、いつも(笑)。 がーっと仕事をして、ちょっと息切れしてぼんやりしてる時とかに、 頭の中を回るのは、やっぱりこの舞台の音楽でした。 CD予約しなかったのは悔やまれるなー。 まあ、名古屋に観に行ったときに買えばいいか(え)。 そんなわけで、ちょっと熟成が進みすぎて更に妄想大爆発な記録になりそうですが、 今日もいつ職場から電話がかかってくるかわからないので、 書けるうちに記録しておきますか。 「レディ・ベス」 2014.5.17 ソワレ 帝国劇場 2階F列20番台 出演:花總まり、加藤和樹、未来優希、古川雄大、和音美桜、吉野圭吾、石川禅、涼風真世、 石丸幹二、大谷美智浩、中山昇、平間壮一、加藤潤一、寺元健一郎、池町映菜、 石田佳名子、石原絵里、樺島麻美、小松春佳、島田彩、真記子、安岡千夏、柳本奈都子、 朝隈濯朗、伊藤潤一郎、榎本成志、奥山寛、川口大地、黒沼亮、高橋卓爾、竹内耕、 田中秀哉、橋本好弘、松下湧貴、山名孝幸、横山達夫、笠原竜司 マチネが終演してから、わずか1時間半でソワレに突入です。 ・・・役者さんって、ほんとに大変! 観る側としては、記憶がまだ新しいうちなので、 同じシーンを別の見方で楽しむことができたり、Wキャストの醍醐味を感じられたり、 かなり美味しいんですけどね(笑)。 ソワレのベスは花總さん。 たおやかで、でも凛とした立ち姿がとても美しくて、まさに王女さま、という感じ。 ベスとしての在り方も、最初から女王としての器がある程度まで満たされていて(日本語の使い方違う?)、 でも、恋を知ったり、外の世界を目にしたり、過酷な状況の中で自分の弱さを知ることで、 傷つき、揺らぎ、迷いながら、それでも星が定めた運命を受け入れていく――― そういう物語だと感じました。 ♪我が父は王 も、平野ベスのように「だから特別」ではなくて、 「だから私はこうあらねばならない」という戒めや決意が感じられたように思います。 彼女にとって、"王族である自分"、"王位継承者である"自分、というのは、 本当に自然で揺るぎのない基盤なんだろうなあ。 アスカム先生との♪王国が現れる でも、 女王になる自分はまだリアルではなかったとしても、 アスカム先生が語る"王国"の姿はちゃんと見えていたように思います。 そういう、比較的立ち位置のしっかりしたベスなので、 ロビンとの関係性も、彼の勢いに一気に巻き込まれるというよりは、 会話を交わしていくうちに、少しずつ興味を持ち、少しずつ歩み寄り、少しずつ心惹かれる、という感じ。 ♪俺は流れ者 の時とか、ちゃんと警戒していて、 (ロビンに頬ずりされる前にちゃんと手を引いてるの。平野ベスは頬ずりされてからびっくり!という流れ) でも、2度目の邂逅の時は、一生懸命なロビンに徐々に笑顔になっていって、 彼との会話が楽しくなって、どんどん彼に惹かれていくのが、とても自然な流れだったように思います。 また、加藤ロビンがものすごく素直でまっすぐで一生懸命なんですよねー。 これまで陰陽師の次男坊とかティボルトとか影のある役しか観ていなかったので、 このお日様みたいに明るいロビンにはちょっとびっくりしちゃいました。 ロビンはもとはいい家のお坊ちゃん、という裏設定(?)があるそうなのですが、 加藤ロビンの場合、そうすることが自然で当然のことだから旅にでた、という感じ。 で、家族も心配しつつ、「あいつはしょうがないなあ」と苦笑しながら見送って、 時々ふらっと帰ってきては、窓の下で歌を歌うロビンを笑顔で出迎えちゃったりね(笑)。 そんな陽性なロビンなので、ベスに対しても、 彼女が振り向いてくれること、笑ってくれるのが本当に嬉しいし、 自分のことも知ってほしいし、自分も彼女のことを知りたいし、 だからベスが「あなたのこともっと知りたい」と言ってくれた時に全開の笑顔になっちゃったりして・・・ パブでのシーンも、ベスに男らしさを教えながら(花總ベスのあのシーンの頑張りは素晴らしい!)