初心

とある事情から(今更(^^;))、ここ数年日本刀を見に行くことが増えました。
いろいろな解説を読んだりもして、由来とか刀派とか鑑賞ポイントとか細かな名称とか、
ちょこっと門前の小僧状態になっているかも?(笑)
日本刀に関連する言葉は、日常の言葉の中にもいろいろ使われていて、改めて面白いなあ、と思います。
そんな中でちょっと印象に残っているのが、「生ぶ刃」という言葉。
刀身の持ち手に近いところの数センチの、敢えて研がずにおいてある部分なのだそう。
使われていく中で研磨されていくと、だんだんとその部分がなくなっていくので、
それがあるということは、作られたときの姿に近い、ということなのだとか(誤解釈でしたらすみません!)。
「生ぶ」という言葉が「初心(うぶ)」という言葉に繋がるのかどうかはわからないけれど、
意味合いとしては近いのかなあ、なんて思います。

で、一昨日。
再演であるはずのこのミュージカルで再びあの刀を観た時、
なぜか初演よりもずっと初心な印象をうけたのでした。


ミュージカル『刀剣乱舞』 ~三百年の子守唄~

2019.3.24 大千穐楽ライブビューイング ユナイテッドシネマ前橋

出演:崎山つばさ、荒木宏文、太田基裕、spi、横田龍儀、牧島輝、鷲尾昇、大野瑞生、川尻拓弥、
    高根正樹、岩崎大輔、大野涼太、笹原英作、鹿糠友和、西岡寛修、鴻巣正季、服部悠、
    山口敬太、杉山諒二、佐藤一輝、市川裕介、伊達康浩、白濱孝次、塚田知紀、寒川祥吾、
    小島久人、佐藤文平、松本直也


というわけで、みほとせの再演のライビュに行ってきました。
実は刀ミュの中では今のところ一番好きなお話なので、できれば生で見たかったのですが、
今回は惜しいところでご縁がなく(^^;)
でも、ライビュでも観ることができて本当に良かったです。
物語の流れ的には大きな変化はなかったけれど、セットも多分ちょっと変わっていたし、
同じシーンででもニュアンスがちょっと違っているように感じる部分もあって、
とても新鮮な気持ちで観ることができました。
初演を観た時は、思いっきり太田くんの村正さんによろめいたのですが(笑)、
今回も村正さん、本当に素晴らしかったです!
というか、初演で感じた千子村正という刀の無垢な部分が、今回更に際立っていたように思うのです。
何というか、もの凄く繊細な印象を受けました。
初演では、特にライビュで観た千穐楽では、おちゃらけた感じというか、
人を翻弄する感じが強かったのだけれど、
今回同じ台詞で大倶利伽羅や物吉くんに絡んでいても、
どこか戸惑っているような、怯えているようでもありました。
人の身を得たことに、心というものにまだ全然馴染めていなくて、
相手との距離感を計りかねているような、そんな感じ。
無防備に相手に近づいて、相手の反応に驚いて、動揺して、逃げるように距離を取る。
そして、そんな風に行動した自分の心の動きを―――“心”というものを、
不思議そうに不安そうに覗きこみ、確かめる。
そんな、どこか初心な雰囲気があって、そのことにちょっと驚いてしまいました。
でも、この物語の千子村正は、あの登場シーンが示す通り、生まれ落ちたばかりなんですよね。

徳川に仇なす妖刀。

顕現したばかりの彼にとって、そのことだけが彼が彼である縁(よすが)だった。
それなのに、顕現して最初の任務が徳川家康を守り育てること―――それは戸惑いますって!
この辺、ほんとこの本丸の審神者は相変わらず容赦ないなあ、と思います(笑)。
でも。
その長い長い任務の中で、彼はその“心”でたくさんのものに出会い、触れていく。

徳川の守り刀として、ただひたすらに、懸命に、家康に寄り添い続ける物吉くんの愛。
赤子の温もりに戸惑いながら、静かに自分のなすべきことを見据える青江さんの眼差し。
元の主の名誉を守るために、愚直なまでに突き進む蜻蛉切さんの思慕。
少しずつ命の重さを、暖かさを、儚さを知っていく大倶利伽羅くんの純情。
そして、人を守る刀であることを望み、悩み苦しみながら、
静かに微笑んでその痛みを受け止め進んでいく石切丸さんの覚悟
見つめ続けた徳川家康の、のちの世のイメージとは異なる真実の姿も、
もしかしたら妖刀というイメージに囚われる自分自身と重なったのかもしれない。
吾兵の受け止め続けた悲しみ。
信康の健やかな望みがもたらす軋み。

そんないろいろなものを見つめ、触れ、生ぶ刃であった千子村正は、
刀剣男士である―――“心”を持つ存在である千子村正に研ぎ上げられた。
それはもしかしたら、刀としては歪んだ姿のかもしれない。
でも、想いを、願いを、嘆きを、愛を、覚悟を、“心”を知った千子村正は、
きっと更に強く、美しくなった。
物語の終盤、信康を斬りに行こうとする石切丸の後を追う刀剣男士たちのやり取りは、
再演でもとても素晴らしいシーンだったのだけれど、
そこで村正さんが物吉くんにかける言葉は、何の揶揄もなく本当に優しかったし、
その後の蜻蛉切さんの「俺も村正だ」という言葉に綻んだ笑顔はとても柔らかく綺麗だったし、
石切丸さんが信康を斬れないと叫んだ直後、
一瞬の躊躇いもなく抜刀して信康を斬ろうとしたときの表情は、強く、そして真摯だった。

うわあ、やっぱり村正さんのことを書いているときりがないなあ(^^;)
でも、今回は、初演とはまた違う形で千子村正の変化と成長を見せてくれた感じで、
改めて太田くんの村正さんに惚れ直してしまいましたv
今後、再々演があるのか、それとも新作で村正さんが出演することがあるのかわからないけど、
また太田くんの村正さんに会える時が来るといいなあ。


村正さんと違って、絶妙な距離感を持っていたのが荒木さんの青江さん。
初演の時も、決して踏み込みすぎずに、でもいつでも手を差し伸べられる距離感が、
青江さんらしくて素敵だなあ、と思っていたのですが、今回もそれは健在でした。
というか、より絶妙になっていた気がする。
初演よりも物静かな印象で、表情もずっと微笑んでいるのに、感情が鮮やかに伝わってくる感じでした。
静かに微笑みながらじっと相手を見つめて、そしてすっと距離感を縮めてくる独特なテンポに、
見事に青江さんだなあ、と思ってみたり。
あの目で見つめられたら、村正さんでなくても、全てを見透かされてるみたいで落ち着かなくなりそう。
そう思うと、すっと躱せる石切丸さん、凄いなあ!(笑)
で、石切丸さんに躱された後だけ、
ちょっと真顔というか拗ねたような顔になってた気がするんですが気のせいですか?!
表情だけでなく殺陣も、鋭いけれどとても凪いでいるというか静かな印象だったので、
最後の石切丸さんの前での大笑いにほんとにびっくりして、
多分石切丸さんと同じ表情してた気がします、私(^^;)
2部も、1部の静けさが嘘みたいに思いっきり楽しそうにはっちゃけてて、
それがめっちゃ可愛かったですv


崎山くんの石切丸さんは、なんというか相変わらずの完璧な綺麗さだな、と思いました。
この人、もしかして完璧にシンメトリーな顔なんじゃなかろうか・・・
物語を知っていたというのもあるのだろうけど、今回は更に石切丸さんの葛藤が鮮やかで、
観ていてとても辛い時もありました。
何というか、彼の言葉、眼差し、表情、仕草・・・そういう全てに意味があるように思えて。
というか、実際意味を込めて演じていたのだろうと思うけど。
桶狭間の時だったかな、人を守るご神刀であるはずの自分が、人の命を奪う―――奪わせる、
その事実を受け止めた彼の感情の揺らぎがとてもはっきりと感じられて、
だからこそその後の大倶利伽羅くんとのやりとりが、とても重く感じられました。
まあ、あれはちょっと八つ当たりだったのかも、と思ったけど(笑)。
信康関連も、どの台詞も表情も、愛情に満ちているがゆえに辛かったのだけれど、
今回一番印象に残っているのは、信康が「わしを斬ってくれ」と言ったシーンかなあ。
歴史改変のリスクをすり抜けながら、家康を、信康を育ててきた彼ら―――石切丸。
彼の育てた信康には、切腹を命じられるような要因が思いつかないくらいに、
心優しく、健やかで、優れた人物だった。
このままでは、歴史が変わってしまう―――だからこそ、石切丸さんは自分で信康を斬ることにした。
歴史を、守るために。
でも、信康は自らの命を奪うことを、石切丸に、服部半蔵に願った―――歴史の通りに。
それは、私にはなぜかひどく残酷なことのように感じられたのです。
そして同時に、刀ステで三日月さんが、
「歴史を改変することなどできないのではないか」と言っていたのを思い出しました。
歴史とは、全ての結果の上に成り立っている。
どれだけ歴史を改変する要素があったとしても、大きな流れとしての歴史は変わらない。
物吉貞宗の心によぎったような、信康が死なない歴史は在り得ない。
もちろん、刀ミュは刀ステとは違う軸にあるものだけど、
であれば、歴史の大きな流れを守るために、
徳川の家臣として家康を、信康を育ててきた石切丸たちの行動は、願いは、葛藤は、愛情は、悲しみは、
全て意味のないものなのではないか―――
あの瞬間、石切丸さんがそんなことを思ったかどうかはもちろんわかりません。
でも、今目の前に信康はいて、石切丸さんと信康が、家康が共有した時間は確かにあって、
それを、石切丸さんはなかったことになんてできなかった。
その想いが、検非違使を呼びこみ、そして一瞬でも石切丸さんに禍々しい気を纏わせ、
同時に信康の行動が示した彼らの時間の現実が、彼を引き戻したのかなあ。
そして、だからこそ、石切丸さんはあの記録を書こうとしたのかなあ。
そんな風に思いました。
まあ、間違ってるとは思うのだけど(^^;)
あ、そういえば、今回石切丸さんの機動が上がってた気がする! 1部も2部も!(笑)


spiさんの蜻蛉切さんは、村正さんとは逆に今回ちょっとお茶目な雰囲気が多かった気が・・・
ライビュだと映ってないところもあったのだけれど、
村正さんへの返しとかで結構笑いを取っていました。
そして、歌声はやっぱりとんでもなく素晴らしいなあ、と。
JBの経験もプラスに働いているんだろうな、と思うとなんとなく嬉しかったりv
というか、JB組のお二人の歌には本当に聞き惚れてしまいます。
2部の二人の曲とか、心から拍手しちゃいました。
映像から聞こえたのも、実際の映画館でも、二人の曲の後は完成より拍手が多かった気がします。
うーん、あの曲聞きたさにCDとか買ってしまうかもしれない・・・


横田くんの物吉くんは、紅白とかでちょくちょく観ていたはずなのですが、
舞台で観ると凄い大人っぽくなっていてびっくりしました。
背も伸びてる気がするし、顔立ちからも幼さが消えて精悍な感じになっていました。
物吉くんの可愛らしさとか無垢さとかしたたかさはそのままで。
でも、ラストシーンの表情の透明感というか聖母感は深みを増していた気がして、
やっぱり号泣してしまいました。
歌も凄く上手くなってた!
きっといろんなことを頑張ったんだろうなあ。


