再会

梅雨に入って、色づき始めた紫陽花を目にしては京都に行きたくなり。
色鮮やかに散りばめられた宝石のような柘榴の花を見上げては奈良に行きたくなり。
西に行きたい―!と心の中で叫びながら、
10年以上ぶりに西への旅を続ける彼らに会いに行ってきました。


「最遊記歌劇伝 ―Darkness―」

2019.6.9 マチネ ヒューリックホール Q列10番台
2019.6.9 ソワレ ヒューリックホール M列20番台

出演:鈴木拡樹、椎名鯛造、鮎川太陽、さいねい龍二、法月康平、成松慶彦、うじすけ、三上俊、唐橋充、
   坪内悟、川口空汰(マチネ)、河城英之介(ソワレ)、山下潤、中西奨、森田龍、是澤洋文、菅山望、
   轟大輝、小島飛鳥、竹本太朗、森川大輝、深澤悠斗


というわけで、行ってきました、最遊記歌劇伝!
10年以上前に、1作目を観に行ったことがありまして。
その時に、まだ舞台に立ち始めたばかりの小野田くんの歌声に感嘆し、
椎名鯛造という役者さんに心惹かれたわけなのですが・・・
思い返してみると、これが多分私の初めての2.5D舞台だったような。
まさか、10年後にこんなに2.5D舞台を観るようになるとは、当時は思ってもいませんでした(笑)。
1作目、舞台そのものにはそれほど興味を引かれなかったので(すみません!)、
その後の作品は上演していたことすら知らなくて、
某舞台(今更(^^;))に嵌ってから、過去作のDVDをそろえて、
いつか生で観たいなあ、と思っていたのが、今回やっと叶いました。

今回の物語は、原作でいうところのヘイゼル編。
長大な物語の中の、一つのターニングポイント的なエピソードなわけですが・・・
うーん、これ、原作知らない人には結構きつかったんじゃないかなー、と思う。
というか、原作を知っていても、過去作を観ていないと、いろいろ受け止め損ねそうだなー、と思いました。
まあ、どちらも知らなければ知らないで、そういうものとして楽しめたのかもしれないけど。
どちらも知っている私も、1回目に観た時には、ついていくのがやっとでした。
・・・って、これは私の理解力とか思考の柔軟性とかの問題なのかもだけど(^^;)
でも、ソワレを観た時には、舞台上の物語の流れがわかっていた分、
原作の諸々が脳内補完されて、役者さんの細かい動きとか、表情とか、
繰り返されるシーンの意味とか、そういうのをマチネよりはちゃんと観ることができて、
いろいろ胸に迫る部分もありました。
とりあえず、あの妖怪の少年のシーンは泣くよね?
ちょっと少年の台詞は削られちゃってた気がしますが、その後の悟空の歌も良かったしなー。
過去作でも悟空は少年のヒーローになってたけど、今作でもそうなったんじゃないかな、と思う。

というか、椎名くんの悟空が、本当にめちゃくちゃ素晴らしかったんですよ!!
初めて彼を認識したのがこの役で、その後間を置いて彼の不動くんに心惹かれた私としては、
もう一度彼の悟空に出会えたことが本当に嬉しくて・・・
マチネはなんだかそれだけで満足しちゃったんですが、
ソワレでは、そんな私の自己満足を打ち砕くような悟空を見せてくれました。
なんというかね、本当に存在が悟空なんですよ。
冒頭の、力尽きる鳥を観た瞬間から三蔵との出会いまでの表情とか、
悟浄と全力でじゃれ合うところの天真爛漫さとか、
八戒にはちょっとだけ甘えるようなところとか、
ガドへの真っ直ぐな興味とか、
ヘイゼルへの疑問と怒りと、その先に胸に抱いた葛藤とか、
斉天大聖になった時の人外感とか、
妖怪の少年へ向ける純粋な眼差しとか、
―――三蔵との、彼らが思っている以上に深い絆とか。
いやもうあの台詞の後にあの状況になったら、それは三蔵我を失うよね、と思ったよ・・・
とにかく、表情も、動きも、それから歌声も、本当に“悟空”として存在していた。
歌声はね、いわゆるミュージカル歌唱ではないと思う。
台詞との差があまりない、地声に近い声で、多分美しいタイプの歌声ではない。
でも。
言葉がそのまま旋律に乗ったような歌声だからこそ、
あそこまで力強く悟空の気持ちを届けてくれたんじゃないかな、と思う。
初めて彼を観た時には、実は歌声の記憶があまりなくて。
それが、こんなにも心に響く歌声として、もう一度私の心の深いところに届いてくれたのが、
本当に本当に嬉しかったです。
来年のOasis、もともと好きなエピソードでもあるし(多分ね)、めっちゃ楽しみですv

歌声が素晴らしかったといえば、ヘイゼル役の法月くんも!
「しゃばけ」で観た時もいい声だなあ、と思ったけど、今回も柔らかで澄んだ歌声がとても綺麗でした。
小野田くん、平野くんに続くミュージカル要素の役割をきっちり果たしてくれたかと!
もちろん、それだけではなくて、ヘイゼルの中に刻まれた疵とか、
大切な人を失って惑い続ける小さな少年のままの部分とか、
そういうところもちゃんと想起させてくれる歌声でした。
というか、あの妖怪の少年に語り掛ける声と表情に、ちょっと戦慄したよね。
あの言葉には、彼の真実と欺瞞が複雑に溶け合っていたように思う。
ビジュアル的にも、その在り方も、見事に原作のヘイゼルを再現してくれました。

