瓔珞の音

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zoom RSS 曇天の光

<<   作成日時 : 2016/03/05 19:51   >>

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3月に入って一気に暖かくなりましたね。
毎年楽しみにしている通勤途中のお屋敷にある白木蓮の大木も、
蕾の先の白さが目立つようになってきました。
桜の枝も少しずつ形を変えてきているし、
畑は一面のホトケノザで紫色になっているし、
車は花粉で黄色くなってるし(笑)・・・春ですねー。

明日の日曜日はお友達とお出掛け+観劇の予定なので、
その前に放置していた観劇記録を!


「ピアフ」

2016.2.21 マチネ シアタークリエ 1列10桁台

作:パム・ジェムス
演出:栗山民也
出演:大竹しのぶ、梅沢昌代、彩輝なお、伊礼彼方、薄井将大、川久保拓司、太田翔、津田英佑、横田栄司、
    辻萬長、池谷祐子


個人的に大竹しのぶさんの代表作だと思っている「ピアフ」、久々に観てきました。
初演を観て圧倒されて、でも受け止めるのに凄くパワーが必要で、再演は見送っていたので、
観るのは今回が2回目になります。
ので、今度は大丈夫かなあ、と思っていたのですが、
最前列センターという間近での観劇だったせいか、
ピアフの生き様に圧倒され、
自分の中にあると思っていなかった感情まで引きずり出され・・・
結果、やっぱりとんでもなく疲れました。
拍手をするのにあんなにも気力が必要になったのって、初めてかもしれない。
そして、やっぱり自分の中で消化するのに時間がかかって、
落とし込めたな、と思ったらそれで満足しちゃって、
記録をする気力がなくなりました・・・はい、言い訳です、すみません(^^;)


ピアフに対する基本的な印象は初演とあまり変わらないかな。
歌うことが生きる手段だった彼女が、
歌うことでしか感情を発露できず、
歌うことでしか生きることができなくなっていく―――
その生々しさと説得力には、もうひたすら感嘆するばかり。
そして、ピアフが持つ沢山の要素―――
子どものような無邪気さ。
蓮っ葉で下品な言動。
現実を見据える冷静さ。
その上で求めずにはいられない頑是なさ。
薬に頼らずにはいられない、脆さ。
そして、歌によって異なる、時に聖性さえ感じさせる何か。
・・・一人の女の中に、こんなにも沢山のものがあるのかと、
その一つ一つが決して虚構ではなく、全て全力で世界と向き合った結果なのかと、
なんだか目を見張る思いでした。

ピアフは、与え続けた女なのかな、とも思いました。
シャルル(伊礼彼方)やイブ・モンタン(太田翔)だけでなく、関わる全ての人たちに歌を与え、愛を与えた。
一方で、自分自身を削り取るようにして歌い続けた。
そして、自分に何かを与えようとする人を、まるで怖がるかのように拒絶した。
シャルルとの別れのシーンを見ていて、
その根本には、やっぱりマルセル(横田栄司)との別離があるのかなあ、と思いました。
ルプレ(辻萬長)の最期もきっとトラウマになってるだろうし・・・
自分が願うことで、自分が求めることで、襲い掛かってくる破滅。
笑いながら嘘をついてシャルルを解放しようとするピアフと、
彼女の嘘を知りながら、自分では与えることができないことを察して、
ただ、彼女の足元に跪くことしかできないシャルルの、
互いに向ける愛情の美しさと儘ならなさに、とても切なくなりました。

そして、碓井くん演じるテオとの出会い・・・
テオが、「なんにも」と言った瞬間、涙腺が決壊いたしました。
何も求めない、何も与えようとはしない、ただ傍にいることを許してほしい。
その、一見理解しがたい彼の愛情に、ふっとピアフの中で張りつめたものが緩むのを感じた気がしました。

テオとの出会いの後、言葉は悪いですが、ピアフは一気に老けたように感じました。
でも、それと同時に、もの凄く穏やかで、満たされているようにも感じた。
自分に向けられる周囲からの愛情も労りも拒絶し、
ただ一人だけで取り巻く全てを諦め、あるいは戦ってきた彼女が、
最後に得られた居場所が、テオだったのかなあ・・・
終盤、梅沢さん演じるトワーヌの昔語りを聞くピアフと、そんな二人を見守るテオ。
あのシーンは、曇天の下であったにもかかわらず、なんだか淡い光に溢れているようにも感じました。
華やかな舞台の、突き刺さるようなライトではなく、
柔らかく包みこむような暖かな光―――
すぐ傍まで近づいている“終わり”に、トワーヌと一緒に涙しながら、
でも、ピアフが得ることができた安らぎに、なんだか心底ほっとしてしまいました。

ラストシーン、ピアフが歌う2曲。
このピアフが“いつ”のピアフなのか、私にはわかりません。
けれど、この2曲に凝縮された、ピアフの愛の形と生きる姿勢は、
大竹しのぶという女優の生き様とも重なって、きっとこれからもずっと磨かれ続けるんだろうなあ、と思いました。

うん、いい舞台だった。


他の役者さんのこともちょこっと。

梅沢さんのトワーヌは、テオとは違う意味でピアフの癒しであり、逃げ場でもあったんだろうな、と思う。
多分描かれないいろいろなごたごたがあったんだと思うけど、
ピアフが必要な時に必ず傍にいてくれるトワーヌの、
甘えさせるときには甘えさせ、必要な時には突き放す優しさに私も癒されました。

彩木さんのディートリッヒは、やっぱり見惚れてしまうほどお美しくv
ピアフの吸引力に巻き込まれず、大人の対応ができる存在って、
ピアフにとって凄く大事だっただろうなあ、と思う。
もう一役のマドレーヌは、対照的にピアフとの距離感を上手く取れずに、自滅した印象。
彼女が離職した理由は描かれていないので(というか、私が見落とした?)、
その辺は良くわかりませんが(^^;)

横田さんは、とにかくどの役も印象的!
そして、この前に拝見した舞台で、ボクシングのチャンプみたいだ、と思ったのが、
目の前で形になっていて、内心で一人わーい!と喜んでおりました(笑)。
ピアフとマルセルの関係って、恋人同士ということ以上に、
トップに立つ人間の孤独とか喪失感を理解し合える存在だったのかなあ、とも感じてみたり。

津田さんは、ブルーノとして最初から最後まで場を締めていたように思います。
ある意味凄く苦労性。
でも経営者というか、ビジネスで割り切れる分だけ、
ピアフにとっては付き合いやすい相手だったのかもしれないな。

川久保くん演じるルイは、個人的には一番共感できる人物でした。
ピアフに心酔して、ピアフの現実を知ってもひたすらに彼女を支えようとして、
でも、そうすればするほど彼女を追い詰めてしまうことに傷ついて・・・
ある意味、テオと正反対の存在なのかなあ、と思ってみたり。
ピアフと初めて出会ったときのあの明るい笑顔と、
最後の怒りと哀しみと絶望に満ちた表情のギャップが切なかったです。

明るい笑顔といえば、イヴ・モンタン役の太田くんもいい笑顔でしたv
♪帰れソレントへ も良かったけど、個人的には最初に歌った歌の方が似合ってる気がするなー(え)。


そんなこんなで、非常に圧倒された舞台でした。
初演も今回も前方席だったので、もしまた観ることができるなら、
今度は後方席で観てみたいな。
栗山さんの光の演出は、舞台全体が見えるところの方が堪能できる気がするので。

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