相棒

その森の深淵。
息づいているのは、彼の音楽。


中川晃教弾き語りコンサート2016 HAKUJU HALL

2016.8.26 HAKUJU HALL L列一桁台

出演:中川晃教


その舞台の上には、一台のグランドピアノが置かれていました。
約1年半ぶりのアッキーのコンサートは、初の弾き語り。
これまでも、コンサートの中で弾き語りをしてくれることはありましたが、
最初から最後まで、というのは初めてなのかな。
始まる前、アッキーが出てくるまでの数瞬、静まった客席の、ぴんと張りつめるような緊張感が、
このコンサートへの期待度を示しているようで、なんだかドキドキしてしまいました。
そんな空気の中、ピアノとお揃いのような黒い衣裳で出てきたアッキー。
舞台中央に出てきたかと思ったら、おもむろに靴を脱いで裸足に!
戸惑いつつも和む客席に私もほっとしてみたり(笑)。

HAKUJU HALLは彼にとってホームグラウンドのような場所で。
いろんなホールでやってきて、それぞれのホールで、そしてそこに集う観客ごとで雰囲気は違っていて、
そのどれもが素晴らしいのだけれど、やっぱりここは特別で。
リラックスするために、裸足になってみました、って言ってたかな?
皆さんにも靴を脱いで(リラックスして)欲しいくらいだけど・・・と。
脱ぎやすい靴だったら脱いでたな、きっと(笑)。
そんな風にちょっとお茶目に語りながら、でも少し緊張した笑顔で、彼はピアノに向かいました。


《セットリスト》
♪ I WILL GET YOUR KISS
♪ 旅人
♪ JUST CALL MY NAME
♪ I WILL GIVE U WHAT U WANT
♪ Stay
♪ CHINA GIRL
♪ ピエロ
♪ 音楽が消えることのない DANCE FLOOR
♪ Long Story
♪ 星(Danny Boy)
♪ Without you girl
♪ Lonely Man
♪ 星めぐりのうた
♪ 夜明けのセレナーデ

《En》
♪ 春

HAKUJU HALLは、たぶんとても久しぶり。
凛としたピアノの音に続いて、最初の歌声が響いたとき、
マイクを通したその声の丸みにちょっと驚いたのですが、
目を閉じて聴いていると、まるで間近で奏でられているような、包み込まれているような、
細かな霧雨のように音が降り注いでくるような、不思議な感覚を覚えました。
個人的には、もうちょっとまっすぐに伝わってくる音の方が好きではあるのだけれど、
この日のこの選曲、そしてこのコンサートでは、
ホールを満たすような音が一番に合っていたんだろうなあ、思い返してみたり。
大切な曲、という彼の言葉がリアルに感じられる1曲目でした。

2曲目の♪旅人 は、多分音源になってなくて、またぜひ聞いてみたかった曲。
確か前に聞いたときはバンド形式で。
記憶とはちょっと違う印象でしたが、弾き語りもいいですねーv
というか、今回の選曲、弾き語りで映える曲はもちろんのこと、
この曲を持ってくるのか!というアグレッシブな曲もあって面白かったです。
アッキー自身も挑戦、という感じだった♪CHINA GIRL は、
シンプルであるがゆえに、その情景がすっと浮かぶような感じ。
素足でリズムをとる音が、ドラムの音のように響いていたのもこの曲くらいだったかな。
時に立ち上がり、時にピアノを抱きしめるようにして歌う彼の姿は、
張りつめた緊張感があるとともに、とても自由で、
一瞬も目を離したくない気持ちと、目を閉じてその音に全て包み込まれたい気持ちと、
両方がせめぎ合って、こっそり大変な状況になっておりました(笑)。

というのも、目を閉じて聴いていると、もの凄くいろんなイメージが喚起されたんですね。
初めてHAKUJU HALLでコンサートを聴いたときもそうだったのですが、
このホールではなぜか視覚的なイメージが喚起される。
今回は、少しだけ開いたグランドピアノの蓋の奥の暗闇から、
いろんな音や、情景や、物語が、どんどん飛び出してくるようなイメージが沸き起こりました。
良くイラストなんかで、音符が飛び出してる絵があるじゃないですか。あんな感じ。
本屋大賞をとった宮下奈都さんの「羊と鋼の森」という本があって、
実は私、あの本の物語も装丁も大好きなのですが、ちょっとあの物語に影響された感じもあるかも。

時を経た樹で囲まれた世界の中。
羊と鋼で作られた森の深淵。
そこにはたくさんの感情と物語を孕んだ音楽が隠れていて・・・
それを引き出し、形にして、空間へと放つ中川晃教という存在に、改めて魅了されました。

MCのどこかで、ピアノに対する想いを話してくれた時がありました。
ピアノと少し離れていた時期もあったけど、
迷った時、立ち止まったときに向き合うのはピアノ、というようなことを言っていたかな。
その言葉を聞いて、そして、この日のコンサートを聴いて、
ああ、このコンサートで、アッキーにとってピアノは同志であり、
武器であり、同時に格闘する相手でもあるのかな、と思った。
そして、それらを全部含めて、彼にとってピアノは原点であり、鏡であり、相棒でもあるんだろうな、とも思った。
そしてそんな彼らの関係性が、なんだかとても特別なもののように思えたのでした。