、 上手に(?)できてにこにこするベスが可愛くて仕方なくて、 で、彼女が捕まりそうになったときは、本当に真剣に心配して連れ出して。 (山崎ロビンは結構面白がってたよね、最後まで/笑) なんというか、気落ちがまっすぐベスの方に向いているのが、とっても微笑ましかった。 そんな風なロビンだから、花總ベスが心惹かれるのも、なんだかすごく納得がいきました。 でも、同時に、ベスには最初から終わりが見えていたようにも思うのです。 ♪何故好きなのか? の最後、ロビンの目はまっすぐにベスを見つめていたけれど、 ベスの目はどこか違うところを見ているようにも思えた。 それでも、引き寄せられるように口づけを交わす二人の姿がとても切なくて、 なんだかちょっと泣けてきてしまいました。 ウッドストックでの逢瀬もそう。 この時点で、彼女は自分は殺されると思っていたわけですよね。 たぶん、こういう状況ではなくロビンが会いに来ていたなら、きっと彼女はロビンの手を取りはしなかった。 でも、王女としての矜持だけではどうにもならない理不尽な死を前にして、 ロビンを危険にさらすかもしれないとわかっていても、「来て」と言わずにはいられなかった、 この夜だけでも彼と共に在ることを望まずにはいられなかった、ベス――― 二人で共に旅立つ未来を想像するベスの姿は、なんだか透き通るように綺麗でした。 たぶん、彼女にはその未来が夢だとわかっていた。 夢だとわかっていて、でもわずかな時間でもその夢に―――ロビンという存在に縋らずにはいられなかった。 常に強く気高い王女であることを自分に課していたベスが、 たった一度だけ自分の弱さを受け入れた瞬間なのかな・・・? そして、ロビンも直感的に、彼女の刹那的な選択を理解していたんじゃないかな、と思う。 ベスが解放されたあと、ロビンがハットフィールドを訪ねたとき、 部屋に入ってきたロビンは、ベスに声をかけるのをちょっとだけ躊躇いました。 たぶん、この時点でもうロビンは彼女の選択を知っていたんだと思う。 ロビンにとって、民衆がその名を呼ぶ"レイディ・ベス"が、 自分の手で抱きしめることのできる"ベス"になった瞬間、 そして、その"ベス"が、自分とは違う世界を見つめる"エリザベス女王"になった瞬間があって。 それはきっと、このハットフィールドを訪れる前だったと思う。 それがわかっていても、「迎えに来たよ」「準備はできた?」と語り掛けたロビンの声が本当に優しくて、 そして、本を抱きしめながらゆっくりと振り向くベスの表情が、既に失ったものを見る悲哀に満ちていて。 でも、そんな二人のつくる張りつめた空気はとても澄んでいて―――やっぱり泣けてしまいました。 女王となったベスがロビンにイモーテルを渡すとき、 泣くのをこらえるようにかたくなに彼に目を向けなかった平野ベスとは違って、 花總ベスはロビンを見つめていたように見えました。 ロビンを見つめて、そして、イモーテルを―――永遠の花を手渡した。 私には、それは彼女が自分の一部を彼に託しているように見えました。 「私は幸せになるためではなく、女王になるために生まれました」とベスは言います。 でも、どんなに儚く刹那の夢であったとしても、 ロビンを愛し、彼を抱きしめ、彼と共に自由を夢見たベスも確かに存在した。 その"自分"を、彼女は切り離してロビンに渡したんじゃないかなあ、って。 そして、ロビンもきっとそれをわかっていて受け取った。 そんな風に感じたのは、石丸さんのアスカム先生の在り方にもよったかな、と思います。 石丸さんのアスカム先生は、本当に学者で先生、という印象。 ベスに対しての厳しさも、彼女の素質を見出し、磨き、導くためのもの。 