君に贈る歌

もっと高くへ―――もっと、眩い場所へ。

幾度も訪れた、彼らの、彼の、彼女の“予感”。
けれど予感のその先は、きっといつからか異なっていた。


「Beautiful The Carole King Musical」

2017.8.24 帝国劇場 マチネ 1階H席20番台  キャロル:平原綾香
2017.8.25 帝国劇場 ソワレ 1階H席40番台  キャロル:水樹奈々

出演:、中川晃教、伊礼彼方、ソニン、武田真治、剣幸、伊藤広祥、神田恭兵、長谷川開、
   東山光明、前田元、山野靖博、清水泰雄、エリアンナ、菅谷真理恵、高城奈月子、
MARIA-E、ラリソン彩華、綿引さやか、原田真絢


「Beautiful」が終わって、もう1週間が経ってしまいます。
でも、今でも時々、彼らの歌声と、あの眩いステージがふと脳裏に蘇ります。
なんというか、帝劇が帝劇ではなくなる瞬間を、感じさせてくれるミュージカルだったなあ、と思う。

今回、キャロル役のみWキャストで、私はもともと水樹さん回のチケットしかもっていなかったのですが、
夏休みの予定がたったところで、あとから平原さん回を追加した自分をちょっと褒めてやりたくなりました(笑)。
いやだって、どちらも本当に素敵なキャロルだったので!!

平原さんのキャロルは、16歳の時点から、特別な歌い手としてのオーラが半端なかった気がします。

だからかな。
ジェリーとの出会いのシーンの、間違った感が半端なかった気がする・・・
いやちょっと待てキャロル!って思いました(笑)。
その後も、二人の見ているもの、向いている方向、目指している先が、どこかずれている、
そんな噛み合わなさがひしひしと感じられて・・・なんだか見ていてひどく辛くなりました。
キャロルは、ジェリーといるために、本来の自分を抑え込み、閉じ込めてる―――そんな印象。
なので、二人が破局した後のお母さんの言葉―――「あのころジェリーはいなかったわ」というのが、
めちゃくちゃ説得力があるというか、あ、そうだよね、って腑に落ちて気持ちが楽になったというか(^^;)
ジェリーとの日々が間違いだったとは言わないけれど、
彼と別れたことで彼女は本来の自分を取り戻したのかなあ。
そんな風に思ってしまうくらい、その後、歌い手として開花したキャロルの圧倒的なパワーに心震えました。
♪A Natural Woman を歌うことで、彼女はジェリーとの時間が過去になっていることを、
そしてその先に在る一人きりの未来の―――飛び立つその先の世界を実感したのかなあ、と思いました。

カーネギーの前の楽屋で、会いに来たジェリーが言う“予感”。
それまでも、彼は何度も“僕たち”の未来の予感を口にしていた。
でも、この時、彼が感じた予感はキャロルだけのもので。
そのことが、なんだかとても悲しくて、でも、どこかすっきりした気持ちになりました。

そういえば、平原さんを舞台で拝見するのは、「ラブネバーダイ」のクリスティーヌ以来なのですが、
カーテンコールを拝見して、こんなにお茶目な方なのか!と(笑)。
花道の上手の端から下手の端まで走り抜けて手を振って、
両手をばたばたしてみんなを呼びこんで・・・めっちゃ可愛かったですv


水樹さんのキャロルは、最初に観た時と大きく印象は変わりません。
前日に平原さんのキャロルを観た後だったので、どうしても違いを探してしまったのだけど、
やっぱり一番異なるのはジェリーとの関係性だなあ、と思ってみたり。
この二人は、同じ何かを見ている時間が確実にあった。
だからこそ、視線の先がどんどんずれていって、
そのことに気づきながらも、二人の絆を信じて寄り添おうとするキャロルが切なくて、
それでもキャロルにどこかで甘えているジェリーが腹立たしくて、
同時に二人ともがとても哀しかった。
水樹さんキャロルの♪A Natural Woman は、歌っていく中で、
キャロルがその確実にあった二人の眩い時間が、過去にはなったとしても決して消えるものではないのだと、
哀しみや苦しみと共に、喜びも幸せも愛しさも、全てが自分の中にあり、今の自分を構成しているのだと、
そのことに気づいていく過程を見せてもらったような気持ちになりました。
ほんとに、この曲を入れようとしたルー・アドラー、グッジョブです!
山野くん演じるルー・アドラーが、そういうこと全部わかってる感じの深さがあって、
且つ、歌う彼女を見て満足そうに神田くんのエンジニアと微笑み合うのに、
その後のキャロルの成功を確信させる何かがあったように思います。

この日は、水樹キャロルの千秋楽で、
「愛媛に生まれて、父に演歌を習い、でも、今帝劇に立っている!」との名言(?)も出ましたが、
とにかく、ミュージカル初出演の彼女が見た景色が、美しいものでよかった。
キャロルを、水樹さんが演じてくれて良かった―――そう思いました。
水樹さんが、キャロルが見つけた“美しいもの”を、私も一緒に見ることができた。
そんな気持ちになる千秋楽でした。


伊礼くんのジェリーは、なんというか回を見るたびに憎めなくなっていくのがさすがかと(笑)。
いやもうツッコミどころもお説教したいところもたくさんあるんだけど(え)、
彼は彼なりに、未来を掴もうとしていたんだろうなあ、と思えなくもないというか。
♪Up on the Roof が、ジェリーが歌う時とザ・ドリフターズが歌う時で、
全然受ける印象が違うのが、なんというか凄く興味深かった。
ジェリーは過去に向かっていて、ザ・ドリフターズは未来に向かっている感じ。
自分で紡いだ言葉を歌うのと、他の誰かが紡いだ言葉を歌うのでは、やっぱり見えてくるもが違うのかな。
まあ、ミュージカルは基本“誰かの”言葉を歌うわけなのですが・・・
この辺、前からずっと気になっていたことではあったので、またぐるぐる考えてみたいです(笑)。


アッキーのバリーと、ソニンちゃんのシンシアは、ほんとに何度見ても大好きです!
シュレルズの曲をそれぞれが作っているシーン、
キャロルとジェリーのやり取りが続いていて、バリーとシンシアは暗い中にいるシーンでも、
作品を作っている二人の距離が、少しずつ変わっていくのをきちんと見せてくれて、
ちょっと目が離せませんでした。
ある意味、一気にカップル成立(笑)しちゃった二人なのですが、
実際は全く別のものを見ている2人が、
創作で寄り添い、身体で寄り添い、そして心で寄り添っていく過程を、
とても繊細に見せてくれたように思います。
描かれていない二人の逡巡や葛藤や孤独も、そこに見えるような気がして、だ
からこそ♪Walking in the Rainの幸福感ったらなかった。

キャロルに対しても、特にシンシアとキャロルの関係性は、
当然のことながらキャロルによって違う印象でした。
どっちがどう、と言い切るほどしっかり受け取ることはできなかったのだけれど・・・
それがちょっと思い残されます。


武田さんのドニーの細やかな表情も、やっと目を向けることができた気がします。
派手なアクションや目立つ歌はないのだけれど、
時に雇い主としてクリエーターたちを(ちょっと狡い方法だけど(笑))叱咤激励し、
けれど、そこに留まるのではなく、友人としても彼らを支えようとしている様子に、
なんだかとても和んでしまいました。
キャロルが旅立つ前の、♪You’ve Got a Friend のシーンでも、
シンシアより先にドニーが一番泣いていて・・・おあれの立ち位置だからこそのやるせなさが感じられました。
この曲、キャロルからのメッセージというだけではなく、
三人からキャロルへのメッセージでもあったことを改めて実感して、
そして、届かなかったけれど、ジェリーへのメッセージなのだとも感じられて―――泣けました。


アンサンブルのみなさんも、いろんなシーンでどなたがどの役をやっているのか、
やっと見分けがついてきた感じです。
ほんとにみなさん、大活躍!!
ミュージシャンによるショーのシーンは、本当に毎回目一杯楽しませていただきました。
私はあんまりヒットチャートに興味がある方ではなくて、昔も今も音楽番組はほとんど見ないし、
というか、音楽番組の在り方って、今とは全然違うのだと思うけど、
ショーのシーンが始まると、なんだかもう思いっきりワクワクしてしまって、
目の前で繰り広げられる華やかな世界、パワフルな歌声、個性的なダンス、そして新鮮な音楽に、
身も心も浮き立つような気持ちになりました。
うん、きっとこの当時彼らの音楽に触れた人たちも、同じような気持ちだったんだろうな。
個人的に一番テンションが上がったのが、Maria-Eさん演じるエヴァが歌う♪The Locomotion 。
聞き覚えのある曲、ということもあったのかもしれないけれど、
とにかくエヴァがめちゃくちゃ可愛くって!!
衣裳もダンスも表情も歌声も、もう観ていて本気で笑顔になってしまいましたv
退場するときに、上手袖で立ち止まって手を振るのがまた可愛くってねえ(*´▽`*)
華やかで貫録のあるシュレルズも、変幻自在なザ・ドリフターズも、
凄味のある、というかありすぎるのに歌詞は結構ヘタレ風味(え)なランチャス・ブラザーズも、
ゴージャスなジャネールも、キュートなマリリンも、
もちろん何気にトップバッターなニールも、みんな凄く素敵でしたv
再演の告知は残念ながらなかったけど、
CHESSみたいに、このメンツ、この楽曲でコンサートとかやってくれないかなあ。
そしたら絶対行くのに!


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