最初から最後まで、感覚全開で聴いていた分、あんまりちゃんとした記録はできそうにないな。
でも、せっかくなので、曲のことをちょこっとだけ。

♪JUST CALL MY NAME は、疲れ切っている身にはちょっと癒し系杉(笑)。
♪I WILL GIVE U WHAT U WANT は、久々に聴きましたが、
前奏で曲が分かった瞬間に心拍数が上がるくらい、やっぱり私にとってはちょっと特別な曲だなー、と。
この曲を聴くことで、思い出される痛みは以前よりも和らいだけれど、
そのことに、ほっとすると同時にちょっと寂しくなる自分もいたり。
♪ピエロ は、初めて聴いた気がするんだけど・・・気のせいかな?
凄く物語性のある歌詞だったので、これがさわりの部分だけなのだとしたら、
最後まできちんと聞いてみたくなりました。
♪音楽が消えることのないダンスフロア 、歌い終わった後の曲紹介で噛んじゃったアッキー可愛すぎるv(笑)
♪Long Story も、たぶん私は初めて。
弾き語りの選曲をするにあたって、「みなさんもご存知の通り厳しいスタッフ」(笑)さんたちと話し合って、
この曲をやりたい!といって、通りました!となんだか嬉しそうなアッキー。
うんうん、確かに弾き語りで映える曲だねー。
♪星 は、サントリーホールでのコンサートが初出なのかな?
POOSSICの範疇ではなくて、既存の曲にアッキーが歌詞を載せた、という感じなのかもですが、
個人的にとても好きなタイプの曲でした。
コンサートバージョンも聴きたかったなあ・・・!CD化、ほんとに嬉しいですv
♪Without you girl の後、「この曲を弾くとある人を思い出します」というアッキー。
「この後、僕は過ちを犯しまして♪So sorry という曲を創りました」
・・・って、いきなり何ぶっちゃけてるの??(笑)
「その後、凄く孤独になって、作ったのが♪Lonely Man です」とのこと。
でもって、この曲は、フランケンシュタイン(の怪物?)の気持ちを描きたくて作ったんだとか。
来年の舞台のこともちょこっと触れたかな?
うん、これも運命かもしれないねー。
その♪Lonely Man 。
こちらも私はたぶん初めて聴くのだけれど・・・確かにめちゃくちゃ孤独で殺伐としてる(^^;)
でも、最後にちゃんと希望の光のようなものが感じられるのが、さすがアッキーだなあ、と。
ミュージカルのために作った♪星めぐりのうた も、ほんとにいい曲ですねーv
この曲で、歌詞に合わせてサイドの照明が灯されて、それがとても綺麗でした。
あのミュージカルも、また再演してくれないかな。難しいかな・・・
というか、ミュージカルに提供した楽曲、結構溜まってますよね?!
纏めて音源化して欲しいなあ。大人の事情で難しいかもですが(^^;)

最後の曲を弾き終って、名残の音をそっと掌に包むような仕草をして、本編終了。
最初に置いた靴を両手に持って退場する姿がまた可愛らしくv
アンコールの♪春 も、本当に気持ちに沁みわたるようでした。


冒頭、とても緊張している、と語っていたアッキー。
「ジャージー・ボーイズ」の時、楽屋にピアノを持ち込んで練習しようと思っていたのだけど、
「あれもとても大変で」結局ほとんどピアノに触れることができなかったのだとか(それはそうだわ・・・)。
終わった後も、サントリーホールの準備もあって、あっという間にリハーサルになってしまって、
ここ数日はめちゃくちゃ緊張していたのだとか。
途中、「やっと気持ちがほぐれてきた」的なことを言っていたけど、
最後まで、やっぱりどこか張りつめたものはあったように思います。

満員の客席からの全ての視線と意識を一身に受け止めて、
自分の歌声と、奏でるピアノの音だけでその空間を満たし、
自分自身を含めた全てをコントロールしなくてはならないのは、
本当に本当に大変なことだと思う。
でも、アッキーはそれをやり切った。
そして、私に、宝物のような至福の時間を与えてくれた。

アッキーの歌声は、聴くたびに進化してる気がします。
それをきちんと言葉にすることができるだけの音楽の知識が私にはないけれど、
相棒であるピアノと共に、彼はその進化を見せてくれた。
アッキーは、本当に音楽の神様に愛された存在だと思う。
それは、才能という意味だけではなく、それに値するだけの信念と努力の人であるのだとも思う。
それを、再確認した時間でした。
弾き語りコンサートはとても大変だと思うけど、これからもずっと続けて行って欲しいなあ。

そうそう、この日は終演後CDを買った方へのサイン会がありました。
私は諸々の事情でその列には並ばなかったのだけど、
ホールを出てふと横を見たら既にアッキーが座っててびっくりしました(笑)。
うん、やっぱり彼の笑顔も大好きだなーv
昨日のFCイベントも日程が合わなくて行けなかったけど、
機会があれば、またなけなしの勇気を出して、ちゃんとアッキーに感謝の気持ちを伝えたいな、と思います。
とりあえず、届かないとは思うけど、今はここから。

素晴らしい時間をありがとうございました!

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