山口さんのアスカム先生のどこか超越しちゃった感じとは違って、リアルな存在感がありました。 ベスに対しても、人間対人間として向き合っている感じ。 だから、女王であるベスを導くために、女であるベスを否定したことを、 痛ましく思う気持ちもあったように感じられました。 ロビンの存在が、彼女の女王としての器を満たす最後の1滴であったこと。 一つの夢を叶え、そのために切り離された、もう一つの彼女の夢。 ベスに対し異なる夢を与えた二人の男が、 それぞれの立場でそれぞれの"ベス"を愛し、それぞれの"ベス"を得て、そして失ったのかなとも思った。 戴冠式の時、ロビンはイモーテルを彼女に掲げ、それを見たベスは差しのべた手をその胸に当てます。 そして、ロビンも同じ仕草をする。 そのことが、ベスの一部はこれからもずっとロビンと共に在るのだと、 そう誓い合っているように私には見えました。 だから、最後のシーン、ベスとロビンとアスカム先生で作る三角形は本当に美しかった。 アスカム先生は女王ベスの未来を、 ロビンはイモーテルの花――自分に託されたベスと共にある未来を、 そして、ベスはもっとずっと遠く大きな空と未来を見ていた。 そんな風に、思いました。 アスカム先生にもう少し話を戻しまして。 そんな風にリアルな存在感のアスカム先生だったので、 ♪愛のため全て のシーンも、マチネとは全然違った印象を持ちました。 なんというか、これはすべてベスの中の葛藤の具現化なのかなあって。 アンもアスカム先生も、ベスの中のもう一人のベス自身なんじゃないかな、と思いました。 いやだって、石丸さんのアスカム先生は別次元でアンと対決したりはしそうにないし(笑)。 まあ、そう考えると、アンの言動の一貫性のなさも納得がいくのかな、と思うし、 首切り役人の存在も、彼女の中に常にある、王女であることに根ざす恐怖とも思える。 でもって、このシーンは本当に全てにおいてベスの葛藤なんだろうな。 メアリーもワイヤットもキャットも、そしてロビンも。 このシーン、辛い表情をしていることの多いベスなのですが、 ロビンに向けられるベスの表情が本当に幸せそうで――― 彼女にとってロビンは本当にそういう存在なんだよね・・・(涙) でも、たぶんこの時点で彼女の選択は決まっていたんだろうなあ。 最後に、誰もいなくなった舞台の上にぽつんとある王座と、 その後ろから覗きこむ二人の道化の姿から、 女王であることを選んだ先にある孤独とか厳しさとかが感じられて、 その王座を見つめるベスの、ロビンに向かう笑顔とは全く異なる張りつめた後姿は、 やっぱり凛として綺麗だったけど、でも、同時にとても孤独に見えました。 未来さんのメアリーも、まさに女王さま!という感じでした。 彼女自身ちゃんと女王の器があって、王の娘として、王女として、女王として、強い信念を持っている。 同時に同じくらい強い怒りもあるのかなあ、って。 吉沢メアリーのような脆さはあまり感じなかったのだけれど、 そういう信念や怒りの影に・・・いや、根っこにある孤独が、 ♪愛を知らずに でぱっと明らかになったように感じました。 だから、ベスもメアリーの孤独を初めて知った驚きとか、共感とか、 そういう鮮やかで、でも静かな感情の流れが見えたように思う。 うん、たぶん、花總ベスは、自分が父王には愛されていなかったことをちゃんと知っていたんだよね。 キャットがどんなに隠しても、王とアンの関係の変化も、 その結果としての自分の存在の不確かさも、自分の孤独の意味も、ベスはちゃんと知っていた。 だからこそ、メアリーの孤独も理解できたんじゃないかな、と思う。 そういう対等の関係としてのまさに共感であり、理解の瞬間だったように感じました。 でも、同時にこの二人の関係って、やっぱり女王同士でもあるんだよね。 