瓔珞の音

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zoom RSS 伝説の礎

<<   作成日時 : 2015/04/03 23:05   >>

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年々記憶力が落ちているのを自覚しているので、
なるべく観劇記録は早めに書こうと思っているのですが、
年度末とか研究会とか観劇とかライブとかライブとか(笑)で、
あっという間に観劇から2週間が経ってしまいました・・・
こんなこともあろうかと、ツイッターに覚書しちゃったのが良くなかったかなー。
なんだかそれで安心しちゃったみたい(笑)。
とりあえず、彼らの最後の船出に間に合うように、観ました!の記録だけしておこうと思います。
ほぼツイッターからの転載になっちゃうと思いますがご容赦くださいねー。


「TITANIC the musical」

2015.3.21 ソワレ シアターコクーン 2階B列20番台

出演:加藤和樹、鈴木綜馬、藤岡正明、戸井勝海、佐藤隆紀、津田英佑、古川雄大、入野自由、矢崎広、
   上口耕平、小野田龍之介、栗原英雄、シルビア・グラブ、未来優希、則松亜海、菊池美香、関谷春子、
   安寿ミラ、佐山陽規、光枝明彦、川口大地、須藤香菜


あの有名なタイタニック号の出航から最後までを描いたミュージカル。
実は私、映画も見たことがなくてですね・・・
TVの特番か何かで、大まかなことは知っているくらいでの観劇となりました。
で、思った。

あのチラシと全然内容違うじゃん!!

いやー、この感覚は今年2度目なんですが。
でもって、どちらも加藤くんが出演してるんですが(笑)。
こういうチラシでのミスリードって流行りなのかな(違います)。

加藤くんが一人胎児のように海の中に沈んでいくあのチラシからのイメージとは全然違う、
まさに群像劇、という感じだったなあ、と思います。
とにかく登場人物が多くて、しかも一人が何役もやってらっしゃって、
更にはあらすじに役名しか書いてないものですから、
劇場に入ってから開演まで、ひたすらプログラムを行きつ戻りつして、
なんとか主要な役と役者さんだけでも頭に叩き込もうと努力いたしました。
おかげで、せっかく加藤くん演じるアンドリュースが、
ステージの上で一人静かに設計図を書いててくれてたのに、チラ見した程度でしたよ・・・残念!
でも、その努力がある程度役立って、観ている最中は概ね混乱せずにすみました(笑)。

見ていて思ったのが、本当に“普通の人たち”の物語だなあ、ということ。
こんな風に歴史に名をのこしてしまう事件の当事者となってしまったけれど、
この船に乗った人たちにとって、この航海は非日常ではあったかもしれないけれど、
でも、日常の延長にある、人生の中での数日間でしかなかった―――そのはず、だった。

1幕で、丁寧に描かれるその“普通の人たち”の想いや、垣間見える過去。
彼らの生きる日常。
彼らが抱く夢。
彼らを隔てる身分差。
そういうものが、全て壊され、奪われていく、2幕―――その、瞬間。

美しい音楽。
素晴らしい歌声。
シンプルだけれど奥行きの感じられるセット。
色とりどりの衣裳。
それらが、全て沈んでいく、蒼い蒼い世界。

これはミュージカルだから。
きっと実際の“その瞬間”は、もっともっと、想像もつかないくらい厳しいものだったのでしょう。
それでも、こんな風にして彼らは“その瞬間”を迎えたのかもしれない。
急ぎ足すぎてわかりにくい部分とか、整合性に首をかしげる部分もあったけれど、
観終わった後素直にそう感じられる舞台だったと思います。
そして、だからこそ、カーテンコールで降りてきた蒼い布に記された沢山の名前に、
自然に黙祷することができたのだと思います。
そういう意味では、全員が主役と言ってもいいような、群像劇だったと思います。


そんな“普通の人たち”の物語であることを強く感じさせてくれたのが、
上口くん演じる無線係のハロルドでした。
踊らない上口くんを見るのは初めてだと思うのだけれど(笑)、
ちょっと内向的なはにかんだ微笑みが似合う青年でした。
彼と、藤岡くん演じる機関士フレドリックのシーンは、本当に良かった。
フレドリックが恋人に送る無線を打ちながら、ハロルドの笑みがどんどん深くなっていって―――
彼が歌う、打ち込む音を模したフレーズ。
その、無機質なはずの音の連なりが、誰かの大切な言葉を伝えるものなのだと、
誰かが誰かに向ける深い想いを載せたものなのだと、
そして、それを奏でているのが自分なのだと―――自分が、奏でることができるのだと。
そんな、仕事に向かう純粋な喜びとか、フレドリックとの間に確かに生まれた友情とか、
そういう“日常”的なことの幸せのようなものが凄くリアルに感じられて、
なんだか見ていて涙が零れてしまいました。
それから、終盤、沈没へのカウントダウンの中でトップ三人が諍いを起こす横で、
ただ懸命に救難信号を打ち続ける姿にも胸が痛みました。
それは、そんな彼の姿の後ろに、
まさにその時自分のできることを懸命にしている人たちの姿が見えた気がしたからだと思う。
決して台詞の多い役でも、インパクトの強い役でもないと思うのだけれど、
個人的には一番印象に残りました。

