瓔珞の音

アクセスカウンタ

zoom RSS 異質の輝き

<<   作成日時 : 2015/09/18 22:25   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

今年は彼岸花がいつもより早く、そして沢山咲いていますね。
田圃の畦道が真っ赤になるくらい。
毎朝うっとりしながら通勤しておりますv
でも、雨が多いせいか、ちょっと色が褪せた感じかなー。
明日からお天気回復しそうなので、鮮やかな赤になるのを楽しみにしていようと思います。

さて、世間様は明日からシルバーウィークという名の連休なようですが、私は半分お仕事です・・・
とはいえ、ちゃんとお楽しみもあるので、その前に書きそびれていた観劇記録を!


「Clementia」

2015.9.12 マチネ 天王洲銀河劇場 1階I列30番
2015.9.13 マチネ 天王洲銀河劇場 1階B列一桁台

構成・演出・振付:川崎悦子
出演:宮尾俊太郎、大貫勇輔、尾上菊之丞/藤原道山、SINSKE


Clementia―――寛容、というタイトルのこの舞台。
ちょこっと調べてみたら、ここで言う“寛容”とは、ただ受け入れるということではなく、
“他者の異質性を認めた上で、自分の価値観を押し付けることなく他者の存在を受け容れる”ということのよう。
バレエダンサー、コンテンポラリーダンサー、日本舞踊家、尺八演奏家、マリンバ奏者による舞台、
と最初に目にした時は、異種格闘技的なものを想像していたのですが、
実際の舞台は、まさに“Clementia”の言葉通り、
異質な才能同士が相手に挑み、受け入れ、馴染み、混じり合うことで、
一つの濃密な世界を作ると同時に、更にそれぞれの異質さ―――魅力が際立つ。
そんな素晴らしい空間であり、時間でした。

第1幕「MOMOTARO」。
暗闇の中に浮かび上がったのは、竹藪のような何本もの緑の棒が重なり合ったセット。
その奥から現れたのは、淡い桃色の大きなバルーンでした。
舞台奥から当たる光を受けて、それ自体が微かに発光するようなその珠の中に浮かび上がる、男の影。
踊るような、もがくような男の動きに伴って、その珠も膨らみ、縮み、歪み、揺れ動く―――
グレゴリオ聖歌のような重なり合う歌声と、鳴り響く雷鳴の中繰り広げられるその光景は、
妖しく、荘厳で、美しくもどこかエロティックで・・・息を呑んで見つめてしまいました。
そして、ひときわ大きく鳴り響く雷鳴の中、
自らを守る、あるいは拘束するその膜を破り出る男―――それは、まさに「誕生」の瞬間でした。

子宮のような珠。
そこに在るのは、羊水に浮かぶ胎児が感じる安心感と、
大きな苦しみを経て、それでもなお、その世界から自ら生まれいずる存在。

・・・なんだかもう、最初っから圧倒されてしまいました。
初回は、まさに初演だったせいか、上手くバルーンが破れずに手しか出てこなくて、
それはそれでバルーンを破る手の切実さとかがかなり衝撃だったのですが、
2回目に観た時には綺麗にバルーンを破って、反り返るように天を仰ぐ大貫くんの姿が、
本当に神々しいまでに美しくて―――いやもう、このオープニングだけでも見る価値あり!
というか、この最初の興奮を裏切らない、ほんとに全編見る価値あり!!な舞台でございました。

こんな風に始まった、Clementia風桃太郎の物語。
桃太郎の誕生から成長、旅立ち、出会い、そして戦いまでを、
マリンバと尺八の演奏とダンスで描いていくわけなのですが・・・
(状況説明としての台詞も何か所かはあり)
そもそも、マリンバと尺八の演奏が素晴らしく!!
マリンバはこれまでも聴いたことがあったのですが、尺八をこんなにじっくり聞くのは初めて。
何本ものサイズの違う尺八を駆使しての藤原さんの演奏に、めちゃくちゃ圧倒されました。
尺八って、こんなに自由度の高い楽器だったんだ?!って。
恥ずかしながら、尺八と言うと虚無僧がヴォーと吹いている印象しかなくて(^^;)
実家にある曽祖父(僧侶でした)の形見の尺八を戯れに吹いてみた時は音も出せなかった私には、
尺八で♪フィガロの結婚序曲 が演奏されるのを見た日には、もうあんぐり口を開けて眺めてしまいましたよ。
完璧モーツァルトなのに、ちゃんと和のテイストというか尺八ならではの歪みのようなものもあって・・・
そこに軽やかに重なっていくマリンバの音色が更に多彩さを加え、
そして、その音楽で踊るダンサーさんたちが、またそれぞれに魅力的でv

