瓔珞の音

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zoom RSS 余白のその奥

<<   作成日時 : 2015/10/12 20:31   >>

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物語でも、舞台でも、役者さんでも、ミュージシャンでも、
“余白”を感じさせてくれる存在が好きです。
目の前にあるもののその向こう側。
そこに至るまでの過程。
その想いを抱くまでの葛藤。
その言葉が生まれるまでの思考。
描かれている以上のものを感じさせてくれる、“余白”。
“余白”がしっかりしているからこそ創り上げられる、世界。

そのことを、改めて感じた舞台でした。


「CHESS」

2015.10.2 ソワレ 東京芸術劇場 プレイハウス 1階I列10番台
2015.10.3 ソワレ 東京芸術劇場 プレイハウス 1階G列20番台

作曲:ベニー・アンダーソン、ビョルン・ウルヴァース
原案・作詞:ティム・ライス
演出・訳詞:荻田浩一
音楽監督:島健
出演:安蘭けい、石井一孝、田代万里生、中川晃教、AKANE LIV、戸井勝海、ひのあらた、天野朋子、
    池谷京子、角川裕明、高原紳輔、田村雄一、遠山祐介、横関咲栄、大野幸人


2度のコンサートバージョンを経て、満を持してのミュージカルバージョンの上演。
初演でその楽曲と役者さんの歌声に魅了され、再演でその物語への興味が深まり、
今回のミュージカルバージョンを心待ちにしていたわけですが・・・

すみません、2回の観劇ではちょっと馴染むことができませんでした(^^;)
提示される情報が増えたのに、伝わってくる感情の流れがコンサートバージョンよりもぎこちない印象。
たぶん、ミュージカル、という言葉に対して、私が無意識に受身になってしまっていたんだと思う。
コンサートバージョンで感じられた“余白”を埋めるものを、無意識に求めてたんだな、きっと。
でも、実際には中途半端に(個人的にです)情報が増えたけれど、
“余白”を満たすには足りず、かといって私の深読みを刺激する“余白”はなくなってしまった感じ?
物語の流れとしてはわかった。
でも、どうして彼が、彼女がこの選択をしたのか、この想いにたどり着いたのか・・・
コンサートバージョンで感じたはずのその“余白”が、今回はあまり感じられなかったんだなー。
セットが、コンサートバージョンと似た感じだったり(オケが下手1/3を占めてるのとか、チェス模様とか)で、
コンサートバージョンの印象が鮮烈すぎて、私が切り替えられてない、というのもあるかな。
まあ、コンサートバージョンも、マイクを持って歌ってるからコンサート、という感じで、
台詞もあったし、もともとかなりミュージカルに近かったですしね。
まあ、これは私の勝手な向き合い方の問題なので、
もしかしたら、初見がミュージカルバージョンだったら、
凄く楽しめたのかもしれません(でも、脚本的には理解しにくいかも)。

そんなこんなで、個人的に“物語”としてこのミュージカルを語ることはまだできそうにないので、
今回は役者さんの感想をさらっと。

まずはやっぱりアッキーのフレディ!
傷ついた子どものころの自分という呪縛から逃れるために戦い続けるフレディの、
強さ、弱さ、孤独、強がり、甘え、苛立ち、怒り、不安、絶望、後悔、希求―――
そういうものを、歌声と表情と、小さな仕草や視線で見せてくれたように思います。
最初に観た時は、感情の流れが今一つスムーズではないなあ、と思ったのだけれど、
2回目に、その小さな仕草や表情に目が言った途端に、
すっと自分の中で“フレディ”という存在の輪郭がクリアになったような気がしました。
1幕の彼は本当に子どもだなー、と思った。
そして、フローレンスに対しての甘えが明らか。
反抗して激しい言葉で罵って拒絶して、でも、その後に気になって気になって、
遅れながらも約束の場所にちゃんと行こうとするところなんて、ほんと子ども。
でも、そうなっても仕方がない過去が彼にはあって―――
そのことを知らしめる♪Pity the child は、今回も本当に素晴らしかったです。
荒野に向かい立つ少年の後ろ姿が見えたよ、本気で。
あの瞬間、ぶわっと私の中にこみ上げてくる感情があって、涙が零れました。
で、それを知ってしまうと、アナトリーとフローレンスの密会(フレディ的にね)を見てしまった彼が、
あんなにも激昂して拗ねるのは当然だよね・・・と思ってしまった。
きっと、あの瞬間にアナトリーの中ではフローレンスが母親と重なったんだろうな。
だからといって、言っていいことと悪いことがありますが(^^;)
で、2幕の彼は、ちょっとだけ大人になっていたように見えました。
なんだろう・・・常に一人称の視点だけを持っていた彼が、二人称の視点を持つようになった感じ?
♪Someone else’s story は、そういう意味では、この瞬間の彼に本当にぴったりの楽曲だと思う。
最終的に、この物語の中でフレディがどういう立ち位置になるのか、私はちゃんと理解できていない。
でも、あのある意味絶望的なラストシーンでの、彼のソロの歌声、
そして、チェスの精が掲げるチェス盤に駒を置く彼の仕草、
その時の強い視線に、私はこの世界の強さと未来を感じた。
“国”ではなく、“人”としての強さと未来を。


安蘭さんのフローレンスは、子どもと大人の同居具合のアンバランスさが印象的。
フレディのように常に過去に縛られているわけではないけれど、
無意識の根っこの部分に治り切らない傷がある感じかなあ。
歌声のパワフルさは相変わらずですが、その“揺らぎ”を今回とても強く感じました。
でもって、最終的に、この物語はフローレンスの物語なんだなあ、と思ってみたり。

石井さんのアナトリーはねー。
もう回を重ねるたびに嫌いになっていくんですがどうしましょう(笑)。
今回は、笑い声にすら癇に障ったからねー。
多分、私が素で生理的にこういう男が嫌い、っていうのがあるのだと思うけど、
ある意味そこまで感情的な受け取り方をさせてくれる石井さんってすごいなー、と思います。
フローレンスとスヴェトラーナが歌う♪I know him so well に心底納得しちゃったものね。
こういう風に、相手を諦めさせてしまう“何か”が彼にはあるんだろうなあ。
でも、諦めさせる、ということは、そこで関係を断ち切らせる、
それ以上の未来を拒絶する、ということでもあって―――
アナトリーは無意識だとしても、そういう彼の究極の自己完結は、なんて残酷なんだろう、と思いました。


AKANEさんは今回1幕からずっとスヴェトラーナだったわけですが、ほんとに素晴らしかったです!!
1幕は歌はあるけど(確か)台詞はなくて、ソ連の自宅でアナトリーに寄り添っている感じなのだけど、
アナトリーに対する労りとか愛情とか不安とかが、しっかり見えたように思います。
大野さん演じるチェスの精の長男と人形の次男とのマイム的なやり取りも良かったな。
あれで、ソ連でのアナトリーの家庭の部分が見えた分、余計に彼の酷い男感が増したのかもですが(^^;)
彼女の舞台上での在り方は、多分私が感じている以上にいろんな意味が隠されてるんだと思うので、
次に見るときはその辺もキャッチできるといいなー。


