三つ巴

観劇に本格的に嵌り出したのは、多分20年くらい前。
蜷川シェイクスピアがきっかけだったと思います。
それ以前にも年に数回ミュージカルは観ていたけれど、
たぶん、あの出会いがなければ、ここまで観劇にのめりこむことはなかったように思います。
その後も、素晴らしい舞台、素晴らしい演出家さん、素晴らしい役者さんに次々と出会って・・・
私にとって観劇は、本当に大切な時間となりました。
劇場という非日常の空間で紡がれる、一期一会の物語―――人生。
私を魅了してやまないその瞬間を享受するために、
仕事も頑張ったし、体にも気をつけたし、推しも私なりに応援したし!(笑)

でも。
その幸せな時間が、こんな風に断ち切られることになるとは、思ってもみませんでした。

先の見えない状況。
今のこの状況が落ち着いたとしても、流行はたぶん断続的にしばらくは続くはずで。
仕事上の責任を考えると、もしかしたら今年はもう劇場に足を運べないかもしれない。
そんな風にも思います。
でも、チケットの先行には躊躇いなく申し込みをしています。
だって、この状況に―――見えない脅威に負けて、私の人生から観劇が消えることだけはしたくないから。

未曽有の危機に陥っているであろう演劇を含むエンターテイメント界に、
今私ができることはなんなのか、現時点でも全然わからない。
役者さんや演出家さんたちが届けてくれるいろんな言葉や動画を見ながら、
ただ見るしかできない自分に泣きたくなる時もある。
でも、今できることをやっていくしかないんだよね、と自分に言い聞かせつつ・・・

とりあえず、先日観たネット配信の朗読劇の観劇記録を書いておこうと思います。


ネット演劇「マトリョーシカの微笑~刑事は二度死ぬ」

2020.5.26 第二部

出演:染谷俊之 平野良 赤澤燈


物語の舞台は、とある取調室。
容疑者である師岡(赤澤燈)に対峙する、桐生(平野良)と山之内(染谷俊之)。
容疑を否認する師岡を“落とす”ために、時になだめ、時に情に訴え、時に理詰めで追い詰め、
時に恫喝する二人の刑事。
しかし、山之内が師岡の無実の可能性に気づき、その証拠を確認するために席を外したとき、
事態は静かに動きだし―――


という感じの(って全然わかりませんな(^^;))の物語でした。
時間的には1時間くらいかな。
3人が別々の部屋で演じている動画を、背景と合成して流す形?
表情と台詞のタイムラグはわずかなのですが、
その背景との境目の不自然さがどうにも目についてしまって、
最初は違和感がぬぐえませんでした。
これなら、無理に背景と合成しなくても、
シンプルは部屋に椅子1脚とかで三分割の画面でもいいんじゃないかなあ、とか思っちゃった。
三人ともかっこいいし!(え)
まあ、動く演出もあったので、そのためだったのかもしれませんが。
でも、始まってすぐに機材トラブルが合って中断。
その後頭から再開してくれた時には、そういう状況だとわかっての観劇となったので、
その後はなんとか集中することができました。不幸中の幸い?(笑)

物語的には、容疑者の師岡が実は監察官で山之内と協力して桐生の不当捜査の証拠を掴んだり、
それで尋問される立場となった桐生が、実は山之内と協力して赤澤の収賄の証拠を掴んだり、
最終的に、一番年下なのに一番地位の高い山之内が赤澤を仲間に弾きこんだりと、
立場がくるくると入れ替わる感じなのですが、
それに伴って役者さんの演技がガラッと変わるのが面白かったです。
これ、内容を2回観ることができたら、一つ一つの台詞や仕草をめっちゃ深読み出来たろうなあ。

一つの関係性が破たんすると、次の関係性が見えてくる、というのが、
マトリョーシカにかかっているのかな、と思いますが、
(劇中では、張りぼての優秀さを剥がすとちっぽけなお前がいる、という風にも使われてましたが)
私的にはマトリョーシカというよりも三つ巴の方がしっくりくるかなあ、と思いました。
なんというか、彼らの真実がどこにあるのか全然見えてこないし、
というか、見えていてもそれが真実なのかどうかがわからないし、
3人が笑いあうラストも、3人とも自分以外の二人を全然信用していないことが丸わかりで、
いつどの瞬間に誰がどんな新しい“貌”を見せるのか、という、
殺伐とした緊張感が、なんとも後味が悪くて、でもちょっとわくわくしてしまいました(笑)。


師岡役の赤澤くん。
去年の少年社中の舞台で一度拝見してたかな。
容疑者から監察官に変わった瞬間がとても鮮やかでした。
わりと淡々とした演技なのだけれど、それがこの朗読劇のいい重しになっていたような気がする。
彼の言葉には真実があったように感じたんだけど、もしかして、騙されてる?(笑)

桐生役の平野くんは、ご本人もアフタートークでおっしゃってましたが、
ほんとのめっちゃ濃かったです!(笑)
そしてとんでもなく胡散臭い!
なんというか、彼の言葉は全部虚構に聞こえました。ちょっと怖かった・・・
いろいろ遊び的な要素も盛り込んできていて、
このある意味実験的な試みを、一番楽しんでいるように思いました。

山之内役の染谷くんは、赤澤くんとは違う意味で全然ぶれない。
正体を明かしたときも、あ、そうだよね、と違和感なく納得しちゃって、
申し訳ないけど全然驚きが足りなかったよ!(笑)
彼が師岡に向けた“理由”は、私的には嘘だと感じたんだけど、
それはやっぱり願望なのかもしれないなー。
とりあえず山之内にはいろんな意味で頂点に上り詰めてほしいと思いました!(え)


そんなこんなで、ネット演劇の一つの形を楽しませていただきました。
今後も、朗読劇の配信というのはいろいろあるみたいなので、
できる限り購入してみたいと思っています。
というか、演劇もライブも無料配信嬉しいけど、
全部が全部無料じゃなくてもいいと思うんだよね。
劇場と配信では全く感覚が違うし、受けての価値観も違うから、
値段設定とかは難しいかもしれないけど・・・
おひねりとか投げ銭みたいなシステムがあるといいのになー。


というわけで、観劇はしばらく行けそうもありませんが、
配信でも観ることのできた舞台については、なるべく記録をしていこうと思います。
情報弱者なので、見落としも多いかもですが(^^;)

一日も早く、またあの空間に行くことができることを心から祈りつつ・・・

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