瓔珞の音

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zoom RSS ダークヒーローの恋

<<   作成日時 : 2014/11/03 21:56   >>

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ダークヒーロー、といわれて私が思い浮かべるのは、
タニス・リーの「平たい地球シリーズ」の闇の公子アズュラーンです。

その眸は「有りうべからざる二粒の漆黒の光」で「まじりけなしの闇がふきあげる」「焼け焦げた影の炎」。
(「死の王」より)
その髪は「青味を帯びた黒い炎」と輝き、「夜の威容の全てを含む衣」を纏った妖魔の王。
(「闇の公子」より)

美しく、冷酷で、戯れに弄る残酷さと、決して揺らがない深い情をを持つ人ならざる者―――

三年前、"彼"が演じる"死"を観たとき―――
生身のアズュラーンがいる。
そう感じた瞬間の戦慄を、今も鮮やかに覚えています。

そして今回。
また、"彼"の演じるダークヒーローに、アズュラーンの気配を感じたのでした。


NBAバレエ団創立20周年記念公演
「Dracula」〜ドラキュラ〜

2014.10.25 ゆうぽうとホール 1階10列10番台

原作:ブラム・ストーカー
演出:久保紘一

出演:大貫勇輔、久保紘一、峰岸千晶、田澤祥子、古澤良、泊陽平、三船元維、皆川知宏、浅井杏里
    関口由美 竹内碧、高橋真之 他


有名なブラム・ストーカーの「ドラキュラ」を原作とした創作バレエ(なのかな?)。
バレエはほとんど見ない私ですが、今回はたまたまタイミングが合ったのと、
大貫くんのドラキュラに心惹かれて観に行ってみました。
大体のあらすじは知ってるけど、原作は読んでないし、
台詞なしのバレエなんて、私にわかるんだろうか・・・?とちょっと不安だったのですが、
始まってみたら、そんなのは全くの杞憂でした!

いやもうすっごい解りやすい!!

もちろん、見落としてる伏線とかもあったと思うし、
原作を読んでた方がずっとわかりやすかったし面白かったのでしょうけれど、
十分に物語も、人間関係も、それから多少の誤解はあるにしても、登場人物の感情も、
ちゃんと私の中に届いてきました。
そういえば、初めて観たバレエが同じホールでの「シザーハンズ」だったのですが、
その時も「杞憂だった!」って叫んでました、私・・・成長してないな(笑)。

というか、ほんとに見事にエンターテイメントだったんですよねー。
始まりからして、客電がいきなり落ちて真っ暗になる、という予想外の始まり方で、
(普段は徐々に暗くなってざわめきも小さくなって、という感じなので、すごいびっくりした!)
セットは豪華だし、衣裳はめちゃくちゃ可愛いし綺麗だし、
映像を多用した演出はわかりやすいし、音楽はかっこいいし・・・
そしてもちろん、ダンサーさんたちがめちゃくちゃ凄かった!!

お目当ての大貫くんは、ゲストダンサーで且つタイトルロール。
生粋のバレエダンサーではないので、楽しみつつもかなり苦労しているらしい、というのは、
インタビュー記事などで読んでいたのですが、ほんとに素晴らしかった!
1幕、案内された城で放置されて右往左往するハーカー(久保紘一)の後ろの舞台奥から、
ドラキュラ伯爵が出てきた瞬間に、一気に目も気持ちも持っていかれましたもの。
「きたきたきたー!!」って内心叫びましたよ、私(笑)。
衣裳も本場から持ち込んだものらしく、こちらそのままのかっこいいコート!(?)
でもって、鬘は落ち武者みたいな感じなのですが(笑)、
背を反らせて、つんと顎をあげて歩く姿から、
いきなりそのゆったりとした裾を大きく翻したり、
時にしなやかで地を這うような動きをしたり、
その大きな手の長い指を細やかに動かしたりしながら、
ゆっくりとハーカーに近づくさまは、不気味で、どこか滑稽で、なのに、めちゃくちゃ美しくて・・・

なんだかね、蛇みたいだ、と思いました。
同時に、猫のようだ、とも思った。
で、思い出したんですよね、リーが書いていたこと。
アズュラーンが、蛇から猫を作った物語を―――で、またテンション上がった、と(笑)。

ドラキュラ伯爵は"死"に比べたらずっと人間的で、
後半に行くにしたがって、アズュラーンのイメージとはちょっと離れていってしまうのですが、
それでも、私の中の大きなカテゴリーではくくられていて。
どうしてもつなげて考えちゃうんですよね。
そんな風に変な方に逸れつつも、ほんのりとアズュラーンの気配を纏った大貫くんのドラキュラ伯爵に、
思いっきり魅了された2時間半でございましたv


