70分間の悪夢あるいは現実

泊りがけ観劇より、先ほど帰宅しました。
「精霊の守り人」でテンション上げて(?)出かけたはずなのに、
行きの電車は爆睡・・・途中の駅を覚えていません。
でもって、暑さと赤坂の坂に負けそうになりながら、何とかホテルにたどりつき、
セットオプションのスパへ!

スパあるいはエステあるいはマッサージと名のつくものは、
実は2回目なので、めちゃくちゃ緊張・・・リラックスするために行ったのにねー(笑)。
でも、とっても気持ちよかったです!
足と、肩から上のフェイシャルをやっていただいたのですが、
もうね、万年肩こりが自分で思っていた以上に凄かったみたいで(笑)。
「凄い・・・!」
「全身お疲れですね」
「力抜いてくださいねー」(抜いてるんです・・・涙)
「次は是非ボディでいらしてくださいね(にっこり)」
等々担当してくださったお嬢さんに言われてしまいました・・・

ホテルは私的にはいまいちだったんですけど、
スパは気持ちよかったので、また今度行ってみようと思います。
でも、あの坂はやっぱり厳しいなあ・・・夏は避けることにしよう。

スパの後2時間ぐらいお昼寝をしてから一日目の観劇へ。
・・・一見優雅ですが、かなり足と肩を揉みこまれたので(それでも肩はほぐしきれなかったらしいです・笑)、
一休みしないと動けなかったんです。
ま、それはそれとして。
土曜日分の観劇記録にまいりましょう。


NODA・MAP番外公演
「THE BEE」 Japanese Version
2007.6.23 シアタートラム L列14番

出演  野田秀樹(井戸)
     秋山菜津子(小古呂の妻、リポーター)
     近藤良平(安直、小古呂、小古呂の息子、リポーター)
     浅野和之(百百山警部、シェフ、リポーター)


さて、生で観るのは昨年の「贋作・罪と罰」以来のNODA・MAP。
「贋作・罪と罰」は、私の中で五指に入るぐらい素晴らしい舞台でした。
今回も、秋山さんが出る!!ということでチケット購入。
一抹の不安は、原作が筒井康隆なこと。
いえ、嫌いではないんですけど、あの独特の冷たさと粘着さを併せ持ったようなユーモアが、
舞台になるとどうなるのか全然想像がつかなくて。
ので、あえて原作は読まずに臨みました。

シアタートラムは初めてでしたが、200席程度の小さな劇場でした。
客席と段差のない舞台は、最後列からだと上から覗き込むような感じになりました。
舞台セットは、上からぶら下げられ、最前列の足元近くまで伸びた一枚の大きな紙。
その紙を折り、かぶせ、切り、破り、千切り・・・それだけで、様々なシーンが浮かび上がりました。
あとは小道具だけ。
その小道具も、ただそのものだけではなく、シーンごとにいろいろな要素に様変わり。
シンプルで、チープで、薄っぺらくて・・・でもその分こちらの想像力を掻き立てる・・・そんな舞台でした。

内容もいたってシンプル。
ある日平凡なサラリーマンの井戸が家に帰ると、
警官を殺して拳銃を奪った脱獄犯・小古呂が、彼の家に押し入り妻と子供を人質にしていました。
家を囲む警察とマスコミのリポーター。
膠着状態のまま動きようのない警察と、
「被害者としての」コメントを求める傍若無人なリポーターたち。
井戸は、小古呂の説得を拒否している小古呂の妻と話をするために、
小古呂の妻とその息子が住む家へ向かいます。
そこで、井戸は、思いもかけない行動をとります。
案内した警官・安直を殴り、拳銃を奪って、
小古呂の妻と息子を人質に、立てこもるのです。
互いに加害者であり被害者となった井戸と小古呂。
電話を通じたやり取りの中で、それぞれの人質への暴力はどんどんエスカレートしていきます。

やりとりされる封筒の中身は、息子の指。
毎晩レイプされる妻。
儀式のように繰り返される、食事、暴力、睡眠、そして受け取る封筒と送りつける封筒・・・

白々とした光の中で繰り広げられるその「儀式」は、終ることのない悪夢のようでした。
現実感のない薄っぺらいセットが、
それゆえに登場人物の怒りを、恐怖を、狂気を、隠すことなく赤裸々に見せつけていました。

