瓔珞の音

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<<   作成日時 : 2014/10/16 22:20   >>

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最近は月後半に観劇などを入れていることが多くて、
月前半はすっかりブログ放置な恭穂です・・・
狙ってるわけではないのですが、なんとなくそんな日程に。
今月は結構ばらけているのですが、来月はまさに月末の楽しみに向けて月初め働く!という感じです(笑)。
とりあえず、今月の観劇記録一つ目を。



彩の国シェイクスピア・シリーズ第29弾
「ジュリアス・シーザー」

2014.10.13 マチネ さいたま芸術劇場 大ホール 1階B列10番台

出演:阿部寛、藤原竜也、横田栄司、吉田鋼太郎、たかお鷹、青山達三、山本道子、塾一久、原康義、
    大石継太、丸山智己、廣田高志、間宮啓行、高瀬哲朗、星智也、松尾敏伸、岡田正、石母田史朗、
    中村昌也、浅野望、二反田雅澄、飯田邦博、新川將人、澤魁士、安福毅、五味良助、手打隆盛、
    水谷悟、齋藤慎平、讀木淳平、松崎浩太郎、後田真欧、原田琢磨、小島一星


この舞台の本チラシを初めて観た時、そのあまりの濃さに思わず爆笑してしまったこのお芝居。
題名や台詞は有名だけれど、実際の内容は良く知らないままの観劇になりました。
ジュリアス・シーザーの暗殺計画からその実行、そしてその後の内乱を描いた物語なのですが、
そこに至るまでの歴史や、その当時のローマの政治体制など、
あまりにも遠すぎる記憶だったので(一応高校は世界史選択だったのですが/笑)、
正直、物語をきちんと理解できたとはいえないなあ、と思います。
もっとちゃんと予習していけばよかったなあ、とちょっと後悔。
でも、そんな知識不足の私でも、主要な人物の人間関係はそれなりに理解できたし、
むしろ、彼らの信念や野望を理解しきれていない分、
この舞台の中で描かれる民衆たちと同じような視線で彼らを見ることもできたような気がします。

というか思いがけず最前列センターだったこともあって、
客席降りする市民役の役者さんがあまりに近くて(笑)。
心情的にも物理的にも、ほんとに彼らに混じっていたかも・・・?

それは、セットにもよるかなー。
舞台の上には、そびえたつような急な階段が端から端まで!
そのてっぺんには、あの狼と双子の真っ白な像。
そして、その後ろの青空。
席についた時点で、その威容にまず圧倒されました。
で、三々五々その階段に集まってくるコートを来た役者さんたち。
おお!丸山さんだかっこいいvとか、たっちゃんお化粧すごい!とか、阿部さん大きいなあ、とか、
ミーハー目線で楽しんでしまいました(笑)。
彼らが一斉に黒いコートを脱いで帽子を取り、真っ白な衣装があらわになった瞬間、
思わず歓声をあげそうになっちゃいましたv
その次の瞬間には、市民役の役者さんがぶちまけた籠から階段を転げ落ちる林檎の襲撃を受けて、
めちゃくちゃ動揺したわけですが(笑)。
いやだってすごい勢いで落ちてきたんですよ!!
椅子の下にも入りこんじゃって、市民役の女役(お綺麗でした!)の役者さんが、
目の前にしゃがんで拾っていったのですが・・・もうどうしていいかわからなくて、本気で固まりました、私(涙)。
おかげで冒頭の記憶があまりありません(笑)。
その後も、本当に目の前で繰り広げられる舌戦、心理戦、剣戟戦、肉弾戦に、
緊張するやら怖いやらで、たぶん最後までほとんど身じろぎしなかった気がする・・・
うーん、この舞台は、もうちょっと後ろで観たかったかなあ。
まあでも、役者さんの細かな表情が観れたのは良かったかな。

物語そのものについては、上記の通り十分に理解できてはいません。
ブルータスがシーザーの何を憂い、
シーザーがキャシアスの何を嫌悪し、
キャシアスがアントニーの何を恐れ、
アントニーがブルータスの何を認めていたのか。
そういう人間関係や、彼らの思考を、もっと理解できたら更に面白かったんだろうなあ。
それでも、十分に楽しめるお芝居だったのは確か。
いやだって、役者さんたちがチラシ以上に濃厚な存在感なんですもの!!

阿部さんのブルータスは、いろんな人たちから称賛され、シーザーからも信頼されている人物。
堂々たる体躯と、どこか憂いを含んだ、決して真意を見せない柔らかな表情が印象的でした。
なんというか、誰に対しても誠実だけど、同時に誰に対しても距離がある、という感じ?
「(シーザーを)殺すしかない」と独白するシーン、
言葉は物騒なのに、表情は優しいといってもおかしくない感じで、
シーザーを排することは、彼の中ではローマ市民だけではなく、
シーザーをも救うことだったのかも、と思いました。
この暗殺は、彼の中ではきちんと整合性があって、
彼にとって、その理由は誰にでも理解できること、という認識だったのかもしれないけれど、
でも、それにしても彼は言葉が足りないなあ、とも思いました。
市民に対してシーザー暗殺の理由を演説するときも、
「彼には野心があった」と、それだけ。
それでも民衆を一時的にしろ味方につけたのは、彼自身の持つ魅力によるのだろうけれど、
そんな言葉じゃ誰もちゃんと理解はできないよ!と思ってしまった(汗)。
その後のアントニーの演説が、事細かに実例を挙げて、
そして、逆説的に自分が一番アピールしたいこと―――ブルータスは公明正大で高潔であるという言葉を、
これでもか!と繰り返していくのを聴いていて、
これはブルータス勝てないよ・・・と心底思ってしまいました。

また、藤原くんのアントニーの台詞が、本当にかゆいところに手が届く感じなんですよねー。
相手によって自分の立つ位置を巧妙に変えながら、
一片の隙もなく言葉を積み上げていく様子に、思わず見惚れてしまいました。
シーザーを尊敬はしていたけれど、盲信はしていない。
(シーザーの人間的な不十分さも、彼は受け入れてたんじゃないかな)
ブルータスを敬愛はしていたけれど、容赦なんて持ち合わせていない。
(死したブルータスにかけた彼の最後の言葉は、本心だと思うの)
オクタヴィアヌスを立ててはいるけれど、決して優位には立たせない。
(見事なSっぷりだったと思います/笑)
そんな感じ。
1幕終盤、シーザーを暗殺した面々を前に、シーザーの血に染まった彼らの手を取るシーンの、
どこか呆然とした、でも強い決意を秘めた表情もよかったなあ。
そして、そんな彼に対し、握手ではなくて、
彼の顔に血を塗りたくるキャシアスな吉田さんの徹底っぷりも素晴らしくv(笑)

そんな吉田さんのキャシアスは・・・とにかく凄かった!!
まず、人との距離感がめちゃくちゃ近いの。物理的にも、心理的にも。
色々陰謀策謀巡らしてるけど、人に対しては常に真正面からぶつかっていく感じ。
ブルータスとは違って、自分を決して偽らず、常に全力投球、というか(笑)。
狙った相手にはがっと距離を詰めて、一気に懐に入っちゃう間合いには感嘆しきり。
というか、あんなふうに距離を詰められたら、落ちるしかないよねー、と、
攻め込まれる大石さんのキャスカを見ながら思ってしまうほどの人たらしっぷり(笑)。
そんな風な距離感だから、相手の出方によってその在り方も結構違うのかなあ、と。
シーザーに対しても、彼が自分を嫌うから、自分も彼を嫌う、という感じ?
2幕のブルータスとの喧嘩のシーンも、なんというかほんとに自分に対しても相手に対しても直球で・・・
椅子投げるはテーブルはひっくり返すはで、見ていて結構怖かったのだけど、
(動じないブルータス、素晴らしい!)
ブルータスの仕打を切々と観客の一人に訴えたり、
(あれ、された人すごい困ったろうけど、嬉しかったろうなあ・・・!)
ふっと、我に返ったときに、ものすごーく素直に謝っちゃったり、
ブルータスの奥さんのことを、自分のことのように嘆いたり、という姿を見ていると、
なんだか微笑ましくなっちゃって・・・(笑)
ブルータスと固く抱き合って友情を確かめ合う様子を見た彼らの部下の複雑な表情がまた(笑)。
特に二反田さんのティティニアス!
ブルータスと別れを惜しむキャシアスを見る目がすごく優しくて、且つ苦笑してて、
なんだか思いっきりツボにはまりました。
うんうん、その気持ちすっごく良くわかるよ!って(笑)。
二反田さんは、確か「アントニーとクレオパトラ」でも印象的な役をされていたのだけど、
2幕終盤の彼の選択には、納得は行かないのにちょっと泣かされてしまいました。
ほんとに、ティティニアスはキャシアスを敬愛していたんだね、って。

2幕後半は戦闘シーンが続いて、その中でブルータスとキャシアスの友情や、
それぞれの家臣との絆が描かれます。
彼らの選択は、あの時代には当たり前でも、私にはちょっと理解しがたかったのだけど、
それぞれの役者さんの見せ場があって見ごたえがあったかなあ。
ブルータスの部下役の丸山さんは、とにかくめちゃくちゃかっこよかったです!
2幕冒頭の演説シーンで市民役をしていた時も、ぱっと目を引くかっこよさでしたが、
自分がブルータスだ、と言って敵の前に立ちはだかるシーンにちょっとよろめきましたv(笑)
ブルータスの命を奪う(というか奪わせられる)若者も印象的だったなあ。
たぶん、中村くん演じるストレイトーという役だったのだと思うけど(ちょっと記憶が曖昧)、
自分の持つ剣がブルータスを貫くのに号泣しながら、
でも決してその手を離そうとしなかった強さと、その後の嘆きがすごく鮮やかだった。
ストレイトーの前に、ブルータスに自害の手助けを依頼されながら、
それを断った3人の男たちも、ストレイトーも、そして侍従のルーシアスも、
本当にブルータスという人物に惚れこんでたんだなあ、と思う。
というか、それだけ、ブルータスは彼らを大事にしていたんだなあ、って。
観終わった直後は、キャシアス、なんて愛されキャラなんだ!って思ったけど、
実は一番の愛されキャラはブルータスだったのかもですね(笑)。


