瓔珞の音

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<<   作成日時 : 2015/11/18 21:29   >>

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舞台を観るようになってずいぶん経って、
照明や衣装、美術などのスタッフの方のお名前を覚えたり、
一つの舞台を創り上げるのに、沢山の人が関わってるなあ、とは思っていたけれど、
実際に、その人たちがどんなふうにどんな仕事をしているのかは、私にはまったくの道の世界でした。

舞台の裏側は、見えなくてもいいものなのかもしれない。
舞台の裏側を知らなくても、観劇を楽しむことはできる。

でも。

スタッフの方たちが持つ熱意や愛を知っていれば、きっと一つの舞台がもっともっと愛しくなる。
大切に、なる。


「HEADS UP!」

2015.11.15 KAAT 神奈川芸術劇場<ホール> 1階13列10番台

原案・作詞・演出:ラサール石井
出演:哀川翔、相葉裕樹、橋本じゅん、青木さやか、入野自由、大空祐飛、中川晃教、今拓哉、芋洗坂係長、上原理生、MINAMI、井上珠美、岡田誠、川本昭彦、新良エツ子、陰山泰、青柳塁斗、遠藤瑠美子、香月彩里、蔦村緒里江、谷須美子、福永吉洋、渡部又吁、大和田美帆(声の出演)


物語の舞台は、栃木にある古いホール、黎明会館。
老朽化のため取り壊しの決まったこのホールで、今日、1日限りのミュージカルの公演があります。
上演されるのは、「ドルガンチェの馬」。
名優小山田丈太郎(今拓哉)の代表作であるこのミュージカルは、1000回公演を機に終了の予定でしたが、
小山田の強い希望で、1001回目が行われることになりました。
しかし、一度は終了が決まったミュージカル。
処分されたセットあり、他の仕事で参加できないキャストあり(ヒロインも!)、
しかも東京から遠い地方の、設備の古いホール。
そんな問題が山積みな公演の舞台監督を任されたのは、ベテラン舞台監督 加賀美(哀川翔)の元、
長くこの公演に関わり、ブロードウェイへの留学経験もある新人監督 新藤(相葉裕樹)でした。
ベテラン演出部の久米(橋本じゅん)率いる、仕事はできるが個性的という言葉じゃ足りない演出部の面々。
高所恐怖症だけど非常にダンディな照明の飯塚(陰山泰)。
隙のない物言いで発破をかけてくる制作の本庄(青木さやか)。
女優志望なのに押しの弱い衣装助手の朝倉(MINAMI)。
渋滞その他諸々で遅れる、セットを積んだトラック。
そんな状況でも自分の演出プランを変えようとしない演出家 海老沢(川本昭彦)に、
彼の過去も今も知っているらしい演出助手代理の立川(井上珠美)。
ヒロインの代役として急遽呼び寄せられた真昼野(大空祐飛)はどうも加賀美と訳ありっぽく・・・
そんな一筋縄ではいかない面々を前に、時に自分を鼓舞し、
時に劇場付き雑用係の熊川(中川晃教)に励まされ、
時に過呼吸を起こしながら、周りに助けられて一つ一つの問題を何とかクリアしていく新藤。
そうして、どうにかこうにか幕を開けた「ドルガンチェの馬」は、
大小様々なアクシデントを起こしながらも、何とか最後の幕を下ろしました。
そして、元のがらんとしたステージの上で、新藤が知った事実は―――?


というような物語。

いやー、楽しかった!!!

もうね、最初のシーンが最高なんですよ。
アッキー演じる熊川義男通称よっしー(なんとなく平仮名)が、中通路から現れて歌う♪劇場で起こること 。
語りかけるようなアッキーの歌声。
目まぐるしく変わるショータイムに織り込まれる、いろんなミュージカルの名シーン。
鮮やかな衣裳。
煌びやかな照明と、時を区切る暗闇。
がらんとしたただ広いだけの空間が内包する、無限の可能性。
その可能性の根底にある、人の想い―――
なんだかもう、この1曲目を見ることができただけでも、本当に幸せだ―!と思いました。

もちろん、その後も笑いあり、涙あり、驚きありで、
いろんな要素をこれでもか!と詰め込んだ物語や演出に、気持ちがいっぱいいっぱいになりました(笑)。
開演前にプログラムを読んだときには、登場人物のあまりの多さに、
私はついていけるんだろうか、と不安にもなりましたが、
それぞれの役者さんがとても個性的、且つわかりやすい登場の仕方をしてくださるので、
観劇中はほとんど混乱することはありませんでした。
まあ、芸能関係への私の疎さとか、あまりにベタなネタとかで、ちょっとついていけない時はありましたが(^^;)

