瓔珞の音

アクセスカウンタ

zoom RSS 最初の記憶

<<   作成日時 : 2017/01/26 22:09   >>

驚いた ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

一人の青年の中の、天才という“怪物”。
その“怪物”が創り出した、孤独な“生命=怪物”。
二人の“怪物”が辿り着いた世界の果て―――


「フランケンシュタイン」

2017.1.22 マチネ 日生劇場 1階B列20番台

出演:中川晃教、加藤和樹、音月桂、鈴木壮麻、相島一之、濱田めぐみ、朝隈濯朗、新井俊一、
    後藤晋彦、佐々木崇、当銀大輔、遠山裕介、原慎一郎、丸山泰右、安福毅、彩橋みゆ、
    江見ひかる、可知寛子、木村晶子、栗山絵美、谷口あかり、原宏美、福田えり、山田由美子、
    石橋陽彩、齋藤さくら


というわけで、無謀なマチソワマチ観劇の、最後のマチネの記録に辿り着きました(笑)。

この日は、前方中央という素晴らしいお席で、
役者さんの表情がつぶさに見えた、ということもあるのかもしれないけれど、
とにかく届いてくるものがもう容赦なくて・・・号泣してしまいました。
その原因は、なんといっても加藤アンリ。

前日、初めて加藤アンリを観た時、
♪殺人者〜リプライズ でかっきービクターを見送る彼の笑顔が凄く怖かったのね。
それが愛情や冷静な判断からのものだとしても、
彼のあの笑顔が、歓喜すらにおわせるあの笑顔が、ビクターに最後の一線を超えさせた―――そう思った。
アンリがビクターに背負わせたもの。
アンリが自らの命すら糧にしてビクターに選ばせた未来。
それが凄く怖くて、アンリ、なんて罪深い、と思った。

でも、この日のアンリは違うように見えた。

アンリがビクターに向ける、感情。
それは、ビクターの語る未来に対する共感であり、
ビクターの頭脳に対する感嘆であり、
ビクターの情熱に対する憧憬であり、
ビクターが自分に差し伸べた手への感謝であり、
そして、ビクターという一人の人間に対する純粋な愛情であり―――

思い返してみれば、酒場のシーンでもその片鱗は感じられた。
あの時彼がビクターに話した秘密。
「僕には親がいない」
その短い言葉から、想像する彼の過去、彼の少年時代。
親を亡くした理由はなんだったのか。
彼を人体再生の研究へと駆り立てたものはなんだったのか。
そこには、多分ビクターと同じくらい切実なものがあったはず。
けれど、アンリは諦めた。
その、畏れと絶望からアンリが諦めたはずの未来を、共に創りだそうと差し出されたビクターの手。
それは、アンリにとってどれだけの温もりを持っていたんだろう。
どれだけ明るい光だったんだろう。
それは、本当に太陽のような眩しさだったのかもしれない。
「だけど君がいるから十分」と言った時のアンリの柔らかな笑み。
だから、彼の選択は、ビクターに命を、未来を託すことは、
彼にとって当然のことだったのだろうと思う。

だけど。

監獄で、ビクターを抱きしめる背中から。
ビクターに見えない位置で、くしゃりと歪んだ子どものような泣き顔から。
彼のもう一つの感情が透けて見えるように思った。

ビクターの傍にいたい。
ビクターと共に彼の作る未来を見たい。
ビクターを一人にしたくない。
死にたくない。死にたくない! 死にたくない!!

ビクターに未来を託すのと同じくらい強い、その無念。
その哀しみ。
その願い。

ビクターに語られる言葉や向けられる笑顔と同じくらい強い、その声にならない彼の慟哭。
そして、それでもなお最後に彼が浮かべた笑顔が託したもの。
それはきっと全部ビクターに届いてた。
だからこそ、その後のビクターの行動に、深い説得力が、祈りが、願いが見えたように思う。

♪偉大な生命創造の歴史がはじまる という曲は、アッキーのCDで聴いたことのある曲で。
単独でも伝わってくる強い感情や物語性に魅了された。
でも、だからこそ、前日の観劇でこの曲が始まったときは、
物語の中からちょっとだけ浮き上がっているように感じたのね。
でも、この日は違った。
アンリの歌う♪君の夢の中で からの流れのまま、
この曲で歌われるビクターの思考は、行動は、必然なのだと、そう思った。
緻密に織りなされる感情の綾目。
そこに描かれるビクターの祈りに、願いに、覚悟に、呆然とするしかありませんでした。

そして、生まれた“怪物”―――

自分の最初の記憶は、創造主であるビクターに首を絞められている時だと、のちに“怪物”は言います。
強い電流の刺激で、強制的に動かされた命。
途切れては繋がり、繋がっては途切れる電気信号。
生まれたばかりの“怪物”の動きは、混乱した電気回路がかろうじて繋がっているような感じだった。
この時だけではなく、闘技場でもそうなのだけれど、
“怪物”は、決して自分の欲望や快楽で、誰かを傷つけてはいないのね。
(ビクターの首を絞めるような感じになったのは、力加減が上手くいかなかったんだと思ってます)
ルンゲに殴られたから、ルンゲを襲った。
鎖で首を絞められたから、それを振り払った。
最初の記憶が苦痛と恐怖だったから、彼は逃げ出した。
でも、それなら、彼の最初の記憶が温もりだったなら、優しさだったなら、“怪物”はああはならなかったのかな?
あの場所に、ビクターと二人きりだったら、“怪物”は“怪物”ではなく、
ビクターの創造した新しい“生命”として、ビクターと共に在れたのかな?
生まれたばかりの“怪物”ひたすらに純粋な表情と、
ルンゲの亡骸を抱きしめたビクターを覆い尽くす絶望を、
ただ息をのんで見つめながら、そんなことをちょっと思ってしまいました。

