一欠片の信

信じることは簡単。
それは、相手のあることだから。
でも。
信じ切ることは難しい。
それは、自分自身のことだから。


 「ウェスト・サイド・ストーリー」Season 1

2019.12.21 マチネ IHIステージアラウンド東京 7列32番
出演:蒼井翔太、北乃きい、樋口麻美、小野田龍之介、中河内雅貴

2019.12.21 ソワレ IHIステージアラウンド東京 8列24番
出演:宮野真守、笹本玲奈、三森すずこ、上山竜治、水田航生、

   小林隆、堀部圭亮、吉田ウーロン太、レ・ロマネスク TOBI、
   ジェッツ:田極翼、樋口祥久、笹岡征矢、工藤広夢、穴沢裕介、小南竜平、
        伊藤かの子、酒井比那、今野晶乃、井上真由子、笘篠ひとみ、鈴木さあや
   シャークス:高原紳輔、斎藤准一郎、前原雅樹、東間一貴、渡辺謙典、橋田康、
        大泰司桃子、山﨑朱菜、田中里佳、内田百合香、淺越葉菜
   スウィング:大村真佑、畠山翔太、脇坂美帆、矢吹世奈


というわけで、久々に回る劇場に行ってきました!
浦井くんのメタマク以来かな?
駅を出たら、駅前の広大な広場に大きな建物を作っててびっくりしました。
ここ、カフェとか入るのかなー。
そしたら、マチソワもしやすくなりそう!(え)

WSSは、実は学生の頃に映画館のリバイバルで1回観たことがあるだけで。
四季のミュージカルも観たことがなかったんですね。
ですから、ほとんど初めて観るような感じになるかなー、と思っていたら、
いろんなところで映画の記憶が蘇りました。
1回しか観ていないのに・・・でも、これは私の記憶力というよりも、
この作品の力なんだろうなあ、と思います。

回る劇場との相性もとても良かったように思います。
新感線の時のようなアトラクション感はあまりなくて、
流れるように物語が進んでいく感じ。
特に1幕終盤の♪Tonight(Quinted)は圧巻でした。
それまで区切られていた街角が繋がって、
あの街に生きる一人一人が、どんなふうに生きているのか、
あの夜、彼らが感じていたときめきが、焦燥が、決意が、恐怖が、喜びが、
様々な感情がとても鮮やかに伝わってくるように思いました。
まあ、観たいところが多すぎて、めっちゃきょろきょろしましたが(笑)。

歌もダンスも本当に見ごたえがあって、冒頭から何度も鳥肌が立ちました。
冒頭の、ジェッツの統率のとれた軍隊のような安定感のあるダンスと、
シャークスの重心の低いところから何かに飛びかかるネコ科の獣のようなダンスには、
もうほんとに心の底からワクワクしました。
(イメージはダンス素人の私の個人的なものなのでご容赦ください)
体育館でのダンスも良かったなー。
ダンスバトル、という感じで、緊迫感と華やかさが融合してて、
でもめっちゃ楽しくて、一緒にマンボ!って声を上げたくなりました。
ソワレ終演後の演奏で、この曲の時に客席から声が上がってたのも、凄い楽しかったv
もちろん私も言いましたよ(*´▽`*)
♪America での女性陣の遠慮のないやり取りも、それぞれの立場がわかって面白かったし、
2幕冒頭の♪I Feel Pretty の女子トークのわちゃわちゃも可愛かったv
♪Cool の迫力にも圧倒されたし。
でも、あの指を鳴らすのを、リフが死んだ後、シュランク刑事と対峙した時に、
(たぶん)アクションが鳴らしてたのには、ちょっと泣きました・・・
トニーとマリアの幻想のシーンも良かったなあ。
淡い光に空間で、色の違う衣裳を纏った人たちが入り混じって、
穏やかに手をとって踊るシーンは、
エニィバディズ役の伊藤さんの歌声の純粋さと合わさって、
共に祈りたくなるような美しいシーンだったと思います。
だから余計に、その後黒い闇が忍び寄りその淡い光を侵食していくのが、
なんだかとても怖くて、そして悲しかった。

物語の最後、いくつもの日付と街の名前が映し出されました。
多分あれは、民族紛争とか少年たちの争いとか、そういう事件の在った日なのだと思う。
物語の中で、少年たちが、自分たちがこうなったのは・・・と歌う♪Grr, Officer Krupke は、
コミカルな曲ではあったけれど、めちゃくちゃシビアなことを歌ってるなあ、と思いました。
そのまま現代にも当てはまってしまうよね、これ。
少年たちの背景、という意味でも、
彼らに関わるそれぞれの立場の人たちの中途半端さにしても。
以前映画で観た時よりも、そういう社会的なメッセージが強く感じられたのは、
私がそういう年齢になったということなのかなあ・・・?


役者さんの感想を少しずつ。
マチネのトニーとマリアは蒼井翔太くんと北乃きいちゃん。
めっちゃ初々しくて、可愛くて、夢見がちな二人でした。
そして、とても危うい。
蒼井くんは、某深夜ドラマの中性的な印象があったので、
背の高いたくましさの感じられるトニーでちょっとびっくりしました。
歌声は、甘さの感じられる高音と、深く響く低音のギャップが新鮮。
北乃マリアは、もう本当に可愛くて!
高音になるとちょっと歌詞が聞き取りにくくなっちゃうけど、
びいどろが震えるような透明感のある歌声は、あのマリアにぴったりだと思いました。
二人の♪Tonightは、あの演出も相まって、本当に空に飛び立っていけそうな高揚感というか、
二人なら何でもできる、という万能感みたいなものに溢れていて、
でも、そんな幸せの絶頂にあるのに、というかだからこそ、
そこはかとない悲劇性が感じられて、ちょっと胸の奥がざわざわしました。
それは、北乃マリアの純真さというか幼さによるものでもあったろうし、
蒼井トニーの中にある激情の危うさにもよるように思う。
1幕ラスト、リフを殺されたトニーがベルナルドを刺すのですが、
小野田リフと蒼井トニーの関係性だけでなく、
蒼井トニーがその身の内に持っている、制御しきれない激情こそが、
あの瞬間を創り上げたのだと、そう思いました。
あの危うい激情を、蒼井トニーは自覚していたのかなー。
トニーがジェッツと距離を置いた理由があまり描かれていないのだけれど、
彼がそれを自覚していたかしていなかったかで、ずいぶん見えるものが異なるな、と思いました。
終盤の、トニーが撃たれてからラストまでの北乃マリアの表情の変化も良かった。
夢見がちな少女が、現実を知って大人になっていく過程を見ているような感じ。
最後の彼女からは、全てに対する拒否を感じたように思う。
銃を置いたのも、憎しみの連鎖を断つためではなく、
全てを諦め、全てから目を背けた結果のように感じた。
あの時点で、彼女は未来に背を向けている―――虚無、という言葉が浮かんだ。
まあ、これは私の印象なので、思いこみ妄想な可能性がめっちゃ高いですが(^^;)
アニータとのその後も気になったなあ。

マチネの樋口さんのアニータは、姐御感が凄かった!
細身なのに強靭な印象は、歌からもダンスからも、
そしてアニータとしての在り方からも感じられました。
アメリカに夢を見て、ベルナルドと共にその夢を生きようとしていて、
でも、その夢は無理やり断ち切られた。
それでも、あの瞬間までは、彼女はアメリカに夢を見ていたのだと思う。
あのアニータは、この後、アメリカに復讐するために強く生き続けるよな気がするなあ。

マチネの小野田くんのリフは、ジェッツの面々の前に立っている時と、
トニーの前にいる時のギャップがすごいリアルでした。
なんなのあの甘えっぷり!
ジェッツの前では頼れるリーダーで、若い子たちを諭し導く感じもあるのに、
トニーには臆面もなく甘えるのね。
声が全然違うのにびっくりしました。
そうか、小野田リフにとって“家族”というのはそういうものなんだなあ、と思ったり。
トニーは、リフが唯一我儘を言うことのできる相手で、
我儘を言うことは、甘えるとイコールなんだな、と思いました。
だからこそ、リフは命の火が消える最後の瞬間まで、トニーを信じていたんだと思う。
だからこその、トニーの激情でもあったと思います。
ベルナルドとも、少しだけ何かが違っていたら、仲良くなれてたんじゃないかなあ。
拳を交わして仲良くなる少年漫画みたいに。

マチネのベルナルドは中河内くん。
切り裂くようなダンスが、めちゃくちゃかっこよかった!!
そして、最初から最後までお兄ちゃんなベルナルドでした。
どんなときにも、みんなのお兄ちゃんであろうとしている感じ?
アメリカで生きるということを、ちゃんと見据えていたようにも思いました。
アニータとの大人な雰囲気も素敵v
体育館でのダンスシーンは、思わず見惚れてしまいました。


ソワレのトニーとマリアは宮野さんと玲奈ちゃん。
・・・素晴らしかったです!!
至高の♪Tonight でした。
歌声という意味でも至高だけど、二人の在り方としても個人的に凄い好みでした。
何というか凄い確信がある感じ。
一気に恋に落ちたけど、勢いだけじゃなくてちゃんと周りも見えている。
見えていて、その上で二人で進んでいこうと思っている。
ブライダルショップで結婚式のまねごとをしているシーン、
二人の間にあったのは、熱に浮かされたような高揚感ではなく、
自分たちの未来をきちんと見据えた上での、決意だったように思います。
マチネの二人の漠然とした不安に戸惑うような表情とは異なる、
その先の困難さを理解したうえでの、冷静で厳しい表情。
この二人なら成就してしまうのではないか・・・そんな強さを感じて、
だからこそ、1幕のラストに全てが一気に崩れ去っていくのが、本当に悲しかった。

宮野さんのトニーは、それこそ兄貴、という感じ。
ジェッツとは距離を置いているけど、彼らを守りたいという気持ちはリフと同じで。
ただその方向性が違うだけなのかなあ、と思った。
1幕ラストも、だから、激情にかられたというよりは、当然の流れだった気がする。
多分、彼は自分を過信していた。
自分なら、彼らを止められる。
自分なら、この抗争を止められる。
自分なら、マリアを幸せにできる。
自分なら―――
それは、きっと正しかった。
でも、正しければ全てが上手くいくわけではないのが人との関わりで。
ドクの店で、マリアの死を知らされた瞬間のトニーの表情に愕然としました。
絶望。
あの瞬間、彼は自分の存在が全てを壊したのだと思ったんだろうなあ。
自分がいなければ、リフは死ななかった。
自分がいなければ、ベルナルドは死ななかった。
自分がいなければ―――マリアは、死ななかった。
自分を責めて、自分を消したくて、それでも多分彼は自殺をするなんて思いもよらなくて、
だからリフを探し続けた。
最期、彼はマリアに言いました。
もう少し、信じていれば良かった。
それは、マリアがドクの店に来る、という言葉を、という意味だったのかもしれません。
でも、私にはそれよりももっと広い意味に思えた。
リフを、ベルナルドを、マリアを―――自分を、信じていれば良かった。
確信のある二人に足りなかった、ほんの一欠片の信。
それが、本当に悲しかった。

玲奈ちゃんのマリアは、とにかく綺麗!
年相応の可愛らしさもあって、アニータや仲間を前にした時の少女らしさと、
トニーを前にした時の大人びた感じのどちらにも見惚れました。
体育館のダンスのシーンで、端っこでチノと一緒にダンスを真似してるの、可愛かったv
北乃マリアはトニーを失って大人になったけど、
笹本マリアはトニーと出会って大人になったんだなあ、と思いました。
守られる存在だった自分が、守るものを得た―――そんな感じ。
シュランク警部と対峙した時の、あの強い表情も素晴らしかったです。
歌声はもちろん文句なし!
高音の繊細な力強さはさすがです。
玲奈ちゃんのエリザベートが本気で観たくなりましたよ。
ラストシーン、銃を手にとってからのマリアは圧巻でした。
怒りと悲しみと絶望と疑問。
自分たちが彼らを殺した。
その言葉が本当に重くて、それでもなお、彼女は銃を置いた。
自分の中にある憎しみを否定せずに、先に―――二人が夢見た未来に向かう強さ。
それは、たった一日だけでも“二人”だったからこそ育まれたものなんだろうなあ、と思いました。
ソワレのカーテンコール、並んで笑い合う彼らの姿が、
あり得たかもしれない未来のように見えて、泣けてしまいました。
あり得たかも、って思えてしまうところが本当に切ない。
宮野トニーとは完成形のような二人だったけど、
危うさのある夢見がちな蒼井トニーとはどんな感じだったのか、ちょっと気になりました。


ソワレの上山リフは、トニーに対して全く甘えがなかったのが新鮮でした。
本当に、二人で共に仲間を守るためにジェッツを創り上げたんだなあ、と感じました。
ダンスはちょっと大変そうだったけど、♪Cool の時のかっこよさはとんでもなく!

水田ベルナルドは、自分の生きる場所はここではない、という切実な頑なさがあった気がします。
生きるために、一旗揚げるためにアメリカに来たけれど、
その最初にジェッツに―――アメリカーナに拒絶された。
その傷が、深く彼を苛んでいるように感じられた。
怖がっている、というマリアの言葉がとてもしっくりくるベルナルドだったと思います。

三森さんのアニータは、そういうベルナルドをちゃんと理解して、
奔放にアメリカを称賛しながらも、彼とアメリカの間に立とうとしていたように思います。
アメリカに夢を見ていた時のベルナルドを彼女は知っているから。
だからこそ、あの瞬間、ベルナルドと同じ傷を負った彼女は、
初めてベルナルドの痛みを本当に理解して、そしてあの行動に出たんだろうなあ。
しなやかさの質が樋口アニータとは異なっていて、
まろやかさというか母性のようなものも感じられるアニータでした。
マリアでなくてもちょっと甘えたくなる感じv


共通キャストについても少し。
小林さんのドクは、彼の過去でスピンオフを作ってください!と言いたくなる深さでした。
結果的に彼は若者たちの悲劇を止めることはできなかったけど、
それでもこの先も彼らに寄り添い続けるんだろうなあ。
堀部さんのシュランク警部もそう。
あの渋さにはよろめくしかありません(笑)。
この二人が、実はかつての仲間だったりとかしたら、ちょっとどうしよう・・・(え)
ジェッツとシャークスのメンバーは、
全員の背景とかちゃんと理解してたらもっと面白かったんだろうなあ、と思いました。
ちょっと観ない間に工藤くんが大人っぽくなっていてちょっとびっくりしました。
メンバーの幼さ代表というか、彼らの在り方に対して疑問を呈する、
そんな存在でもあったのかな、と思います。
伊藤さんのエニィバディズもそういう存在なのだけれど、
彼女は自分のしっかりした意志でジェッツに入ろうと頑張ってる感じなので、
またちょっと違うかな。
映画でどうだったかは覚えていないけど、
彼女はトニーのことが好きだったのかなあ、とちょっと思いました。
好きだから、彼女のやり方で彼を助け、彼の傍にいようと思った。
「女なんだからスカートをはいていろ!」という感じの言葉をトニーから言われるのだけど、
蒼井トニーは拒絶で、宮野トニーは願いのように聞こえました。
受ける彼女の表情もちょっと違っていた気がするけど、
あの時は私もトニーの気持ちを追うのにいっぱいいっぱいだたので、ちょっと記憶が曖昧(>_<)
ジェッツは男性陣が活躍してましたが、
シャークスはむしろ女性陣の見せ場が多かったような気がします。
アニータと一緒の時と、マリアと一緒の時で雰囲気が違うけど、それがまたリアルな感じでした。
みんな幼馴染なんだろうなあ、というほんわか感に和んでみたり。
高原さんのリフは、本当に哀れな立ち位置ではありましたが、強く生きてほしいです・・・

そんなこんなでとても楽しめました。
Season 2は観に行く予定が今のところないのですが、タイミングが合えば行ってみたいかな。
Season 3は浦井くんと有澤くんが出演なので、頑張ってチケットとります!
有澤くんのあのスタイルで冒頭のダンスとかめっちゃ観たい!

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