藤岡くんのフレドリックは、登場人物の中では一番背景が語られてたかな?
自分の仕事に対するプライド。
プライドがあるからこそ湧きあがる疑問と怒り。
残してきた恋人への想い。
最後までプロフェッショナルで在ろうとする姿勢。
そのどれもが、圧倒的な歌声の力と共に迫ってくるように感じました。
この役の印象が凄く鮮明だったので、一等客室の紳士役で出てきたときには、
ちょっと違和感が強くて笑っちゃったのですが・・・すみません!(笑)

この二人と仲良くなる見張り役フリート役は入野くん。
彼が氷山を見つけるわけなのだけれど、
見張り台の上で暗い海と空を見つめながら彼が歌う曲の美しさと、
そこから徐々に高まる緊張感からの崩壊を、息を呑んで見つめてしまいました。
あの曲はもう1回聞いてみたかったなあ・・・!

古川くんは、メインの役は三等客のジムなのですが、
他のどの役でもすぐに彼だ、とわかる存在感(というかスタイルの良さ?/笑)はさすが。
則松さん演じるケイト・マクゴーワンとのやりとりの中で、
待ち受ける未来へ向けて顔を上げて行くジムの変化も良かったですが、
個人的には給仕役と機関士に指示を出す役が印象的だったかな。
給仕役は、一等客のディナーの準備の時にカトラリーをばら撒いちゃって、
戸井さん演じる一等客室係のエッチスに怒られるのですが、
その起こり方というかフォローの仕方が秀逸で!
しゅんとしていた給仕が、だんだんと笑顔になっていくのが微笑ましかったですv
機関士に指示を出す役(ベル?)はねー、「了解!」って言う声が好みでした(そこか/笑)。

則松さんは初めて拝見する方ですが、凛とした歌声がとても素敵でした。
いろいろ訳ありな感じで、それはちょっと無謀なんじゃ?!と思ったりもしたのですが、
そのバイタリティが、ジムのネガティブさ(笑)と好対照で!
この二人、アメリカでも上手くやっていけそうだなあ、と思ったのですが・・・
この事故で生き残った後は、どうだったのかな、と思ってしまった。
船をこぐことを理由に、自分を船に乗せたフレドリックを見上げるジムの呆然とした後ろ姿に、
この瞬間の記憶を共有したケイトとの未来を、ジムは選べないんじゃないかなあ、って。

菊池美香ちゃんは相変わらずの綺麗なソプラノにうっとりしました。
ケイトその2の時も可愛かったですが、
エレノアが入野くん演じる旦那さまと別れるシーンの残酷さと、
その後の凍り付いたような表情に胸をうたれました。
やっぱり子どもがらみには弱いな、私(^^;)
でも、エレノアは、きっとしっかり旦那さまの分も子どもを愛して育てていくと思う。

ケイトその3な関谷さんは柔らかな雰囲気が素敵だったな。
あらすじを読んだときは、ケイト三人ってどうしろと?!と思ったのですが、
実際に観てみると、それぞれ個性的な役柄で、全然混乱はありませんでした。

技あり!と思ったのが矢崎くん。
14歳(だったかな?)のベルボーイから、
楽団の指揮者で歌手の洒脱で強かなハートリーまで、
見事にがらっと雰囲気を変えてみせてくれました。
実はデビュー作からこっそり応援中なのですが(あ、入野くんも出てたね)、
見るたびにいい役者さんになったなあ、と思えるのは幸せですねv

栗原さんとシルビアさん演じるビーン夫妻。
暴走する妻と、それを抑えようとあたふたしつつ怒っちゃう夫に、ハラハラしちゃいました。
でも、根底にちゃんと愛があるのがわかるから、ハラハラしつつも笑ってられたかな。
ビーン妻は、身近にいたらちょっと鬱陶しいかなあ、とも思いつつも、
それを愛嬌として演じられるシルビアさんがさすがでしたv

佐藤くんのチャールズと未来さんのキャロラインのカップルは、とにかく歌声の素晴らしさに感嘆!
未来さんの歌声のもつ情感の豊かさ。
佐藤くんの歌声の麗しさ。
その二つが重なると、その美しさにうっとりしてしまいました。
佐藤くんはミュージカルは初、とのことで、台詞にはちょっとぎこちなさがあるように思いましたが、
それを未来さんがさりげなくリードしていて、後半は全然気になりませんでした。
佐藤くんのフランツは、観る予定ではなかったのだけど、ちょっと興味が出てきちゃいました。
若い頃のフランツは、文句なしに似合いそうな気がする(笑)。

