瓔珞の音

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<<   作成日時 : 2014/12/17 22:03   >>

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もしも、一つだけ過去の舞台を見せてもらえる魔法があるとしたら、
どうしても観たい舞台があります。

それは、「Underground Parade」

あの時期に、あの奇跡のようなメンバーが創り上げた、宝物のような舞台。
今観たら、もしかしたら違うものを受け取るのかもしれないけれど、
あの時の私には、絶対に必要だった舞台でした。

その最後に、全員が歌った歌に、こんな歌詞がありました。

 悲しみの根っこには愛がある。
 真っ直ぐな道だと誰にも出会えない。
 曲がりくねった道を通ったからこそ、ここにたどり着いた。
 誰かの人生と交わることができた。
 その道はまた離れるけれど、あなたの言葉があったから、
 生きていける、進んでいける。


この日見たミュージカルは、まさにそういう物語だったと思います。


「Once ダブリンの街角で」

2014.12.13 マチネ EXシアター六本木 B1階3列10番台

出演:ダニ・デ・ワール、マット・デアンジェリス、ジョン・スティーブ・ガードナー、ドナ・ガーナ―
    ライアン・リンク、アレックス・ネー、エリカ・スパイアーズ、エリカ・スウィンデル、アンディー・テイラー
    コレット・テットロウ、スコット・ワーラー、ポール・ウッティ


同名の有名な映画をミュージカル化し、今世界で最も注目を集めている・・・らしい、この舞台。
もともとあまり映画を見ない私は、そもそも元の映画も知らなかったし、
英語が大の苦手な私には来日公演というのはめちゃくちゃハードルが高かったしで、
この舞台を観たのは、ほんとに偶然でした。
この日のソワレの前にぽっかり空いた時間を埋めるために、
上演の数日前になんとなくとったチケット―――だったのですが!

いやー、めちゃくちゃいい舞台でした!!
なるほど、これは評判も高くなるよねー、と納得。

物語の舞台は、タイトル通り、ダブリンの街角。
恋人に去られ、失意の中で自作の曲を弾き語り、そしてそのままギターも音楽も捨てようとしていた一人の男。
その男の歌に心惹かれ、彼にもう一度ギターを持たせ、歌を歌わせようとする一人の女。
音楽をきっかけに出会った二人が、互いに恋に落ち、
けれどいろいろなしがらみの中で不器用に互いの距離を測りながら重ねていく時間。
そして、彼らは仲間の協力も得て、1枚のCDを創り上げ・・・

という、音楽を軸にした物語。
個人的にはミュージカルというよりも、音楽劇、という印象だったかな。
もちろん、英語はほとんどわからなくて、字幕を読みながらの観劇だったのだけれど、
途中から、役者さんたちから目を離したくなくなって、
後半は字幕はほとんど見なかったように思います。
だから、細かなニュアンスやシチュエーションは、きっと私は理解できていない。
彼女が、どうして彼と共に旅立つことを拒んだのか。
どうして彼が去っていく彼女を抱きしめなかったのか。
そのことを、私は理解できていない。
でも、この宝箱のような空間の中で彼らが生きた時間は本当に美しくて、
彼らの臆病だけれどまっすぐな愛情は本当に切なくて・・・
綺麗な音楽に乗って、言葉という高い壁を乗り越えて私の中に届いてきたように思います。


舞台セットは、赤と白の格子模様の床に、舞台の奥にある深い色の木のカウンター。
そして、サイドに並んだいくつもの椅子といろいろな楽器たち。
開演前に、舞台の上に観客が上がって、
バーで飲み物を買うことができるということは事前に知っていましたが、
ほんとに沢山の人たちが上がっていました!
私は2階席にあたる席だったし、ぼっち参加だったので上から眺めてるだけでしたが、
これは勇気を出して近くに行ってみても良かったかなー、とちょっと後悔(^^;)
しばらくすると、色々な楽器を持った人たちが舞台の中央に集まり、
おもむろに音楽を奏でられました。
ギターにアコーディオンにバイオリンにピアノに、ウクレレもあった?
それから、座って弾く箱みたいな打楽器(なんていうのかな?)。
たぶん、アイリッシュな色合いの濃い音楽だったのだと思うけれど、
思い思いのスタイルで、互いに視線を交わしあい奏でられる音楽は、
本当に迫力でかっこよくって楽しくて、もう始まる前からワクワクしちゃいましたv
歌ってる方もいろいろで、お一人凄く好みな声の方がいたのですが、後ろ姿で顔が見えず・・・
でも、衣裳から、たぶんエイモン役の役者さんだったと思います。