再現度といえば、成松さんのガドも頑張っていました。
台にのって「大きい!」にはちょっと笑ってしまいましたが(笑)。
無口キャラなので台詞は多くはないのですが、
悟空との距離感がどんどん変わっていくのがなんだかとても微笑ましかったです。

もう一人歌声、という点で印象に残ったのは三上さんの光明三蔵。
歌劇伝独自の在り方で、それはもう自由自在に動き回っているわけなのですが、
個人的にそれが結構ツボなのですが(笑)、
柔らかな笑みがすっと温度を変える瞬間があったりして、
光明が出てくると、その小さな表情も見逃したくない、と思ってしまいます。
それから三蔵への深い愛情というか想いとうか、
そういうものを、あのワンフレーズで伝えてくるのは凄いなあ、と思いました。
なんというか、この長い物語は、もしかしたら光明の物語なんじゃ、と思ってしまうくらいの深さ。
まあ、たぶん、私の深読みのし過ぎなんですが(^^;)

唐橋さんの烏哭は、まさに暗躍、という感じで。
あの黒い法衣はやっぱりかっこいいよね。
彼については、むしろこの後、Oasisか更に先の物語の方が気になるのですが、
そこまでちゃんと上演してくれるといいなあ。

復活なさいねいくんの八戒は、初演で観た時とあまり変わらない細さにびっくりしました。
なんというか、ビジュアル的には本当に文句なしの八戒なんだよねー。
ちょっと猫背な立ち姿が、個人的にちょっと八戒としてはNGなのですが(笑)、
今回観ていて、こういう八戒もありかもしれないなあ、とちょっと思いました。
そういえば、冒頭のゲームのシーン、マチネは早口言葉で、
ソワレは「ピザを10回言って!」というやつだったのですが、あれは回替わりなのかしら?
マチネで噛んでしまった八戒と、ソワレでごまかしきれなかった悟空にちょっと和みましたv

鮎川くんの悟浄は、映像ではなく生で観ると、更にスタイルの良さが際立ちますねー。
映像で見た時よりも、ずっと頼もしい悟浄だな、と思ったのですが、
それは脚本によるのか、演出によるのか、鮎川くん自身の成長によるのか。
いずれにしても、この先の悟浄がとても楽しみになりましたv

鈴木くんの三蔵は、ビジュアル的にはやはり完璧だなあ、と。
物語的に、内省的なシーンが多いというか、過去の記憶とか、光明との関係性とか、
言葉や動き以外のところで伝えなきゃいけないことが多いから、大変だろうなあ、と思った。
終盤のシーンとか、どうしても斉天大聖がらみに目が行っちゃうので、
三蔵の混乱とか焦燥とか、もう内面ぐちゃぐちゃな感じって、ちょっと伝わりにくいと思うし・・・
って、それは私が椎名くんをガン見してたからか(^^;)
でも、脳内補完しながら観ていると、
一つ一つの表情がちゃんと三蔵の深いところを見せてくれているのがわかって、
さすがすずきひろき!と思いました。
歌声は、以前よりも響きが良くなった・・・かな?
でも、その分ちょっと平坦というか、歌として届くものが多くはなかったように思います。
歌が苦手、と言っていた鈴木くんが、来年のLSHに主演すると聞いたときには、
正直大丈夫かな、と思ったし、今回の舞台を観てもまだ安心はできないけど、
あの声の響きを聴くに、きっと凄い頑張ってるんだろうな、と思う。
というか、あのすずきひろきならきっと、
観客も自分自身も納得できるラインまで持ってきてくれると思う。
そういう意味での信頼は確実にありますので!(笑)

子役くんお二人は、妖怪の少年にヘイゼル幼少期に江流幼少期にモブの人間の少年に、と大活躍でした。
それぞれにちゃんと背景のある役だから、大変だったろうなあ。
川口くんのちびヘイゼルは、穏やかで優しい感じ、
河城くんのちびヘイゼルは、ちょっとやんちゃで気が強い感じでした。
法月くんとの歌もとても綺麗な曲でした。
法月くんの声の方がちょっとトーンが高めに聞こえたので、
もうちょっと子役くんは小さい子でも良かった気もしますが、
これだけたくさんの役をやるなら、あまり小さいと大変だったかもですね。

アンサンブルのみなさんも、妖怪に人間に烏にと大活躍でした。
烏、かっこよかった・・・!
あまり広くない舞台なので、少なめの人数でも入り乱れると結構迫力ですね。
それにしても、この舞台、女優さんがいてもいいように思うんだけどなー。
いや、宿屋の看板娘さん、頑張ってましたけど!
でも、次回作はたぶんあの辺りの話だと思うので、あの子の役は女の子にやってほしいなあ。
悟空の初恋だしなあ。
無理かなあ。
まあ、そういう点も含めて、次回作もその先も、楽しみにしております!
とりあえず、刀ステ経由でこの舞台を観た方が、原作も読んでくれたらいいなあ。
原作、外伝含めて読むと、舞台のいろんなシーンがどんどん深読みできて面白いと思うよ?


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