瓔珞の音

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zoom RSS それでも世界は美しい。

<<   作成日時 : 2014/08/25 22:04   >>

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自分はいろんなことに対して、もの凄くキャパが狭いというか、保守的だな、と思うことがあります。
革新的なことには二の足を踏むし、
いわゆる"常識的"なものから外れるのはちょっと怖い。
人から後ろ指さされてもいいと思うほど情熱を傾けられるものもないし、
ルールを破るんだったら、守ったうえでそれがどれだけ無意味かを証明してからにすべきだと思う。
破天荒という言葉は私からは本当に遠くて、
目立たず、静かに暮らしていきたいと常々思ってる。
私が住む世界、私が観る世界、私が受け入れる世界はものすごく狭くて、
狭いからこそ、生きていられるギリギリの平穏を保ててるのかなあ、と思う。

そんな私にとって、このお芝居はかなりきついものでした。


大人の新感線
「ラストフラワーズ」

2014.8.23 マチネ 赤坂ACTシアター 2階C列30番台

作:松尾スズキ
演出:いのうえひでのり

出演:古田新太、阿部サダヲ、小池栄子、橋本じゅん、宮藤官九郎、高田聖子、皆川猿時、粟根まこと、
    河野まさと、杉村蝉之介、荒川良々、山本カナコ、平岩紙、保坂エマ、星野源、村木仁 他

大人計画と劇団☆新感線という二つの劇団がコラボしたというこの舞台。
新感線は最近のものは割と欠かさず観てるけど、大人計画は観たことがない私。
でも、ずいぶん前に松尾さんが演出した「キャバレー」はとても好きだったし、
役者さんも豪華だし、とりあえず1回は観てみようと思いチケットをとりました。

いつものごとく全く予習なしで劇場に向かい、
買ったパンフレットの「今ここでは読むな!」と言わんばかりのつくり(笑)に挫折し、
とりあえずキャストと役名だけチェックして臨みました。
で。
始まりのスカパラの演奏と照明の動きがめちゃくちゃかっこよくって、
どんな舞台なのかとワクワクしたのですが・・・

えーと、笑い3割、戸惑い3割、嫌悪感4割、という感じ?(え)

描かれているというか揶揄・・・は言い過ぎか、パロディ、もちょっと違うか・・・
まあいいや、描かれているモチーフや事柄、命や病の扱われ方、
それらが私のキャパを超えていて、
この舞台で描かれているものの本質とか、創りこまれた細部とか、
そういうものに目を向ける気力を全部そぎ落とされちゃったように感じました。
2幕の後半あたりからは、何というか、できる限り感情から距離をおいてみようとしていたと思う。
目の前で繰り広げられることを、実際の距離以上に遠いものとして受け止めようとしていたというか・・・
そんな風に、透明で固い殻を介してでないと、
私はこのお芝居の"毒"に耐えることはできなかったんだと思う。

でも。

終盤、星野源くん演じる犬塚が歌ったあの歌は、
そんな殻なんかあっという間に壊してしまうような圧倒的な力でもって、私のところに届いてきた。

明るいメロディ。
軽快なリズム。
優しい歌詞。
誠実な歌声。

それらが届いてきた瞬間に、私を囲っていた殻は粉々に砕けて、
代わりに、自分でもびっくりするくらいたくさんの涙が零れ落ちました。

その歌が響く場所は、いくつもの命が失われ、いくつもの夢や野望が打ち砕かれ、
今まさに死んでいくものがいて、今まさに争う人たちがいて、今まさに壊れていく"世界"があって。
それでも、そこには彼が奏でる音楽があり、歌声があり、
その傍らで、感情を、表情を押し殺し、でも迸るような祈りを込めて叩かれるタンバリンがあり―――

この"世界"は理不尽で、残酷で、醜悪で。
でも、それでもこの世界は美しい。

そんなことを、脈絡もなく、でも強く、強く、思いました。


内容についてはちょっとうまく纏められなそうなので、役者さんの感想を少しずつ。

佐伯三蔵役の古田さん。
かっこいい古田さんから面白い古田さんから技ありな古田さんから深みのある古田さんまで・・・
ほんとに古田さんのいろんな面を見せてくれたなあ、と思います。
馬鹿馬鹿しいことも大真面目に。
真面目なことをさらりとかわして。
でも、大切なことはしっかり伝えてくれる―――うん、やっぱりすごい役者さんだなあ。
個人的には、彼の最後の選択にぐっときました。
そこまでの過程を全く描かないで、
それでも佐伯が"彼"を育てることを決したことがすっと納得できたのは、
この長いお芝居の中で、佐伯の生き方に筋が通ってたからなんだろうなあ。
それにしても、子どもたちのあの名前は正直笑えません(^^;)
でもって、猿と犬と豚がそろってたけど、三蔵様ご一行にはならなかったねーって、犬じゃなくて河童か、あれは(え)。

双子役の阿部さん。
登場人物として、観ていて一番きつかったのはこの"二人"だったかなあ。
"彼ら"の真意がどこにあったのか、本当に語られたままの"平和"を目指していたのか、
私には全然わからなかった。
わからなかったけど・・・わからなかったから余計に、二人きりの彼らの孤独が切なかった。
彼が本当に欲しかったものはなんだったのかなあ。
子どもの時の彼らはどんなだったのかなあ・・・だめだ、考えだしたらまた泣けてきそうだ。

nanana役の小池さん。
冒頭出てきた瞬間の美しさに感嘆いたしました!
まあ、あの後の歌の歌詞にドン引きしたけどねー(え)。
nananaという役は、いろいろ後出し的な設定も多くて、最後まで私には把握しきれなかったけど、
でも、最初から最後までぶれない存在だったのかな、と思った。