で、こんなに楽しい状況で、どうやって舞台に入っていくのかなー、と思っていたのですが、
貫録のある男性(たぶん男の父親役の方)が、一人の男性に「次はお前の番だ」的に促して、
その男性が、ちょっと戸惑いながら、「それじゃあ1曲」という感じでギターの弾き語りを始めたのね。
その瞬間ふっと舞台の上が暗くなって彼だけが浮かびあがり、
そしてその足元にはふたが開いたままのギターケースがあって・・・一気に、街角になりました!
いやー、あの導入の鮮やかさはほんとに素晴らしかったです!
その後の、男と女のかみ合わないやり取りも楽しかったなー。
戸惑って拒否的で及び腰になる男の言葉を、
もの凄くポジティブで自分よりなものに捉えて言葉を返す女。
これは彼、どうやったって勝てないって!(笑)
もちろん、会話は字幕頼りだったのだけれど、さっと字幕を読んでから何とか聞き取ろうと頑張ったところ、
なるほど、この言葉は英語だとこうなのね!とか、
あれ、この言葉は字幕では省かれてるな、とか、ちょこっとわかることもあって面白かったですv

で、女に連れられて、彼女のなじみの楽器店に行った男。
女の弾く美しいピアノの音色、そして、女の語るピアノへの想いを聴いた男は、
けれど、やはり弾くことを歌うことを拒み、店を出ていこうとします。
その時に男が落とした楽譜を拾い上げた女がその曲を弾いて男を引き留めるのですが・・・
最初、凄くアップテンポに彼女が弾いた曲は、踊るように明るくて跳ねるように可愛らしい音色。
でも、男の言葉(ここ、英語でなんて言ってたかなー、覚えたつもりだったのに!)に、
ゆっくりとしたテンポで弾きなおされた曲(♪Falling Slowly)は、
静かに降りしきる雨音のように、なんとも柔らかくまろやかで優しくて・・・
そして、その音に導かれるように男が奏でるギター。
おずおずと互いをうかがうように重なった二人の声が、力強いハーモニーを刻み始めたとき、
二人の物理的な距離より先に、二人の音が重なるにつれて心の距離が縮まって、
すっと自然に寄り添ったことに、なぜか涙が溢れました。

その後も、二人の気持ちがどんどん近づいて、
互いの存在が、互いに力を与えてくれる存在になるのはあっという間で。
尻込みする彼の背中を押す彼女の言葉、彼女の視線。
女の先導で、彼らの音楽が創り上げられていく中で、二人の気持ちは確かに互いを向いているのに。
でも、二人が選んだ未来は別々のものだった。

彼らを別ったものが何なのか、私にはわかりません。
彼をおいて旅立った恋人の存在なのか。
彼女と娘を置いて祖国へ帰ってしまった夫の存在なのか。
妻を亡くし、彼と共に暮らす父親の存在なのか。
彼女と娘を慈しむ母親の存在なのか。
アイルランド人と、チェコ移民という人種の問題なのか。
彼らの生活の中での、経済的な問題なのか。

彼らの間に残ったのは、果たされなかった一つの約束と、1枚のCD。
彼のもとに残ったのは、彼女が取り戻してくれたギターの重み。
彼女のもとに残ったのは、彼が送った一台のピアノ。

物語の初めに二人の奏でる音と声と、そして心が重なり合った曲を、もう一度彼らは奏でます。
同じ曲を奏でる二人の視線が今は違う方向を向いていて、でも心は今も互いに向かっていて、
それなのに二人の未来は重ならないことを二人ともがわかっていて、
その上で、曲がりくねった自分たちの道が重なった一瞬を二人ともがかけがえのないものと思っていて。
そのことが、なんとも切なかったです。