田代くんのアービターは、出てきた瞬間、某演出家?!と思ったのですが(笑)、
これまでのアービターとは全然違う在り方がすごく面白かったです!
浦井くんのアービターがフレディに近い存在に感じたのとは違って、
田代くんのアービターはアナトリーに近いように感じました。
えーと、これを書くとちょっと誤解を招くかもなんですが・・・全体的な印象としては、チェスオタク!
頭の中も生活も全部チェス!
とにかくチェスが最優先!
チェス最高!!
という感じ?(笑)
造形はちょっと人間離れしてる感じなんだけど、ある意味この物語の中で一番人間的だったようにも思う。
あのかくかくした動きとか、歩くときずっと手すりを指で辿ってるとことかも、
もう常に頭の中がチェスなら納得できるかな。
♪The Story of Chess とか、まさにアービターの頭の中(妄想)なんだろうなあ、って思っちゃった。
歌声も、結構スクエアというか無機質な印象でした。
でもって、なんだか凄いツッコミどころというか深読みのし甲斐があるんですよ。
最初の方で、企業スポンサーがタイアップ(?)をアピールするシーンとか(このシーン、めちゃくちゃ可愛かった!)、
うるさそうにしてるけど、実は後で全部サンプルもらって、
自宅のチェス柄コレクションに囲まれてうっとりしてるんじゃないかとか(笑)、
♪Merano のシーンのあの畳まれた日傘がどう見てもレースなんですが、あなたがさすんですか?!とか・・・
あ、日傘は2幕冒頭の♪One night in Bangkok でさしてましたねー。
というか、この曲の時のアービターの動きが面白すぎて、
アッキーに集中してたいのにちょこちょこ目を奪われました。
日傘もそうだし、ソフトクリームをいきなり持って出てきて(甘党?)、
通りすがりの女の子とイチャイチャ(?)したとおもったらソフトクリーム奪われたり。
登場シーンで、おもむろにスーツの上着を脱いだ時は、
無表情だけど暑かったのね(^^;)、となんだか可愛くなっちゃいましたv
で、アービターも1幕と2幕でスタンスが凄く変わったな、と思う。
マレーノでの試合では、プレイヤーではなく、彼らが繰り出すチェスの駒の動きにしか興味がないのに、
バンコクではプレイヤー自身に興味が出てきている感じ?
でも、それは、プレイヤーやその周りの人々の“チェスの駒”としての動きを楽しんでいる感じで・・・
うん、凄く面白い存在でした。
彼も深読みし甲斐がありそう。
というか、アービターが深読みし甲斐があるのか(笑)。


戸井さんのウォルターは、最初から最後まで徹底して笑顔の悪役でした。
口元は笑ってるけど、目は笑っていない、というあれね(笑)。
この人を信頼してもいいのでは?って、一瞬騙されそうになったよね、私。
もの凄く賢くて、もの凄く野心家。でも冷静。
アービターがチェスの駒としての人に興味を持ったように、
ウォルターは人というチェスの駒に興味を持っている―――そんな感じ。
あの、イギリス大使館(かな?)で、いきなりガラッと雰囲気が変わるのがかっこよかった。
というか、あの大使館職員の歌、めちゃくちゃ楽しいけどとんでもなく難しいよね?!
1回目に観た時に、職員の一人が書類を落としてしまったのだけど、
何事もなかったように演じていて、演出なのかと思っていたら、
翌日は二人とも書類を持っていて、あれはアドリブだったんだなー、と感心しちゃいました。


ひのさんのモロコフは、ウォルターとは違って、基本強面、でも要所でふっと柔らかさを魅せる。
その柔らかさの罠が結構怖かったです(笑)。
というか、この方の低音は本当に素敵v
アンサンブルさんではなくなったので、歌声が減っちゃうかなー、と思ってたのですが、
ソ連側の曲が増えたので、むしろソロで聴けるシーンが増えたかも?
ちょっと嬉しかったですv


大野さんのチェスの精は、コンサートバージョンではアービターに近い存在なのかな、と思っていたのだけど、
今回は全ての登場人物にまんべんなく絡んでいる感じでした。
というか、要所要所で大活躍!!
♪Pity the child とか、TdVの伯爵の化身やロミジュリの死のダンサー並の存在感でした。
コンサートバージョンでは、フレディとチェス盤を取り合ったり(初演は赤い布)、
アナトリーの対戦相手だったりして、まさにチェスの精、という感じだったのだけれど、
今回はそのシーンそのものがなくなったり、
アナトリーには対戦相手役の人がいたので、そういうシーンがなくなっちゃったのが残念かなー。
大活躍ではあったけれど、その存在の意味合いがまだ自分の中ではクリアになってないので、
これも次の課題かな。
あ、♪Mareno で、木の影から笑顔でちょこっと顔を出すのが可愛かったですvv


書き出してみると、やっぱりいろいろ受け取ったものがあるんだなあ、と思います。
基本的に、この作品が好きなんだろうな、私。
だからこそ、もっと理解したいし、“余白”の奥に在るものを感じ取りたい。
そんな風に思います。


最後に一つ。
オケ、めちゃくちゃかっこよかったです!!
特にギターがとんでもなくかっこよくってよろめきましたv
カーテンコールのギターソロとか、一気にテンション上がったよね(*^^*)
いつか、無意識に腕を振り上げちゃいそうで怖いなー。
ひとりノリノリなおばさんを見かけても、生温くスルーしてくださいね(笑)。

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