物語は、たぶん、原作にとても忠実。
トランシルヴァニアから戻ったハーカーが悪夢にうなされるプロローグ。
イギリスの不動産を求めるドラキュラ伯爵との契約を成立させるために、
トランシルヴァニアの彼の城に出向いた弁護士ハーカー(久保紘一)の姿を描いた1幕。
イギリスに戻ったハーカーを追うようにして渡英した伯爵が、
ハーカーの妻ミーナ(峰岸千晶)の友人であるルーシー(田澤祥子)を誘惑し、
伯爵に噛まれたルーシーがアンデッドになってしまうまでを描いた2幕。
そして、伯爵を退治しようと出かけたハーカーたちの隙をついてミーナを攫った伯爵を、
ハーカーたちが追い詰め、心臓に杭を打って殺すまでを描いた3幕。
それぞれに印象的なパ・ド・ドゥや群舞があったり、
細やかな気持ちのやり取りがあったりして、本当に面白かったです。
もう、瞬きするのも惜しいくらいで、たぶんほんとに瞬きの回数減っていて、
終演後目が乾いてる、と思いましたが、そのくらい引き込まれました!

1幕は、旅立つハーカーを送るミーナとヘルシング(三船元維)たちの静かなシーンから、
(ハーカーとミーナラブラブv)
いきなりトランシルヴァニアの村人たちの土着的な祭のシーンに。
このシーンの群舞がすごい迫力だったんですよねー。
なんというか、すごく地面に近い感じ。
且つ、どんどん熱狂が増していく様が、見ていてドキドキしました。
女性陣の民族衣装っぽい濃い色合いの衣裳も凄く可愛くてv
その中で、一人冷静なハーカーが、逆に何とも異質な感じ。
で、迎えに来た伯爵の従者についていこうとするハーカーを、
村人がみんなで引き留めようとするのですが、
それも凄く切実な感じで、わかってないハーカーとの温度差がとても明確でした。
で、その従者がハーカーの長持(って言わない?)をがっと担ぎ上げるんですが・・・

でっかいクコちゃん(@TDV)だ!!(笑)

この従者も伯爵に懐いたりするのかなー、とか思ってたんですが、城に着いたらあっさり退場。
で、入れ替わりに出てきた伯爵様が、がっと同じように担ぎ上げたんですが・・・

もしかして、伯爵様自ら迎えに行ってた?
っていうか、伯爵家、人手不足?!

と妄想暴走して、内心大爆笑してしまいました(笑)。
その後も、TDVと重なるところがすごくたくさんあって(元ネタ同じはずですからね)、
一人でこっそり動揺したりウケたりしておりましたv

その後、伯爵様がハーカーを寝室に案内するんですが、
その間中、食べちゃおうかなー、どうしようかなー的な伯爵の逡巡がありまして(笑)。
で、ハーカーが取り出したミーナの写真(だと思う)を背後から覗きこんだ瞬間、
一気に伯爵の興味がミーナに向かうんですよねー。
写真をハーカーから奪って、それを見つめる表情が、何というか一気に鮮やかになった感じ。
あ、これは一目惚れしたな、と。
で、ハーカーの胸元の十字架を見て、あっさりハーカー放置で退場しちゃうんですが、
残されて眠りについたハーカーに忍び寄るのは、3人の美しい女性―――ヴァンパイア。
見事な誘惑に翻弄されるハーカー。
色っぽいシーンなのですが、3人がさりげなく相手を牽制し合う様と、
徐々に色気が食い気になっていく様(笑)に、色っぽさよりもどうなっちゃうの?!というドキドキが強く・・・
伯爵様、早く助けに来ないと、ハーカー食べられちゃうよー!!と思っていたら、
見事なタイミングで伯爵様が登場いたしました!
彼が女ヴァンパイアに向ける、ハーカーに向けるのとは全然違う冷酷で、蔑むような視線が怖くてねー(>_<)

でもって、その後のハーカーとのパ・ド・ドゥがまた凄かった!
男性同士なので、さっきの女性三人とのような色っぽさはなくて、
狩るものと狩られるもののギリギリの攻防というか、
それこそ猫が獲物を弄るような無邪気な残酷さというか、
そういうものが強く感じられました。
アクロバティックな動きが多かった、というのもあるかもしれないけど、
古典的なバレエもこういう動きあるのかな・・・?
そして、思ってしまった。

大貫くん、ヘルベルト(@TDV)できるよ!!

いえ、かねてから大貫くんにはいつか伯爵の化身をやってほしいと思っていたし、
今回の伯爵の佇まいとかヴィジュアルってクロロック伯爵的なので、こっちもいけるかも、と思ったけど、
ハーカーへの迫りっぷりが見事にヘルベルトに重なりまして・・・
かなり似合うと思うのよ。何といっても美脚だし!(力説/笑)

そんな妄想をしてたら、1幕終わっちゃいました(笑)。
最後に、ハーカー、伯爵様に噛まれちゃったのかなー、と思ったのですが、
2幕では憔悴しつつも普通に出てきたので、
これは伯爵、ミーナを手に入れるためにハーカーを利用する気だな、と思ったり。

で、そんな2幕もいきなりの暗転から開始。
まさか2回続けてとは思わなかったので、やっぱりびっくりいたしました(笑)。
2幕は、海辺のホテルでのティーパーティのシーンから。
色とりどりの衣裳を着た上流階級の方たちがダンスを踊るのですが、
それぞれにいろんな設定がありそうで、それを見ているのがすごく楽しかったですv
プリンシバル(って言わないのかな?)以外で特に目を引かれたのが、ベルボーイ(高橋真之)。
踊りたくってうずうずしてる様子が凄く可愛くて、
で、踊りだしたら、その軽快なステップと、見事なピルエットに目を見張りました。
もっと踊っててほしかったなー。
止められて叱られてへこむのも可愛かったけどv(笑)

このシーンの主役は、もちろんルーシー(田澤祥子)。
可愛らしい強かさのある、無邪気なエゴイスト、という憎めないお嬢様な雰囲気がキラキラしてました!
アーサー(泊陽平)とクインシー(皆川知宏)という二人の求婚者を手玉にとり、
最終的にアーサーを選ぶのだけど、クインシーがほかの人といるのは許さない、という(笑)。
でも、それがなぜか許せちゃう感じだったんですよねー。
そんな彼女が、嵐と共に現れた伯爵様に魅了されるわけですが・・・
割れた窓ガラスからの風に翻るカーテンを前に、バルコニーに現れた伯爵様のかっこいいこと!
(この時の、ハーカーが挙動不審になる様子が、来るぞ来るぞ・・・という感じでドキドキしました)
同時に、照明が薄暗くなり、伯爵様とルーシー以外の人々の動きが止まり・・・
その中で、ゆっくりと階段を降りる伯爵様と、彼に引き寄せられるように後を追うルーシー。
トゥでつつつ・・・と伯爵様に近づく様子が、なんとも不安定で心もとなく。
その二人のパ・ド・ドゥは、二人の気持ちの温度が全然違うところが印象的。
伯爵様に魅了されて、もう彼しか見えないルーシー。
ルーシーを、ただの手段としか見ていない伯爵様。
バルコニーの手すりに仰向けに身を乗り出したルーシーと、その首筋に噛みつく伯爵様の姿は、
映画などでみる"ドラキュラ"のイメージそのまま!

その後倒れたルーシーを、ヘルシング博士が自分の療養院に連れて行って、
にんにくの蔓で彼女を囲んで守ろうとするわけですが、
夜の看護師さんがそれを知らずに片づけちゃうんですよ・・・(えええ?)
で、伯爵様は伯爵様で、その病院にいた(だよね?)精神病患者のレンフィールド(古澤良)を、
その血で陥落して、まんまとルーシーの部屋に忍び込んで、彼女の命を奪うのですが、
この時点で、既にルーシーはアンデッドになってるんですよね。
だって、ダンスの雰囲気が、2幕冒頭ともう全然違ってましたもの!
なんというか、すごく静かな雰囲気。
翌朝、倒れていた彼女の唇にアーサーが十字架を当てると、
アンデッドとなった彼女が彼を襲うのですが、
それがまたそれまでとは全然違う荒々しい動きで、おおお!と思いました。


そして、3幕。
今回は静かに始まりました(笑)。
ミーナの部屋で、伯爵を探しに出たハーカーとアーサーとクインシーを心配するルーシーと博士のもとに、
レンフィールドがやってきて襲い掛かり、
その後一人になったミーナがレンフィールドを説得しようとするのですが、
この辺の流れはなんだかあんまり良くわからなかったかな。
レンフィールドは伯爵の血を飲んでいるけど、伯爵に血は吸われてなくて、
だからアンデッドにはならずに、ただ操られてるだけなのかな、とか、
ミーナは彼に何を感じて、何をしてあげようとしたのかな、とか・・・その辺は後で原作を読んでみようかな。
ミーナは、ルーシーとはまた違った、百合の花みたいな凛とした綺麗さが印象的。
首筋とかのラインはすごく細くて華奢なのですが、なんというか、すごく力がある感じ。
安定感がある、というのかな?
ルーシーが弾けるような若々しさや元気さが印象的だったのとは違っていて、面白かったです。