唯一の新キャストな牧島くんの大倶利伽羅は、シュッとした細さと幼さが印象的。
財木くんの大倶利伽羅よりも5歳くらい年齢設定が低めというか、
少年っぽさが強く出ていたような気がします。
彼も、村正さんとは違う意味で初心だったのかなあ、と思ってみたり。
多分顕現してから結構時間が経っていて、それなりにレベルも上がっていて、
でも、彼本来のスタンスから逸脱しない形で刀剣男士としての自己を確立していた感じ?
“心”はあるけど、“心”を揺さぶるものにはまだ出会ってなかったというか。
で、今回の任務で初めて、人の温もりとか、想いとか、儚さとか、
同じ刀剣男士たちの“心”の在り方に触れて、“心”が揺らいだのかなあ、なんて思いました。
石切丸さんに軽い、と言われた剣筋も、本当にそんな感じ。
もちろん強いし素早いし鋭いし、吾兵たちに教えているとおり“気”は乗っているんだろうけど、
奪う命の重さや、途切れた想いの強さや、流れる血潮の温かさは知らない。
それらに揺らぐ“心”は知らない。
まあ、これまで斬ってきたのが時間遡行軍なんだから当然なのかもしれないですが(^^;)
でも、吾兵に出会い―――失い、信康の成長に立ち会い、石切丸さんの覚悟に触れ、
始めて彼の“心”は揺らいだ。
そして、その揺らぎが、心の重さが、剣筋の重さに繋がったのかなあ、なんて。
終盤、速さや鋭さはそのままに、殺陣の雰囲気が変わるのがとても良くわかりました。
吾兵がこと切れた時のあの表情の悲しみと怒りの鮮やかさに息を呑む鮮やかさだったな。
唯一の新キャストというのは本当にプレッシャーだったと思うけど、
牧島くんの大倶利伽羅の、自覚のない一生懸命さというか素直さは、とても素敵だったと思いますv
2部も凄い頑張ってたなあ。
というか、あの最初の衣裳でも細いってどういうことなんですか?
他の人はそれなりにもこもこしているのに(でも十分細い)、
大倶利伽羅くんは、脇が黒いデザインのせいもあったのかもですが、
重ね着してないといっても信じちゃうくらいの細さでした。
でもって、脱いだら更に細かった・・・ちゃんと筋肉は突いてるんだけど。
去年別の舞台で水着姿を観た時にはそんなに細いとは思わなかったんだけどなー。
そんな少年感がある大倶利伽羅くんは、お兄さま方に1部でも2部でも構われてました(笑)。
2部でみんなで笑いましょうと言われて、頑張って笑ってる(と青江さんにフォローされてた)のも可愛かったし、
青江さんと村正さんに腕を組まれて動揺するのも微笑ましかったです。
物吉くんとの歌で客席降りがあったのだけれど、物吉くんが多分大倶利伽羅くんに向かって手を挙げて、
その後めっちゃ嬉しそうにガッツボーズしてて、これは馴れ合ったのか?と思ったのだけど、
その後ツイッターで投げキッスしてたっていうのが流れていて、やっぱり!と。
円盤にはぜひそのシーンを入れていただきたいと思いました(笑)。
そういえば、歌を聴くのは初めてでしたが、低い声も高い声も輪郭がしっかりしていて、
とても素敵な歌声でした。
今度刀剣乱舞祭があるとしたら、牧島くんが大倶利伽羅で出るのかなあ。
それもちょっと楽しみですv

そうそう、今回の2部の衣裳、最初がみんな長めのコートという感じだったのだけど、
全員裾に綺麗な模様が入っていて、且つこれまでと同じで綺麗な織の布がアクセントになっていて、
これは是非近くで見てみたいなあ、と思いました。
で、1枚脱いだ後が、全員ネクタイ姿で!
普通のネクタイとかリボンタイとかそれぞれ違っていたけど、
何気に全員ネクタイって言うのは初めてなんじゃないかな・・・新鮮でした。
もちろん、その後ネクタイを外したり緩めたりするのも含めて(笑)。
あと、それぞれ色違いの花を持っていたのもありそうでなかったかも?
家康さまと信康と吾兵の太鼓も迫力でした。
この3人も初演から続投で、1部も2部もとても安心感があった気がします。
カーテンコールで、挨拶する村正さんの後ろでにこにこ笑顔な信康さまと、
青江さんの後ろで神妙な顔をしていた吾兵さんに和みましたv
そういえば、前日に下弦の月の放映を見たところだったので、
吾兵、そのまま鎌で戦うのもありだから!ってちょっと思ってしまった(笑)。
いやだって、今回の大倶利伽羅くんも教えるの下手だし(え)。
時間的に子役くんは2部にもカーテンコールにも出られないのが残念!
竹千代役の川尻君、聡明さと子どもらしさがとても可愛くてv
それにしても、風車の歌で、家康がどんどん成長していくシーンは、
やっぱりとても滑らかで秀逸なシーンだなあ、と思いました。


長いわりに散漫な記録になってしまいました・・・
やっぱり村正さんを最初に書いたのがいけなかったな(^^;)
大好きな物語であるだけでなく、新しい物語としての魅力もあったので、
ディレイ配信を買っておけば良かったとちょっと後悔しております。
円盤買うのは決定として(決定なのか(^^;))、その前に配信してくれるといいなあ。
で、お友達と時間を合わせて観て叫びあいたいです!
今回一人でちょっと寂しかったので(笑)。

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