道程

その希求も。
その努力も。
その笑顔も。
その絶望も。
その慟哭も。

全て彼らの道程の最中。


「宝塚BOYS」team SKY

2018.8.19 マチネ 東京芸術劇場プレイハウス 1階S列一桁台

出演:永田崇人、溝口琢矢、塩田康平、富田健太郎、山口大地、川原一馬、中塚皓平、愛華みれ、山西淳


再演以降欠かさず観ているこの舞台。
今期はお兄さんチーム1回きりの予定だったのですが、
先週の観劇の際に、我慢できずに幕間にこの日のチケットを確保してしまいました。
まあ、こういうことも稀に・・・いや、たまにある(笑)。

もともとこちらのチームは知らない役者さんばかりだったこともあり、
大丈夫かなあ、とちょっと不安ではあったのですが、
でもって遠目ということもあって案の定、レビューのシーンでは星野さん以外見分けがつかなかったのだけど、
(イケメンはみんな似て見える・・・←暴言)
そして、観終わってどういう風に彼らを表現したらいいのかわからないままなのだけれど、
でも、観て良かったなあ、としみじみ思える舞台でした。

なんというか、お兄さんチームが一つの物語、一つの時代として完結しているのに対し、
空組の彼らは、途中経過、という印象が強かった気がします。
もちろん、彼らが生きる男子部の面々には、
ちゃんと過去があり、ちゃんと夢があり、ちゃんと志があり、ちゃんと不安があり、ちゃんと絶望があり、
そして、一つの終わりを受け入れて前に進んでいった。
でも、あの数年間は、彼らにとって過程でしかないのだな、と感じたのです。
懸命に生きて、懸命に笑って、懸命に泣いて。
でも。
彼らのその懸命さは、どこか足場の不確かな危うさがあった。
自分が―――自分たちが、何を求め、何に向き合い、何と葛藤しているのか。
途中から、彼らはそれを見失っているように感じた。
見失って、それでも―――それだからこそ、“今”をひたすらに懸命に生きるしかない。
そして、その果ての絶望すら置き去りにしてしまうほど、彼らは若い生命力に満ちていて。

この挫折は、この絶望は、多分彼らにとって深い傷として刻まれる。
でも、彼らの若さは、彼らの生命力は、そこで立ち止まることを許さない。
その傷がどんなに痛んでも、どんなに血を流していても、彼らは前に進まざるを得ない。
それは―――その若さは、本当に眩しくて、でも同時になんて残酷なんだろうとも思った。

うーん、こうやって言葉にしていっても、やっぱり上手く自分の中でまとまらないなあ。
多分、物語としては、一つの舞台としては、海組が完成度も深みも段違いだと思う。
個人的なことをいえば、海組では彼らに気持ちが寄り添って、本当に苦しかった。
でも、空組はどちらかというと、親目線というか君原さん目線な寄り添い方になってた気がするんですよね。
共に痛みを感じるというよりも、その痛みを見守る感じ?
若者チームという先入観があるからそう感じてしまったのかもしれないけれど、
でも、この物語の新しい見方ができた気がして、それはそれで興味深いなあ、と思いました。