フィガロは、幼い桃太郎(大貫勇輔)が、村のこども(宮尾俊太郎)と遊びながら体を鍛えていく、というシーン。
それぞれに片手と片足を白い幅広のようなゴムでつないだ二人。
最初は筋トレをするような動きだったのが、
それぞれに挑発し合うようにして、跳び、回り、踊り出すわけなのですが、
それがほんとに子ども同士が競ってるみたいで可愛らしくv
でも、可愛らしいだけでなく、凄く難しいことをさらっとやってるなー、とやっぱりびっくりしてしまいました。
でもって、二人が同じ振りを踊っても、それぞれから受ける印象が全く違うのがとても面白かったです。
それにしても、大貫くん、ちょっとほっそりした?
髪型のせいもあるのかもですが、ちょっと可愛らしい感じでしたv

鬼として最初に踊ったのは、尾上さん。
きちんとした日舞を見るのはかなり久しぶりなのですが・・・いやー、凄い良かった!!
最初は金棒を持っていて、その後確か扇子に持ち帰るのですが、
とても静かで滑らかな動きなのに、扇子自体が命を持っているかのような生々しい迫力がありました。
尾上さん、最初におばあさんも演じられていたのだけど、それも味わい深いというか、
どこかちょっと不穏さというかブラックさの感じられるおばあさんで、おおお!と思ってみたり?
次に出てきたときは、優しいおばあさんになっていたので、それは私の誤解だったのですが(笑)。

鬼が島に旅だった桃太郎は、昔話の通り犬・猿・雉に出会うわけなのですが、
この時点でSINSKEさんが桃太郎に。
で、大貫くんの犬と、尾上さんの猿と、宮尾さんの雉とのシーンが始まるわけですが・・・
なぜか、きび団子争奪ダンス大会に!(笑)
一番手はアメリカンな犬の大貫くん。
これがまためちゃくちゃ可愛かったんですよ!
黒のトップに、だぼっとしたダルメシアン柄のパンツ、そして黒の帽子がとってもお似合いv
軽妙洒脱、という言葉がぴったりな感じでした。
見事きび団子をもらって、帽子でそれを隠してお昼寝した犬にこっそり近づくのが、尾上さんの猿。
きび団子をくすねようとしたり、寝ている犬にちょっかいを掛けたりするのですが、
それがまた動きだけなのにとっても雄弁で!
まさに犬猿!という感じの二人が、その後徐々に仲良くなっていくのが微笑ましくv
で、仲良くなった二人の前にさっと飛び出してきて、
くるくる回ってパーッといなくなっちゃう宮尾さんの雉がまた!!
呆然と顔を見合わせる犬と猿を全く意に介さず、ほんとに飛んでいるように軽やかで、
そしてどこかコメディタッチで空気を読まない系の雉に感嘆したり、苦笑したり(笑)。
なんともいい距離感の三人がとっても微笑ましかったですv
そういえば、三人が出てきたとき、
桃太郎に向かって英語日本語フランス語で「何持ってるの?」的なことを聞いて、
桃太郎がマリンバの音で「きびだんご」と答えるのだけど、
その音が何て聞こえるかを三人がそれぞれ言うアドリブで言うシーンがありまして。
その無理やり感に爆笑いたしました・・・
犬なんて、文字数すら合ってなかったものね(^^;)

そんな風に仲間がそろったところで、鬼退治へ・・・なのですが、
この鬼、絶対音感があって音痴な村人を食べちゃってた、という設定。
「目には目を、音楽には音楽を」ということで、
桃太郎はマリンバの演奏で、犬猿雉は得意のダンスで尺八を奏でる鬼(笑)と戦うことに!
そのツッコミどころ満載な設定に最初は戸惑っていたのですが・・・
いやー、始まってみたらめちゃくちゃかっこよかったです!
犬猿雉がそれぞれに、あるいは一緒に向かい立っていく姿。
桃太郎が奏でるマリンバの押しては引く並のような音色。
(マレットの柄で叩いたりもするんですね。びっくり!)
それらを一人で受け止め、弾き飛ばし、なぶり、嘲笑い(吹きながら!)、
空気ごと切り裂くかのうような鬼の尺八!
もうどれもこれも見事で・・・思わず涙してしまいましたよ。
鬼のアドリブの演奏(雉にはクラシック、犬には必殺仕事人のテーマだったり(笑))に、
犬猿雉が立ち向かうなど、
クスッと笑えるシーンもあったりしたのですが、
最後、鬼に圧倒されて倒れ伏した犬猿雉が、やはり傷ついた桃太郎の渾身の演奏に立ち上がり、
鬼と対峙し、雄たけびを上げながら向かっていくシーンの迫力には、
なんだか根源的な部分に迫ってこられる感じで、なんだかめちゃくちゃ感動してしまいました。