じゅんさんの演じた二役も大変そうだったけど、観てる方は楽しかった、かな?(なぜ疑問形/笑)
高田さんの無茶ぶり・・・あれは台本通りなんでしょうか?
朗々とした歌声も聴けて嬉しかったですv
そして、nananaとのラブラブっぷりも素敵でした(笑)。

早川速男役の宮藤さん。
いやー、いい人だったねー。
どうしようもないくらいヘタレだけど、どうしようもないくらいいい人だった。
自分に向かいくる全部をたわみながらも受け止めて、
跳ね返すのではなく呑みこんでしまうような不思議さがありました。
宮藤さんの演技の間というかテンポというか・・・ちょっとまだ馴染まない部分もあるけど、
個人的に結構好きなのかもしれないなあ、と思いました。

皆川さんの二役はねー・・・キモ可愛いってこういうことを言うのか!と思いました。
将軍役の時は、なんだか底知れない不気味さと、普通の人っぽさの混じり具合が秀逸だったかと。
そして豚さんは非常にキモ可愛かったよ、ほんと・・・(^^;)

粟根さんのサルバドルは、詰めの甘いマッドサイエンティストな悪役、というのがとてもお似合いでしたv(笑)
あの容赦ないフライングはけっこう観てる方もドキドキしたよ・・・

村杉さんは、三姉妹の蜷川さんバージョンで観たことがあるかな。
結構あの時は好きなタイプだなあ、と思ったのですが、今回も結構好きでした(笑)。
つげ分析官、なんだかこの物語のなかで一番まともそうに見えたかも(え)。

河野さんのミャンも凄い良かった!
個人的に劇団員さんの中では一番好きな役者さんなのですが(私の好みってわかりやすいなー)、
さすがあて書き!という感じで違和感とか嫌悪感とかなく楽しめた役柄だったな、と思います。
あの殺陣は大変そうですけどねー。
彼には生きていてほしかった・・・

荒川さんの爆弾魔も、迷いがなくて好きでした!
何気にこの物語の中で一番働いてたのはこの人なんじゃないかと思う(笑)。
あのにぱっとした笑顔に癒されました(いややってることはとんでもないんだけどね)。

平岩紙さんの砂漠ひかる。
えーと、どこかで観た記憶があるんだけど気のせいかなー。
天真爛漫な大阪弁がなんとも可愛らしくv
そしてあの渾身のタンバリンはほんとに素晴らしかったです!
同じ歌でも1回目と2回目で全く表情が違うのに、すごい泣かされた。
いや、状況が違うんだから、表情が違って当たり前なんだけど、
なんというかタンバリンの音まで違って聞こえたよ。
ひかるさんと犬塚くんが最期までそばにいてくれて、早川さんは幸せだったろうなあ。

で、その犬塚くんな星野くん。
名前は良く聞くけど、実は顔と名前が一致したのは今回が初めてでした。
もちろん歌を聴くのも初めて。
いやなんかほんとに、彼の最後の歌で救われました。
この曲はスカパラの曲だということだけど、彼自身の曲もちょっと聞いてみたくなったかも。

そして、ラスボス(?)な松尾スズキさん。
いやー、ごめんなさい。
たぶん、4割の嫌悪感の半分はセレスティーノの描かれ方だったように思います。
いやもちろんそれだけじゃないんだけどね。
でも、それだけ強烈な存在感だったのかな、とも思います。

こうやって思い返してみても、やっぱりこの舞台への戸惑いや嫌悪感は拭えないんだけど、
でも、もう1回観たら何か違うものを受け取れたのかな、とも思う。
とりあえず、純粋な(?)大人計画は1回観てみたいかな。
―――まあ、玉砕覚悟でね(笑)。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
恭穂さま
半分とはいえ大人計画のシャワーを初めて浴びた恭穂さんの
ご感想、興味深く読ませていただきました。
嫌悪感(笑)。
私の友人の中にもかなり芝居好きだけど大人計画は、特に
松尾さんの作品は全然受け付けない、という人がいます。
賛否両論というか、やはり好みは分れますよね。
個人的にはこの作品は、登場人物が多くて少し整理
しにくいですが、ブラックな面や過激さとか棘は
若干やわらかめかなぁと思っています。

とはいえ、私も多分一度では拾いきれないものが
たくさんあって、大阪でもう一度観るつもりです。

恭穂さんにはぜひ次回、大人計画オリジナル作品に
挑戦していただきたいと思います。
それも松尾作品で!(笑)
スキップ
2014/08/30 10:27
スキップさん、こんばんは!

大人計画の初シャワー、非常にインパクトの強いものでした(笑)。
描かれる事柄に対して嫌悪感を感じることは時々あるのですが、
この舞台は、その嫌悪感を超えて心惹かれるものも、
確かにあったように思います。
大人計画、いつかぜひ挑戦してみようと思います!

登場人物はほんとうに多かったですねー。
でも、それぞれが役者さんに合っていて、興味深かったです。
恭穂
2014/08/31 16:29

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