瓔珞の音

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<<   作成日時 : 2017/05/30 22:58   >>

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純粋で、
純一で、
純化していく―――純愛。

でもそれは、本当に綺麗なだけのものなのだろうか。


「幻想奇譚 白蛇伝」

2017.5.27 ソワレ 紀伊国屋サザンシアター 6列10番台

脚本・演出:菅野臣太朗
出演:山下聖菜、伊勢大貴、椎名鯛造、Kimeru、伊阪達也、横井寛典、反橋宗一郎、鷲尾修斗、
    秋沢健太朗、齋藤健心、秋夢乃、兼崎健太郎、村上侑希、山崎あずみ、坪田ヒロキ、中根大、
    霜田元、美波凛奈、サトシ、永田浩司、柳沢卓、大貫紗貴、小倉悠作、安里唯


物語の舞台は、古代中国。
天界と下界の境界にある門の鍵を奪い、人間を根絶させようと目論む狐の化身、胡媚娘(秋夢乃)。
彼女からその鍵を取り戻し、囚われた人間たちを助けようとした白蛇の化身、白娘(山下聖菜)は、
激しい戦いの末に傷を負い、下界へと落ちてしまいました。
小さな白い蛇の姿になった彼女を助けたのは、薬剤店で働く青年、許仙(伊勢大貴)。
傷を癒され、白娘を山に放した許仙の前に、人の姿を取ることができるようになった白娘が現れます。
彼の優しさに触れた白娘は、人と妖は共存できる、という自分の信念と、
許仙に向かう恋情の赴くまま、彼に恩返しをするために彼と結婚することを望みます。
突然の申し出に戸惑いながらも、美しい白娘に少しずつ惹かれていく許仙。
しかし、今度こそ白娘を捉え、人間を駆逐しようとする胡媚娘の眷属の魔の手が、二人に近づき―――

というような物語。
千年も前から伝えられている民間伝承ということで、確かにどこかで読んだ記憶がある・・・かな?
舞台は、白娘と許仙の関係性を軸に、
人間を巡る妖同士の対立、仏の命を受けて妖を封じる僧との邂逅など、様々な要素が絡み合い、
一つの物語を紡いでいきます。

物語的には、正直なところツッコミどころは結構あったと思います。
根幹となるメッセージについても、若干ぶれがあるというか唐突というか・・・
多分、世界観や登場人物に関して、描かれていない細かな設定や背景がたくさんあったのだと思う。
全てを舞台の上で描けばいいというものではないけれど、
余りにもイメージを優先する舞台の作りは、個人的にはちょっとなじみのないもので、
最初は少し戸惑うところがありました。

でも、鮮やかな色彩をふんだんに使い、光と闇を明確に描いた舞台はとても綺麗で・・・
ああ、この舞台を創った人は、“綺麗な物語”を創りたかったんだな、と思った。

一途に向かう純一な愛情。
妖と人の共存を信じる純粋な心。
純化されていく、妖に堕ちた者たちの記憶。
そして、長い時を経て成就する純愛。

観終わったあとに残るのは、そんな“綺麗”な物語の欠片でした。
でもね。
私には、白娘の行動は、ただひたすらにエゴイスティックなもののように見えた。
確かに彼女の願いは、愛情はピュアなものだと思う。
でも、彼女は自身の強い想いに囚われて、多分周りが見えていなかった。
自分に向けられる気持ちも、自分の存在が引き寄せる危険も、自分以外の者たちが持つ思いや願いも。
ただ純粋に求め、懸命に手を伸ばす彼女の姿はとても“綺麗”だった。
でも、綺麗だから全てが許されるわけではない。
純粋ならば罪に気づかなくてもいいわけではない。
彼女の在り方や思考は、妖だから、ということで説明がついてしまうのかもしれないけれど―――

うーん、こんな風に考えてしまうのは、多分私にピュアさが足りないからなんだろうな。
カーテンコールの挨拶で椎名くんが「ピュア」を連発していましたが、
ごめん、おばさんにはピュアさが足りなかったよ(^^;)