上原役、永田くん。
なんというか、めっちゃ小動物ちっくな上原で、凄い新鮮でした。
彼らの中でも一番小柄なのかなあ。
落ち着かずにあっちこっち動き回って、でも時々じっと静かに見つめるような不思議なテンポの子でした。
印象に残ったのは、最初のシーン。
流れてくる美しい歌に笑みを浮かべて立ち上がって、まっすぐに空に向かって伸ばされた腕。
何かを掴み取ろうとするかのように、大きく開いたその手。
レビューのシーンで、全員が集まって空に向かって大きく手を開く瞬間があって、
あの時の上原の手が思い浮かんで、思わず号泣しそうになりました。
それから、男子部解散が告げられた時。
真っ直ぐに背筋を伸ばして正座をするその姿に、彼は全部を受け入れてるんだな、と思った。
もちろん悲しいし、悔しい。
でも、最初に男子部を望んだのが自分なら、その終わりを最初に受け入れるのも自分だと、
そう決めているかのような背中でした。
あのシーンの池田さんの言葉も、きちんと受け止めていたのは上原だけだったような気がする。
でも。
レビューの最後、一人舞台に残った上原は―――号泣、していました。
子どものように座り込んで、大きく口を開けて、空に向けて泣いていた。
何も掴めずに下ろした手を握りしめて、頑是ない子どものようにただ泣いていた―――
ラストシーン、稽古場の扉を閉める前にちょっと立ち止まった上原は、振り向かなかった。
振り向かず、勢いよく電灯のスイッチを消して、仲間の呼ぶ声に笑顔で答えながら走り去った。
もはや“過去”になった“今”を置き去りにするその潔さこそが、空組のカラーなのかなあ。
そういえば、永田くんは「ハイキュー」の舞台で研磨役だったんですね。
・・・めっちゃ似合うと思う!
ちょっと観てみたくなりました。DVDに手を出してたら笑ってください(^^;)


竹内役、溝口くん。
こちらもなんとも発展途上感あふれる、可愛らしい竹内でした。
マリー、全然違和感なかったと思うんだけど、あれがNGって長谷川ってば厳しいなあ(笑)。
器用になんでもこなすけれど、ちょっとどこかずれている感じに、
さりげなく目が離せなくなる感じ?
小柄で華奢な感じもあいまって、なんというか、はらはらしちゃって(笑)。
池田さんに詰め寄るところも凄い勢いだったけど、
山西さんより小柄なので、なんだか痛々しく感じてしまいました。
そういえば、太田川をおーちゃんって呼んでた気がするんですが・・・他の子も呼んでたかな?


太田川役、塩田くん。
飄々とした風を装いながら、誰よりも男子部に依存していたのは彼なのかもしれないなあ。
いろいろ茶化したりしながらも、いつもどこか怯えたような気配があったように思います。
だからかな。
子どものころから中途半端、という言葉が、とても重く響いた。
男子部解散が告げられた後、最後まで歌うことのできなかった太田川。
彼の生命力は、悲しいかな、仲間たちよりも多分少し弱くて。
その分、あの場所を振り切るには、“今”を置き去りにするには、時間がかかったのかもしれません。
カーテンコールの挨拶で、太田川のモデルになった二人の男子部のメンバーの想いを、
最後のレビューで一緒に連れて行けたなら嬉しい、というようなことを言っていて、
なんていい子なんだ!と思いました。
(他の子がわりとあっさりな挨拶だったので余計に)


長谷川役、富田くん。
お調子者に見えて、結構しっかり者なんじゃないのこの子?と思っちゃう感じの長谷川でした。
あの面々の中で、さりげなく場を和ませていたように思います。
でもって馬の脚の指導とか、めっちゃ具体的で上手なんだけど?!
(馬の脚な二人が、頑張って言われたことを守ろうとしているのも微笑ましくv)
大人数の中で暮らすスキルも、演技に対する向き合い方も、
きっと旅役者でドサ周りをしていた時の経験によるんだろうなあ。


山田役、山口くん。
山田というのは、物語の中で大きく変化していく役だと思うのですが、
山口くんの山田も、その変化を鮮やかに見せてくれたように思います。
優しいは強い。
一本通ったその芯を、ちゃんと見せてくれました。
声の感じも結構好みだったので、またどこかの舞台で観れるといいなあ。


竹田役、川原くん。
「運がいいとか悪いとか」の独白での憔悴っぷりと、
稽古場で太田川に向けた笑顔の痛々しさに、胸を突かれました。
でも、生命力、という意味では彼が一番強かったのかもしれないなあ、とも思う。
寮で山田と台本の練習をしているシーン、海組はタンデムだったのに、
空組はサイドカーで、演技プランも違っているのが楽しかったですv
そういえば、稽古場での君原さんを巻き込んでの練習シーンも、海組とは全然違っていましたね。
フランス国旗と花にはどうしようかと思ったけど、
でもって、その花に馬な山田と竹田が寄っていってるのとか凄い細かくて!
いやそれ靴だから!ってつっこみたくなりましたよ。
この辺りのわちゃわちゃは、どちらのチームもほんとに素で楽しそうで、
観ていてほんとに和みました。