混乱の中から、それでも自分の仕事にプライドを持って、創り上げられていく舞台。
描かれる、普段は見えないそれぞれの仕事。
チケットを売るということは、舞台を見せるという契約をすること、という本庄の言葉。
何かを切り詰めてチケットを買い、その日までを楽しみに過ごし、
当日はちょっとおしゃれをして劇場に向かう観客の気持ちを歌った歌もあったなー。
舞台を作る人たちが、こんな風に観客のことを考えてくれてるんだ、って思うと、
なんだか舞台を観る側も、すっと背筋を伸ばして舞台と向かい合いたくなる。
限られた時間の、限られた空間の、限られた人たちが共有する舞台。
役者の、舞監の、衣裳の、照明の、演出部の、音響の、制作の―――
舞台に向かう一人一人の想いや経てきた時間。
それぞれが持つ、舞台への愛―――その愛を受け止めて、愛で返す観客たち。

なんだかね、舞台を好きでよかった、って心から思いました。

もしかしたら、好き嫌いはわかれるミュージカルかもしれない。
私自身、このミュージカルの全てを手放しで好きだ、とは言えない。
それでも、一観劇ファンとして、このミュージカルを創ろうとしたラサール石井さんに、
彼と共にこの舞台を創り上げてくれた一人一人に、心からの感謝を送りたくなる。
そんなミュージカルだったと思います。


なんだか訳の分からない記録になっちゃってすみません(>_<)
最近こんなの多いなー。
とりあえず、この後は役者さんの感想をちょっとずつ。
以下、容赦なくネタバレになりますので、まだご覧になってない方はご注意を!(笑)


新藤役、相葉くん。
繊細で発展途上な新藤の頑張りと成長を爽やかに見せてくれました。
登場シーンが客席中通路だったんだけど、3mくらいの距離で見た彼は、ツルツルのキラキラでしたv(笑)
いやなんか、見るたびに綺麗になる気がするよこの子(え)。
割とドタバタ劇的な雰囲気だったので、ジャン・ミッシェルの時みたいに、表情から感じ取れるものよりも、
直接的な台詞や歌声から受け取るものの方が多かったのだけれど、
なんだか彼の一生懸命さには、思わず心の中でなんども「頑張れ!」って唱えちゃいました(笑)。
よっしーや加賀美さんが彼に言う「誰にでも1回目(初めてだったかも)はある」という言葉は、
本当に彼のためのものだなー、って思った。
その最初の1回で彼が知ったこと、彼が得たものはとんでもなく多かったと思う。

自分の力の限界。
自分の中にある可能性。
独りではないからこそできること。
信頼という言葉の本当の意味。
語られない思い出や約束。
空っぽの空間。
そこに満ちる想い―――

うん。
彼はきっと素敵な演劇人になるね。
まあ、“見える”のは善し悪しかもしれないけど(笑)。

でもって、彼に関しては、私は歌声よりも台詞を言う時の声が好きなんだなあ、と思った。
入野くんと歌う歌は、それぞれの質の違う声の重なりが、かなりかっこいいなあ、と思ったし、
アッキーとの歌声の相性もなかなかなのでは?!とも思いましたがv

アルバイトの佐野役の入野くん。
彼はほんとに見るたびに安定感が増すというか、貫録が出てくるねー。
佐野は、たぶん登場人物の中では一番若い設定なのだと思うのですが、
なんというか、凄く“素”な感じが新鮮でした。
笑い方とか、ちょっとした反応とか、凄く自然。
でもって、佐野ってめちゃくちゃ一途で純情な子だなあ、と思ってみたり。
子どものころの記憶が絡んだ回想シーンの時のこどもっぽさが、ある意味そのまま残ってる。
で、その記憶の果てに、最後の彼の選択―――舞台に関わりたい、
演出部の仕事がしたい、という強い気持があるのが、なんだかとても嬉しかった。
本当に、こんな風にして舞台に関わっている人、絶対いるよね!
・・・まあ、佐野はこれから苦労すると思うけど。

でも、佐野が惚れこむのも納得!なかっこよさがあったのが、ベテラン演出部の久米。
じゅんさん、久々に見たけど、相変わらずキレッキレだなあ!と思いました(笑)。
もう、登場シーンからあまりの衝撃に唖然としちゃいましたよ。
あの演出部の3人の掃除機背負った姿、明らかに某映画のオマージュだよね?
男気があって、面倒見が良くて、厳しいけど優しくて、懐が深くて。
そういう男になるまでに、彼が犯した過ちや後悔―――そういうものもちゃんと描かれてるから、
久米という男が、単なるイロモノではなく、お笑い要因でもなく、深みのある存在になったんだな、って思う。
終盤、佐野に向けた笑顔はめちゃくちゃ魅力的だったし、
最後に客席を通って捌けるときの、奥さんとの距離感も凄く切なかったなー。
そして、じゅんさんの歌声、やっぱりかっこいいなあ、と思いましたv
そういえば「見切れ」って意味が二つあるんだねー。初めて知りました(^^;)

久米を頭とした演出部三人組の残り二人は、上原くん演じる九条と芋洗坂係長さん演じる滝。
上原くん、見た目のむさくるしさと美声のギャップが素晴らしくv
というか、じゅんさんの勢いによくついていった!!と
褒めてあげたくなっちゃいました(上から目線ですみません・・・)。
今の彼ならポルトス(@「三銃士」)とか似合うんじゃないかなー。
滝さんは、強面っぽいのに、なんだか癒し系v
バラシの時の楽しさを歌う1曲は、歌もダンスもすごく楽しそうで、私も楽しくなっちゃいました。
周りでわちゃわちゃしている佐野も可愛かったしねー(笑)。
うん、頼りがいがあって情が深くてお茶目で楽しい演出部、最高です!