まあ、いろいろ思うところはあるけれど、でも、“綺麗”というのはある意味正義なので、
繰り広げられる鮮やかな物語は、単純に楽しく観ることができました。
うん、今回の観劇な週末はヘビーな演目が多かったから、ちょっと考え込みすぎちゃったけど、
こういう風に素直に観れる舞台があったのは良かったかな(笑)。

白娘役の山下さん。
多分初見。
まっすぐに許仙を見つめる大きな目がとても印象的なお嬢さんでした。
立ち回りもキレがあってかっこよかったな。
基本凛とした佇まいなのだけれど、ふとした瞬間にふにゃっと柔らかい表情をするのが可愛かったです。
彼女が白蛇の大蛇になるシーンの表現は面白いなあ、と思いました。
女性アンサンブルさんたちが白い長い布を持って動くのだけれど、ちゃんと白い大蛇に見えました。
最後、彼女は人間となってもう一度許仙の前に現れて、
その後の限られた時間を共に過ごすことになるのだけれど・・・
うん、文句のつけようのないハッピーエンドではありますが、これでは妖と人間の共存にはならないよね?(^^;)
というか、何故彼女があそこまで妖と人間の共存を信じていたのかが、ちょっと気になります。

許仙役の伊勢くんも初見かな。
朴訥とした雰囲気がほんとに癒し系。
ちょっとというかだいぶ頼りなくて周囲に流されまくり巻き込まれまくりのお人好しなのだけど、
心に決めたことを覆すことのない強さもあったように思います。
歌声も優しくて、これは白娘惚れるよね、と(笑)。
反町さん演じる薬剤店主、王琳とのやりとりも、信頼関係とか情が感じらえて、なんだかほっこりしました。
許仙は、共に未来を歩もうと決めた白娘が妖だと知ったとき、
驚き、戸惑い、混乱し、それでも白娘自身を受け入れようとしました。
それは、多分、彼が“白娘”という存在を既に知っていたから。
でも、最初から妖だと知っていたら、彼は白娘を受け入れたのかな・・・受け入れたな、きっと。
そんな風に感じさせてくれる許仙だったように思います。

この舞台のお目当てその1だった椎名くんは、魚の化身、少青役。
青い衣装とツインテール(違)がめちゃくちゃ可愛くて、
先行特典の写真は迷わず椎名くんをもらったよね(笑)。
少青は、基本的に椎名くんの可愛い部分を集めまくった役だと思うのですが(え)、
前方席で観る彼の殺陣は、やっぱりとても軽やかで目を引かれました。
短刀の二本使いってかっこいいね。
恋敵の許仙に対して、ちょっとトラブルメーカー的な部分もあるのだけれど、
白娘にどつかれたり叱られたりして拗ねたように口を尖らせていた少青が、
物語が進むにつれて、少しずつ大人びた表情になるのも印象的でした。
許仙に対して、白娘に対して、そして黒風仙に対して、少青は彼らのために嘘を吐くのだけれど、
その時の表情の静かな優しさに、ちょっとよろめきました。
特に、瀕死の黒風仙に対するときの横顔の凛々しさと視線の強さは、たぶん私が観たかった椎名くんで。
それが観れたことがとても嬉しかったです。
でも、彼にも幸せになってほしかったなあ(;_:)

黒風仙役の伊阪さんも初見、かな。
白娘の義理の兄で、境界門の鍵の本来の持ち主である仙人なんですが・・・
めっちゃくちゃ強かった!!
最終的には胡媚娘とその眷属に倒されてしまうのだけれど、
というか、ある意味とっても哀れな役回りなのだけれど、
あの強さにはちょっと惚れ惚れしちゃいましたよ。
お兄ちゃん、絶対最後まで生き抜くと思っていたので、
少青が託された刀を白娘に渡して、彼女がそれで闘う姿には、ちょっと泣きそうになりました。
少青に白娘の様子を教えてもらって、「白娘らしい」と言った時の笑顔がほんとに優しくてね・・・
お兄ちゃん、生きててほしかったなあ。