主役の二人を中心に書きましたが、そのほかのキャストもとっても魅力的で、
どのシーンも楽しかったですv
役者さんは全員が演奏もして、小道具も動かして、ほんとに大忙し!
女の母親役の役者さんのアコーディオンを奏でる姿がとてもかっこよくって惚れ惚れしちゃったv
楽器店の店長さんも、自分の気持ちに正直で、情が厚いところがすてきだったし、
銀行の支店長さんの突拍子のない歌声とその後のドヤ顔と、
チェロを弾くときの端正さのギャップが素敵だったし。
(でもって、思いっきり喧嘩してたこの二人、最後は仲良しになってたよねーv)
女の同居人の三人も、いい味出してたなーv
肉体派?なドラムスのシェヴェッツ。
キュートで誰より男前なレザ。
頑張り屋だけど報われなくて、でも前向きなアンドレイ。

このアンドレイが実はちょっとお気に入りだったのですが、
彼がベースを取り出したときには、どれだけベーシスト好きなんだ私!と思いました(笑)。
2幕、演奏の練習が喧嘩別れになっちゃった現場に、
昇進試験に落ちた傷心のアンドレイが戻ってきてバタンと床に倒れるのですが、
そのあと、練習を抜けだした男と女が夜景を観に行くシーンになるのね。
セットの上方に上った二人にだけライトが当たって、暗くなった舞台の床に、
天の川みたいに小さな灯りがともるのだけど、
ずっとそこに横たわったアンドレイのシルエットがあって、
上方では二人がすごく切ないシーンを演じているのに、ちょっと気持ちがそっちに向いちゃってました(笑)。
頑張れ、アンドレイ!

あと、男と女が決別した時、彼女を真ん中に、母親と同居人がバーカウンターに並んで座ったシーンが、
なんだが凄く印象に残っています。
言葉のわからない異国の地で、こんな風に肩を寄せ合って彼らは生きてきたのかな。
自分の居場所、自分を求めてくれる誰かを探して・・・
彼らが去って、ひとり座る彼女を後ろから抱きしめる娘の細い腕にも、なんだかちょっと泣けてきました。

男の父親の懐の深さにもちょっとよろめいたかなー(笑)。
一人にしてしまうことを気遣う息子に、そんな気遣いは無用だと、
言葉以上に表情で伝えた父親。
言葉以上に、という点だと、スタジオのエンジニアのエイモンも良かったなー。
寄せ集めのバンドメンバーに、「大丈夫かこいつら」的な目を向けてたエイモンが、
彼らの演奏を聴いて、驚きから感嘆へと感情を変化させていくのが、
台詞も、大きな動きもないのに凄く伝わってきてびっくりしました。
でも、あの演奏はほんとに凄かった!

というか、このミュージカルはほんとに楽曲が素晴らしかった!
それぞれの楽曲はもちろんなのだけど、同じ曲が違う場面で使われるところでの意味深さも。
上記の♪Falling Slowly もだし、
1幕最後に、男が初めて女へ向かって歌った♪Gold が、
終盤に宗教曲のようなアカペラで歌われたシーンには、ちょっと鳥肌立ちました。

舞台を観ながら、あれ、この曲聴いたことがある、と思ったのですが、
翌日に買ってきたCDを聴いていて、「Underground Parade」で何曲か使われてたことにやっと気づきました。
3年以上前のたった2回の観劇でも残ってるものですねー。

そんなこんなで、言葉の壁を超えて楽しめた舞台でした。
もっとちゃんと物語を理解したくて映画版のDVDも買ってきちゃったv
某レディオの191回で田代さんも勧めてたしねー。
 というか、チケット買ってからこの回を聴いたので、凄いびっくりしました/笑)
これでしっかり復習して、時かい来日公演があったらまた観に行こうと思います。
その時は、舞台の上にも上がってみたいなv

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