星野役、中塚くん。
昔、D☆Dの公演を1回だけ観たことがあって、その時に心惹かれたダンサーが中塚くんでした。
星野はどうしても東山さんのイメージが強くて、
且つ、ベースが共通のせいかお二人の雰囲気がとても似ていたように思います。
東山さんの星野よりツンデレ感は薄かった気がするけど(笑)。
カーテンコールの挨拶で、稽古が本当に大変で、最寄り駅に着くと毎日えずいてたって言ってたけど、
星野役のお二人は関係性が近い分、難しかったのかもしれないなあ、と思います。
これから地方公演が進むなかで、もっと中塚くんの星野色が出てくるといいね。


君原さん役、愛華さん。
マリーを演じるシーンは、やっぱり号泣しちゃいました。
今回はほんとに君原さん目線でボーイズを見つめてしまったので、
あのマリーの台詞が、とても身に沁みました。
彼らが夢を掴むまで、いつまでも応援するし、待つし、支え続ける。
でも、それって、もしかしたら彼らを縛ることにもなりかねないのかなあ、と思ったり。
君原さんのいるあの寮は、きっと凄く居心地が良かったと思うんですよね・・・
カーテンコールでの愛華さんの挨拶が、まさに寮母さんの言葉で。
声をからしたり、えずいたりしながら、一生懸命頑張ってきたこの子たちは、
これからの公演でもどんどん変化して、良くなっていくと思うので、
第2、第3、第126(だったかな?)の君原になって応援して欲しい、的なことを言っていましたが、
多分今日の私は第何番目かの君原さんになっていたと思います(笑)。


池田さん役、山西さん。
池田さんは、お父さん度が上がっていた、というよりも、
彼らの生命力に引きずられている感じが強かったように思います。
冷静でいられない、というか。
男子部解散を告げた後の、池田さんの男泣きは、見ていて本当に辛かった。
夢の舞台が始まる時も、しばらく呆然としていたように見えました。
その分、その後のあちこちチェックしながらの笑顔が、とても素敵でした。
若い役者を導くだけでなく、若い役者から得たものを鮮やかに演技に取り込む。
その在り方が、理想のベテランなのかなあ、なんて思いました。


レビューのシーンは、みんな本当に一生懸命で、本当に楽しそうで、
観ていて自然に笑顔になるのに、同時に涙も溢れてくるという・・・
彼らがわーって笑いあって階段の上に散っていくのとか、ほんと愛おしいったらなかった。
フラメンコシーンでは、スモークが凄すぎ客席2列目くらいまで白く埋まってたけど、
あの席にいた方たち、大丈夫だったかしら(^^;)
後ろから観ている分には、とても綺麗なシーンだったんですけどね。
夢の舞台の終わり、暗くなった舞台の上、泣いている上原の横で、
舞台にそっと手をついて、そして階段に向かって深く頭を下げていたのは竹内だったかな。
早替えの関係か、わりとみんなあっさりと去っていった中で、この二人の姿がとても印象に残りました。
開演前のツイートで、この先3~4年は上演の予定が立っていない、というのが流れてきました。
前回は5年前だったし、そういうものかな、とも思うけれど、
この舞台に出たいと思う若手も、ベテランもたくさんいると思うので、
定期的に上演してくれると嬉しいなあ。
でもって、次の上演の時には、空組の彼らが、今回とはまた違った“彼ら”を見せてくれたら更に嬉しい。
そんな夢も広がる空組の宝塚男子部でした。
もちろんその前に、地方公演頑張って生き抜いてほしいなあ、と思います。

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