胡媚娘役の秋さんは、とにかくめちゃくちゃお綺麗な方でした!
赤い衣装が本当にお似合いで・・・というか、この舞台の衣裳、どれも本当に綺麗だったなあ。
口跡も鮮やかで、いい声の人だなあ、と思っていたのですが、
劇団四季に在籍されてたことがある方なのですね。
歌声もぜひ聞いてみたかったです。
白娘の信念を正面から否定して、人に仇なそうとする胡媚娘の真意は、
物語の終盤で軽く描かれるのだけれど、
彼女をその行動に掻き立てた想いの強さが、わずかな情報からも明確に立ち上がったのは、
秋さんの在り方によるものかなあ、と思ってみたり。
衣裳の赤と白、人に向けられる正反対の想い―――白娘と胡媚娘の対比、
もっと深く掘り下げて観てみたかったかも。

胡媚娘の配下の一人は、目的その2のKimeruさん演じる狼の化身の天狼。
いやー、かっこよかったです!
曲刀を使っての殺陣、重心が低めなのがまさに狼!という感じで。
歌声が聴けなかったのはちょっと残念・・・
というか、無口な役柄なのか台詞自体もそれほど多くはないのだけど、
天狼が出てくると、ふっとその場の空気が変わるような、緊張感が増すような気がしました。
彼の心の深い疵である人間との関わりがほんの少しだけ描かれるのだけれど、
その短い回想あるいは幻影のシーンだけで、天狼が抱える憎しみや哀しみや愛情や希求が感じられました。
Kimeruさんの舞台で観たのは「さよならソルシエ」とこれだけなのだけど、
ゴーギャンと天狼は全くイメージが違っていて!
またぜひ舞台で拝見したいなあ、と思います。

鷲尾くん演じる蜈蚣の化身、斑は、ビジュアル的には蜈蚣という感じではなかったので、
蜈蚣だと知ってちょっとびっくりしてしまいました。
策士っぽいのかなあ、と最初思ったけど、何気に配下4人衆(笑)の中では一番幼いのかな?
ある意味一番素直な存在だったのかな、と思う。
齋藤くん演じる蛙の化身、緑童は、
可愛らしい外見に反して(きっと彼は小さなアマガエルの化身に違いない!)、
実は4人の中で一番強いんじゃないかと思っちゃいました(笑)。
いやだって、黒風仙も白娘も、最初に傷を負わせたのは緑童だったような気が・・・
舞台から客席に降りて捌けるときに、階段を使わずにぴょん!と飛ぶようにするのが可愛かったですv
横井さん演じる熊の化身、剛双は、とにかく殺陣が大迫力!!
長い両刃の剣をぶんぶん振り回す感じの殺陣なのですが、
錫杖を持った法海との戦いのシーンは、ハラハラを通り越してちょっと怖かったです(>_<)
あれ、最前列だったらもっと怖かっただろうなあ・・・

そんな法海を演じたのは、兼崎さん。
かなり長身の方・・・なのかな?
落ち着いた佇まいなのに、殺陣になるとガンガン攻めてくるとことが容赦なくて、
冷徹にも感じられるようなぶれないスタンスがかっこよかったです。
秋沢くん演じる弟子の素動も、わたわたしながらも決めるときは決める感じで、良い師弟だな、と(*^_^*)
暴走した白娘を抑えるために二人が術を施していくシーンの表現、面白いなあ、と思いました。
紐が絡んじゃいそうでちょっとドキドキしたけどね(笑)。


そんな感じでちょっとアウェイ感のある観劇となりましたが、美しい舞台で楽しめたのは確か。
照明の使い方もとても面白かったので、後方センターからも観てみたかった気がします。
うーん、DVD、どうするかなー(笑)。
悩みつつ、椎名くんの今後の出演情報を待っていようと思います。

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