瓔珞の音

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<<   作成日時 : 2017/03/20 22:39   >>

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捏造された、彼の人生。
彼の想い。
彼の狂気。
彼の切望。
彼の絶望―――

でも、その中にたった一つだけ刻み込まれた、真実。


ミュージカル「さよならソルシエ」

2017.3.17 マチネ シアター1010 18列10番台

原作:穂積「さよならソルシエ」
脚本・演出:西田大輔
音楽:かみむら周平
出演:良知真次、平野良、反橋宗一郎、輝馬、上田堪大、Kimeru、窪寺昭、合田雅吏、泉見洋平、
    下道純一、荒木栄人、青木一馬、前田大翔、岩田笙汰、小島和幸、甲斐祐次、島田連矢
ピアノ演奏:江草啓太


この舞台の初演が上演されたのが、ちょうど一年前。
1年というのが、再演までの時間として短いのか長いのかはわからないけれど、
昨年見た中でも、とても印象的な舞台の一つだったので、再演の情報は素直に嬉しかったです。
が、上演期間がめちゃくちゃ短い(>_<)
本当に良い舞台なので、もっと長く上演して、沢山の人に観ていただきたいなあ、と、
本当に心底思ってしまいます。
私もお仕事の出張と絡めてなんとか1回、初日の舞台を観ることができました。

基本的な印象としては、初演と同じ。
でも、劇場が変わったので、演出も少し変わったし、
キャストの変更もあったので、受ける印象もちょっと違ったかなあ。

でも、実は一番変わったな、と思ったのが、良知くん演じるテオの描き方。
本質としては変わらないのだけれど、初演よりも、彼のソルシエ的な部分が、
時にトリッキーに、時に凄味をもって描かれていたように思います。
まだ客席が明るいうちに、通路から現れたり、
舞台奥にずっと彼の影が映っているのに、いきなり椅子に座っていたり・・・
あの影の演出は、初演で彼が激昂するシーンの記憶が鮮やかだっただけに、
単純にミスリードされちゃっただけなのだけれど、個人的にはかなりびっくりしました。
若い芸術家たちを導く姿も、常識を颯爽と覆して微笑む様に戦慄した。
その分、彼の中にある葛藤とか、矛盾とか、怒りとか、嫉妬とか、焦りとか、
それでも消すことのできない憧憬とか、愛情とか、希求とか、
フィンと向き合う時に、彼の持つ鋭さがふっと緩む感じとか、
「兄さん」と呼ぶ声に僅かに混じる甘さとか、そういうものも凄く鮮やかだった気がします。
どちらかと言うと、良知くんのテオは表情を敢えて抑えている感じで、
且つ帽子で隠してしまうシーンも多いのだけれど、
だからこそ、要所要所での彼の表情が伝えてくるものが大きかったかなあ、と思う。

個人的に、今回一番揺さぶられたのが、
サントロ(合田雅吏)に、彼らが作り上げた“ゴッホの人生”においての弟の最期をリクエストするシーンでの、
フィンの絵を抱きしめて、彼が言った、「兄さんは僕の人生すべてだった」という台詞。

兄の絵を―――兄が生きた証を世に出す。

そのために、彼はフィンの人生を捏造した。
彼の笑顔も、彼の優しさも、彼の怒りも、彼の言葉も―――全てをなかったことにして、
ただその絵に多くの人が目をむけるきっかけを作ろうとした。
きっかけさえあれば、兄の絵は見る人全てを魅了する。
その自信があってこその、トリック。
たとえそれが、彼ら二人が歩んだ時間を消し去ることになったとしても・・・
でも、その塗り重ねられた偽りの中に、彼は一つだけ真実を刻み込んだ。

弟にとって、兄が人生の全てであるという、真実を。

それだけは、彼は譲ることができなかったのかなあ。
涙を内包した、あの叫ぶような声を聞いたとき、その切実さに呆然としてしまったのでした。


平野くんのフィンは、ちょっと歌い方が変わった?
DVDは1〜2回見なおしたけど、歌のことはそんなにわからないので、なんとも言えないのですが、
なんとなく印象が違った気がします。
でも、その変化は彼をさらにフィンにしていたように思う。
怒りの感情を持たない人間、と彼は言われていて、
その感情を自覚することで覚醒する、という流れだったけれど、
その点について彼自身はどう思っていたのかな、というのを今回凄く思いました。

この物語は、テオとフィンの物語だけれど、個人的には若き芸術家たちの群像劇でもあると思っています。
今回、4人の芸術家の内3人がキャスト変更されていたわけなのですが・・・
うーん、ごめんなさい。細かい変化は良くわからなかった(^^;)
でも、♪モンマルトルの丘 はやっぱり凄く良いシーンで、やっぱり泣けてしまいました。
この日は終演後に、この曲のカットされた部分を入れた完全版を、
客席も一緒に歌う、というイベントがあったのですが、
説明や練習の時に輝馬くんが「みんなで歌ったら絶対気持ちいい!」って力説してたけど、
ほんとに気持ちよかった!
なんというか、未来に向かう歌なんだよね、これ。
客席に降りてきてくれた4人の笑顔がキラキラしてたのも素敵でしたv
そういえば、本編中にも客席降りあったよね・・・1010は客席通路使いやすいのかしら。

アンリ役の反橋くんは、どちらかというと素直な雰囲気の役作りだった気がします。
真っ直ぐで信念を持っているからテオにもつっかかるけど、
でも、相手を認めた時には、素直にそれを伝えられる感じ。
足の悪い演技もちゃんとしてたな。
終演後のイベント(?)で「ほんとは走れるけど」って言ってた(笑)。

エミール役の輝馬くんは、江雪さんのイメージで見始めたので、
からっとした明るさのある元気いっぱいな様子にちょっとびっくりしたり(^^;)
でも、そういえば、刀ステのカーテンコール、こういう雰囲気だったよ・・・
役者さんって凄いな(笑)。
アフターイベント、この日は輝馬くんが説明担当、とその場で決まったのだけど、頑張ってました。
なんだか微笑ましく見てしまいましたよ(笑)。

ゴーギャン役のKimeruさんは、前回同様目を引かれました。
多分、個人的に好みな役者さんなんだろうなあ。
初演よりも、ゴッホ兄弟との距離感が近くて、彼らに寄り添う風に感じたのは気のせいかしら?
その在り方がとても好きでした。
あと、歌声も!
本編もなのですが、アフターイベントの時の喋らないように頑張るけどついつい喋っちゃうKimeruさん、
最高でした(笑)。
残り2回のイベントの時も、ちゃんと若者に任せられたのかしら?(え)


なんだか散漫な記録になっちゃいましたが、初演を深めるという形の再演、とても見ごたえがありました。
後方席からだったので、照明やセットに映る映像も堪能できました。
初日だったせいか、ちょっとドタバタした感じもありましたが、
今日の千秋楽はきっともっと滑らかに洗練されていたのではないかな、と思います。
ほんとに、返す返すも上演期間が短いのが残念!
プログラムを読むと、役者さんやスタッフ陣の思い入れも強いようなので、
きっとまた再演されるのではないかなあ、と期待しているのですが、
その時は、せめて2週間くらい上演してくれるといいなあ、なんて思います。

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