マグマ

素直なその笑みの奥に隠された、その激情の溜まり。
美しいきらめきも、どろどろした暗闇も、制御できない熱情も、
全てを含んだその自分の中にあるマグマを、彼自身は知っていたのだろうか。


「ロミオ&ジュリエット」

2019.3.2 ソワレ 東京国際フォーラム ホールC 2階10列20番台

出演:大野拓朗、生田絵梨香、三浦涼介、黒羽麻璃央、渡辺大輔、大貫勇輔、春野寿美礼、
   シルビア・グラブ、岸祐二、宮川浩、秋園美緒、姜暢雄、石井一孝、岡幸二郎、飯田一徳、祝陽平、
   大場陽介、岡田治己、小南竜平、小山銀次郎、酒井航、鮫島拓馬、鈴木凌平、高木勇次朗、
   仲田祥司、渡辺崇人、伊藤香音、おごせいくこ、織香織、小松芙美子、齊藤恕菜、Sarry、
   島田友愛、杉浦小百合、鈴木百花、平井琴望、深瀬友なし、松島蘭


というわけで、2年ぶりのR&Jを観てきました。
前回は新演出に馴染むほどの回数を観ることができなかったと思うのですが、
今回の観劇ですんなり物語世界に入りこめたのは、それなりに馴染んでいたのかなあ。
この日は2階最前列センターという良席。
この位置から観ると、冒頭の小競り合いのシーンを始めとした群舞のフォーメーションが良く見えて楽しく。
でもって、更にはこの位置だと“死”が真正面にいることが結構多くて・・・
結果、ほぼ“死”に目を奪われるという状況になりました(^^;)

いやでも、大貫くんの“死”は、本当に素晴らしかった!
もうね、姿が見えた瞬間に目が引き寄せられました。
冒頭の映像とのコラボも、この席から見ると“死”がその争いを操っているようにも見えて、
最初から鳥肌が立つ思いでした。
♪憎しみ で奥から歩いてくるときに、良く見れば確かに足が動いているのに、
まるで宙を滑ってくるかのように見えたり、
♪僕は怖い でロミオに触れそうなのに、というか実際には触れているのに、
僅かにずれた位相にいるかのような不思議な存在感に目を見張りました。
すらっとした肢体が、鞭のようにしなやかに躍動しながら、けれど人が持つ熱は欠片も感じられない。
なのに、なぜか“死”の強い意志が感じられたように思うのです。
特に霊廟のシーンでは、ロミオとジュリエット、それぞれに向けられる“死”の眼差し、
まるで慈しみ、愛おしむかのように神の像に触れる“死”の手と唇、
そして、何かを生み出そうと、掴もうとしながら果たせない“死”の苦悩に、
本当に比喩でなく目が釘付けで・・・下界の諸々に全く目を向けられませんでした(^^;)
みなさん熱演だったのに、申し訳ない。
いやでもそのくらい、本当に素晴らしい“死”でした。
この物語では描かれない“死”の―――“死”と“神”の物語に、想いを馳せずにはいられませんでした。
翌日前方席で観て、その想いはさらに強くなったわけなのですが、
この辺は書いているときりがなくなるので、それは次の機会に!(え)

前回ご縁がなくて初めて拝見した大野ロミオ。
明るい笑顔が魅力的な、等身大の素直さのロミオ。
歌声は思っていたよりも低く落ち着いた感じで、年齢相当の青さもありつつ、
穏やかで賢くて、みんなに愛され期待されるのも納得な優等生なロミオ。
最初の印象は、そんな感じだったのです。
ジュリエットに対しても、彼女との愛から開けていくはずの争いのない未来に対しても、
本当に真っ直ぐ、真摯に向き合っているように見えた。
でも。
マーキューシオの死の直後、彼のナイフを手にティボルトと向き合った時、
彼の全身が焔に包まれたかのような錯覚を覚えたのです。
最前列とはいえ2階席だからその表情の細かいところは見えない。
ナイフを握るその手が震えているのか、強張っているのかもわからない。
なのに、その姿は、思わず体が後ろに弾けてしまうような迫力があって―――
その後、躊躇いもなくティボルトを刺し貫くその様を、呆然と見つめてしまいました。
そして思ったのです。
もしかしたら、あの場にいた誰よりも、彼の中の激情こそが危ういものだったのではないか、と。
そしてそんなマグマが自分の中にあることを、彼自身認識していなかったのではないか、と。
そのくらい、あの瞬間の彼が纏う色の変化は鮮やかで―――戦慄する思いでした。
その後、大公に申し開きをする彼に向けられたモンタギュー夫人(秋園美緒)の表情を見て、
もしかしたら、彼女だけは息子の中にあるそのマグマを知っていたのかもしれない、と思って、
そうしたら、♪憎しみ の後、彼女がベンヴォーリオに見せた息子への心配の質が、
モンタギュー夫人の在り方が、ちょっと変わって見えてしまいました。

生田さんのジュリエットは、ナターシャとは質の異なる可憐さ!
透明感のある歌声も幼さの感じられる響きでした。
そして、その歌声にぴったりの、本当に真っ直ぐで純粋なジュリエットでした。
そんな彼女の純粋さが大野ロミオの内包する激情に触れたことで、
相乗効果というか加速度的に破滅に向かっていく感じに、
これはもう仕方がないなあ、と納得してしまったり。

三浦くんのベンヴォーリオは、こちらも思っていたよりもずっと骨太で誠実な存在感に驚きました。
もっと華やかなベンヴォーリオになるのかな、って思っていたから。
そして、なんというかとてもまろやかな印象でした。
正直、危なかったり尖ったりしている若者たちの中で、彼の存在感は癒しだったかも(笑)。
ティボルトの死の後、ロミオを大公から庇うように抱きしめるのに、ほんと泣けた。
その後の♪どうやって伝えよう は、後ろの映像に度肝を抜かれて集中できず、
(ほんとにこの舞台の映像ってどうにかならないのかな・・・)
霊廟のシーンでは“死”に目を奪われて彼の動きを見損ねたので、
次の時にはちゃんとベンヴォーリオの心の動きを見届けたいな、と思います。
・・・見届けられるといいな(^^;)

黒羽くんのマーキューシオは、幼い寂しい子どものような印象でした。
記憶にあるよりも小柄でちょっとびっくりした。
三日月さんはもっと大きな印象だったけど、相対的なものだったんだろうか・・・?(え)
三人でわちゃわかしているのが凄く可愛くて微笑ましかったので、
2幕での彼の姿が怒っているより泣いているように見えて胸が痛かったです。

というか、モンタギューの三人・・・だけでなくティボルトも、
いいとこのお坊ちゃん感というか、育ちの良さが感じられた気がします。
だからこそのしがらみ。
だからこその孤独。
だからこその友情。
だからこその幼さ。
ティボルトとベンヴォーリオが言う「大人たちのせい」という言葉が、
今までで一番しっくり来たような気がしました。

そんなティボルトのこととか、キャピュレット家の親子関係のこととか、
真面目で誠実な岸さんのロレンス神父様とか、
そこはかとなく朝ドラの鈴さん感があるシルビアさんの乳母とか、
いろいろ書きたいことはあるのですが、それは次の記録で!
実は当直明けなのでそろそろ眠気に負けそうだったり(^^;)
でも、この演目は本当にいろいろ深読みもとい考察しがいがあって、めちゃくちゃ楽しいですv
この日もお友達と一緒だったので、いろいろ語れて楽しかった!

さて、そうしたらこの辺で強制終了して寝ることにします。
夢に“死”が出てきたら、よく眠れるのか悪夢にうなされるのかどっちかなー(笑)。

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