敵として向かい合い、孤独を共有する姉妹として寄り添い、最後に施政者として語り合う―――そんな感じ。 古川フェリペは、マチネでの衝撃からちょっと立ち直ってたので(笑)、 いろいろ冷静に観察(え)することができたかな。 いやー、なんというか、山崎ロビンを上回る屈託のある王子様ですよね。 最初に観たときは、なにこの綺麗で訳の分からない危険そうな生き物は?!という感じでしたが、 いろいろ陰謀策謀を巡らせて本心を煙に巻いて、 いつも余裕な笑顔に見えるのだけど、ふとした瞬間にもれでちゃう迂闊さもあったりで、 いろいろ深読みのしがいがあるなあ、と嬉しくなっちゃいました(笑)。 ♪クールヘッド の途中、「スペインのため 犠牲に」のあたりの、 ビリヤードの棒で囲まれるシーンのフェリペの目の暗さと綺麗さにちょっとよろめいてみたり(笑)。 天野喜孝さんの絵(栗本薫さんの「カローンの蜘蛛」の表紙とか)が思い浮かびました。 あと、この曲の最後に退場する時の「飽きた」の言い方が結構ツボかもv もちろん、その後の大使の動きも含めて(笑)。 というかこのシーンの大使の、据え膳は美味しくいただきます的に動いておきながら、 しっかり王子を挑発しているテクの高さは、まだまだ王子に負けてない感じですよねー(え)。 ロビンと王子が街道で出会うところは、やりとりが毎回すっごい楽しい! 最初の「スペインの方ですか?」云々のやり取りから始まって、 王子の無駄にかっこよくてちょっとイラッとなる(え)動きとか、 王子の動きに文字通り振り回されてる廷臣二人とか、 それにちゃんと突っ込みを入れようとして玉砕してる吟遊詩人くんたちとか、 ちょっと流されそうになったけど、ベスのことはちゃんと言わなきゃ!なロビンの頑張りとか、 何気に仲良しになってる吟遊詩人くんたちと廷臣二人とか、 あんなに厚着なのにほんとに涼しそうに見える王子がすごい!とか・・・ ♪クールヘッド にに引き続き、短いシーンなのにきりがない(笑)。 宿屋のシーンで再会した時も、 吟遊詩人くんたちに嬉しそうに手を振る廷臣ふたりがなんとも微笑ましくてねー。 まあ、その微笑ましさの前で、水面下でちょっとやり合ってる王子とロビンも意味深ですが(笑)。 なんというか、あそこでロビンに再会した瞬間に、 王子になにかスイッチが入ったように感じたのは私だけでしょうか(笑)。 ベスへの興味の方向性がちょっと変わったというか・・・? 吟遊詩人くんたちは、平間壮一くんと加藤潤一くんと寺元健一郎くん。 それぞれちゃんと役名があって、キャラも立ってて、 ロビンとの距離感とか、チームの中での役割分担とかありそうなのですが、 ベスに対する在り方がちょっとわかりにくかったかな。 ロンドン塔から出されるベスの船を見送るシーンで落ち込むロビンへのかかわりとか、 宿屋のシーンでベスに嘆願する三人をロビンが止めるところとか、 山崎ロビンと加藤ロビンでは吟遊詩人くんたちとの空気というか間がちょっと違っていたように思いました。 あと、民衆と吟遊詩人くんたちって衣装の色の系統が同じなので、 民衆と一緒のシーンだとまぎれちゃうのがちょっと残念だったかなあ。 ジャグリングのシーンは、あの傾斜で笑顔であの動きができることに素直に感嘆しました! 凄い楽しかったしねv 平間くんのアクロバティックな動きに目を奪われてしまいがちだけど、 他の二人もかなり大きく動いてますよね。 とりあえず、怪我などしないように頑張ってほしいです。 そしてやっぱりいろいろ書き足りないけど、明日もお仕事なのでこの辺で強制終了。 最後の記録はワイアットさんやキャットやベディングフィールドさんのことも書けるといいなー。 |
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