本庄役の青木さんは、なんというか凄いリアルだなー、と思ったり。
声の響きとか、台詞の聞こえやすさはさすが。
そして、めちゃくちゃ頼りがいのありそうな姐さんだ!と思いました(笑)。
本庄さんはじめ女性陣が歌う♪チケットは売れている は、
凄く身近で楽しくて、うんうん頷きながら楽しんじゃいましたv

真昼野役の大空さんは、たぶん初見。
やっぱり宝塚の方の佇まいって、凄く素敵だなあ、と思います。
コメディな部分も、しっとりと歌い上げる部分も、見ごたえあり!
最後の複雑な、でもさっぱりした表情も印象的だったな。
というか、あの衣装を普通に着こなしているところがすごい!

小山田役の今さん。
実は、この舞台の中で、一番難しい役なんじゃ?!と思ったのですが、凄く楽しそうに演じてらっしゃいましたv
だって、2幕、舞台でどんなことが起きてたかの回想シーン、毎回くるくる回りながら出てくるし、
それこそブツ切れで、でもちゃんと「ドルガンチェの馬」のシーンも演じつつ笑いも取らなきゃだし(^^;)
あの2幕の回想は、観ている分にはすごく楽しかったし、
というかもう一緒になってハラハラして、呆然と眺めちゃったりもしたのだけど、
回想を繰り返しながら、着実に舞台がバラされていくのが、とても鮮やかだなあ、と思いました。
そして、そんなドタバタでちょっと困ったちゃんな感じの老役者を味わい深く演じた今さん。
最後のあの“30年前”を語るシーンは、なんだか息を呑んで見つめてしまいました。

ああ、やっぱりそうだったのか、って。

アッキー演じる、熊川さん。
物語の最初から舞台上にいて、新藤を励まし、佐野を注意しては無視され、
劇場の見取り図を取りに行っては間違い、
上演の終わったセットの上で、インスタントカメラで記念写真を撮り・・・
その明るい声、柔らかな笑顔、優しい眼差しを観ながら、
1幕が終わるときには、なんだかよっしーって劇場の守り神みたいだなー、って思ってた。
彼の語る舞台の魅力に酔いしれながらも、その鮮やかさにどこか不安を感じて、
彼が1幕の最初の頃に発した“30年前”という言葉がひっかかり、
彼の髪型や、インスタントカメラのフィルムを送るジーっという音に違和感を覚えて。
だから、小山田がどうしても最後の1回を黎明会館で行おうとした理由―――

30年前の上演中の火災。
中断された舞台。
何とか逃げ延びた役者、スタッフ、観客。
そのために最後まで誘導して命を落とした、一人の青年―――

その事実を知ったとき、ああ、やっぱり、と思った。
やっぱり、彼はこの世の人ではなかったのだ、と。
やっぱり、と思いながら、その事実が哀しくて。
そうやって、独り劇場にとどまり、この日を待ち続けた彼が愛(かな)しくて。
それでも、そうやって笑顔で「最初の1回」に向かう新藤を励ます彼の強さが愛(いと)しくて。
自分を見ることのできない人たち―――佐野や加賀美に向ける笑顔が優しくて。
一人舞台に残った新藤と向かい合うよっしーの姿に、
この時点でもう涙腺はかなり危険な状態だったわけなのですが、
「ほら、こんなにいるでしょう」という(ような)よっしーの言葉と共に現れた大きな鏡に客席が映ったのを見た瞬間、
驚きに目を見開く新藤の子どものような表情を見た瞬間、
なんだかもうどうにもならない感情が沸き上がって、ぼろぼろ泣いてしまいました。

これね。
たぶん、もの凄くベタな演出だと思うの。
鏡を使った演出は、いろんなところで観てきたけれど、
こんな風に、観客も物語のちゃんとした一部として取り込む、というのは初めてで。
(たとえ幽霊役だとしてもね/笑)
でも、中途半端な大きさの、安定性の悪い鏡の中に映る、少し歪んだ客席の人々は、
自分自身とはまた違う、本当に“想い”そのものの存在であるかように感じられて。
そして、幽霊とはならないまでも、これまで私がいろんな劇場で流してきた涙とか、
湧きあがった想いとか、そういうものが、
もしかしたらこんな風に劇場の気配のひとかけらとか要素になってるのかな、って思ったら、
なんだか最初に感じたのとは別の色合いの、でも、同じくらいの強さの“幸せ”を感じました。


そんな感じで、とっても楽しくて、とっても幸せなミュージカルでした。
もっとチケットとっておけば良かったなー、と今更ながらに後悔・・・
でも、こんなに素敵な舞台だから。
舞台を観ることが大好きな人たちは、これからも沢山い続けるはずだから。
このミュージカルも、繰り返し繰り返し上演してくれるに違いない。
また、よっしーのあの柔らかな笑顔に会えるに違いない。
そう、信じていようともいます。

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