で、結局伯爵を発見できずに帰ってきた男性陣。
疲れ切ったハーカーはあっという間に眠ってしまい、そこに現れたのは、当然伯爵様!
怯えるミーナを伯爵様が誘惑していくわけなのですが・・・
怯え逃げるながらも、なぜか伯爵様に惹かれていくミーナ。
彼女を追い、襲うのではなく、時に優しく、時に激しく、まさにすべてのテクニックで誘惑する伯爵様。
二人の距離が、肉体的にも精神的にも徐々に近づいていく様が、なんとも繊細に描かれていて。
本当に美しいシーンであると同時に、破滅の気配も感じられて、なんだか見ていて切なくなりました。
伯爵様の手に絡み取られたミーナが、彼のはだけた胸元に滴る血に唇を寄せるシーンは、
なんとも綺麗で、背徳的でした。

そうしてまんまと(え)ミーナを攫った伯爵様。
地下の隠れ家で、ミーナとの結婚式(かな?)を行うわけですが、
この前段階の、アンデッドたちの群舞が凄かった!!
バレエというと、一糸乱れぬ美しい群舞、というイメージだったのですが、
アンデッドたちのダンスは、少しずつずれがあるというか、
不協和音的な違和感があったように思います。
そんな中で、アンデッドとなったルーシーの奔放な動きがすごかった!
伯爵様がレンフィールドの首を切って(この時、ナイフがなかなか出てこない感じでちょっとハラハラした(^^;))
そこにアンデッドたちが群がるわけなのですが、
一人白い衣装を着てるからというだけでなく、血まみれで踊るルーシーの別人のような表情と動きに、
ちょっとサラを思い出しつつ目を奪われました。
このシーン、伯爵様に寄り添うミーナはあまり動かないので、余計にそうなったのかも。

で、ミーナが伯爵様の胸元をはだけてくちづけようとした瞬間。
大きな爆発音と、降り注ぐ光!
逃げ惑うアンデッドたちのなか、
ミーナを抱きしめて逃げようとする伯爵様に迫る男たちとの乱闘が始まるわけですが・・・
光による苦痛の中、引き離されたミーナを取り返そうと戦う伯爵様の表情がすごく真剣で、
伯爵様に伸ばされるミーナの細い手もほんとに一生懸命で。
男性陣の激しい跳躍と、入り乱れる動きが怖いくらいの迫力だったのですが、
それよりなにより、離れていく二人の距離に、ちょっと涙しそうになってしまいました。
伯爵様、本当にミーナに恋してたんだなあ。
ミーナを手に入れるために、こんな危険をおかしたんだなあ・・・って。
印象的だけれどほんの短いこのシーン、台詞ではなく動きだけで、
伯爵やミーナの心情が伝わってきたように思いました。
もちろん、それは私の思い込みなのですが、
この引き離される二人のシーンを見て、
この物語はドラキュラ伯爵の純愛物語なんだな、ってすとんと納得してしまったのでした。

結局伯爵様は胸に杭を打たれて退治されてしまうわけなのですが・・・
助けられたはずのミーナが、夫であるハーカーから離れて、
一人遠くを見つめる姿で物語は終わります。
伯爵様は死んでしまったけれど、ミーナの心はもう戻らないのかな。
そんな風に不穏なものを感じさせるラストシーン。
その彼女の後ろには、確かに伯爵様の気配があったように思いました。

あ、そうそう、伯爵様も可愛そうだったけど、クインシーも哀れだったなー。
ルーシーに振られて、でもその後も彼女を心配して、彼女の敵をとろうとして、
で、結局伯爵様との戦いで、彼一人だけが死んでしまうんですよね。
逃げていったアンデッドたちがどうなったのかもちょっと気になっていたり。


うーん、なんだかすごく散漫な記録になっちゃったなあ。
でも、バレエ門外漢の私でもすごく楽しめた舞台でした。
バレエというと、ちょっと敷居が高い印象があるのだけれど、
こんな風に楽しめるバレエだったら、また観てみたいかな。
というか、この公演、二日間だけなんて短すぎます!!
ハーカーなんてWキャストだから1回きりだし!
バレエ公演ってこういうものなのかもしれないけれど、
大貫くんのドラキュラ伯爵、本当に素敵だったので、
(カーテンコールでも最後まで伯爵風な動きでかっこよかったv)
またぜひ再演してほしいなあ、と思います。
その時はちゃんと原作を読んで、見落としのないように臨みたいな。

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