正直、見ているのが辛い舞台でした。
さらけ出される彼らの感情に沿うことも出来ず、
ただただ呆然と、覚めない悪夢を見続けているような・・・そんな舞台。

日常と非日常の、
正気と狂気の、
加害者と被害者の、
慈愛と暴力の―――その曖昧な境目。

最後、引き下ろされた大きな紙が彼らを包み込みます。
悪夢を消し去るように容赦なく。
狂気を塗りこめるように丹念に。
そして、恐怖を隠すように優しく。

決して、後味のよい舞台ではありませんでした。
それは、きっと野田さんの思惑通りで。
でも、心底、凄い舞台だと思いました。
そして、凄い役者さんたちだと。


野田秀樹さんは、今回は一役。
被害者から加害者へ転じる、平凡な男の役でした。
穏やかな笑みが、震える気弱な声が残ったそのままで、
目を背けたくなるような暴力を振るう狂気へと堕ちていくその様は、
ぞっとするほど恐ろしかったです。
小柄なその体も、甲高いその声も、
部屋に迷いこんだ一匹の蜂に怯え、その蜂がいなくなったその後に、
奇妙なハイテンションで踊る滑稽なはずのその姿すら、
私には恐ろしく感じられました。
彼の心情は、決して私には理解できないもので、
なのに、その心情を、その狂気を、受け入れてしまいそうな自分が居る・・・そんな恐怖。
これこそが、私にとって野田秀樹という男の凄みだと、そう思いました。


秋山菜津子さんは、いくつか役をやってらっしゃいますが、メインは小古呂の妻。
子を思う母の心情も、恐怖から狂気へと転じていく姿も、
凄惨な場面ですら真正面、体当たりで演じられていました。

近藤良平さんは、本来はダンサーなのだとか。
踊る場面こそありませんでしたが、やっぱり動きはとても滑らかでした。
粗雑な動きすら、滑らか?(笑)
警官から小古呂の息子へ、小古呂から小古呂の息子へ、
その変化も面白かったです。

浅野和之さんは、後半殆ど紙の後ろでした(笑)。
でも、紙を切り取ったTVの中で、
小さく開いたトイレの窓から、
あるいは紙に写る影の動きで、
素晴らしい存在感を見せてくださいました。


本音を言えば、もう一度観たいと思う舞台ではありません(え)。
悪夢は、やっぱり1回でいいですよね?
が、これ、7月はロンドンバージョンが上演されるんですよ。
そちらでは、野田さんが小古呂の妻役なんです・・・ちょっと観てみたいかも?
でも、当然のことながら英語なんですよねー。字幕はつきますが。
うーん・・・もうちょっと悩んで、でも結局行ってしまいそうです(笑)。


・・・途中、「精霊の守り人」のDVDが届いたので、中断しました。
ので、文章のテンションが違ってるかも(笑)
というか!
あああ!!

2話ってここで終わりなんですか?!(涙)

ほんとに泣けてきそうです・・・
とりあえず、特典映像を見始めましたが、上橋さんのトーク、面白い!!
凄い聞き取りやすいし、笑いのツボも上手く心得てる!
この方の授業は、きっと面白いでしょうねー。
しばらく、昨日録画した分も含め、しばらく繰り返し見てしまいそうです。
・・・アッキーのDVDは少し待ち。
でも、愛がないわけじゃないのよ?(笑)

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この記事へのコメント

ななへ
2007年06月25日 07:50
おはようございます!
なかなか…(精神的に)ハードな観劇だったようで。
でもそれだけ強烈なものを作ることが、また才能のある方なんでしょうね。

…で。
泣けてくるDVDですよね(苦笑)。
なんで2話しか入ってないんじゃい!と、憤りたくなる(だって4話くらい入るじゃん!)。
もし、来月までにお時間あればお寄り下さいませー。
悶えの先をどうぞご覧下さい!
ではでは、今週も頑張りましょうー!
恭穂@管理人
2007年06月25日 22:45
ななさん、こんばんはー!(このタイムラグ・・・笑)
土曜の舞台はハードでしたよー。
劇中で使われた曲(「剣の舞」のディープな日本語歌詞付)が、
今日もずーっと頭の中を回っていました・・・疲れた(え)。
でも、良い舞台でしたけどね。

守り人DVDはねー。ほんと泣けてきました。
勢いで2巻を予約注文しましたよ(笑)。
早く7月後半にならないかなあ。
ななさんとレ・ミゼもありますしね。
ふふふ、そちらも楽しみですv
青海
2007年06月26日 01:23
・・・す、凄いハードな舞台でしたね。
自分をしっかり持ってないと呑まれちゃいそうだなぁ。
マッサージの後はだるさ、眠気が来ることが多いので、休憩とるのはかなり良かったんではないかと。
お会いしたら体触らせてください(ゑ)
恭穂@管理人
2007年06月26日 21:12
青海さん、こんばんは!
ええ、もう、お会いした暁には触りまくってください!
てろてろになって動けなくなっちゃったらやばいですが(笑)。
「THE BEE」はハードでしたが、
でも、凄い印象深い舞台でした。
たまにはこういう舞台で現実を観るのもいいかと(え)。

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