安寿さんと佐山さんのストラウス夫妻はね・・・
終盤に至るまで、派手ではないというかむしろ目立たない夫妻なのですが、
船に乗るときのふとした仕草からも二人の信頼関係が感じられるような繊細さがあったように思います。
その繊細に紡がれた感情は、2幕、妻が船に残ることを望み、
最後の時までの限られた時間を二人で過ごすシーンで、見事に編み上げられていました。
夫が妻に上着を羽織らせる。
たったそれだけの仕草に、二人の間に積み重なった時間とか、結ばれた信頼とか、
そういう強い関係性が、とてもクリアに見えて・・・
周りの喧騒の中で、きっとあの二人の周りにだけ優しい静寂があったんだろうなあ、と思いました。

そんな二人にシャンパンを勧める戸井さんのエッチスさんの静かな佇まいも素敵だったなあ。
というか、エッチスさんのプロフェッショナルさに脱帽です。
とにかく、どの瞬間にもお客様のために最善を尽くす、という毅然とした、けれど柔軟な姿勢。
フレドリックとはまた違った仕事への矜持が感じられました。
現実のタイタニックの一等客室係も、こんな風だったのかなあ・・・

一等航海士マードック役は津田さん。
歌声は何度も聴いてますが(ハンス王子ね/笑)、舞台で拝見するのは初めて、かな。
たいてい舞台後上方の薄暗がりの中にいたので、表情は良くわからなかったのですが、
船長に対する尊敬や信頼、それと対比するような自己評価の低さのようなものが、
台詞だけでなくちょっとした仕草や、台詞前の躊躇いで感じられたように思いました。
真面目、優秀で、だからこそ臆病になってしまうマードック。
氷山にぶつかった後、彼が放心状態になってしまう理由を、
私は、彼が説明するまでわからなかったのだけれど・・・
それでも、彼にはあの最期しかなかったのかと、やるせない気持ちになります。

二等航海士ライトーラー役は小野田くん。
実は、この役名が観劇前にはインプットされてなくて、小野田くんだって最初わからなかったんです。
わからなかったけど、この人いい声してるなー、って心惹かれていて、
幕間で小野田くんだ、ってわかったとき、なんだか凄く嬉しくなっちゃいました(笑)。
マードックが放心状態になっている時に、
それを補うかのようにきびきびと船長の命に従うところに、ライトーラーの矜持も見た気がしました。

イスメイ役の鈴木さんは、最初から最後までぶれない在り方だったなあ、と思います。
とってもわかりやすい悪役、というか憎まれ役なのだけれど、
冒頭の船出の時に「伝説を作る」と歌い上げた彼の声に、
名声とか、利益とか、他社との競争とか、そういうものを超えて、
ただ彼はこの巨大な船に夢を見ていたのかなあ、と思ったり。
生き残った彼には、たぶんその後想像を絶する苦難があったと思う。
彼が救命ボートに乗ったのは、単純に死にたくなかったからかもしれないけれど、
彼なりの責任の取り方だったのかな・・・?
いや、やっぱりイスメイは全然責任感じてないだろうな、きっと(^^;)
でも、そのぶれなさが良いんだと思います!

設計者アンドリュース役の加藤くん。
・・・寡黙な役でした(笑)。
結構いろんなところに出てきているんだけど、
でもって、結構台詞もあったと思うんだけど、最終的な印象は寡黙。
開演前、一人製図を引く姿が、終盤、同じ机でこの船の欠陥を見つけていく時の、
高揚ともいえるような絶望が鮮やかでした。
この瞬間でなければ、彼の発見は未来へ続いていったかもしれないのに。
船が沈む瞬間は、彼の台詞だけで綴られるのだけれど、
その役割が彼であることは、なんて皮肉なんだろうと思いました。
そして、あの傾く瞬間に、ジャベールの最後が思い浮かんだのは私だけでしょうか・・・(^^;)
あ、でも、ジャベール、似合うかもしれななー。
10年後ぐらいにできるといいね。

スミス船長役の光枝さん。
抑えた演技なのだけれど、彼の中での複雑な感情の変遷がとてもクリアだったように思います。
終盤、互いの責任を追及するように三人が言い合う場面があるのですが、
イスメイがアンドリュースに向かって「お前の船だ!」と言い、
アンドリュースがそれを受けて「私の船だ」と言うのですが、
その後、スミス船長が、確か「私が船長だ」と言ったと思うのです。
その、呟くような低い声が、私には「私がこの船だ=この船の全ての責任は私に在る」という風に聞こえて、
その苦渋に満ちた覚悟に、なんだかはっとしてしまいました。


2週間前だけど、我ながら結構覚えているものだなあ(笑)。
でも、きっと見損ねた部分とか、誤解している部分とかたくさんあると思います。
若手の頑張りと誠実さ、中堅の巧みさと安定感、ベテランの貫禄と妙が、
群像劇としてのバランスを支えている―――そんなこの舞台。
いつか再演されるときが来たら、また観に行きたいな、と思います。


あ、この日は終演後にトークショーがありました。
凄く面白かったのだけど、さすがにもう書く気力がありません(^^;)
ご興味のある方はtwilogの方へどうぞv

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