物語的には、ツッコミどころ満載で、ちょっと破綻している部分もあるのですが、
それを補って余りあるリアルで大迫力な「桃太郎」の物語だったと思いますv


「OMNIBUS」と題された第二幕。
プログラムには「1.メンバー紹介」とあったので、自己紹介的なものかなー、と思っていたのですが、
自己紹介は自己紹介でも、お揃いの衣裳で和傘を持っての白浪五人男の勢揃い風な自己紹介!!
幼少期からその分野に至るまでをそれぞれが語ってくれるのですが、
本職な尾上さんはともかく、他のみなさんもめちゃくちゃいい声で、本当にかっこよく!
内容や節回しも、しっかり笑いが取れるよう工夫されていて、凄い楽しかったですv
大向こうもかかっておりました。
「天然ボケが玉に瑕」といった後、名乗った時に開いた傘を、
後ろを向いたとたん閉じちゃった宮尾さん(初日)も微笑ましくv
そして、大貫くんがめちゃくちゃ楽しそうなのがなんだか嬉しかったり(*^_^*)

大貫くんとSINSKEさんの♪ムーンライト・セレナーデ は、初日と二日目で振りが違ってたように思うのだけど、
もしかしてその場でのセッション、という感じだったのかしら?
初日は犬っぽさが残っている感じで、二日目は動き自体は少なくなっていたけど、
SINSKEさんとのほのぼのした雰囲気に凄く和みました。

SINSKEさんと尾上さんの♪月夜浮遊 は・・・いやー、泣けた。
日舞でこんなに泣けるとは思いませんでした。
どうしてなのか自分でもわからないけれど、尾上さんの滑らかな足さばきにも、
太くしなやかな芯の感じられるそのまっすぐな背中も、
ゆっくりと、けれど確実に空気を震わせるその手の動きも、
そして、静かな表情の中に感じられる激情も―――
なんだか本当に胸の奥底から揺さぶられるような感じでした。

藤原さんとSINSUKEさんの演奏での♪僕は怖い は、当然のことながら宮尾さんと大貫くん。
デザインの違う黒の衣裳で同じ振りを踊る二人は、
鏡に映った同じ存在のようにも、過去と未来のようにも見えました。
限りなく近いのに、完璧に重なることは決してない、二人。
元のミュージカルを知っていても、観ている瞬間はそのことは全然頭になくて、
全く別の世界を見せていただいたように思います。

その後は、藤原さんとSINSKEさんのセッション。
私が見た時は、2回とも♪Over the Reinbow だったのですが、尺八の少し乾いた音色と、
マリンバのまろやかな音色の重なりが本当に心地よくv
ソワレは別の曲だったのかな? それも聴いてみたかったです。

最後は、藤原さんとSINSKEさん、宮尾さんと大貫くんでの♪ボレロ 。
大貫くんの登場の仕方が、ちょこっとアンパレっぽい感じがして、それだけでちょっと泣きそうになったり(笑)。
尺八とマリンバが交互に主旋律を奏でるのも面白かったし、
大貫くんと宮尾さんのそれぞれの魅力が見えるダンスも見ごたえあり!

でも、尾上さんが出てこなくてちょっと寂しいなあ、と思っていたら、
カーテンコールでは全員での♪アヴェ・マリア を見せてくださいました。
で、これがまためちゃくちゃ良かったんですよ!!!
三人が全く同じ振りで踊るのですが、それぞれの踊りの違いが見えるのがとても興味深く。
回転の速さ。
手の上げ方。
足の捌きかた。
首の傾げ方。
当然のことながら、見える形も、受ける印象も全く違う―――でも、“ひとつ”なのだと思った。
“ひとつ”で、同時に限りなく“異質”。

それは、それぞれの物語への対峙の仕方なのかな、と思う。
空気、と言ってもいいかもしれない。

大貫くんのダンスは、圧倒的な吸引力で空気を支配して、物語を自ら創り出す。
宮尾さんのダンスは、丁寧で繊細な感覚で、物語の本質を削り出し体現する。
そして、尾上さんは―――その存在自体が、空気であり、物語である。

私にとって、大貫くんが創り出す“物語”は本当に魅力的で。
だから、今回もついつい大貫くんに目が行ってしまったのだけど。
でも、そうやって大貫くんを目で追う私の意識にすっと忍び込んで、
いつの間にか目が離せなくなっていたのは、尾上さんでした。
なんだろう、日舞のあの間が思いがけず凄く響いてきた感じなのかな、と思います。
そのことにびっくりしつつ、でも、なんだかとっても嬉しくなってしまったのでした。


そんなこんなで、予想していたのとは全く違う方向の、
でも本当に素晴らしい、奇跡のような舞台を見せていただきました。
初回を観終わった後は、とにかく凄いものを観た!という高揚が抑えられなくて、
偶然久々にお会いした方と、終演後がーっとマシンガントークさせていただきましたv
千秋楽のチケットもとっちゃいそうな勢いだったのですが、諸事情で断念(;_:)
2回しか観れないなんて・・・と哀しくなっていたら、二日目のマチネにカメラが!
そして、千秋楽後にDVD発売の発表が!!
そうだよ!
この舞台は絶対映像として残すべきだよ!!
でもって、ぜひシリーズ化していただきたい。
かぐや姫とか羽衣伝説とか面白いと思うんだけどなー。
それぞれの分野で活躍されている方々なので、難しいとは思いますが、
希望は捨てずに待っていようと思います。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
異質の輝き 瓔珞の音/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる