祝ぐ心

言祝ぐ、という言葉が好きです。

言葉にしなくても伝わることもあるけど、
言葉にしなくちゃ伝わらないこともある。
伝えられる瞬間は、常にあるわけではない。
だから、プラスの感情はなるべく素直に言葉にしようと心がけています―――難しいけどね(^^;)

でも、言葉ではないものでも、こんなにも鮮やかに“祝う”という心は伝わるのかと、
この舞台を観て思いました。


成田美名子画業40周年記念
「花花能」

2018.2.11 GINZA-SIX 二十五世観世左近記念観世能楽堂 9列30番台


というわけで、ものすごーく久々にお能を観てきました。
成田先生は、中学生のころから大好きな漫画家さん。
今でもクリスマスになると「CIPHER」が読みたくなるし、
青森がTVに映ると「natural」が読みたくなるし、
牛タンを見ると「エイリアン通り」が読みたくなります・・・いや、いろいろスイッチがあるということで(^^;)
現在連載中の「花よりも花の如く」も大好きで、これをきっかけにお能にも興味が出始め・・・
でも、お能はなかなか観に行く機会が持てなくて。
今回、そんな成田先生のお祝いのお能、ということで、お友達と一緒に行ってきました!

観世能楽堂は、というか、GINZA-SIXそのものに立ち入ったことのなかった私。
まさか地下に能楽堂があるとは思ってもいなかったので、会場に入ってびっくりしてしまいました。
いやもうめっちゃきれい!!
まだ新しい、というのもあるのかもしれませんが、屋内だからこそ作り出せる陰影もあり、
椅子の座り心地も良く、舞台もとても見やすくて、とっても快適でございました。

演目は・・・
・能:「羽衣」
・狂言:「福の神」
・半能:「石橋」

能は2演目とも花花に出てきたもの。
配布されたプログラムにも漫画の中の絵が使われていたりして、なんだか嬉しくv
というか、全員に配布されたこのプログラム、描きおろしもあり、解説もありでとっても豪華でした!

最初の演目、「羽衣」。
空間を切り裂くような鋭い笛の音が一気にその場の空気を換えたように思いました。
漁夫の白龍さんの言葉から始まるわけですが、古い言葉なのにとても聞き取りやすく。
状況が凄く良くわかりました。
天人とのやりとりも、ちょっとどきどきしながら観てしまいました。
いやだって、結構丁々発止なやり取りだったと思うのよ。
で、羽衣を返す代わりに天人が舞いを舞うわけなのですが、
その前に、受け取った羽衣を持って舞台奥に行ってしゃがみ込んだ天人に、
後見さん(かな?)が羽衣を着付けるのですが・・・縫ってる?!
羽織った羽衣の前を縫い止めているように見えたのですが、これ、毎回のことなのかしら?
ちょっとびっくりしてしまいました。
で、始まった舞い。
最初はとてもゆっくりとしたテンポの、厳かな感じの舞で、
天人袖をふわっと頭上に掲げる姿に、「ああ、漫画で見たなあ」と静かに感動。
で、舞い終わってこれで終わりかな?と思ったら、
お囃子の勢いが増して行って、それまでとは打って変わった素早い動きの舞に!
おお!と思って謡本を見ると、「舞い足りない気分」という言葉が!!
興が乗っちゃったわけですか?(笑)
それまで、羽衣の対価として舞っていたのが、自らの気持ちで舞い始めたという感じで、
なんだか一気に雰囲気が変わった気がしました。
というか、瓔珞を揺らしながらノリノリで待ってる天人、めっちゃ可愛いv
謡の中に「月宮殿」という言葉があったこともあり、
ちょっと「宝石の国」の月人が思い浮かんでしまいました。
人間界では厳かで神聖な存在だけど、月に帰ったらとっても元気でお喋りな天人さんなのかもなあ。
そんな想像をして、なんだかちょっと楽しくなってしまいました(笑)。


狂言の「福の神」は豆まきをしていたら福の神がやってきた、というお話。
神様が登場するときの笑い声が本当に福々しくv
でもって、この神様がその笑い声の通り、とっても愛嬌があるというか、
面をかぶっているのに本当に表情豊かで!
お神酒を所望して嬉しそうに煽る姿も微笑ましくて。
途中、福を得るための方法(?)を参詣人に伝授するのですが、
そのためには元手が必要、というようなことを言っていて、
思わず、この神様、ほんとは二人の同僚とかいうオチ?!と疑っちゃったのですが、
ちゃんと福の神様でした。ごめんなさい(^^;)


最後は「石橋」。
こちらも謡本をちゃんと買って備えていたのですが、
始まった、と思ったら、一気に獅子が舞い始め・・・あ、半能ってそういう意味か!
紅白の獅子が牡丹の花と戯れる様は、勇壮でありながらもとても可愛くて。
特に、上を向いて遠吠えするような姿勢をとるのに、ちょっと癒されましたv
でも、漫画でも取り上げていましたが、面をつけた状態で、縦横無尽に舞台の上を動き回り、
しかもあの代の上に飛び乗り飛び降り・・・ほんとに大変そうでした。
というか、あの台、最初から設置されているのではなくて、
始まってから設置して、片づけて終わりになるのですね。
どの演目もそうなのですが、全く何もない舞台の上に、お囃子の方々が現れて、
地謡の方々が現れて、後見さんが現れて、物語がはじまって、
そしてその逆の順番で舞台の上がまっさらになっていくのは、
なんだか見ていてとても清々しくて・・・でもちょっと寂しい感じもあったりしました。


そんなこんなで、最初から最後までとても楽しませていただきました。
思い返してみると、この3つの演目はどれも“祝ぐ”気持ちの全面に出たものだったなあ、と思います。
40周年記念能なわけですから、祝うというのは当然のことなのでしょうけれど、
演じる側も見る側も、“祝ぐ”気持ちがあったからこその、あの空間の明るさだったのではないかな、と。
その空間にいることができて、末席からでもお祝いをすることができたこと、とっても嬉しかったですv

改めまして成田先生、40周年おめでとうございます。
40年を経てなお、鮮やかで瑞々しい物語を描き続ける成田先生。
連載中の花花も、憲人さんの「道成寺」の披きが近づいてきており、先がとても楽しみです。
これからもどうぞお体に気をつけて、素晴らしい漫画を描き続けていただきたいです。
たぶん、成田先生の描く、惑いながらも真摯に生きる彼らを、私はずっと追いかけていくと思うから。
さて、とりあえず「エイリアン通り」から読みなおすかな。

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