1幕のラストがそんな感じだったので、2幕での彼らの結末を受け止めるには、
こちらもめちゃくちゃ覚悟がいるだろうなあ、と思ったのですが、まさにその通りでした。
なんというか、泣くことすらできなかった。

闘技場での“怪物”についての印象は、初回に観たときとあまり変わらず。
でも、彼がジャックから受けるダメージの質は、ちょっと違うように感じました。
かっきージャックとエヴァから受けるのはフィジカルなダメージで、
アッキージャックとエヴァから受けたのは、メンタルなダメージのような感じ?
ジャックから告げられる研究日記の断片が、毒が浸透していくように“怪物”を蝕んでいくようで、
だからこそ、その後のカトリーヌとの邂逅による歓喜や安らぎが鮮やかだったように思う。
あと、エヴァの「お前、喋れるのかい?」という台詞を聞いたときに、
その前、“怪物”と再会した時にビクターが同じ言葉を言ったことが、
どれだけ“怪物”を苛んだのかと思ったら・・・偶然とはいえなんて残酷なんだろう、と思った。

そして始まる復讐。
ビクターの大切なものを一つずつ奪っていく“怪物”。
愛するものを、愛されたものを奪われる―――痛み。
この広い世界の中で、自分だけが異端である―――その孤独。
“怪物”の復讐の集大成は、ビクターから“アンリ”を奪うことだった。

前記事でも書きましたが、私は“怪物”はアンリの記憶を取り戻している、あるいは繋がっていると思っていて。
アンリがビクターに向けた感情も、ビクターがアンリに向けた感情も、
“怪物”は完璧ではないとしてもわかってたんじゃないかな、と思う。
雪の中、彼が少年に向かって語る友人のこと。
“アンリ”の記憶と、“怪物”の記憶の狭間で、彼が何を想っていたのか。
何を、望んでいたのか。
降るような星空、淡い影を落とす樹々。
静寂に満ちた美しいシーンの中、揺れ動く“怪物”の感情が、満ちる波のように伝わってくる気がしました。

そして、世界の果てで対峙した時、彼はビクターを名前で呼んだ。
“怪物”が“アンリ”であることを、
ビクターが―――アンリが共に望んだ未来が、この悲劇を生んだのだと、
彼はビクターに突きつけた。
ビクターに“アンリ”を、親友であったアンリと自分が創り出したアンリの両方を殺させた―――

“怪物”が、ビクターに銃を向けさせる時の表情を、残念ながら私は覚えていません。
けれど、撃つことができずに銃を降ろそうとしたビクターの様子から、
“怪物”の中にビクターははっきりとアンリを見たのだと思った。
結果としてビクターは“怪物”を撃ち、“怪物”は自分が味わった孤独を今度はビクターが味わう、
それが復讐だ、と言うけれど・・・
私には、それは、復讐であり、同時に救いでもあるように見えました。

“アンリ”の名を呼び、“アンリ”を抱きしめ、呪いをかけろと自らの名を叫ぶビクター。
その腕の中、かっと目を見開いたままの“アンリ”は、けれどどこか笑っているようにも見えて。
ああ、やっと“アンリ”は、最初に受け取るべき温もりを受け取ったのだと。
ビクターは、最初に与えるべき温もりを与えることができたのだと、そう思った。

孤独の中に残されたビクターが、この後どうなるのかは描かれません。
“アンリ”が言う通り動くこともできず、そのまま“アンリ”と共に北極で息絶えるのか、
“アンリ”が与えた孤独の中で生きていくのか、それはわからない。
でも、それでも。
二人が互いを取り戻したこの瞬間は、もしかしたらとんでもないハッピーエンドなのかもしれない。
そんな、血迷ったことを思ってしまいました(笑)。
だからかな、カーテンコールで並ぶ二人を見て、なんだか泣けて泣けて仕方ありませんでした。

そんなこんなで、思いっきり妄想が暴走する観劇でございました。
この物語で描かれる“怪物”の定義とか、集団心理の恐ろしさとか、
ルンゲさんの愛らしさとか、エレンはどこまでわかっていたのかとか、
もっといろいろ深読みしたいところはあるのですが、それはこの先にまた改めて。

あ、そうそう、3回続けて観劇して、それぞれ違う組み合わせで見たわけですが、
カーテンコールの二人のやり取りも全く違ってて面白かったです。
柿澤くんと加藤くんは、お揃い(というかむしろ彼シャツ?)のコートを加藤くんがバサッと翻したら、
負けじと柿澤くんも翻したりして、なんだかじゃれ合ってるみたいで微笑ましく。
アッキーと小西くんは、固く握手をするところとか、労わり合ってる感じでほっとしました。
で、アッキーと加藤くんはラブラブだった!(違)
トリプルコールあたりで固く抱き合った時に、
アッキーが加藤くんに何か囁いてたっぽいんだけど、何言ってたのかなー。
ちょっと気になりました・・・音声さん、マイクオンプリーズ!(笑)

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 2
驚いた
面白い

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
最初の記憶 瓔珞の音/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる