恋情

雪が降ったかと思ったら、小春日和と言うにはちょっと暖かすぎる日が続きましたね。
1月ももうちょっとで終わり。
暦の上では春になりますが、まだ冬は続きます。
例年+αの感染症の流行に戦々恐々としておりますが、
手洗いマスクに十分な睡眠と栄養を心がけて、何とか乗り切れるといいなあ、と思います。
というわけで、睡眠時間確保のために(笑)さらっと観劇記録いってみます!


「フランケンシュタイン」

2020.1.19 マチネ 日生劇場 2階B列20番台
2020.1.26 マチネ 日生劇場 GC階A列60番台

出演:中川晃教、加藤和樹、音月桂、鈴木壮麻、相島一之、露崎春女、
   朝隈濯朗、新井俊一、岩橋大、宇部洋之、後藤晋彦、白石拓也、
   当銀大輔、丸山泰右、安福毅、江見ひかる、門田奈菜、木村晶子、
   栗山絵美、水野貴以、宮田佳奈、望月ちほ、山田裕美子、吉井乃歌、
   大矢臣(1/19,26)、山口陽愛(1/19)、浅沼みう(1/26)


というわけで、今期の「フランケンシュタイン」最後の観劇記録となります。
アッキービクターと加藤アンリの組み合わせは、
初演で本当に惚れこんだ組み合わせだったので、
今回もどんなドラマを見せてくれるのだろうと楽しみにしていたのですが・・・

あれ?
初演ほどときめかない?

いやまあそもそもときめくとか思うところから違ってるんですが(^^;)
何というか、二人の世界ができあがっちゃってる感じが、そう感じさせたのかも?
いやいや、それも語弊があるか・・・何だか、何を書いても誤解を受けそうなので強制終了!

とりあえず、初演と同様にハッピーエンドだと感じたし、彼らは取り戻したのだ、とも感じた。
今回は、特に後者だったかなあ、と思います。

加藤アンリは、小西アンリとは違って、1幕ではあまり怒りの感情は見えませんでした。
上官に銃を向けられたとき、彼の表情に見えたのは、怒りではなく諦念だった。
静かな、けれど目の前にひたひたと押し寄せる人間に対する絶望に、
抗うことすら諦めて、その絶望の中に沈みこもうとしているように見えました。
けれど。
そんな彼を、ビクターは力ずくで彼の世界へ引き上げた。
彼に、生きる理由を、与えた―――

自分が罪人であるというビクターの訴が却下された瞬間、今回もアンリは笑いました。
ほっとしたように、満足げに、綺麗な微笑みを浮かべた。
その笑みは、やっぱり怖いほどに壮絶で、私を戦慄させました。
そして、その笑みは最後の瞬間まで消えることはなかった。
牢獄で、ビクターと再会した時も、彼はずっと笑んでいたように思います。
「その瞳に僕は恋をした」
この歌詞を、小西アンリはどこかおどけたような色を込めて歌っていた。
一方で、加藤アンリはまっすぐにこの言葉をビクターに向けていて・・・
ああ、アンリは、本当にビクターの哲学に、信念に、情熱に恋をしたのだな、と思った。
尊敬よりも甘く。
依存よりも強く。
友情よりも熱い。
あの瞬間に途切れていたはずの自分の命を全て注いだ思いを表す、
それ以上にしっくりとくる言葉はなかったんだろうなあ。
でも、その想いはきっとどこか独りよがりで、どこか盲目的で。

判決が下ったとき、アンリはジュリアと視線を交わします。
あの瞬間、二人の間には、二人に死かわからない共鳴があったように見えました。
二人の胸にある、ビクターへの恋心。
それは色合いも温度も手触りも、全く違うもので。
でも、きっと二人にしかわからない感覚だったんじゃないかなあ、と思いました。
なんというか、ジュリアも同じ状況になったら、アンリと同じ選択をするような気がする・・・

というか、ビクターの周りには、二種類の人間しかいなかったんだな、と思いました。
彼を完全に拒絶する人間と、彼の全てを受け入れる人間。
それは、多分人と人の関係性のなかでどこか歪んだ相対し方のように思う。
そして、そのことがあのビクターを創り上げたのかなあ、となんとなく思ってしまいました。
加藤アンリの時のビクターは、寄る辺ない子どものような雰囲気がありました。
アンリとの別れも、静かに笑みを浮かべるアンリとは対照的に、
最後まで縋るような目でアンリに懇願していた。
そんなビクターのあたまをポンポンするアンリがまた罪深く・・・(^^;)
そのビクターの切実さが、その後一線を越えてしまうのが、本当に切なくて。
でも、彼にそうさせたのは周りの人たちなのかもしれないなあ、とも思ったり。
そういう意味では、エレンの距離感というのはとても大事だったのかなあ。

2幕の怪物は、一転して怒りに満ち溢れていたように思います。
♪俺は怪物 の、血を吐くように叫ぶ声には、ちょっとびっくりしてしまいました。
誰かの血。
誰かの肉。
でも、それは今、まぎれもなく自分自身の“肉体”で。
“怪物”として生まれてから、少しずつ、少しずつ、アンリの脳は誰かの肉体を支配して行った。
そんな風に感じさせる在り方だったように思います。
で、その怒りは、他者の肉体を纏った自分を作った創造主に対してであり、
他者の肉体を纏った自分自身に対してでもあるように感じました。

1幕ラスト。
ビクターは、ルンゲを噛み殺した存在を、アンリとは違う怪物と認識した。
アンリを生き返らせようとして、全く違う怪物を創り上げた。
“アンリ”を、自分は永遠に失った―――その、絶望は、きっと怪物の心にもダイレクトに伝わった。
他者の感情を鏡のように映す“怪物”は、その時に自分自身への絶望を植え付けられて。
その絶望が、怒りへと変じたのかなあ、とも思ってみたり。
2幕で“怪物”と再会した時、ビクターは弱々しい声で、アンリの名を呼びました。
それは、彼が“アンリ”であるという微かな望みを感じさせて、
でも、その望みはすぐに“怪物”自身によって断ち切られた。
目の前にいる、親友の顔をした存在は、親友ではない誰かの肉体を持つ、
親友ではない存在なのだと、そのことを突きつけられて、再び絶望を味わっているように見えました。
♪後悔 のシーン、2幕では全く光の当たらなかった赤い薔薇の花が光に浮かび上がりました。
1幕で、ジュリアが、エレンが、アンリがビクターを想う時、光を浴びていた薔薇の花。
今はもう幻でしかない、その花に見守られるようにして歌うビクターの姿は、
本当に本当に孤独で―――
けれど、2幕ラスト。
「ビクター」と呼ばれた瞬間に、彼は目の前の存在を“アンリ”として受け入れたように思いました。
他者のものであるはずのその腕、その身体。
こと切れた“アンリ”の頭を膝の上に抱き上げて、腕を、胸を、足を、顔を、
確かめるように触れ、その手を固く握り合わせるビクター。
それは、小西アンリの時に感じたような、命を創り出したという喜びではなく、
アンリを取り戻した、という安堵の仕草のように思えました。
2回目に観た時も、そういうふうに感じたのですが、
初回よりも燃え尽きた感が強くて、こっちまで呆然としてしまいました。
なんというか、この二人のラストは、行きつくところまで行きついた、という印象なんだよね(^^;)

でもって、今回、アンリの記憶は結構後の方まで戻ってなかったようにも思いました。
何回か、ふとした瞬間に記憶が繋がったように思えたシーンもあって、
アンリの記憶に基づいた感情が垣間見えた気がしたのですが、
どの瞬間だか覚えていない自分の記憶力が悲しい・・・

そういえば、カーテンコールの二人、小西アンリとのときは信頼し合う同僚みたいなのに、
加藤アンリとのときはわちゃわちゃというよりもいちゃいちゃという感じで、
なんというか苦笑してしまいました(^^;)
まあ、仲良きことは美しきかな、ということでいいのかな・・・
アンリが、ビクターをめちゃくちゃ可愛いと思っているように見えてしまって(笑)。
うん、まあこの二人はハッピーエンドだよね!


他にもいろいろ怪物の手術跡の場所の意味とか、
怪物の強さは脳のリミッター解除した火事場の馬鹿力的なものなのかとか、
観ながらつらつら考えていたのですが、今回もちゃんと答えには行きつかなかったなー。
手術跡、首と左上腕と左大腿と右脇腹と背中の中央の頸部から胸部にあったのだけど、
何人分の体だったのかな・・・
この辺つっこんだら終わりだとわかってるんですが、ちょっと気になっちゃいました(^^;)
意味があるならぜひ教えていただきたいです!


加藤アンリの考察で終わっちゃうのもちょっと悲しいので、他にも少し。
今回もアンサンブルさん大活躍!というのは前の記事でも書いたかな。
続けて観るとアンサンブルさんも見分けがついてきたり、
舞踏会のシーンとか、それぞれの関係性が作りこまれているのに気づいたり、
あちこち見ながら楽しんでいましたv
ウォルターのお母さん?お姉さん?な栗山さんの、あのビクターへの嫌悪の理由も深読みしたくなったし、
闘技場で木桶の中から薬瓶を見つけた白石さん(かな?)が、
その後どういう動きをするのか気にしてたけど何もなくてちょっと残念だったとか、
リトル・ジュリアに付き従ってるメイドさんは、
ジュリアの気持ちを応援してあげてたのかなあ、とか・・・
あと、酒場のシーンの酒豪のお嬢さんがめっちゃ可愛かったです!
えーと・・・江見さん、かな?
両手に酒瓶持ってて、おごりって決まった途端に片方ラッパ飲み!
最初の方はビクターに注目してて、彼に容赦なくお酒を注いだりしてるのに、
アンリにもガンガン迫っていって、どっち狙いー?と思ったけど、
単なる酔っ払いだった的なオチ(多分)に和みましたv
あの酒場の人たちは、ビクターがあのビクターだってわかってたのかな・・・?
でもって酒場でのルンゲさんのアドリブにも毎回笑わせていただきましたv
顔が良い!って・・・(笑)


今回もだいぶ偏った見方をしましたが、まあ、この演目はこれでいいかな、と。
東京は今日が千穐楽でしたね。
私は今期は地方へは行きませんが、また再演されるのを楽しみにしていようと思います。
その時はきっとまた違う景色が見えるんだろうなあ。
あ! その前にDVDが発売されますね。
せっかくなら4通りの組み合わせで発売して欲しかったなあ、とも思いますが、
DVDになるだけでも画期的かな。
カメラワークがゲキ×シネや2.5D並にとまでは望みませんが、
私の注目ポイントが映されていることを、今は祈っていようと思います(笑)。


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