シーザー役の横田さん。
すごく久々に拝見したように思うのですが、
記憶にあるよりも、重心が下がったというか、すごくどっしりした安定感を感じて、
一瞬横田さんだってわかりませんでした。
以前は蜷川シェイクスピアの中で癒し系だったのですが、
そうじゃなくなっちゃったなあ・・・まあ、こういう横田さんも好きですがv
シーザーの人となりについては、彼自身のシーンからの情報よりも、
周りが彼を語るシーンから得られる情報の方が多いのだけど、
何というか、すごく人間的な役柄だなあ、と思いました。
完璧では決してなくて、でもそういう自分を偽らず、
同時に相手が求める自分で在ろうとする・・・そんな感じ?
あの有名な「おまえもか、ブルータス」という台詞の素直な響きが、すとんと胸に落ちてきた気がします。


元老院の方々や市民役の方々も、本当に生き生きとされていました!
個人的には間宮さんのブルータスの腹に一物ある感じの笑顔が素敵でしたv(笑)
二人きりの女性陣もそれぞれにお美しくv
お二人のドレスも間近で見るとめちゃくちゃ繊細な織が入っていて綺麗でした。
というか、濃鼠色の階段の上の真っ白な衣裳ってほんとに映えますね。
男性陣も、シルエットは同じでもそれぞれに織が違っていたり、ベルトの締め方が違っていたり、
それぞれにお洒落だなあ、と思いました。
シーザーを暗殺する側のインナーが赤なのも、視覚的にわかりやすかったし。
というか、1幕終盤、シーザーの血に、その真っ白な衣裳が染まっていくさまは、
見ていて結構きつかったかなあ(タイタスがまだちょっとトラウマなのかも・・・)。
2幕後半の戦闘シーンも、鎧の上からとはいえ、血糊がかなりふんだんに使われていたし・・・(汗)

ブルータスの死、という形での内乱の終結で終わるこの物語。
カーテンコールはもちろんみなさんその直前の格好なわけですが、
着替える余裕があった役者さんたちも、血糊が付いたままの衣裳で出てこられました。
吉田さんのキャシアスなんて、わざわざ2幕冒頭の、
シーザーの血で肘まで染まった衣裳に着替えて出てきてたと思う。
にこやかで和やかなカーテンコールだったけど、
流れた血を、流した血を、受けた傷を、つけた傷を、きれいさっぱりなかったことにはせずに、
それらを身に纏ったままであることに―――その意味に、
勝手に思いを馳せて、なんだか一人泣きそうになってしまいました。

自ら手を浸した赤い、赤い血。
この物語の中で、命を落とした者たちも、生き延びて未来へ命をつないでいく者たちも、
全員がこの"赤"を消すことなく背負っていくのだと。
洗っても、拭っても、たとえ目に見えなくなっても、
その手を、その頬を染めた"赤"は、決して消えることはないのだと。

最後の最後に、その"赤"が、とても胸に迫りました。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
恭穂さま
続けて失礼いたします。
とても見応えありましたね「ジュリアス・シーザー」。

シェイクスピア作品の中では私はあまり好きな方では
ないと思っていたのですが、去年の「子供のための
シェイクスピアカンパニー」の上演も今回の作品も
とてもおもしろくて、もう一度原作読み直さなくては
と思っています。

役者さん皆すばらしかったですが、特に藤原竜也くんの
一段階上がった感が印象的でした。
後でプログラム読んで蜷川さんが「彼はこれまでの演技や
手法では演じきれない役と表現に直面し・・・」とおっしゃって
いるのを読んで納得した次第です。
次回作「ハムレット」も楽しみですね。
スキップ
2014/11/24 21:16
スキップさん。
こちらにも、コメントありがとうございます。
私はこの演目は初めてだったので、
混乱しつつも一生懸命観たという感じです。
戯曲、私も一度しっかり読んでたいかも。

藤原くん、これまでとは違ったイメージでしたね。
若者、というイメージが強かったのですが、
そこから確かに一段上がった感じです。
こんな風に役者さんの変化が見えるのも、興味深いですね。
ハムレット、ほんとに楽しみですv
恭穂
2014/11/26 22:45

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